【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
966話 プロクトス同盟
夜。
俺たちは、リンドウ温泉旅館の客室にいる。
今現在部屋にいるのは、俺、リッカ、ジェイネフェリアの3人だ。
ミティ、アイリス、フレンダは、もう何度目か分からないが温泉を堪能しに行っている。
俺はずっと機嫌を損ねたままのリッカのために、ウォシュレット付きトイレを贈呈する約束をした。
ジェイネフェリアにちゃんと依頼したのだが、なぜかリッカのテンションが下がってしまっている。
どうやら、彼女が本当に欲しかったものと何かがズレてしまっているようだ。
「なぁ、リッカ。お前って、本当は何が欲しいんだ?」
「……」
「何かヒントだけでもいいから教えてくれないか?」
「……だから、僕様ちゃんはウォシュレット付きトイレが欲しいだけです」
さっきからこの調子である。
いや、ウォシュレット付きトイレが欲しいというのは事実なのだろう。
最初から彼女はそう言っているわけだし。
だが、ジェイネフェリアに依頼して新規製作の段取りを整えた途端にこれである。
何かを不満に思っているはずだ。
しかし、具体的に何が不満なのか教えてくれないとどうにも対処しようがないんだよな……。
どうしたものかと考えていると、ふと思いついたことがあった。
「なぁ、もしかしてなんだけどさ……」
「はい?」
「お前は『先ほど実際に使ったウォシュレット付きトイレをそのまま持ち帰ること』を希望しているんじゃないか?」
「――ッ!?」
俺の言葉に激しく動揺するリッカ。
やはり図星だったようだ。
「やっぱりか……。気持ちは分かるぞ」
「……え? わ、分かってくれるです? タカシ=ハイブリッジにも、そんな趣味が……?」
驚いたような表情を見せるリッカ。
それほど驚くようなことだろうか?
「そうだ。俺からすると、リッカの気持ちはとてもよく理解できるぞ。ネフィも分かるよな?」
「へっ!? あ、その……」
別に恥ずかしいことでもないのに、ジェイネフェリアが言いよどむ。
新品を製作するのに、現品を欲しがる理由。
それは一つしかない。
つまるところ、自分が実際に使ったものをそのまま欲しいということだろう。
ただの精神的な理由だ。
現代日本でも、例えばオモチャ屋でぬいぐるみを買う際に、棚に並んでいる現品をわざわざ欲しがる子どもは一定数いるだろう。
あるいは、自転車屋で試し乗りした自転車を現品で欲しがるとか……。
さすがにトイレ便器に対してそのような思いを抱く奴がいるとは想定外だが、まぁ別に大きな問題はない。
この旅館はまだ一般開放していない関係で、俺、ジェイネフェリア、リッカの3人しかあのトイレは使用していないからな。
別に極端に汚れてはいない。
「分かるだろ?」
俺はジェイネフェリアに答えを催促する。
なぜ2人とも恥ずかしがっているのかは不明だが、ジェイネフェリアが先に答えてくれれば、リッカの羞恥心も薄れるはずだ。
「う、うん……。実はそうなんだよ……。僕があの機能を付けたのは、こっそりと堪能するためで……」
「な、なんと……です!? いやしかし、あれを作った製作者が同じ趣味を持っていないはずがなかったです……!」
「リッカさん……。気に入ってくれたようで、嬉しいんだよ。恥ずかしい気持ちもあるけど……」
「恥ずかしいのは僕様ちゃんもです。でも、こんな新大陸の辺境にお前のような魔導技師がいたのは僥倖なのです。名前を覚えておいてやるです。確か、ネフィとか言ったです?」
「本名はジェイネフェリア=ミザリィなんだよ。覚えてくれると嬉しいんだよ」
2人はガシッと握手を交わすのだった。
どうやら問題は解決したらしい。
(よく分からないが、良かった良かった)
俺は頷く。
