【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
950話 和食もどき
タカシ、リッカ、ミティ、アイリスは、リンドウ温泉旅館にて行動を共にしている、
朝っぱらから『聖女の貞操をうっかり奪いそうになる事件』が起きたため、聖女リッカの機嫌はやや悪い。
朝食会場へと向かう道中もずっとぶすっとした表情を見せている。
しかしながら、そんな状況であっても彼女の美しさは健在であり、すれ違う旅館係員たちは思わず振り返るほどだ。
(ふむ……)
一方で、そんな彼女をジッと見つめる人物が一人いる。
他ならぬタカシだ。
(改めて見ても、美少女だよな……)
彼は歩きながらもチラチラと聖女の様子をうかがっていた。
(もう少しご機嫌をとっておくか……)
彼はそう判断して行動に移すことにした。
聖女へと声をかける。
「おい、リッカ」
「なんです? タカシ=ハイブリッジ」
相変わらず不機嫌そうな表情で返事をするリッカ。
そんな彼女に彼は告げる。
「お前の下着なんだが、素晴らしい純白だったな。やはり聖女と言うべきか、清楚な感じがして――」
「ぶっ殺すですよ?」
ドスの効いた声で凄むリッカ。
その顔は怒りに満ち溢れていた。
(しまった。パンツの色を褒めるのは失敗だったか……)
慌てて言葉を飲み込むタカシ。
今のはかなり危なかった。
(さて、どうしたものかな……)
そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか一行は食事場に到着していた。
4人が席に着くとすぐに、係員の女性――アビーが出てくる。
「これはこれは、ハイブリッジさま! 昨晩はよく眠れましたか?」
「ああ、おかげさまでよく寝れたよ。アビーが頑張って施設を整えてくれているおかげだ」
笑みを浮かべて答えるタカシ。
これは本心だった。
この世界に来てからずっとベッド生活であったためか、布団で寝るという行為自体に新鮮味を感じたのだ。
(日本にいるときはあまり意識しなかったけど、意外といいものなんだな……。これが郷愁というやつだろうか……?)
そんなことを考えつつ、出された料理を口に運ぶ彼。
本日のメニューは和食もどきであった。
「やっぱり米はいいな……」
しみじみと呟くタカシ。
日本人は米を食べるものだと考えている彼にとっては当然とも言える感想である。
ちなみにこの異世界の穀物食はパンが主流だ。
次点でイモである。
ヤマト連邦では米が主食として栽培されているのだが、残念ながらこの国には一般流通していない。
かつてヤマト連邦と少しばかりの貿易をしていたラスターレイン伯爵領にて、寿司などに使用されるために少量の輸入・自家栽培が行われていたくらいだ。
それでも滅多に出回らない希少食材であるため、今回のようにタカシたちが来たときぐらいにしか出されない。
旅館の外観や内装は日本風だが、食事まではまだまだ再現できていない感じだ。
(ヤマト連邦で和食料理人をスカウトできれば理想的だが……。いや、その前に無事にネルエラ陛下からの指令を全うすることが大切か)
そんなことを考えながら食事を進めるタカシであったが――
「うめぇ! これはうめぇです! こんな美味しいものを食べたのは初めてかもしれないです!!」
隣に座るリッカが嬉しそうに声を上げているのを見て、自然と頬が緩むのを感じた。
先ほどまで不機嫌そうだった彼女だが、今ではすっかり上機嫌になっているようだ。
(やれやれ……。現金なやつだな……)
そんな彼女を微笑ましく思うタカシ。
繰り返すが、今回の朝食に出されているのは和食もどきだ。
タカシが監修している。
故郷を思い出しながら作った味が好評を博したことに、彼は喜びを感じた。
「あの……」
不意に声がかけられる。
声の主はリンドウ温泉旅館の管理人であるアビーだった。
「どうですか? お口に合いましたでしょうか?」
彼女は少し心配そうな表情をしている。
どうやら先ほどの会話が聞こえてしまっていたようだ。
「あぁ、とても美味いよ。懐かしい故郷の味を思い出す」
正直に思ったことを述べるタカシ。
それを聞いて安心したのか、ホッと胸を撫で下ろすアビー。
「確かに素晴らしい味付けですね。これがタカシ様の故郷の味なのですか?」
「そうだ。まぁ、再現度としてはまだまだなんだけどな。これはこれで、美味いもんだ」
「これって和食だよね? タカシの故郷ってヤマト連邦なんだっけ?」
「いや、そういうわけでもない。まぁ細かいことはいいじゃないか。俺はこのサザリアナ王国で男爵に任じられているわけだし、今はサザリアナ王国民さ」
ミティやアイリスの質問に曖昧に答えてお茶を濁すタカシ。
(俺が異世界人だってことはまだ秘密だ。いや、ミティやアイリスにはそろそろ言ってもいいのだが、この場にはリッカやアビーもいるからな……)
彼女たちの前ではまだ明かすべきではないだろうと判断してのことだった。
「がしゃがしゃ、ぐァつぐァつ」
そんな会話をしながら食事をしていると、横からガツガツといった音が聞こえてくる。
そちらに目をやると、一心不乱に料理を口に放り込んでいる聖女リッカの姿があった。
(本当に美味そうに食べるなぁ……)
タカシは思わず感心してしまう。
それだけに、先ほどの一件が非常に申し訳なく思えてくる。
そんなときだった。
「タカシちゃ~ん!! ここにいるって聞いたけど、無事なの!!??」
「ぷぎゃっ!!」
