【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
955話 タカシ・カイザー
リンドウ温泉旅館にて、タカシたちは卓球で交流している。
アイリスvsフレンダの試合はアイリスが勝ち、ミティvsリッカの試合はミティが勝った。
「さて、次は俺がやりたいな。まだ一試合もやってないし」
そう言って立ち上がるタカシ。
そんな彼に対して、フレンダが言う。
「じゃあさ、フレンダちゃんとやろうよ~」
「ああ、そうだな。じゃあ俺はフレンダと――」
「ちょっと待ってください! タカシ様!!」
ミティが慌てて口を挟んできた。
何やら必死な様子だ。
「ど、どうした? そんなに焦って……?」
「私は試合に勝ちました! フレンダさんは、アイリスさんとの試合で負けていましたよね!?」
「うん、そうだね~」
フレンダが同意する。
すると――
「ザコはタカシ様のお相手としては相応しくありません! 引っ込んでいてください!!」
「……え?」
戸惑うフレンダ。
これほどまでに強く拒絶されるとは思っていなかったのだ。
普段のミティは、子持ちの第一夫人として悠然と構えている。
だが、時々こうしてやや強い言葉でタカシを独り占めしようとすることがある。
付き合いが浅いフレンダはそのことを知らなかったので、驚いてしまうのも無理はない。
だが、タカシは慣れたものだ。
「よしよし、ミティ。俺と遊びたいんだな」
そう言いながら彼女を抱き寄せる彼。
まるで幼子に対する態度のようだが、ミティは特に気にしていない様子である。
「うへへぇ……」
だらしない顔で彼に甘え始める彼女。
「ふふふ。いつまでも可愛い、俺の愛する妻め」
そんなことを呟きながら、タカシはさらに強く彼女を抱きしめる。
もはやバカップルの様相を呈していた。
そんな二人を見ながら――
(タカシちゃんとミティちゃんって……)
(本当に仲がいいですね……)
フレンダとリッカは唖然とするばかりであった。
そんな二人に構わず、タカシとミティはハグを続ける。
もはや、フレンダやリッカには口を挟めないような状況だと思われた。
しかし、そこに割って入る者がいる。
「二人とも、そこまでにしときなよ」
それはアイリスだ。
彼女はニコニコとした笑顔のまま、タカシとミティを引き剥がす。
そして――
「ほら、ボクの相手もしてよ。タカシ」
そのままタカシの腕を取る。
さらに――むにゅん。
自らの胸を押しつけるようにして密着してくるアイリス。
なかなか積極的である。
そんな彼女に、タカシは少し驚いた様子を見せたが、すぐに気を取り直したようで――
「はは、わかったよ。アイリスも甘えん坊だなぁ」
そう言うと、再びぎゅっと抱きしめた。
それを見て、今度はミティが頬を膨らませる。
「ちょっと待ってください! 私も混ぜてほしいです!!」
「えー? ミティはさっきやったでしょ?」
不満げに言うアイリス。
除け者にされているフレンダやリッカも含め、やや不穏当な空気が流れる。
そんな中、タカシが仲裁に入った。
「――さぁ、そろそろ卓球を再開しようぜ。それで、ミティが相手してくれるのか? それともアイリスか?」
「私がお相手します!」
「ううん、ボクがするよ」
二人がほぼ同時に返事をする。
タカシとしてもどちらでもよかったのだが、ここは公平を期すために――
「なら、二人同時に相手をしようじゃないか」
そう提案する。
「ええっ!? 2対1ですか?」
「さすがにキツイんじゃない? いくらタカシとは言っても……」
ミティとアイリスがそれぞれ不安げな表情を浮かべる。
「いやいや、所詮は遊びだからな? そっちが適度に手を抜いてくれればいい。こういうのは、ラリーを続けるだけでも楽しいものなんだ」
そんな彼らに対して、タカシは余裕のある表情でそう言った。
3人が位置につく。
「はぁっ!」
最初にサーブを打つのは、アイリスだ。
彼女は少し動きがぎこちないものの、しっかりとボールを打った。
フレンダ戦では慣れない球技でミスもあったのだが、この短時間で成長している。
「さすがはアイリスだ。飲み込みが早いな……」
感心しながら、タカシはその球を返す。
一方、ミティの方はというと――
「ふんっ!!」
闘気こそ開放していないが、なかなかの力を込めて打ち返した。
その威力たるや、タカシであっても気を抜いていれば取れないほどである。
しかし――
「【クロック・アップ】」
次の瞬間には、すでにボールを打つ絶好ポジションへと移動していたタカシがいた。
時魔法『クロック・アップ』は自らの時間だけを加速させる魔法だ。
これにより、時間の流れから切り離された速度で動くことができるようになるのである。
「はぁっ!!!」
タカシが打つ。
彼は狙い過ぎず、コートのやや隅っこあたりにボールを叩きつけた。
「くっ……! まだだよ!!」
アイリスが必死に食らいついてくる。
だが、ボールは浮いてしまっている。
タカシにとって、ポイントを決める絶好のチャンスだ。
「くらええぇっ! 【タカシ・カイザー】!! これが俺の力だぁあああ!!!」
叫びながら渾身の一撃を放つタカシ。
もちろん本気などではない。
ただの冗談だ。
いや、もしかしたら少しは本気かもしれないが……。
「うっ!? は、速い!!!」
「タカシ、お遊びと言いつつ半分本気出してない?」
タカシのふざけた名前の必殺技(?)は見事に決まり、まずは彼が先制したのだった。
-------------------------
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
明日は通常話と記念SSで、2回更新の予定です。
よろしくお願いします。
