【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

989話 それをしまってほしいですにゃ!

 あさイチで濡れタオルを持ってきてくれたサーニャちゃん。
 俺はうっかり、全裸のまま彼女と応対してしまった。
 さらにはあろうことか、全裸のまま空中回転をしてポーズまで決めてしまった。

(ああもうっ!! 何やってんだよ俺!?)

 自分で自分の行動が理解できないぞ!
 何故あんなことをしてしまったんだ!?
 しかも、それを思いっきり見られてしまっていたわけで……。
 ああぁぁぁぁぁっ!!!
 誰か穴を掘ってくれぇぇぇ!!!

 ……なんて現実逃避していても仕方がないか。
 とりあえず今は状況の整理をしよう。
 まず、サーニャちゃんには俺の大事なところを見られてしまったわけだが……彼女は驚きのあまり固まってしまっていた。

(無理もないか……)

 俺だって逆の立場だったら驚いていたと思うしな。
 しかし、いつまでも固まっているわけにはいかないだろう。
 ということで、俺から声を掛けた。

「さっちゃんさん、大丈夫ですか?」

「……ハッ!? お、おはようございますにゃ! 今日もいい天気ですにゃ!!」

 我に返った様子のサーニャちゃんだったが、やはり様子がおかしい。
 目は泳いでいるし、顔が真っ赤だし、何より言っている内容が変だった。

(そりゃこんな姿を見たら恥ずかしいよなぁ……)

 そんなことを思いつつ、とりあえず突っ込むことにする。
 ――念のため言っておくが、突っ込むといっても性的な意味ではないからな?

「さっちゃんさん、今日は曇りのようですよ。天気はあまり良くありません」

「はっ!? そ、そうでしたにゃ! 勘違いしていましたにゃ!」

 そう言って慌てて取り繕う彼女を見て、思わず苦笑してしまう俺。
 なんだか可愛らしく思えてしまうな。
 しかし、このままでは話が進まないので話を進めることにしよう。

「ところで、朝食の件なのですが……」

 俺はそう言って話題を変えることにした。
 このまま立ち話を続けていても時間の無駄だからな。
 それに、あまり大声で騒いでいると、他の人たちも起き出してくるかもしれない。
 それは避けたいところだ。
 何しろ俺たちは今、絶賛お取込み中なのだから……。

「そ、その前にひとついいですかにゃ!?」

 ところが、ここで思わぬところからストップがかかった。
 サーニャちゃんである。
 一体どうしたのだろうか?
 俺は首を傾げる。

「何でしょうか?」

 聞き返す俺に、彼女は真剣な眼差しを向けてくる。
 どうやら真面目な話があるようだ。
 俺は黙って続きを促すことにした。

「そ、それをしまってほしいですにゃ!」

「えっと、それってどれのことです?」

「だから、その……アレを……ですにゃ!」

 彼女は顔を赤らめながら言う。
 ……ふむ、この様子だと間違いないようだな。
 俺は彼女の言わんとしていることを理解した。

「ああ、なるほどそういうことでしたか! いや~すみませんね~」

 俺は机の上に出しっぱなしだったナイフを鞘に納めた。

「俺たち冒険者は刃物に慣れていますが、やはり普通の人にとっては恐ろしいものですよね! 配慮が足りませんでした!」

「……へっ?」

 間の抜けた声を出すサーニャちゃん。
 そんな彼女を置き去りにして、俺は続ける。

「安心してください! こうしてちゃんと収納しましたから!」

 そう言いながら、床に置いてあったカバンの中にナイフをしまう俺。
 普段はアイテムルームに入れているが、カモフラージュのためにカバンを出しておいて良かったぜ。

「……あっ! いや、そうじゃなくて……!」

 そこでサーニャちゃんから待ったがかかる。
 何か間違っていただろうか?

「そっちじゃなくて、下の方を収めてほしいんですにゃ!」

 ああ、そっちだったのか。
 話題そらしに必死で、大元の原因を忘れていたぜ。
 俺はまだ全裸のままだったか。

「失礼しました。では、パンツを穿いて――むっ!?」

 そこで俺は問題に気付いた。
 普段の俺は、水魔法で身をきれいにしている。
 しかし今日は、濡れタオルで体を拭こうと思っていた。
 濡れタオルをもらったのは、つい先ほど。
 つまり、俺の体はまだ少しばかり汚れている状態なのである。
 特に、昨晩に大活躍した部位がいろんな液体にまみれていて……。

「しまったな……。これでは穿けない……」

 これはマズイことになった。
 さすがにこれをそのままにしてパンツを穿けば、気持ち悪いことになりそうだ。
 かといって、全裸のままではサーニャちゃんに悪いし……。

(うーん、どうしたものか……)

 そんなことを考えていたとき、ふと閃いた!

「そうです! せっかくですし、さっちゃんさんがこれを拭いてくれませんか?」

 我ながらナイスアイデアだな!!
 そんな自画自賛する俺をよそに、サーニャちゃんは目を白黒させている。

「ええっ!? にゃぁがですかにゃ!? そんなことできませんにゃ!」

「いえいえ、遠慮なさらずに」

「いえいえいえ、そういうわけにはいきませんにゃ!」

 必死に固辞するサーニャちゃんだったが、俺としては引き下がるつもりはない。
 こうしている間にも時間は過ぎていくからな。

「お願いしますよ~! ほら、ここをその濡れタオルで拭いてください」

「わわっ!? ダメですにゃ! そんなに押し付けないでくださいにゃ~!」

 ――こうして、朝のドタバタ劇が進んでいく。
 何とかしてサーニャちゃんを言いくるめ(?)、俺は朝の身支度を整えた。
 そしてモニカやニムと共に朝食を食べ、オルフェスの街中へと繰り出したのだった。

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