【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

949話 ミッション失敗!?

 タカシがリッカに惨敗した翌朝のことである。
 目覚めた彼は、彼の上で逆さ向きに寝ていた少女と朝から楽しもうとしていた。
 タカシから少女の顔は見えない。
 だが、寝ぼけた頭ながらも昨夜の状況などから推察し、少女の正体はミティかアイリスだと判断したのだ。
 それならば遠慮は要らない。
 彼はそう思っていたのだが――

「ちょっ!? タカシ様!?」

「ぼ、ボクたちが少し目を離して朝風呂に行ったスキに……。どうして……」

 ミティとアイリスが驚愕の声を上げる。
 タカシの推察は間違っていた。
 彼の上で逆さ向きに寝ている少女は、ミティでもアイリスでもない。

「う、ううーん……むにゃむにゃ……もう食べられないですぅ……ムニャムニャ」

 寝言を呟くその少女は――聖女リッカであった。

(ま、まさか聖女様とヤッてしまったのか……?)

 タカシは慌てて飛び起きる。
 その動きに合わせて、リッカの身体が布団の上に落ちる。

「ぷぎゃっ!」

 顔面を布団に打ち付けて情けない悲鳴を上げる聖女リッカ。
 そんな彼女を尻目に、タカシは画面を開きミッション内容を確認する。


ミッション(緊急)
聖女リッカの貞操を2週間保全せよ。
報酬:スキルポイント30(本人のみ)


(良かった……。失敗扱いにはなっていない)

 ホッと胸を撫で下ろすタカシ。
 半分寝ぼけていたとはいえ、愛する妻とリッカを間違えるとは迂闊にもほどがある。
 もしこれでミッション失敗と見なされていれば、かなり残念なことになっていた。

「あいたたた……。い、一体何が……?」

 頭をさすりながら起き上がるリッカ。
 彼女の質問に対して、タカシは誤魔化すことにした。

「ふん。それはこっちのセリフだ。お前には別の部屋を用意してやったはずだろう? なんでここにいるんだ?」

「そ、それは……。夜中にトイレに行って、そのまま部屋を間違えちゃったみたいです」

「……そうか。まぁいいさ。間違いは誰にもあるからな。寛大な俺は、特別に許してやろう」

 適当なことを言って誤魔化すタカシ。
 このまま勢いに任せて押し切るつもりだ。

「あ、ありがとうです?」

 素直に頭を下げるリッカ。
 彼女が素直な性格で助かったとタカシは思う。
 だが――

「あれ? あれれ?」 

 リッカが突然、股間を押さえてうずくまった。

「――!? ……? ……!!??!!??」

 声にならない叫びを上げる彼女の様子に、困惑するタカシたち3人。
 そんな彼らに向かって、彼女は涙声で訴えるように言うのだった。

「どどど、どうしようです……! お股が変な感じです……!! お漏らし……? いえ、これはとにかく変な感じです……!」

 聖女様の切実なる訴えを聞き、どうしたものかと考えるタカシ。
 彼女の異変は、もちろんタカシのせいだ。
 朝からおっ始めようとして、念入りに下準備をした結果である。
 昨晩を除けばそういった経験が皆無のリッカにとって、刺激が強すぎたのだろう。

(まさかここまで効果が絶大だとはなぁ……)

 タカシは自分の行いを後悔すると同時に、その効果の高さに感心していた。

(しかし困ったな……。どう誤魔化すか……)

 彼はチラリとミティやアイリスを見る。
 2人はその視線を受けて察したようだ。
 アイリスは静かに頷く。
 ミティは力強く頷き返す。

 長い間苦楽を共にしてきた信頼できる仲間たちだ。
 タカシは安堵すると共に、彼女たちに感謝の念を抱いた。
 そして、彼は口を開く。

「大丈夫だ。問題ない」

「ほ、本当に大丈夫なんです……? 何かの病気だったら……」

 不安そうな表情を見せるリッカ。
 彼女は股間を押さえたまま上目遣いで尋ねてくる。
 その姿からは子どもらしい可愛らしさを感じられたが、一方で妙に艶めかしいようにも思えた。

「問題ありません! タカシ様のおっしゃる通りです! それは生理現象なのです!」

 すかさずフォローを入れるミティ。
 彼女の勢いの良さにどこか不安を覚えるタカシだったが、彼女はさらに続けて言う。

「タカシ様のモノを受け入れる前の下準備です! それにより、あなたは今、子どもを宿す準備ができているということなのです!」

 その言葉に、頭を抱えるタカシと大きく目を見開くリッカ。
 彼女はゆっくりと立ち上がると、真剣な眼差しでタカシを見つめた。

「……つまり、です。タカシ=ハイブリッジは、寝ている僕様ちゃんを襲ったってことです……?」

 昨日までは性的知識が皆無であった聖女リッカ。
 しかし、『風呂場でバッタリ事件』を通して、多少の偏りはありつつも最低限の知識を得つつあった。

「いや、襲うとかじゃなくてだな……。あくまで暗黙の同意の上というか……なんというか……」

 何とか言い訳を考えるタカシだが、上手い言葉が見つからない。
 そんな彼に助け舟を出したのはアイリスだった。

「あっ! も、もう朝ごはんの時間だよ! 早く食堂へ行かなきゃ!!」

 そう言って強引に話を打ち切るアイリス。
 ナイスアシストである。

「タカシ様が考案された料理もあります! ここのご飯は絶品のはずですよ!!」

「そうだな。他にも、いろいろと客人をもてなすものがある。せっかくだし、聖女様に案内しようじゃないか」

「むぅ……。なんだか怪しいですけど……。とりあえず分かりましたです。僕様ちゃんもお腹が空きましたし」

 納得いかない様子ではあったが、空腹には勝てなかったようで大人しく従うリッカ。
 こうして、4人の男女はそそくさとその場を後にするのだった。

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