途中から、何やら2人の話についていけなくなっちゃったからな。
蚊帳の外って感じだ。
(ま、仲良さそうだしいいか)
俺も空気を読んで黙っていた甲斐があったというものだ。
そんなことを考えていると、不意にジェイネフェリアが言った。
「でも、男爵さんまであの趣味を持っているとは知らなかったんだよ」
「うん? まぁ、俺は何でも守備範囲内だからな」
よく分からないのだが、俺はとりあえずそう答えておく。
せっかく良い雰囲気になったのを、わざわざ壊す必要もあるまい。
「そ、そうですか。タカシ=ハイブリッジまでそんな趣味が……」
なぜか目を見開いている様子のリッカだったが、特に気にするほどのことでもないだろう。
3人の間に、ちょっとした沈黙が流れる。
だが、居心地の悪さは感じない。
むしろ心地良さすら感じるほどだ。
しばらく経つと、リッカは言った。
「ではこの3人で、こう――じゃなくて、プロクトス同盟を結ぶです!」
「……ん?」
突然の宣言に戸惑う俺。
だが――
「な、なるほど……。プロクトスは、確か遠方の言葉で”アレ”を意味していたはずなんだよ。でも、普通の人はそんなこと知らないはず……。それなら、堂々と名乗れるんだよ」
「えっへんです! このことは、僕様ちゃんたち3人だけの秘密にするですよ! いいですね!?」
なんだか勝手に盛り上がっている様子だ。
(ふむ……)
正直、俺には何のことだか分からないが、彼女たちにとってはとても重要なことなのだろう。
(よし、ここは適当に合わせとくか)
「分かった。俺たちだけの秘密だな」
こうして、この俺タカシ=ハイブリッジ男爵、聖女リッカ、魔導技師ジェイネフェリアによる謎の同盟が生まれたのである。
それから俺たちは和気あいあいとした雰囲気の中、既設の最新トイレを取り外し、アイテムバッグ付きでリッカへ渡した。
ちゃんと掃除はしているし、そもそも利用者数も3人だけなのでまだまだきれいなものだ。
そして、とある素晴らしいニュースを確認しつつ、俺はその日もリンドウ温泉旅館に泊まることにしたのだった。
俺たちは、リンドウ温泉旅館の客室にいる。
今現在部屋にいるのは、俺、リッカ、ジェイネフェリアの3人だ。
ミティ、アイリス、フレンダは、もう何度目か分からないが温泉を堪能しに行っている。
俺はずっと機嫌を損ねたままのリッカのために、ウォシュレット付きトイレを贈呈する約束をした。
ジェイネフェリアにちゃんと依頼したのだが、なぜかリッカのテンションが下がってしまっている。
どうやら、彼女が本当に欲しかったものと何かがズレてしまっているようだ。
「なぁ、リッカ。お前って、本当は何が欲しいんだ?」
「……」
「何かヒントだけでもいいから教えてくれないか?」
「……だから、僕様ちゃんはウォシュレット付きトイレが欲しいだけです」
さっきからこの調子である。
いや、ウォシュレット付きトイレが欲しいというのは事実なのだろう。
最初から彼女はそう言っているわけだし。
だが、ジェイネフェリアに依頼して新規製作の段取りを整えた途端にこれである。
何かを不満に思っているはずだ。
しかし、具体的に何が不満なのか教えてくれないとどうにも対処しようがないんだよな……。
どうしたものかと考えていると、ふと思いついたことがあった。
「なぁ、もしかしてなんだけどさ……」
「はい?」
「お前は『先ほど実際に使ったウォシュレット付きトイレをそのまま持ち帰ること』を希望しているんじゃないか?」
「――ッ!?」
俺の言葉に激しく動揺するリッカ。
やはり図星だったようだ。
「やっぱりか……。気持ちは分かるぞ」
「……え? わ、分かってくれるです? タカシ=ハイブリッジにも、そんな趣味が……?」
驚いたような表情を見せるリッカ。
それほど驚くようなことだろうか?
