【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

961話 誤動作?

 腹を下したリッカは、最新機能付きのトイレで出すべきものを出した。
 それはいいのだが、トイレに用意されている紙の量が少ないことにリッカが気づいた。
 タカシに指摘したところ、便器の近くにあるボタンを押せと言われる。

 彼女が言われた通りにボタンを押すと――
 ヴィィイン……!
 何かが起動するような音がした。

(この音は……?)

 不思議に思うリッカであったが、次の瞬間には答えを知ることとなる。
 突然、彼女のお尻の下あたりに温かい感触が広がったのだ。

「ひゃうっ!?」

(こ、これは一体……!?)

 突然の感覚に驚くリッカ。
 彼女はすかさず逃げようとするが、その直前に思い直したように動きを止めた。

(この水流は、トイレの下から吹き出ているです……! 僕様ちゃんが逃げたら、この水流で周囲が大変なことになるです……)

 もし仮に自分が逃げれば、この最新機能付きのトイレとやらが被害を受ける可能性がある。
 それを理解した彼女はその場に留まり続けた。
 下から出続ける水流を、自身のケツで受け止めている格好だ。
 なんとも間抜けな構図だが、本人は真剣である。
 聖女たる者、人に迷惑を掛けるわけにはいかないのだ。

「んっ……。ふうぅ……」

(変な感じです……。くすぐったいような……)

 そんなことを考えているうちにも、水流の勢いはさらに増していく。
 もはや滝のような水量のようにも錯覚してしまうほどだ。

「くっ……。タカシ=ハイブリッジ!」

「……ん? なんだ?」

 個室の外から、緊迫感のない返事が聞こえてきた。
 まぁ、それも仕方のないことではある。
 個室の中の様子など、タカシには分からないのだから。

「この最新機能付きトイレとやらは、壊れているです! なんとかしろです!!」

「え? そんなはずはない。一流魔導技師のネフィが作ってくれたんだ。それに、俺が使ったときは正常に作動していたぞ?」

「嘘つくんじゃないです! そんなわけないですから!! んあぁっ……!」

「――だってさ、ネフィ。お前もミスることがあるんだな」

 リッカの切羽詰まった様子を感じ取り、タカシはネフィに話し掛ける。

「うん……? そんなわけがないんだよ。試運転はバッチリしてきたんだよ」

 ジェイネフェリアは少し困ったような表情で答えた。
 どうやら彼女もまた、リッカの言う異常事態に心当たりがないらしい。

「ふざけるなです! 現に壊れていて僕様ちゃんが困っているです!! あふぅぅ……!」

 リッカが再度、個室の中から抗議してくる。
 そんな彼女に対し、タカシは言った。

「仕方ないな。実際にどんな風に誤作動しているのか、確認してみようか」

「分かったんだよ。確かに、その方が早いんだよ」

「よし。ならば、もしものときのために持っていた俺の合鍵を使うとしよう」

 そう言うと、彼はアイテムボックスから一本のカギを取り出した。
 ガチャガチャ……。
 彼はそれを、個室トイレの鍵穴に差し込んだ。
 そのまま鍵を解除しようとするが――

「ま、待てです! お前、何をしようとしているですか!?」

 焦った様子で叫ぶリッカ。
 その様子から察するに、やはり何かマズいことが起きているのだろう。
 聖女様は相当ご立腹のようだ。

「大丈夫だって。ちょっと確認するだけだから」

「大丈夫じゃないです! 僕様ちゃんは今、見られたらマズイ状態になっているんです!!」

「ほう……。マズイとはどういうことだ? 詳しく見せててくれないか?」

「ぐぬぬ……! お、お前なんかに見せてたまるかなのです!! んぁっ……!」

 リッカが必死に主張する。
 繰り返すが、彼女はトイレから吹き上がる水流をケツで受け止めているのだ。
 そんな恥ずかしい姿を異性に見られることなど、到底耐えられるものではない。

「困ったな……。万全のはずのトイレが壊れていると言う。それでいて、どう壊れているか実際に見せることはできないと言う。実に勝手な言い分だ。さすがは聖女様だな」

「ぐっ……。そ、そんなことを言われても、見せられないものは見せられないのです……。おふっ……!」

 タカシから嫌味を言われてしまうリッカ。
 彼女は悔しそうに歯噛みしている。
 だが、そんなやりとりをしている間にも、彼女の尻穴には水流が直撃しているのだ。

(うぅ……。もう限界が近いです……!!)

 そろそろ我慢の限界を迎えそうなリッカだったが――

「ええっと、リッカさん? 右のボタンを押してみるんだよ」

 ジェイネフェリアの声が扉の向こう側から聞こえてきた。

「み、右です……?」

「そうなんだよ。とりあえず、電源を切ってみればいいと思うんだよ」

「わ、分かったです!」

 言われるままに、ボタンをポチッと押すリッカ。
 その瞬間――
 ヴィィィィィン……!!
 水流の勢いが増した。

「うあぁあっ!? なんでぇ!?」

 たまらず悲鳴を上げるリッカ。
 それも当然であろう。
 なにせ、彼女は間違えて左側のボタンを押してしまったのだから。

「くっ……。同じボタンをもう一度押すです!!」

 キュゥゥン……!
 さらに勢いを増す水流。
 もう止まらない。

「ひぃっ!? ああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 尻穴に強烈な水流を受け、リッカは悶絶する。
 彼女の運命や如何に――

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