【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1009話 三位一体
エレナとダダダ団の戦いが始まろうとしている。
彼女と俺がのんきな会話をしている間に、彼らは態勢を立て直してしまっていたのだ。
「へへっ! 覚悟しな、嬢ちゃん!!」
「魔法使いだか何だか知らねぇが、近接戦闘はできまい!」
「油断したのが命取りだぜ!!」
チンピラたちがエレナに襲いかかる。
1対1における総合的な戦闘能力としては、Cランク冒険者であるエレナに分があるだろう。
だが、それは特段の条件がない場合だ。
1対1であっても、近接戦闘に限定すればエレナの方が不利である。
さらに言えば、今は1対10ぐらいの状況だ。
数の差を覆すことは難しい。
(これは……マズイんじゃないか?)
俺は焦り始める。
チンピラたちは全員、武器を構えている。
そして、エレナは丸腰だ。
杖はあるものの、近接戦闘には使えない。
魔法使いが丸腰で戦うなど、自殺行為に等しい。
勝機があるとすれば、先制で高威力の範囲攻撃を放つことだろう。
しかしそれも、俺との雑談で一度キャンセルされてしまっている。
今の状況から、再び発動するには少々時間が足りない。
「エレナ! 逃げるんだ!!」
俺は思わず叫んでしまう。
「……」
「エレナ?」
しかし、エレナは俺の言葉を無視して杖をかざす。
「――起動せよ。万物を破壊する魔導の杖よ――」
「へへっ! させると思うのか?」
「魔法使いは、詠唱が終わる前に潰すのが定石ぃ!!」
「オラァ!! 死ねぇ!!」
エレナに向かって、チンピラたちが殺到する。
言わんこっちゃない。
これでは、いくらCランク冒険者の彼女といっても厳しい。
……ん?
「ぎゃあああぁっ!!」
「ぐわぁっ!!」
チンピラたちの悲鳴が上がる。
エレナに向かっていたはずの男たちが、逆に吹き飛ばされたのだ。
「ふふふー。エレナちゃんには困ったものだよー。わたしたちを置いていくなんてさー」
「でも、ある意味では成功っす! こうして不意打ちが成功したっすからね!!」
いつの間にか、エレナの近くに2人の少女が立っていた。
彼女たちは、エレナのパーティメンバーだな。
「おお……。いいところに来てくれたな。ルリイとテナだったか」
「ふふふー。また会ったねー。タケシさん」
「お久しぶりっす! タケシっちさん!」
俺たちは挨拶を交わす。
エレナと同様、彼女たちも俺の名前を間違えて覚えているようだ。
まぁ、今に限って言えば都合が良いのだが……。
イマイチ釈然としない。
「ちょっと! タケシ!!」
「なんだよ? エレナ」
「私の名前は間違えて覚えていたくせに……! ルリイとテナの名前を覚えているのはどういうことなの!?」
「それはお互い様――」
俺はついうっかり、反論をしそうになる。
彼女も俺の名前を『タケシ』と間違えているので、お互い様だと。
しかし、その反論はマズイことに気付いた。
タケシじゃないのなら、本当の名前は何かという話になるからだ。
「お互い様……ですって? どういうことよ?」
「――と、とにかく! 今はそれどころじゃないだろう!?」
俺は強引に話題を変える。
エレナが少しだけ不満そうな顔をしたが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
ダダダ団は、数人を除いてまだまだ健在なのだ。
「ふん……! 私たち『三日月の舞』にかかれば、こんな奴ら一網打尽よ! ルリイ、テナ! いつも通りの『三位一体』、いくわよ!!」
「りょうかいー」
「オッケーっす!」
3人が魔力を高め、詠唱を始める。
そしてほどなくして、彼女たちが魔法を放った。
「我が敵を滅せよ! ファイアトルネード!」
「我が敵を撃て! ライトニングブラスト!」
「我が敵を砕け! ストーンレイン!」
エレナが炎の渦を放ち、ルリイが雷の嵐を巻き起こし、テナが石礫を降らせる。
「うぉぉ!?」
「ぎゃああっ!!」
「ひぃぃ!!」
ダダダ団の面々が次々と倒れていく。
その様子はまるで、3色の竜巻が荒れ狂っているかのようだ。
「すげぇ……」
俺は感嘆の声を上げる。
3年ほど前にも、同じ魔法を見たことがあったな。
当時はリトルベアに対して放っていた。
その時よりも威力自体は控えめになっているが、これは敢えてだろう。
チンピラに対して高威力の魔法をぶっ放せば、問答無用で殺してしまうからな。
別にマフィアなんか死んでもいいと考える者も多いと思うが、形式上は罪名が確定していない。
Cランク冒険者とはいっても特権階級ではないし、下手に殺してしまうと後処理が面倒になる。
そうした理由から低めの威力となっているようだが、練度は上がっているように感じられた。
(魔力の流れにムダがないな……。上手く噛み合っている)
火魔法、雷魔法、土魔法。
それぞれの単独魔法としてなら、俺の方が高威力の魔法を放つことができるだろう。
しかし、3つの属性を組み合わせた魔法の完成度においては、俺より上のように感じられた。
「く、くそーっ! 俺たちダダダ団がやられるとは!!」
「覚えてやがれ! 絶対に許さねぇからな!!」
チンピラたちがそう言って退散していく。
俺やエレナたちは、深追いせずにそれを見送る。
こうして、サーニャちゃんの『猫のゆりかご亭』前におけるイザコザはとりあえず解決したのだった。
彼女と俺がのんきな会話をしている間に、彼らは態勢を立て直してしまっていたのだ。
「へへっ! 覚悟しな、嬢ちゃん!!」
「魔法使いだか何だか知らねぇが、近接戦闘はできまい!」
「油断したのが命取りだぜ!!」
チンピラたちがエレナに襲いかかる。
1対1における総合的な戦闘能力としては、Cランク冒険者であるエレナに分があるだろう。
だが、それは特段の条件がない場合だ。
1対1であっても、近接戦闘に限定すればエレナの方が不利である。
さらに言えば、今は1対10ぐらいの状況だ。
数の差を覆すことは難しい。
(これは……マズイんじゃないか?)
