【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1083話 パーティ勧誘

「へぇ……。ここが『三日月の舞』の皆さんが滞在している宿なんですね」

「ええ、そうよ! なに!? なんか文句でもあんの!?」

「いや、文句はありませんけど……」

 俺は、エレナたちに案内された宿屋を眺める。
 かなり高級そうな外観をしていた。
 オルフェスの街は、英霊祭の時期になると多くの観光客が訪れる街である。
 そのため、安宿から高級宿まで幅広く存在するのだが、ここはその中でも高級な部類に入るだろう。
 まぁ、Cランク冒険者のパーティが宿泊先に選ぶぐらいだから、当然といえば当然だが……。

「ふふふー。タケシさん、驚いてるねぇー」

「はい。まさか、こんなところに泊まっていたとは……。さすがはCランク冒険者といったところでしょうか?」

「まぁねー。わたしたちだって、これでも結構稼いでいるんだよー?」

 ルリイは自慢げに胸を張る。
 豊満なバストが揺れていた。
 ちなみに、先ほどのラッキースケベの件は、すでに許してくれている。
 彼女は切り替えが早いタイプのようだ。

 ……あ。
 そう言えば、リオンを忘れてきてしまった。
 転倒時に放り投げてしまって、そのままだ。

 まぁ消耗しきっているし、大丈夫か……?
 町民、冒険者、モニカ、ニム、ゴードンあたりが最初に発見してくれれば、すぐに捕縛されるはずだ。
 たぶん問題ないだろう。

「ふふふー。タケシさんさえよければ、わたしたち『三日月の舞』といっしょに旅をしてもいいんだよー?」

「えっ……。よろしいのですか?」

「うんー。ちょうど、前まで臨時で組んでいた人たちが抜けちゃったんだよねー。だから、タケシさんが入ってくれれば嬉しいんだけどー」

「うっ……!」

 ルリイの言葉を聞いた瞬間、俺は心の中で身悶える。

(なんてことだ……!)

 この誘いは非常に魅力的だ。
 現状、『三日月の舞』は美少女の魔法使い3人組のパーティとなっている。
 勝ち気な火魔法使いエレナ。
 ゆるふわな小悪魔系の雷魔法使いルリイ。
 オレっ娘の土魔法使いテナ。

 以前は前衛の男性もいたが、あれは臨時メンバーだったと言う。
 そこに入れ替わるようにして、俺が入る。
 男1人に、美少女3人。
 どう考えても素晴らしい組み合わせだ。
 しかし、俺は即答できない。

「あー……。えっと……」

「ん? どしたの、タケシさん? ダメなのー?」

「いえ、そういうわけではなくて……。実はですね……」

「ちょっと待ちなさい!!」

 俺が答えようとしたとき、エレナが割って入ってきた。
 そのまま、俺を睨みつける。

「さっきから黙って聞いていれば、調子に乗って……。ふざけないでくれるかしら!?」

「えっ!?」

 まさに一触即発の雰囲気だった。
 こんな展開になると思っていなかった俺は、慌てる。

「エレナちゃん、落ち着いてー。タケシさんが入ってくれたら、きっと楽しいと思うよー? ちょっとエッチな人だから、心配なのは分かるけどー」

「べ、別に私はこんなゴミカス、男として見ていないわ! ただ純粋に、パーティメンバーとして力不足じゃないかと心配しているだけよ!!」

 エレナから俺の低評価っぷりがとどまるところを知らない。
 ……というわけでもなかったりする。
 これでも、忠義度は微妙に上昇傾向にある。
 おそらく、ツンデレのツン部分が異様に大きいだけだ。
 そう思いたい。

「えー? でも、前に組んでいた人たちもDランクだったけどー」

「昔は昔、今は今よ! 私たち『三日月の舞』は、そろそろBランクパーティの認可を受けたいと思っているのは知っているでしょう? 次に組むなら、私たちと同じCランクの冒険者がいいに決まっているわ! 最低でも、C寄りのDランクね!!」

 Bランク冒険者は、国家規模で見ても貴重なエース級の戦力となる。
 俺のように爵位や領地まで得られるのは出来すぎとしても、富や名声を十分に得ている者が多い。
 Cランク冒険者は一段劣るが、国家規模で見た場合に計算できる一戦力にはなる。
 また、各地の街単位ではエース級の戦力として重用される。

 ならば、Dランク冒険者はどうか?
 Dランク冒険者でも、十分に稼いで妻子を養っている者は多い。
 だが、その名が街や国を越えて広く知れ渡ることはない。
 それほど強い人がいれば、Cランクに昇格するしな。
 Bランクを目指すエレナが、Dランクのタケシを拒否するのは当然の判断だ。

「そうかなー? タケシさんは良い人だよー?」

「それはルリイの個人的な意見であって、客観的に見ればダメに決まってるじゃない! この男は変態なのよ!?」

 ルリイとエレナの意見が交錯する。
 まぁ、俺にはヤマト連邦への潜入作戦が控えているので、いずれにせよ彼女たちのパーティに加入することはあり得ないのだが……。
 悪評を広められたりするのもマズイ。
 少しだけ物申しておこう。

「エレナさん。その変態というのは止めてください」

「ふんっ! 事実じゃない!!」

「それを言うなら、エレナさんもでしょう? 俺の体臭を嗅ぎながら、あんなに興奮していたじゃないですか」

「ちっ、違うわ!! あれはその……! あんたが無理やり押し付けてきたから……!!」

 エレナが顔を真っ赤にして叫ぶ。
 普段は勝ち気な美少女が恥ずかしがる姿は、なかなかに可愛いものだ。
 思わずニヤけてしまう。

「何笑ってるのよ!?」

「いや、なんでもありません……。ところで、そろそろテナさんのところに行きませんか?」

「……ふんっ! 言われなくたって行くわ!!」

 こうして、俺たちは宿屋の中に入り、彼女たちが借りている部屋に向かうのだった。

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