【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1012話 サーニャとスイートルームにて

「ふぅ……。やはりここは良い部屋ですね……」

 俺はベッドの上で呟いた。
 サーニャちゃんに案内された先は、またもやスイートルームだった。
 昨晩、モニカやニムと共に泊まった部屋である。

「お客様、お茶ですにゃ!」

「あ、ありがとうございます」

 サーニャちゃんが笑顔でティーカップを差し出す。
 俺はお礼を言いつつそれを受け取った。
 ちなみに、俺の傷に対する手当ては既に終わっている。
 内出血や擦り傷ばかりなので、元よりさほど重症ではない。

 先ほどのチンピラ戦が終わってから、既に数時間が経過している。
 もう少し時間を置けば、治療魔法で治してしまっても違和感を持たれる可能性は低いだろう。

「お客様は『猫のゆりかご亭』の、そしてにゃぁ自身の恩人ですにゃ! お世話は任せてくださいですにゃ!!」

「ははは……。よろしくお願いします」

 俺は苦笑しながら返事をする。
 地元マフィアである『ダダダ団』に果敢に立ち向かった事実により、彼女はずいぶんと俺に好意的になっているようだ。
 加護(小)の付与までは、あと一歩といったところか。
 ヤマト連邦の潜入が容易になったりするメリットはないのだが、ここまで来たら加護の付与を狙ってみてもいいかもしれない。

「それにしても、サーニャちゃんは凄いですね。この宿を一人で切り盛りしているのですか?」

 俺はてっきり、親の仕事を手伝っているとか、他所から働きにきているだけの従業員だと思っていた。
 しかし、先ほどの話を聞く限り、彼女は『猫のゆりかご亭』に関する権利を持っているようだった。
 そこをダダダ団に目を付けられたので、良くも悪くも……といった感じだが。

「はいですにゃ。パパとママは、1年ちょっと前に遠くへ旅立ってしまいましたにゃ……。だから、にゃぁがこの宿屋を守らないといけないんですにゃ!」

「えっ!? そ、そうなんですね……。それは大変でしょう」

 サーニャちゃんの言葉に、思わず驚きの声を上げてしまう俺。
 遠くに旅立った……。
 遠回しに表現しているが、要するに亡くなってしまったということだろう。
 まだ13歳ぐらいのサーニャちゃんにとって、非常に厳しい現状だ。

 ……まさか、比喩でも何でもなくて、単純に旅行しているだけっていうわけではないよな?
 少し気になったが、そこまで突っ込んで聞くのは憚られた。
 どちらにせよ、今の彼女が一人で『猫のゆりかご亭』を切り盛りしているのは事実だし。

「いえ、大変でもやりがいがありますにゃ! 部屋を掃除したり、料理を作ったり……。毎日が忙しく過ぎていきますにゃ!」

「なるほど……」

 俺は納得する。
 確かに、サーニャちゃんはいつも元気いっぱいで、生き生きとしている。
 俺が彼女の立場なら、もっと暗い気持ちになってしまうかもしれない。
 だが、サーニャちゃんはそんな素振りを一切見せていない。

「しかし、そんな忙しくもやりがいがある日々は、ダダダ団によって奪われてしまった……。そういうことですか?」

「はいですにゃ……。お客様のおっしゃる通りですにゃ……。お金が足りなくて、つい借りてしまったのですにゃぁ……」

 サーニャちゃんが悲しげに顔を伏せる。
 彼女は頑張って働いているし、お客もそれなりに入っている。
 だが、それだけで運営が絶対に成功するわけではない。
 価格とサービスの質のバランスを整えたり、宣伝をしたり、新たな人手を雇って教育したり……。
 そういった努力が必要になってくる。

 もちろん、サーニャちゃんはサーニャちゃんなりのやり方で、いろいろと工夫をしているのだろう。
 それでも、どうしても上手くいかないことだってあるはずだ。
 実際、彼女が先ほど挙げた仕事内容は『掃除や料理』だった。
 一従業員としてはそれで十分だろう。
 ただし、宿屋の運営者として見ると、まだまだ改善の余地はあるように思う。

(まぁ、俺がどうこう言えるような問題じゃないけどな……。そもそも、俺も経営学とか何も知らないし……。経営コンサルタントのような真似はできないだろう……)

 経営者は様々な悩みを抱えている。
 その解決方法を他人に教えてもらうのは難しい。
 結局は自分で考えて、試行錯誤していくしかないのだ。
 ハイブリッジ男爵領で行っている各種の開発は、俺が冒険者として稼いできた豊富な資金源に物を言わせているだけだし……。

「そうですか……。やはり、世の中はままならないものですね……。幸い、俺は少しばかりのお金を持っています。もし良ければ、何か困ったことがあったら相談してください」

 せめてもの援助として、俺は彼女にそう申し出たのだった。




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