【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1004話 借金額

 俺はサーニャちゃんに愛の告白をした。
 それ自体はいいとしても、問題はチンピラたちだ。
 半ば無視される形で見せつけられたラブコメ的な展開が気に入らないらしく、彼らは今にも襲い掛からんばかりの形相をしている。

 さて、どうしたものか。
 俺はサーニャちゃんを守るべく立ち上がり、チンピラたちと向かい合う。

「さっきまでボロクソにやられてたくせによぉ……! 女に告白するなんて、生意気だぜ」

 チンピラのひとりがそう言った。
 確かにその通りだ。
 さっきまでは一方的にボコられていた。
 だが、今は違う。
 愛する女性のために立ち上がった勇者だ。

「安心してください、さっちゃんさん。俺が守ります」

「にゃにゃ……。そんにゃ、悪いですにゃ……。にゃぁとお客様は昨日会ったばかりですのに……」

「関係ありません。俺はあなたを愛しています。愛している人を守るのは当然のことですから」

「で、でも……。一緒にいた2人の女性は……」

 女性?
 あー、モニカとニムのことだな。
 今は諸用を済ませるため、別行動をしている。

「もちろん、彼女たちも俺が愛している人です」

「う、浮気ですにゃ?」

「いえ。彼女たちなら、さっちゃんさんのことも受け入れてくれるでしょう。心配無用です」

「にゃ、にゃんというハーレム……。さすがはお客様にゃ……」

 なぜか感心されてしまった。
 他に何人もの妻や愛人がいることは、とりあえず黙っておこう。
 不誠実?
 いや、だってここでそんな話をしたら、ややこしくなるし……。

「てめぇ……調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」

「どうしてお前みたいなザコがモテるんだ!!」

「何がハーレムだ! ふざけやがってよぉ!!」

 チンピラたちの怒りは頂点に達している。
 ――俺たちホモサピエンスの男女比は概ね半々だ。
 女性側に妊娠や出産という負担がある生物的な特性上、男性が女性に対して衣食住を提供し、金銭的にサポートをするというのはごく当然の社会構造と言える。
 特定の疫病や戦争などによる性別比の偏りがない限り、一夫一妻が基本だ。
 サザリアナ王国では一夫多妻や一妻多夫が禁じられているわけではないが、それでも基本は一夫一妻である。
 そんな事情もあって、俺の言動はチンピラたちを怒らせる結果となってしまったわけだ。

「おらぁ! くらばれや!!」

「ぷごっ!!」

 チンピラAの拳が俺の顔面に直撃した。
 そのまま地面に倒れ込む。
 反撃したら目立ってしまうし、仕方ない。

「へへっ! お前、あの嬢ちゃんの借金を肩代わりしてやるつもりなんだって?」

「え、ええ……。俺が代わりに払いますから、彼女に手を出さないでください」

 俺は地面に這いつくばったまま、そう言う。

「そりゃ無理な相談だな。なにせ、嬢ちゃんの借金額はかなりのものだからなぁ!」

 チンピラAがドヤ顔で言う。
 まぁ、それも想定内だ。
 サーニャちゃんは『猫のゆりかご亭』という宿屋を経営している。
 個人経営の宿屋や飲食店などは、繁盛すれば儲かる一方で、不振となった場合の損失も大きくなりがちだ。

「いくらなんですか?」

「ふん。聞くだけムダだと思うがな」

「教えてくださいよ。俺が全額払いますから」

「ああん? お前が払うったって、限度があるだろうが!」

「いえ、俺も男ですから。愛する女性のために、全てを投げ出す覚悟です」

 俺はきっぱりとそう宣言した。
 そして、サーニャちゃんに向けてキメ顔を作る。

「にゃにゃ……。にゃぁのために、そこまでしてくれるにゃんて……」

 サーニャちゃんは両手で顔を隠しながら、真っ赤になって震えている。
 効いてる効いてる……。
 彼女のハートをゲットできるまで、もう一歩かな。
 しかし、チンピラたちはそんな俺のセリフを聞いて青筋を立てていた。

「くそっ! なめやがって……!!」

「俺たちをダシにして女に近づこうって魂胆か!?」

「許せん……! 絶対、ぶち殺す!!」

 チンピラたちが何やらヒートアップしている。
 まぁ、確かにそう見えてしまっても仕方ないかもしれない。
 少し迂闊だったか……。
 サーニャちゃんへのアプローチは置いておいて、とりあえず借金返済の話を進めよう。

「それで、いったいいくらなのですか?」

「金貨100枚だ!!」

「なっ!? き、金貨100枚……ですか!?」

「そうだ! へへっ、お前みたいなザコには到底払えまい!!!」

 チンピラがドヤ顔で言ってくる。
 金貨100枚――。
 一般的に言って、それは間違いなく大金だ。
 そんな額の借金がサーニャちゃんにあると知って、俺は――

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