【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
965話 リッカが求めるもの
リッカの『ウォシュレット暴走事件』から数時間後――
俺たちは再び、リンドウ温泉旅館の客室へと集まっていた。
そして現在、俺は必死にリッカの機嫌を取っている真っ最中である。
「悪かったって。ほら、ジュースでも飲んで落ち着けって。りんごジュースがあるぞ!」
「ふんっ!」
そう言って、そっぽを向くリッカ。
完全に拗ねてしまっているようだ。
(うーん……。これは困ったな……)
もともと、俺と彼女との仲は綱渡り状態だった。
最初の戦闘では明確に対立し、激しい戦闘の上に俺が敗北した。
その日の夜、傷を癒やすために温泉に突撃したところ、リッカと『風呂場でバッタリ事件』が起きてしまった。
何とかなだめて共に湯に浸かったのだが、今度は『誓いの儀式』で俺が勘違いをし、彼女の下腹部に『淫紋』――じゃなくて『聖紋』を発現させてしまった。
翌朝にも『聖女の貞操をうっかり奪いそうになる事件』が起きたが、これは軽く流せた。
その後の『和食もどきの朝食』は喜んでもらえた。
これは成功と言っていいだろう。
次の卓球交流会は少しマズかった。
ミティの必殺技で磔にされたり、俺の『マジックアーム付きゴーレム』でくすぐられたりしたせいで少し機嫌を損ねたのだ。
旅館の庭を散歩しながらなだめ、俺のゴッドハンドによるマッサージでなんとか事なきを得た。
さらには『魔法の絨毯』をプレゼントしたことで、俺とリッカの仲は友好寄りに大きく傾いた。
だが、その後の『ウォシュレット暴走事件』によって一気に機嫌が悪くなってしまったのである。
いや、正確に言えば、さらにその後の『トイレにおける脱衣文化』のおけるやり取りがトドメを刺した形かもしれない。
(うーむ……。どうやったら許してくれるかな……)
このままでは、俺の狙いが達成できなくなる。
彼女に”あれ”を付与できれば、俺の利益に――いや、世界の利益になるだろう。
聖女であり滅私奉公の精神を持つ彼女の能力が増せば、恩恵を受ける人は多い。
(ここは下手に出て、ひたすら謝罪するしかないか……?)
だが、先ほどから何度謝っても取り付く島もない状態だ。
ここは思い切って――
「も、申し訳ありませんでしたッ!! 偉大なる聖女リッカ様ーー!!!」
土下座である。
床に頭をこすりつけて全力で謝るしかない。
俺としては誠心誠意謝っているつもりだが、これで許してもらえるだろうか……?
「…………」
そんな俺を無言で見下ろすリッカ。
その目は氷のように冷たいものだった。
「……ふぅ。仕方ねーですね」
やがて溜息と共にそんな言葉が聞こえてきた。
俺は顔を上げて彼女を見上げる。
「僕様ちゃんは、もう怒ってないです。許すです」
「ほ、本当か!?」
「本当です。聖女たる者、過ちをいつまでも責め続けるような器の小さい女じゃねーのです」
ドヤ顔で胸を張るリッカ。
俺はホッと安堵の息を吐く。
どうやら無事に許しを得ることができたようだ。
「そうか……。良かった……」
心から安堵していると、不意にリッカが言った。
「でも、条件があるです」
「じょ、条件……?」
その言葉に不安を覚える俺。
まさか、この期に及んでさらなる要求があるというのか……。
「あ、あのですね……。えっと……」
「どうした? 俺にできることであれぱ何でも言ってくれ」
言い淀んでいる様子のリッカに先を促す。
聖女である彼女なら、大抵のことは自分でできるだろう。
そんな中、俺に要求するのは一体どのようなことなのだろうか?
俺は彼女の言葉を待つ。
すると彼女は顔を赤らめながらこう言った。
「れ、例の……トイレが欲しいです……! ウォシュレット機能とやらが付いている……」
「……は?」
予想外の言葉に思わず呆けてしまう俺。
いや、だってそうだろう?
なんでいきなりそんな話になるんだ?
「……」
意味が分からず、しばらく俺は考え込む。
そして、ようやく答えが分かった。
「なるほどな。ミネア聖国や他の国々にはない発想の魔道具だからな。興味を持ったというわけか」
「そ、そうです! その通りです!」
何度も頷くリッカ。
その表情からは必死さが伝わってくる。
(まぁ、確かにアレは画期的な発明品だもんな……)
地球の発想をふんだんに使った代物なので当然といえば当然だが、この世界ではまだ普及していない技術なのだ。
一流魔導技師のジェイネフェリアの腕がなければ、発想があっても再現できないしな。
「いいだろう。ネフィ、あれと同じトイレを用意できるか? できるだけ取り外しが簡易的な構造で、アイテムバッグに収納できるぐらいの大きさが理想的だが」
「ええっと、数日あれば可能なんだよ」
「資金は足りるか?」
「普段から潤沢な予算をもらっているから、大丈夫なんだよ。ラーグに帰ったらすぐに取り掛かるんだよ」
ジェイネフェリアと会話する俺を見て、リッカの表情が――なぜか暗くなっている。
なぜだ?
「リッカ? どうしたんだ?」
「いえ……なんでもないです……」
そうは言うものの明らかに様子がおかしい。
まるで何かに絶望しているかのような表情だった。
(なんだ? 彼女の要望と何かがズレてしまっているのか?)
