【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
997話 ナイトメア・ナイト
俺は秘密造船所の総責任者であるゴードンと話をしている。
隠密小型船の製造にあたり、小さな工房の少女に依頼をしていたそうだ。
そしてそれは、サーニャちゃんが働く『猫のゆりかご亭』の近くにあるらしい。
「ふむ? ……そんな工房が近くにあったかな?」
「それが、地元マフィアに目をつけられて潰されてしまったらしく……。現在は空き家となっております」
「穏やかな話じゃないな……。それに、隠密小型船の仕上げにも影響が出るんじゃないか? 早くなんとかしないと……」
「いえ、それが……」
「ん? 何か問題があるのか?」
「地元マフィアはそれなりに大きな組織です。敵対するとなると、相応の被害が出てしまいます」
「お前らなら大丈夫だろ? 10人で固まって動きつつ、冒険者の手も借りて、少しずつマフィアの構成員を撃破していけば……」
マフィアは厄介だ。
そこらのチンピラでもDランク下位ぐらいの実力はあり、一般人にとって十分な脅威である。
しかし同時に、ここにいる精鋭からすれば大したことのない相手であることも事実だ。
そもそも、確かな実力があれば国や領主、あるいは冒険者として稼げるわけだからな。
マフィアなんて不法集団に入る理由がないのだ。
「もちろん、我々の戦力や資金力をもってすれば、それほど難しい話ではございません。王都の仲間を呼び寄せてもいいですし、金で冒険者を片っ端から雇って戦力を整えるのもいいでしょう。地方領主の私兵を借りるという選択肢もあります」
「そうだろ? なぜそうしない?」
「そうすると目立ってしまいますからな。潜入作戦に万全を期するためには、なるべく秘密裏に事を済ませたかったのです」
「あぁ……。そういうことか」
俺は納得した。
ミリオンズがヤマト連邦に潜入していくにあたり、何らかの情報が漏れることは極力避けたいのだ。
どこからどこへ情報が伝わっていくか、読みきれないからな。
「秘密裏に処理する手法は限られています。現在、あの工房関連に絞って解決の糸口を探っています。ちょうど、少し前に来たCランクパーティがいましてね。正義感が強く、口も固そうなので手伝ってもらっています」
「ふむ? Cランクパーティか。それは心強いな」
「まぁ、メインはあくまでも我々ですがね。こちらの立場を明かせないので、どうしても調査や交渉に時間を要してしまうのですよ」
「そりゃそうか……。仕方ないな」
俺が納得して首肯すると、ゴードンは少し表情を曇らせる。
「しかし……困りました。ネルエラ陛下に報告していた完成期日までは後少ししかありません。それに合わせてハイブリッジ卿も来てくださったのに、待たせてしまうことになりそうです。隊長として不甲斐な――」
「よし! 俺に任せておけ!!」
「……はい?」
俺はゴードンの言葉を遮り、勢いよく立ち上がる。
そして、アイテムルームにしまっていた黒系の装束を取り出した。
「くくっ……。我らは『ダークガーデン』。闇に潜み――闇を狩る者」
「は、はい?」
「我らの戦力をもってすれば、矮小なる者どもを人知れず潰すことなど容易い……」
「は、はぁ……。――いや、なるほど? 確かに、ハイブリッジ卿ほどの強さがあれば、奴らを秘密裏に処理することも可能ですか……! その闇のような装束は、潜入作戦にもってこいですし……」
ゴードンが頷く。
まさにその通りだ。
マフィアは、冒険者ランクで言えばDランク相当だろう。
Cランク相当であるゴードンたち精鋭ならば安定して倒せるのだが、さすがに瞬殺はできない。
もたもたしている間に援軍を呼ばれて数で押されたりしたら分が悪くなるし、何よりも目立ってしまう。
ならば、俺のような遥か格上の出番である。
俺クラスであれば、援軍を呼ばれる前に瞬殺できるはずだ。
「とはいえ、さすがに今すぐ動くわけにはいきません。まずは証拠固めや根回しが必要ですからね。ハイブリッジ卿には、もう少しだけ待ってもらわないと――」
「不要だ。我らは我らで動く。『ダークガーデン』は誰にも知られずに仕事を完遂する」
「えっ!? ちょ、ちょっと、ハイブリッジ卿……?」
「お前たちは普段通りに過ごせばいい。なに、要はマフィア連中を根絶やしにできればいいのだろう?」
俺はそう言いながら、手際良く装備を整えていく。
そして――
「ふふふ……! 『ダークガーデン』の頭領……『ナイトメア・ナイト』の力をとくと味あわせてやろう……!」
俺は高らかにそう宣言する。
そうと決まれば、仲間にも知らせておかないとな。
(モニカとニム――いや、ここは闇の組織らしく暗号名を決めておくか……)
何がいいだろう?
アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ……。
アレフ、ベット、ギメル、ダレット……。
プリーモ、セコンド、テルツォ、クワルト……。
壱、弐、参、肆……。
いや、ここは――
(ふふふ……。『テルティウム』と『クァルトゥス』にするか……。センス抜群のイカした名前だぜ……!!)
