【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

943話 神聖なる聖女様

 タカシは、聖女リッカに求婚した。
 その場でオーケーをもらえることこそなかったものの、二人の関係性は若干の進展を見せたと言っていいだろう。
 直前には激しいバトルを繰り広げていた二人とは思えない。
 これも、タカシの尋常ならざる女好きが成せる技であろうか。
 彼からのさらなる追撃に、赤面するリッカ。
 そんな彼女の背後に、忍び寄る一つの影があった。

「はぁっ!! つ、捕まえました!!!」

 そんな声とともに現れたのはミティだった。
 彼女はその剛腕で、背後からリッカを捕らえたのだ。

「なっ!? ミティ=バーヘイル!? 何をするです!!」

 驚くリッカに対し、ミティがニヤリと笑う。

「ふふふ……油断しましたね? もう逃がしませんよ?」

 万力のような力で、リッカを羽交い締めにするミティ。
 彼女はそのまま、タカシに話し掛ける。

「タカシ様! 危険な女は、この通り捕らえました! お好きに料理してください!」

「くっ! 放せです! はーなーせーでーすーよー!!」

 ジタバタと暴れるリッカ。
 しかし、ミティの拘束を解くことはできないようだ。
 聖女としてタカシに快勝したリッカとはいえ、一度拘束された状態からミティの剛腕を振りほどくことは不可能なのだ。
 タカシが彼女たちに近づきつつ口を開く。

「ほう。見事な手際だな、ミティ」

「恐縮です!」

「さて……どうしたものか……」

 そう言いながらも、タカシは何やら思案顔である。

(ふむ……)

 彼は少し考えた後、ポンッと手を打った。
 そして、おもむろにリッカのタオルに手を掛ける。

「タカシ……。それはさすがに、マズイんじゃない……?」

 ミティに遅れてやって来たアイリスが、そう口を挟む。
 浴場で、幼女のタオルに手を掛ける全裸の男。
 本来であれば、通報待ったなしの状況だ。

 いくらタカシの第二夫人であるアイリスとはいえ――いや、第二夫人だからこそ、アイリスは注意の声を上げた。
 彼女はこのあたり、身内にも適度に厳しい。
 だが、タカシは意に介さない。

「安心しろ。単に、裸を見させてもらうだけだ。神聖なる聖女様の裸体を拝めるチャンスなど、そうそうないからな」

「ちょっ!? や、やめるです!! 見るなです!! さ、触るなです!!」

 必死に抵抗するリッカ。
 だが、彼女の抵抗は無駄に終わる。

「ふはははは! 御開帳だ!!」

 タカシの手によって、リッカのタオルはあっさりと剥ぎ取られてしまった。
 彼女の肢体が露わとなる。

 白く透き通るような肌。
 無駄な肉のない引き締まった手足。
 くびれのない腰回りには、可愛らしいおへそが見える。
 視線を上に向ければ、そこには控えめなサイズの胸がある。

 全体的にスレンダーな体型であり、第二次性徴を迎えていない少女特有の華奢な体つきだ。
 まさに天使と呼ぶに相応しい容姿をした少女がそこにいる。
 そんなリッカの姿を目の当たりにした一同の反応は様々であった。

「こ、これは……。ごくり……」

「すごい……。これが聖女様の……」

 ミティは目を輝かせて興奮し、アイリスは頬を赤らめつつも食い入るように見つめている。
 同性の二人をも魅了する神秘的な美しさを持つリッカの体。
 だが、当の本人にとってはコンプレックスの塊でしかないようだ。
 性的経験が皆無の彼女にとって、同性相手でも自分の体を見せることは最大の羞恥プレイと言えるだろう。
 ましてや、この場にはタカシもいるのだ。

「うぅ……もう駄目です……」

 涙目になりながら呟くリッカ。
 そんな彼女を他所に、タカシが言う。

「素晴らしい……。完璧だ……」

 その言葉を聞いた瞬間、リッカの表情が一変する。
 羞恥心の限界に達し、開き直ったのだ。
 彼女はキッと鋭い目つきになると、ドスの効いた声で叫ぶ。

「……おい、そこの変態野郎。僕様ちゃんのことをジロジロ見てんじゃねえです」

 突然口調が変わったことに面食らうタカシたち。
 しかし、そんな彼らをよそに、リッカは言葉を続ける。

「いいです? 僕様ちゃんは、お前の妻になるつもりなんてねえですから」

 先ほどまでとは打って変わって強気な態度を取るリッカ。
 そんなリッカを見て、タカシが微笑む。

「ふふっ! ふははははっ!」

「な、何がおかしいです!」

「いや、失敬。裸体を晒した状態で強がるお前が、あまりにも可愛らしくてな……つい笑ってしまった」

「か、可愛いだとぅ!? あ、頭沸いてやがるですか!?」

 タカシの発言を聞いて顔を赤らめるリッカ。
 そんな彼女を諭すかのように、タカシは言う。

「いいか? お前は可愛い。とても魅了的な女性だ。もっと自信を持っていいんだぞ?」

「ふ、ふざけるなです! 誰が魅力的な女性です!」

「魅力的だよ。俺が保証しよう」

「ほ、本当に……? 僕様ちゃんが、魅力的……?」

 リッカが問い返す。
 彼女は聖女だ。
 民衆から崇められた経験はある。
 また、美しい外見をしている自覚は適度にあるし、成長の止まった外見だけを見て可愛らしいと言われることも皆無ではない。
 だが、女性として魅力的と言われたことは経験がなかった。

「ああそうだとも」

「ほ、本当です……?」

「本当だとも」

「…………」

 無言で俯くリッカ。
 やがて彼女は顔を上げると、小さく呟いた。

「……だったら、証明してみろです」

 消え入りそうな声だったが、確かに聞こえた。
 それを聞いたタカシは満足げに頷いたあと、ゆっくりと口を開いた。

「いいだろう。俺の全力をもって、証明しようじゃないか」

 そう言うと、タカシはその場に膝をついたのだった。

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