俺には思い当たる節がない。
しかし、現にリッカのテンションが下がっている。
例の”あれ”を満たすための数値も、停滞状態だ。
ここはリッカが本当に求めているものを探る必要があるだろう。
俺たちは再び、リンドウ温泉旅館の客室へと集まっていた。
そして現在、俺は必死にリッカの機嫌を取っている真っ最中である。
「悪かったって。ほら、ジュースでも飲んで落ち着けって。りんごジュースがあるぞ!」
「ふんっ!」
そう言って、そっぽを向くリッカ。
完全に拗ねてしまっているようだ。
(うーん……。これは困ったな……)
もともと、俺と彼女との仲は綱渡り状態だった。
最初の戦闘では明確に対立し、激しい戦闘の上に俺が敗北した。
その日の夜、傷を癒やすために温泉に突撃したところ、リッカと『風呂場でバッタリ事件』が起きてしまった。
何とかなだめて共に湯に浸かったのだが、今度は『誓いの儀式』で俺が勘違いをし、彼女の下腹部に『淫紋』――じゃなくて『聖紋』を発現させてしまった。
翌朝にも『聖女の貞操をうっかり奪いそうになる事件』が起きたが、これは軽く流せた。
その後の『和食もどきの朝食』は喜んでもらえた。
これは成功と言っていいだろう。
次の卓球交流会は少しマズかった。
ミティの必殺技で磔にされたり、俺の『マジックアーム付きゴーレム』でくすぐられたりしたせいで少し機嫌を損ねたのだ。
旅館の庭を散歩しながらなだめ、俺のゴッドハンドによるマッサージでなんとか事なきを得た。
さらには『魔法の絨毯』をプレゼントしたことで、俺とリッカの仲は友好寄りに大きく傾いた。
だが、その後の『ウォシュレット暴走事件』によって一気に機嫌が悪くなってしまったのである。
いや、正確に言えば、さらにその後の『トイレにおける脱衣文化』のおけるやり取りがトドメを刺した形かもしれない。
(うーむ……。どうやったら許してくれるかな……)
このままでは、俺の狙いが達成できなくなる。
彼女に”あれ”を付与できれば、俺の利益に――いや、世界の利益になるだろう。
聖女であり滅私奉公の精神を持つ彼女の能力が増せば、恩恵を受ける人は多い。
(ここは下手に出て、ひたすら謝罪するしかないか……?)
だが、先ほどから何度謝っても取り付く島もない状態だ。
ここは思い切って――
「も、申し訳ありませんでしたッ!! 偉大なる聖女リッカ様ーー!!!」
土下座である。
床に頭をこすりつけて全力で謝るしかない。
俺としては誠心誠意謝っているつもりだが、これで許してもらえるだろうか……?
「…………」
そんな俺を無言で見下ろすリッカ。
その目は氷のように冷たいものだった。
「……ふぅ。仕方ねーですね」
やがて溜息と共にそんな言葉が聞こえてきた。
俺は顔を上げて彼女を見上げる。
「僕様ちゃんは、もう怒ってないです。許すです」
「ほ、本当か!?」
「本当です。聖女たる者、過ちをいつまでも責め続けるような器の小さい女じゃねーのです」
ドヤ顔で胸を張るリッカ。
俺はホッと安堵の息を吐く。
どうやら無事に許しを得ることができたようだ。
「そうか……。良かった……」
心から安堵していると、不意にリッカが言った。
「でも、条件があるです」
「じょ、条件……?」
その言葉に不安を覚える俺。
まさか、この期に及んでさらなる要求があるというのか……。
「あ、あのですね……。えっと……」
「どうした? 俺にできることであれぱ何でも言ってくれ」
言い淀んでいる様子のリッカに先を促す。
聖女である彼女なら、大抵のことは自分でできるだろう。
そんな中、俺に要求するのは一体どのようなことなのだろうか?
俺は彼女の言葉を待つ。
すると彼女は顔を赤らめながらこう言った。
「れ、例の……トイレが欲しいです……! ウォシュレット機能とやらが付いている……」
「……は?」
予想外の言葉に思わず呆けてしまう俺。
いや、だってそうだろう?
なんでいきなりそんな話になるんだ?
「……」
意味が分からず、しばらく俺は考え込む。
そして、ようやく答えが分かった。
「なるほどな。ミネア聖国や他の国々にはない発想の魔道具だからな。興味を持ったというわけか」
「そ、そうです! その通りです!」
何度も頷くリッカ。
その表情からは必死さが伝わってくる。
(まぁ、確かにアレは画期的な発明品だもんな……)
地球の発想をふんだんに使った代物なので当然といえば当然だが、この世界ではまだ普及していない技術なのだ。
一流魔導技師のジェイネフェリアの腕がなければ、発想があっても再現できないしな。
「いいだろう。ネフィ、あれと同じトイレを用意できるか? できるだけ取り外しが簡易的な構造で、アイテムバッグに収納できるぐらいの大きさが理想的だが」
「ええっと、数日あれば可能なんだよ」
「資金は足りるか?」
「普段から潤沢な予算をもらっているから、大丈夫なんだよ。ラーグに帰ったらすぐに取り掛かるんだよ」
ジェイネフェリアと会話する俺を見て、リッカの表情が――なぜか暗くなっている。
なぜだ?
「リッカ? どうしたんだ?」
「いえ……なんでもないです……」
そうは言うものの明らかに様子がおかしい。
まるで何かに絶望しているかのような表情だった。
(なんだ? 彼女の要望と何かがズレてしまっているのか?)
俺には思い当たる節がない。
しかし、現にリッカのテンションが下がっている。
例の”あれ”を満たすための数値も、停滞状態だ。
ここはリッカが本当に求めているものを探る必要があるだろう。
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