【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

994話 タカシvs警備兵

 俺は造船所に潜入した。
 しかし、警備兵10人に囲まれてしまった。
 ここで俺の正体を明かしてもいいのだが、せっかくなので彼らの実力を見ておこう。
 ネルエラ陛下の命を受けた秘密造船所を警備する兵士たちがどの程度強いのかを知っておいて損はない。
 いざという時、彼らを頼ることもあるだろう。
 そんなことを考えているうちに、相手の攻撃が迫ってきた。

「おらぁッ!!」

 まずは一人の兵士が警棒で殴りかかってくる。
 その動きはなかなか速いが、対処できないほどではないな。

「甘いな」

 俺は最小限の動きで躱しつつ、カウンターで掌底を放つ。

「ぐはっ!」

 その一撃で、男はあっさり倒れてしまう。
 これで一人目。

 続いて二人目の兵士がやってくる。
 今度は突き技のようだ。
 なかなか素早い動きだが、俺には通用しない。
 俺は身体を反らしながらそれを避けつつ、足払いをかける。

「うおっ!?」

 バランスを崩す兵士。
 俺はそのまま接近し、首筋に手刀を落とした。
 これで二人目脱落。
 残る八人のうち四人は連携して同時に攻撃を仕掛けてくる。

「どうだ! これは避けられまい!?」

「それはどうかな?」

 前後左右からの攻撃に対して、俺は跳躍することで回避した。
 そして空中で一回転し、そのまま落下する勢いを利用して踵落としを放った。

「ぎゃんっ!」

 脳天に直撃を受け、三人目が倒れる。
 さらに――

「【砲撃連拳】!」

「「「ぐああぁぁぁっっ!!!」」

 これで合計六人を倒したことになる。
 一応言っておくが、もちろん命に支障はない。
 残りは四人だ。
 リーダー格が一人と、他三人である。

「な、なんだこいつ……! 強すぎるぞ……!」

「まさか……こいつが例の『謎の男』なのか……?」

「そんなバカな!? だってあいつは王都を拠点にしているんだろ……!?」

 リーダー格以外の三人が動揺している。
 だが、リーダー格だけは違った。

「狼狽えるな! 確かにこいつは強ぇが、所詮は肉弾戦だけだ! 王都で指名手配されていた『オパンツ戦隊・レッド仮面』よりは弱いはずだぜ!」

 なんか聞き覚えのある変な名前が出てきたんだが……?
 俺は王都で、暴漢に襲われている女性を助けたことがある。
 そのときに名乗ったのが『オパンツ戦隊・レッド仮面』だ。
 やっていることは正義の味方のはずだったのだが、パンツ一丁で暴れ回る変態集団として指名手配されてしまった経験がある。

 その後は『誓約の五騎士』のイリーナに相談して、手配を取り下げてもらったのだが……。
 まさか、遠く離れたオルフェスにまでその名が轟いているとはな。
 いや、彼らはネルエラ陛下の命を受けて秘密造船所を護衛している兵士なので、そういった情報にも詳しくて当然なのかもしれないが。

「おい、お前! 覚悟しろ! 今からお前を捕縛してやるからな!」

 リーダー格の男がそう言うと、他の三人が身構える。
 もう油断はしないということだろうか?

「いくぞ! これが俺たちの必殺――」

「【ライト】!」

「――ぎゃあああっ!? 目が、見えないっ!?」

 何かしようとしていたようだが、先にこちらから仕掛けさせてもらった。
 光魔法で目眩ましをしたのだ。
 こうすれば彼らも迂闊には動けないだろうと思ったのだが――

「こ、この程度で動けないとでも思ったか! 総員、突撃ぃぃぃっっ!!」

 ――そうでもなかったらしい。
 全員が目を瞑りながら俺に向かってくるではないか。
 しかも、かなり無茶苦茶な動きで突っ込んでくるため、非常に読みづらい。

(ふむ……)

 どうやら彼らは俺の想像以上に練度の高いプロフェッショナルだったようだ。
 普通、視覚を奪われると人は動けなくなるものだが、彼らは違う。
 多少の恐怖は感じつつも、俺という不審な侵入者を無力化するべく立ち向かってくる。
 まぁ、だからといって負けるわけにはいかないが。

「ふんっ!」

 俺は正面から来た男の攻撃をひらりと避ける。
 そして、背後から迫っていた男の腕を掴み、背負い投げの要領で放り投げた。
 さらに前方から迫る男に対しては、ローキックを放って体勢を崩してから鳩尾に一発入れてやる。
 あっという間に二人が戦闘不能になった。
 残る二人は動揺しつつも、何とか冷静さを保っているようだ。

「くっ……こいつ、めちゃくちゃ強ぇじゃねぇか……!」

「だが、諦めるわけにはいかねぇ……!」

 二人とも果敢に攻めてくるが、動きが単調すぎて隙だらけだ。
 視覚を奪われながらも向かってくるその度胸は素晴らしいが、戦闘能力の低下は否めない。

「もう十分だ。お前らの有能さはよく分かった。戦いをやめようではないか」

 これ以上やると、今後のコミュニケーションに支障をきたすかもしれない。
 俺は彼らに降伏を促すことにした。
 だが、リーダー格の男はそれを拒絶する。

「うるせぇ! 誰が降参するかよっ!! 俺たちは命に代えてもここを守るんだぁっ!!」

 彼はそう雄叫びを上げたのだった。

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