アイリスvsフレンダの試合はアイリスが勝ち、ミティvsリッカの試合はミティが勝った。
「さて、次は俺がやりたいな。まだ一試合もやってないし」
そう言って立ち上がるタカシ。
そんな彼に対して、フレンダが言う。
「じゃあさ、フレンダちゃんとやろうよ~」
「ああ、そうだな。じゃあ俺はフレンダと――」
「ちょっと待ってください! タカシ様!!」
ミティが慌てて口を挟んできた。
何やら必死な様子だ。
「ど、どうした? そんなに焦って……?」
「私は試合に勝ちました! フレンダさんは、アイリスさんとの試合で負けていましたよね!?」
「うん、そうだね~」
フレンダが同意する。
すると――
「ザコはタカシ様のお相手としては相応しくありません! 引っ込んでいてください!!」
「……え?」
戸惑うフレンダ。
これほどまでに強く拒絶されるとは思っていなかったのだ。
普段のミティは、子持ちの第一夫人として悠然と構えている。
だが、時々こうしてやや強い言葉でタカシを独り占めしようとすることがある。
付き合いが浅いフレンダはそのことを知らなかったので、驚いてしまうのも無理はない。
だが、タカシは慣れたものだ。
「よしよし、ミティ。俺と遊びたいんだな」
そう言いながら彼女を抱き寄せる彼。
まるで幼子に対する態度のようだが、ミティは特に気にしていない様子である。
「うへへぇ……」
だらしない顔で彼に甘え始める彼女。
「ふふふ。いつまでも可愛い、俺の愛する妻め」
そんなことを呟きながら、タカシはさらに強く彼女を抱きしめる。
もはやバカップルの様相を呈していた。
そんな二人を見ながら――
(タカシちゃんとミティちゃんって……)
(本当に仲がいいですね……)
フレンダとリッカは唖然とするばかりであった。
そんな二人に構わず、タカシとミティはハグを続ける。
もはや、フレンダやリッカには口を挟めないような状況だと思われた。
しかし、そこに割って入る者がいる。
「二人とも、そこまでにしときなよ」
それはアイリスだ。
彼女はニコニコとした笑顔のまま、タカシとミティを引き剥がす。
そして――
「ほら、ボクの相手もしてよ。タカシ」
そのままタカシの腕を取る。
さらに――むにゅん。
自らの胸を押しつけるようにして密着してくるアイリス。
なかなか積極的である。
そんな彼女に、タカシは少し驚いた様子を見せたが、すぐに気を取り直したようで――
「はは、わかったよ。アイリスも甘えん坊だなぁ」
そう言うと、再びぎゅっと抱きしめた。
それを見て、今度はミティが頬を膨らませる。
「ちょっと待ってください! 私も混ぜてほしいです!!」
「えー? ミティはさっきやったでしょ?」
不満げに言うアイリス。
除け者にされているフレンダやリッカも含め、やや不穏当な空気が流れる。
そんな中、タカシが仲裁に入った。
「――さぁ、そろそろ卓球を再開しようぜ。それで、ミティが相手してくれるのか? それともアイリスか?」
「私がお相手します!」
「ううん、ボクがするよ」
二人がほぼ同時に返事をする。
タカシとしてもどちらでもよかったのだが、ここは公平を期すために――
「なら、二人同時に相手をしようじゃないか」
そう提案する。
「ええっ!? 2対1ですか?」
「さすがにキツイんじゃない? いくらタカシとは言っても……」
ミティとアイリスがそれぞれ不安げな表情を浮かべる。
「いやいや、所詮は遊びだからな? そっちが適度に手を抜いてくれればいい。こういうのは、ラリーを続けるだけでも楽しいものなんだ」
そんな彼らに対して、タカシは余裕のある表情でそう言った。
3人が位置につく。
「はぁっ!」
最初にサーブを打つのは、アイリスだ。
彼女は少し動きがぎこちないものの、しっかりとボールを打った。
フレンダ戦では慣れない球技でミスもあったのだが、この短時間で成長している。
「さすがはアイリスだ。飲み込みが早いな……」
感心しながら、タカシはその球を返す。
一方、ミティの方はというと――
「ふんっ!!」
闘気こそ開放していないが、なかなかの力を込めて打ち返した。
その威力たるや、タカシであっても気を抜いていれば取れないほどである。
しかし――
「【クロック・アップ】」
次の瞬間には、すでにボールを打つ絶好ポジションへと移動していたタカシがいた。
時魔法『クロック・アップ』は自らの時間だけを加速させる魔法だ。
これにより、時間の流れから切り離された速度で動くことができるようになるのである。
「はぁっ!!!」
タカシが打つ。
彼は狙い過ぎず、コートのやや隅っこあたりにボールを叩きつけた。
「くっ……! まだだよ!!」
アイリスが必死に食らいついてくる。
だが、ボールは浮いてしまっている。
タカシにとって、ポイントを決める絶好のチャンスだ。
「くらええぇっ! 【タカシ・カイザー】!! これが俺の力だぁあああ!!!」
叫びながら渾身の一撃を放つタカシ。
もちろん本気などではない。
ただの冗談だ。
いや、もしかしたら少しは本気かもしれないが……。
「うっ!? は、速い!!!」
「タカシ、お遊びと言いつつ半分本気出してない?」
タカシのふざけた名前の必殺技(?)は見事に決まり、まずは彼が先制したのだった。
-------------------------
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
明日は通常話と記念SSで、2回更新の予定です。
よろしくお願いします。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
40
-
-
140
-
-
52
-
-
58
-
-
1512
-
-
93
-
-
239
-
-
63
-
-
3426
コメント