【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

971話 次から次へと

 僕様ちゃんは、ミリオンズの下っ端と戦っているです。
 4番手以降なんてザコ同然だと思っていたですが、和服を着た剣士の動きはかなり速かったです。
 赤髪の女からも、なかなかの魔力を感じ取れます。

(こいつらが4番手と5番手で間違いない。そのはずです)

 この2人にさえ注意すれば、残りは6番手以降のザコ中のザコでしょう。
 落ち着いて対処すれば問題ありません。
 僕様ちゃんはそう思ったのですが――

 ビリッ!
 雷が迸るような音がしました。
 静電気?
 いえ、これは――

「よくもタカシをバカにしてくれたね?」

「なっ!? い、い、い、いつの間に!?」

 耳元から敵意むき出しの声を聞き取り、僕様ちゃんは慌てて振り向きます。
 8人の少女のうちの一人が僕の背後に回り込んでいました。
 そして、彼女の全身からは魔力が迸っています。

「くぅっ!」

 咄嗟に距離を取ろうとする僕様ちゃん。
 しかし、時すでに遅し。

「――【紫電】」

 バチィィィッッ!!
 凄まじい衝撃が全身を駆け巡りました。
 意識が飛びかけますが、なんとか持ち堪えます。

 どうやら、一瞬で感電させられたようです。
 あの速さに、この威力の雷撃……。
 彼女は纏装術を使いこなしているようです。

(まさか、6番手以下のザコが使えるとは……)

 いえ、この雷魔法使いこそが4番手?
 超速剣士は5番手?
 赤髪の女は6番手?
 訳が分からなくなってきました。

(くっ……。態勢を立て直さないと……)

 そう思って体に力を込めようとする僕様ちゃんですが――

「――【ロック・デ・ロック】!」

 今度はまた別の女性が魔法を発動します。
 僕様ちゃんの四肢に岩の塊が出現して動きを封じてきました。

(くっ! これもまた魔法……!?)

 次から次へと、こいつらはどうなっているです!
 これほどの魔法の使い手が4番手以降に甘んじているなんて、さすがに想定外です!
 その気になれば、自らがリーダーとなって別パーティを引っ張っていくことも可能なはずなのに……。
 それほどの魅力がタカシ=ハイブリッジにあるということですか!!

「ぐっ! は、離せです!!」

 とても重量感のある岩です。
 僕様ちゃんは必死にもがくものの、ビクともしません。
 全快ならどうにかできたかもしれないですが、先ほどの雷魔法による痺れがまだ残っていて力が入りません。

 マズイです。
 非常にマズイ状況です。
 このままでは一方的に嬲られるだけです。
 何か手を打たないと……!
 そう考えている間にも、また追撃がきます。

「えへへっ! ごめんね? ――【グラビティ】」

 ズンッ! という重圧が体全体を襲います。
 重力魔法で押さえつけられたようです。
 しかも、それだけじゃありません。

「うあぁっ……かっ……」

 単なる重力魔法なら、珍しくはありますがたまに見かけることがあります。
 しかし、これは明らかに次元が違います。
 単純な重さではなく、魂そのものを押さえつけられているかのような感覚があります。

「ぐ、ぐるじぃ……」

 息すらままなりません。
 立っていることすら困難です。
 僕様ちゃんは地面に倒れ伏しました。

「これで大人しくしてくれるといいのですが。――【ウォーターフォール】!」

 別の女性が詠唱します。
 すると頭上から大量の水が降り注ぎました。
 水の勢いはとても強く、まるで滝のようです。

「うっ……! がぼがぼ……がばごばっ……!」

 溺れる僕様ちゃん。
 身動き一つできません。

(や、やばいです……!)

 息ができない苦しさから、だんだんと頭がぼーっとしていきます。

(こ、このままじゃ……)

 死ぬ……?
 僕様ちゃんが……?
 こんな簡単に……?
 本格的に死の危険を感じたとき、不意に水が収まりました。

「少しやりすぎたでしょうか? 魔力の気配はまだ感じますが……」

「ふふん。タカシを倒したっていう聖女なら、これぐらい耐えられるわよ」

 女性2人が話しています。
 僕様ちゃんも舐められたものですね。
 命までは取らないということで、魔法の発動を途中で止めたのでしょう。

 甘いです。
 甘すぎるです。
 リンドウ温泉旅館で食べたスイーツのように甘いです。
 ……まぁ、あのままだとガチで命がヤバかった気もするですが、それとこれとは別です。

「て、てめぇら……。聖女たる僕様ちゃんにこれほどの不敬を働いて、ただで済むと思うんじゃねーですよ……?」

 怒りのあまり、少し言葉遣いが乱れました。
 僕様ちゃんは聖女として丁寧な口調を心掛けていたのですが、時にはこういうこともあります。

「あら、やっぱりまだ喋れるぐらいに元気なのね?」

 赤髪の女性が言います。

「でも、もう限界近いかしら?」

「黙れです! 僕様ちゃんはまだまだ元気いっぱいです! お前ら全員、まとめてぶっ飛ばしてやるです!!」

「ふふん。お手並拝見といきましょう」

 赤髪女が自信満々に笑います。
 他の少女たちも、再び臨戦態勢を整えています。

「もう油断はしないです。――【神霊纏装・アーティルドラ】!!」

 僕様ちゃんは全身に聖なるオーラを纏ってみせます。
 神の力の一端を宿した僕様ちゃんに、敗北の二文字はないです!
 先ほど受けた雷魔法、土魔法、重力魔法の影響も去っています。
 今度こそ、この不敬者たちに身の程というものを教えてやるですよ!



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いつもお読みいただき、ありがとうございます。

本作のウェブトゥーン版ですが、先行配信されていた「ホンコミ」「honto」に加え、「コミックシーモア」「kinoppy」「DMM.com/FANZA」「Amebaマンガ」「BOOKWALKER」でも配信が開始されました。
まだお読みいただけていない方は、この機会にぜひよろしくお願いいたします!

なお、昨日はウェブトゥーン版の12話が更新されました。
モニカが営む料理屋での食事会!
最後の方にはニムが初登場します。
ぜひ読んでみてください!

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