「そうだ。俺からすると、リッカの気持ちはとてもよく理解できるぞ。ネフィも分かるよな?」
「へっ!? あ、その……」
別に恥ずかしいことでもないのに、ジェイネフェリアが言いよどむ。
新品を製作するのに、現品を欲しがる理由。
それは一つしかない。
つまるところ、自分が実際に使ったものをそのまま欲しいということだろう。
ただの精神的な理由だ。
現代日本でも、例えばオモチャ屋でぬいぐるみを買う際に、棚に並んでいる現品をわざわざ欲しがる子どもは一定数いるだろう。
あるいは、自転車屋で試し乗りした自転車を現品で欲しがるとか……。
さすがにトイレ便器に対してそのような思いを抱く奴がいるとは想定外だが、まぁ別に大きな問題はない。
この旅館はまだ一般開放していない関係で、俺、ジェイネフェリア、リッカの3人しかあのトイレは使用していないからな。
別に極端に汚れてはいない。
「分かるだろ?」
俺はジェイネフェリアに答えを催促する。
なぜ2人とも恥ずかしがっているのかは不明だが、ジェイネフェリアが先に答えてくれれば、リッカの羞恥心も薄れるはずだ。
「う、うん……。実はそうなんだよ……。僕があの機能を付けたのは、こっそりと堪能するためで……」
「な、なんと……です!? いやしかし、あれを作った製作者が同じ趣味を持っていないはずがなかったです……!」
「リッカさん……。気に入ってくれたようで、嬉しいんだよ。恥ずかしい気持ちもあるけど……」
「恥ずかしいのは僕様ちゃんもです。でも、こんな新大陸の辺境にお前のような魔導技師がいたのは僥倖なのです。名前を覚えておいてやるです。確か、ネフィとか言ったです?」
「本名はジェイネフェリア=ミザリィなんだよ。覚えてくれると嬉しいんだよ」
2人はガシッと握手を交わすのだった。
どうやら問題は解決したらしい。
(よく分からないが、良かった良かった)
俺は頷く。
途中から、何やら2人の話についていけなくなっちゃったからな。
蚊帳の外って感じだ。
(ま、仲良さそうだしいいか)
俺も空気を読んで黙っていた甲斐があったというものだ。
そんなことを考えていると、不意にジェイネフェリアが言った。
「でも、男爵さんまであの趣味を持っているとは知らなかったんだよ」
「うん? まぁ、俺は何でも守備範囲内だからな」
よく分からないのだが、俺はとりあえずそう答えておく。
せっかく良い雰囲気になったのを、わざわざ壊す必要もあるまい。
「そ、そうですか。タカシ=ハイブリッジまでそんな趣味が……」
なぜか目を見開いている様子のリッカだったが、特に気にするほどのことでもないだろう。
3人の間に、ちょっとした沈黙が流れる。
だが、居心地の悪さは感じない。
むしろ心地良さすら感じるほどだ。
しばらく経つと、リッカは言った。
「ではこの3人で、こう――じゃなくて、プロクトス同盟を結ぶです!」
「……ん?」
突然の宣言に戸惑う俺。
だが――
「な、なるほど……。プロクトスは、確か遠方の言葉で”アレ”を意味していたはずなんだよ。でも、普通の人はそんなこと知らないはず……。それなら、堂々と名乗れるんだよ」
「えっへんです! このことは、僕様ちゃんたち3人だけの秘密にするですよ! いいですね!?」
なんだか勝手に盛り上がっている様子だ。
(ふむ……)
正直、俺には何のことだか分からないが、彼女たちにとってはとても重要なことなのだろう。
(よし、ここは適当に合わせとくか)
「分かった。俺たちだけの秘密だな」
こうして、この俺タカシ=ハイブリッジ男爵、聖女リッカ、魔導技師ジェイネフェリアによる謎の同盟が生まれたのである。
それから俺たちは和気あいあいとした雰囲気の中、既設の最新トイレを取り外し、アイテムバッグ付きでリッカへ渡した。
ちゃんと掃除はしているし、そもそも利用者数も3人だけなのでまだまだきれいなものだ。
そして、とある素晴らしいニュースを確認しつつ、俺はその日もリンドウ温泉旅館に泊まることにしたのだった。
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