突然飛び込んできた人物によって、弾き飛ばされるリッカ。
その人物とは――
朝っぱらから『聖女の貞操をうっかり奪いそうになる事件』が起きたため、聖女リッカの機嫌はやや悪い。
朝食会場へと向かう道中もずっとぶすっとした表情を見せている。
しかしながら、そんな状況であっても彼女の美しさは健在であり、すれ違う旅館係員たちは思わず振り返るほどだ。
(ふむ……)
一方で、そんな彼女をジッと見つめる人物が一人いる。
他ならぬタカシだ。
(改めて見ても、美少女だよな……)
彼は歩きながらもチラチラと聖女の様子をうかがっていた。
(もう少しご機嫌をとっておくか……)
彼はそう判断して行動に移すことにした。
聖女へと声をかける。
「おい、リッカ」
「なんです? タカシ=ハイブリッジ」
相変わらず不機嫌そうな表情で返事をするリッカ。
そんな彼女に彼は告げる。
「お前の下着なんだが、素晴らしい純白だったな。やはり聖女と言うべきか、清楚な感じがして――」
「ぶっ殺すですよ?」
ドスの効いた声で凄むリッカ。
その顔は怒りに満ち溢れていた。
(しまった。パンツの色を褒めるのは失敗だったか……)
慌てて言葉を飲み込むタカシ。
今のはかなり危なかった。
(さて、どうしたものかな……)
そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか一行は食事場に到着していた。
4人が席に着くとすぐに、係員の女性――アビーが出てくる。
「これはこれは、ハイブリッジさま! 昨晩はよく眠れましたか?」
「ああ、おかげさまでよく寝れたよ。アビーが頑張って施設を整えてくれているおかげだ」
笑みを浮かべて答えるタカシ。
これは本心だった。
この世界に来てからずっとベッド生活であったためか、布団で寝るという行為自体に新鮮味を感じたのだ。
(日本にいるときはあまり意識しなかったけど、意外といいものなんだな……。これが郷愁というやつだろうか……?)
そんなことを考えつつ、出された料理を口に運ぶ彼。
本日のメニューは和食もどきであった。
「やっぱり米はいいな……」
しみじみと呟くタカシ。
日本人は米を食べるものだと考えている彼にとっては当然とも言える感想である。
ちなみにこの異世界の穀物食はパンが主流だ。
次点でイモである。
ヤマト連邦では米が主食として栽培されているのだが、残念ながらこの国には一般流通していない。
かつてヤマト連邦と少しばかりの貿易をしていたラスターレイン伯爵領にて、寿司などに使用されるために少量の輸入・自家栽培が行われていたくらいだ。
それでも滅多に出回らない希少食材であるため、今回のようにタカシたちが来たときぐらいにしか出されない。
旅館の外観や内装は日本風だが、食事まではまだまだ再現できていない感じだ。
(ヤマト連邦で和食料理人をスカウトできれば理想的だが……。いや、その前に無事にネルエラ陛下からの指令を全うすることが大切か)
そんなことを考えながら食事を進めるタカシであったが――
「うめぇ! これはうめぇです! こんな美味しいものを食べたのは初めてかもしれないです!!」
隣に座るリッカが嬉しそうに声を上げているのを見て、自然と頬が緩むのを感じた。
先ほどまで不機嫌そうだった彼女だが、今ではすっかり上機嫌になっているようだ。
(やれやれ……。現金なやつだな……)
そんな彼女を微笑ましく思うタカシ。
繰り返すが、今回の朝食に出されているのは和食もどきだ。
タカシが監修している。
故郷を思い出しながら作った味が好評を博したことに、彼は喜びを感じた。
「あの……」
不意に声がかけられる。
声の主はリンドウ温泉旅館の管理人であるアビーだった。
「どうですか? お口に合いましたでしょうか?」
彼女は少し心配そうな表情をしている。
どうやら先ほどの会話が聞こえてしまっていたようだ。
「あぁ、とても美味いよ。懐かしい故郷の味を思い出す」
正直に思ったことを述べるタカシ。
それを聞いて安心したのか、ホッと胸を撫で下ろすアビー。
「確かに素晴らしい味付けですね。これがタカシ様の故郷の味なのですか?」
「そうだ。まぁ、再現度としてはまだまだなんだけどな。これはこれで、美味いもんだ」
「これって和食だよね? タカシの故郷ってヤマト連邦なんだっけ?」
「いや、そういうわけでもない。まぁ細かいことはいいじゃないか。俺はこのサザリアナ王国で男爵に任じられているわけだし、今はサザリアナ王国民さ」
ミティやアイリスの質問に曖昧に答えてお茶を濁すタカシ。
(俺が異世界人だってことはまだ秘密だ。いや、ミティやアイリスにはそろそろ言ってもいいのだが、この場にはリッカやアビーもいるからな……)
彼女たちの前ではまだ明かすべきではないだろうと判断してのことだった。
「がしゃがしゃ、ぐァつぐァつ」
そんな会話をしながら食事をしていると、横からガツガツといった音が聞こえてくる。
そちらに目をやると、一心不乱に料理を口に放り込んでいる聖女リッカの姿があった。
(本当に美味そうに食べるなぁ……)
タカシは思わず感心してしまう。
それだけに、先ほどの一件が非常に申し訳なく思えてくる。
そんなときだった。
「タカシちゃ~ん!! ここにいるって聞いたけど、無事なの!!??」
「ぷぎゃっ!!」
突然飛び込んできた人物によって、弾き飛ばされるリッカ。
その人物とは――
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