俺は内心でニヤつく。
そして――
「待っていろ、矮小なる悪党どもよ……。我らの『悪』を見せてやろう……!」
こうして、俺の新たな戦いが始まろうとしていたのだった――。
隠密小型船の製造にあたり、小さな工房の少女に依頼をしていたそうだ。
そしてそれは、サーニャちゃんが働く『猫のゆりかご亭』の近くにあるらしい。
「ふむ? ……そんな工房が近くにあったかな?」
「それが、地元マフィアに目をつけられて潰されてしまったらしく……。現在は空き家となっております」
「穏やかな話じゃないな……。それに、隠密小型船の仕上げにも影響が出るんじゃないか? 早くなんとかしないと……」
「いえ、それが……」
「ん? 何か問題があるのか?」
「地元マフィアはそれなりに大きな組織です。敵対するとなると、相応の被害が出てしまいます」
「お前らなら大丈夫だろ? 10人で固まって動きつつ、冒険者の手も借りて、少しずつマフィアの構成員を撃破していけば……」
マフィアは厄介だ。
そこらのチンピラでもDランク下位ぐらいの実力はあり、一般人にとって十分な脅威である。
しかし同時に、ここにいる精鋭からすれば大したことのない相手であることも事実だ。
そもそも、確かな実力があれば国や領主、あるいは冒険者として稼げるわけだからな。
マフィアなんて不法集団に入る理由がないのだ。
「もちろん、我々の戦力や資金力をもってすれば、それほど難しい話ではございません。王都の仲間を呼び寄せてもいいですし、金で冒険者を片っ端から雇って戦力を整えるのもいいでしょう。地方領主の私兵を借りるという選択肢もあります」
「そうだろ? なぜそうしない?」
「そうすると目立ってしまいますからな。潜入作戦に万全を期するためには、なるべく秘密裏に事を済ませたかったのです」
「あぁ……。そういうことか」
俺は納得した。
ミリオンズがヤマト連邦に潜入していくにあたり、何らかの情報が漏れることは極力避けたいのだ。
どこからどこへ情報が伝わっていくか、読みきれないからな。
「秘密裏に処理する手法は限られています。現在、あの工房関連に絞って解決の糸口を探っています。ちょうど、少し前に来たCランクパーティがいましてね。正義感が強く、口も固そうなので手伝ってもらっています」
「ふむ? Cランクパーティか。それは心強いな」
「まぁ、メインはあくまでも我々ですがね。こちらの立場を明かせないので、どうしても調査や交渉に時間を要してしまうのですよ」
「そりゃそうか……。仕方ないな」
俺が納得して首肯すると、ゴードンは少し表情を曇らせる。
「しかし……困りました。ネルエラ陛下に報告していた完成期日までは後少ししかありません。それに合わせてハイブリッジ卿も来てくださったのに、待たせてしまうことになりそうです。隊長として不甲斐な――」
「よし! 俺に任せておけ!!」
「……はい?」
俺はゴードンの言葉を遮り、勢いよく立ち上がる。
そして、アイテムルームにしまっていた黒系の装束を取り出した。
「くくっ……。我らは『ダークガーデン』。闇に潜み――闇を狩る者」
「は、はい?」
「我らの戦力をもってすれば、矮小なる者どもを人知れず潰すことなど容易い……」
「は、はぁ……。――いや、なるほど? 確かに、ハイブリッジ卿ほどの強さがあれば、奴らを秘密裏に処理することも可能ですか……! その闇のような装束は、潜入作戦にもってこいですし……」
ゴードンが頷く。
まさにその通りだ。
マフィアは、冒険者ランクで言えばDランク相当だろう。
Cランク相当であるゴードンたち精鋭ならば安定して倒せるのだが、さすがに瞬殺はできない。
もたもたしている間に援軍を呼ばれて数で押されたりしたら分が悪くなるし、何よりも目立ってしまう。
ならば、俺のような遥か格上の出番である。
俺クラスであれば、援軍を呼ばれる前に瞬殺できるはずだ。
「とはいえ、さすがに今すぐ動くわけにはいきません。まずは証拠固めや根回しが必要ですからね。ハイブリッジ卿には、もう少しだけ待ってもらわないと――」
「不要だ。我らは我らで動く。『ダークガーデン』は誰にも知られずに仕事を完遂する」
「えっ!? ちょ、ちょっと、ハイブリッジ卿……?」
「お前たちは普段通りに過ごせばいい。なに、要はマフィア連中を根絶やしにできればいいのだろう?」
俺はそう言いながら、手際良く装備を整えていく。
そして――
「ふふふ……! 『ダークガーデン』の頭領……『ナイトメア・ナイト』の力をとくと味あわせてやろう……!」
俺は高らかにそう宣言する。
そうと決まれば、仲間にも知らせておかないとな。
(モニカとニム――いや、ここは闇の組織らしく暗号名を決めておくか……)
何がいいだろう?
アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ……。
アレフ、ベット、ギメル、ダレット……。
プリーモ、セコンド、テルツォ、クワルト……。
壱、弐、参、肆……。
いや、ここは――
(ふふふ……。『テルティウム』と『クァルトゥス』にするか……。センス抜群のイカした名前だぜ……!!)
俺は内心でニヤつく。
そして――
「待っていろ、矮小なる悪党どもよ……。我らの『悪』を見せてやろう……!」
こうして、俺の新たな戦いが始まろうとしていたのだった――。
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