俺は焦り始める。
チンピラたちは全員、武器を構えている。
そして、エレナは丸腰だ。
杖はあるものの、近接戦闘には使えない。
魔法使いが丸腰で戦うなど、自殺行為に等しい。
勝機があるとすれば、先制で高威力の範囲攻撃を放つことだろう。
しかしそれも、俺との雑談で一度キャンセルされてしまっている。
今の状況から、再び発動するには少々時間が足りない。
「エレナ! 逃げるんだ!!」
俺は思わず叫んでしまう。
「……」
「エレナ?」
しかし、エレナは俺の言葉を無視して杖をかざす。
「――起動せよ。万物を破壊する魔導の杖よ――」
「へへっ! させると思うのか?」
「魔法使いは、詠唱が終わる前に潰すのが定石ぃ!!」
「オラァ!! 死ねぇ!!」
エレナに向かって、チンピラたちが殺到する。
言わんこっちゃない。
これでは、いくらCランク冒険者の彼女といっても厳しい。
……ん?
「ぎゃあああぁっ!!」
「ぐわぁっ!!」
チンピラたちの悲鳴が上がる。
エレナに向かっていたはずの男たちが、逆に吹き飛ばされたのだ。
「ふふふー。エレナちゃんには困ったものだよー。わたしたちを置いていくなんてさー」
「でも、ある意味では成功っす! こうして不意打ちが成功したっすからね!!」
いつの間にか、エレナの近くに2人の少女が立っていた。
彼女たちは、エレナのパーティメンバーだな。
「おお……。いいところに来てくれたな。ルリイとテナだったか」
「ふふふー。また会ったねー。タケシさん」
「お久しぶりっす! タケシっちさん!」
俺たちは挨拶を交わす。
エレナと同様、彼女たちも俺の名前を間違えて覚えているようだ。
まぁ、今に限って言えば都合が良いのだが……。
イマイチ釈然としない。
「ちょっと! タケシ!!」
「なんだよ? エレナ」
「私の名前は間違えて覚えていたくせに……! ルリイとテナの名前を覚えているのはどういうことなの!?」
「それはお互い様――」
俺はついうっかり、反論をしそうになる。
彼女も俺の名前を『タケシ』と間違えているので、お互い様だと。
しかし、その反論はマズイことに気付いた。
タケシじゃないのなら、本当の名前は何かという話になるからだ。
「お互い様……ですって? どういうことよ?」
「――と、とにかく! 今はそれどころじゃないだろう!?」
俺は強引に話題を変える。
エレナが少しだけ不満そうな顔をしたが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
ダダダ団は、数人を除いてまだまだ健在なのだ。
「ふん……! 私たち『三日月の舞』にかかれば、こんな奴ら一網打尽よ! ルリイ、テナ! いつも通りの『三位一体』、いくわよ!!」
「りょうかいー」
「オッケーっす!」
3人が魔力を高め、詠唱を始める。
そしてほどなくして、彼女たちが魔法を放った。
「我が敵を滅せよ! ファイアトルネード!」
「我が敵を撃て! ライトニングブラスト!」
「我が敵を砕け! ストーンレイン!」
エレナが炎の渦を放ち、ルリイが雷の嵐を巻き起こし、テナが石礫を降らせる。
「うぉぉ!?」
「ぎゃああっ!!」
「ひぃぃ!!」
ダダダ団の面々が次々と倒れていく。
その様子はまるで、3色の竜巻が荒れ狂っているかのようだ。
「すげぇ……」
俺は感嘆の声を上げる。
3年ほど前にも、同じ魔法を見たことがあったな。
当時はリトルベアに対して放っていた。
その時よりも威力自体は控えめになっているが、これは敢えてだろう。
チンピラに対して高威力の魔法をぶっ放せば、問答無用で殺してしまうからな。
別にマフィアなんか死んでもいいと考える者も多いと思うが、形式上は罪名が確定していない。
Cランク冒険者とはいっても特権階級ではないし、下手に殺してしまうと後処理が面倒になる。
そうした理由から低めの威力となっているようだが、練度は上がっているように感じられた。
(魔力の流れにムダがないな……。上手く噛み合っている)
火魔法、雷魔法、土魔法。
それぞれの単独魔法としてなら、俺の方が高威力の魔法を放つことができるだろう。
しかし、3つの属性を組み合わせた魔法の完成度においては、俺より上のように感じられた。
「く、くそーっ! 俺たちダダダ団がやられるとは!!」
「覚えてやがれ! 絶対に許さねぇからな!!」
チンピラたちがそう言って退散していく。
俺やエレナたちは、深追いせずにそれを見送る。
こうして、サーニャちゃんの『猫のゆりかご亭』前におけるイザコザはとりあえず解決したのだった。
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