【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1020話 サーニャからの看病

「あの、さっちゃんさん」

「なんですかにゃ? あ、ご飯ならもうすぐできるのですにゃ。少しだけ待ってほしいのですにゃ」

 俺とサーニャちゃんは、まるで新婚夫婦のような会話をする。
 ――が、もちろん結婚したわけではない。

「いや、ご飯じゃなくてですね……。ここまでグルグル巻きにする必要がありましたかね?」

 俺は自分の身体を見下ろしながら、疑問を口にする。
 現在、なぜか包帯でグルグル巻きにされていた。

「はいですにゃ。念のためですにゃ」

「念のため?」

「にゃぁは、本当にお客様に感謝していますにゃ。こんなボロボロの状態で、命を助けてくれたんですにゃ。いくら感謝してもし足りないぐらいですにゃ」

「まぁ、確かに……」

「なので、変に動いて悪化しないように、こうしてしっかりと固定しているのですにゃ」

 サーニャちゃんが力説する。
 ケガが悪化しないように、包帯でグルグル巻きにして固定する。
 一応、理屈としては正しい。

「なるほど。そういうことでしたか」

「はいですにゃ」

「ちなみに、これっていつまで巻いておけばいいんでしょう?」

「完治するまで、ずっとお願いしますにゃ」

「えっ? ず、ずっと?」

「はいですにゃ。お客様は怪我人なのですから、しっかり治してほしいのですにゃ。あ、もちろん、ダダダ団が来たらお客様を第一優先にして逃がすので安心してくださいにゃ。にゃぁの命にかけても、お客様の安全は保障しますにゃ」

「えっと……」

 少しばかり困ったぞ。
 ずっと『猫のゆりかご亭』のスイートルームでくつろぐ――。
 労働嫌いの俺としては、願ったり叶ったりの状況である。
 しかし、今はネルエラ陛下からの『ヤマト連邦への潜入指令』が最優先事項だ。
 いつまでもここにいるわけにはいかない。

 それに、他にもマズイ事情がある。
 こちらは、今すぐにでもどうにかしないとヤバいものだ。

「どうしましたかにゃ? まさか、どこか痛むとか?」

「いえ、大丈夫ですよ」

 俺は平常心でそう答える。
 平常心だ。
 クールになれ。
 心を無にすれば、この程度の試練は越えられる。

「「…………」」

 モニカとニムも見ているんだぞ。
 彼女たちの前で、下手なことをするわけにはいかない。

「熱ですかにゃ? 外傷が原因で発熱しているのかもしれませんにゃ」

「いや、だから、全然問題ないんですよ」

「一応、体温を測りましょうか。失礼いたしますにゃ」

「ちょっ!?」

 サーニャちゃんのおデコが、俺のおデコにコツンと当たる。
 ――ドクンッ!
 俺の心音が一気に跳ね上がった。

「うーん……。特に熱い感じはないのですにゃ。むしろ、ひんやりしていて気持ちいいですにゃ」

「そ、それは良かったです……。あの、そろそろ……」

 早く離れてくれないとマズイ。
 13歳ぐらいの少女――。
 普通の人にとっては、やや低めの年齢であり恋愛や性の対象にはならないだろう。

 だが、俺の場合は違う。
 俺は低めも高めも、巨乳も貧乳も、何でもかんでも大好きなのだ。
 しかも彼女は猫獣人であり、可愛らしい猫耳が付いている。
 さらに、彼女はなかなかの美少女だ。
 まだ若いのに、諸事情により宿屋を一人で切り盛りしているという健気な一面もある。
 そんな彼女に密着されて、ドキドキしないはずがない。

「にゃにゃっ? おかしいですにゃ、お客様の顔が赤くなっていますにゃ?」

「そ、それは……」

「これは大変ですにゃ! もう一度測りますにゃ!!」

「いやいや、これ以上は……。あっ……」

 俺の制止の言葉も聞かず、サーニャちゃんが再びおデコとおデコを接触させる。
 彼女の可愛らしいお顔が、目の前に迫ってくる。
 どことなくいい匂いもする。
 その瞬間、俺は理性の限界を迎えた。

「あ、ああああぁっ!! もうダメですっ!!!!」

「にゃっ!?」

 突然の大声に驚いたのか、サーニャちゃんがビクッと震えた。
 だが、そんなことは関係ない。

「おおおぉっ! もうどうにでもなれ! 俺は人間を捨てるぞー!!」

 俺はそう叫ぶ。
 その勢いのまま、俺をグルグル巻きにしている包帯を引きちぎろうとするが――

「はい、そこまでー」

「落ち着いてください。兄さん」

 モニカとニムによって、再びベッドの上に押し戻される。

「離せーっ! 2人は、そこで指をくわえて見ていろーっ!」

「はいはい。大人しくしなさい」

「大人しくしてないと、去勢しますよ?」

「うっ!?」

 二人の冷たい視線を浴びて、俺の動きが止まる。
 だ、ダメだ……。
 これは本気で怒り気味のやつだ……。

「……はい。すみませんでした」

 俺がシュンとして謝ると、2人はため息をついたのだった。

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