【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

942話 お前も○にならないか?

 温泉に突撃したタカシ。
 そこでは、聖女リッカが入浴中だった。
 当然のごとく激怒した彼女だったが、ここで予想外のことが起こる。
 それは、タカシが彼女に惚れ込んでしまったことだ。

「素晴らしい……。素晴らしいぞ……」

 守備範囲の広い彼にとって、外見年齢10歳前後のリッカはストライクゾーン低めに入っている。
 見た目通りの少女であれば、彼もアプローチを自重したことだろう。
 しかし、リッカの実年齢は高い。
 タカシはその事実を知らないとはいえ、戦闘中のやり取りで何となく察していた。

「リッカ……。お前への提案なのだが……」

 タカシが厳かにそう切り出す。
 ちなみに、一歩出遅れたミティとアイリスは傍らで成り行きを見守っている。

「な、何です?」

 顔を赤くしたリッカがそう聞き返す。
 彼女は聖女として、非常に強固な貞操観念を持っている。
 その上、ずば抜けた戦闘能力を併せ持つ。
 これまでの彼女の人生で、異性から具体的にアプローチされたことは皆無であった。
 ましてや、入浴中に突撃してきた全裸の男から言い寄られるなど、さすがのリッカと言えども平静でいられるはずがない。

「お前も妻にならないか?」

「ふへっ?」

 突然のタカシからのプロポーズに、変な声を上げてしまうリッカ。
 まさかの発言を受けて混乱する彼女を他所に、タカシはさらに話を続ける。

「戦えば解る。お前の実年齢は20歳以上だな? その肉体……練り上げられている。至高の領域に近い」

「……ッ!? ぼ、僕様ちゃんは聖女。聖女リッカです。不埒な目で見るなです……」

「リッカ。お前は桁違いの戦闘能力を持ち、治療魔法にも長けている。……それなのになぜ、さほど幸せそうでもなさそうな顔をしている?」

「……ふぐぅ。だ、だって、無辜の人々が魔物の脅威に晒されているですから……。僕様ちゃんだけが幸せになるわけには……」

 タカシの問いに、小さな声で答えるリッカ。
 そんな彼女に、タカシは優しく微笑みかける。

「そうだ。お前が聖女だからだ。義務感から孤独に戦っているからだ。全て救おうとすれば、どこかで必ず無理が出る。……俺と共に歩んでいこう、リッカ。そうすれば、より多くの人々を救うことができる」

「うぐぐっ! む、無茶言うなです! 僕様ちゃんは聖女です! お、おいそれと承諾できるわけないでしょうがぁ!」

 顔を真っ赤にしながら反論するリッカ。
 そんな彼女に構わず、タカシは続けた。

「そうか……。俺はお前が欲しいが……仕方がないな。今日のところは諦めるとしよう」

 彼はそう言うと、ゆっくりと湯船に浸かった。
 そのまま目を閉じ、気持ちよさそうに息を吐く。
 そんな彼を横目で見ながら、リッカがポツリと呟く。

「……お、お風呂に入ってるときまで戦う必要はないです。お、大人しくしていれば、一緒に入ってやるですよ……」

「本当か!? よしっ! 俺は大人しくするぞ! 大人しくするとも!!」

 喜び勇んだタカシが、勢いよく立ち上がる。
 その際に、彼の股間がチラリと見えてしまったリッカが慌てて目を逸らす。

「な、なぜです……!」

「ん?」

「どうして大きくしているです!? こ、こんなときに盛ってるんじゃないですよ!!」

 顔を真っ赤にして叫ぶリッカ。
 そんな彼女に、タカシが言う。

「これは男の生理現象だ。気にするな」

「気にするです! ぼ、僕様ちゃんみたいな子どもをそういう目で見るなんて……! 変態です!!」

「いやいや……先ほども言ったが、お前の実年齢は20歳を超えているだろ? つまり、俺はセーフだ」

「アウトに決まってるです! 聖女の呪いで成長が止まった僕様ちゃんを見て興奮するやつは、変態の中の変態なのです!!」

 真っ赤な顔で抗議するリッカであったが、タカシはどこ吹く風である。

「落ち着けって。美しい顔が台無しだぞ? ……幼い外見とはいえ、それほどの美貌を持っているんだ。今までに言い寄られたこともあろうだろうに……」

「直接言われたことはないです。何も知らない貴族が、教会側経由で根回ししようとしたことはあったですけど……僕様ちゃんの実年齢を知ったら、みんな逃げていったです」

「へぇ? そんなことがあったのか。情けない貴族どもめ」

「君も、きっと同じことになるです。僕様ちゃんの実年齢は……」

 リッカがタカシに実年齢を伝える。

「なるほどなぁ……」

 納得したような素振りを見せるタカシ。
 そんな彼に、リッカが続けて言う。

「どうです? 下手をすれば、君の母親くらいの年齢かもしれないです」

 そう言って自虐するような笑みを浮かべるリッカだが、タカシは特に動じていないようだ。
 それどころか、平然と言ってのける。

「いや、別にどうとも思わないな」

「なぬっ!?」

 驚きのあまり固まるリッカを尻目に、タカシは彼女に近づいていく。
 そんなタカシに対して、リッカは身構える。

「言葉ではどうとでも言え――。なっ!? どうしてまだ大きくしているですか!?」

「ふっ。俺はタカシ=ハイブリッジだ。ロリコンとマザコン、両方の性質を併せ持つ」

 堂々と宣言するタカシ。
 そんな彼を見ながら、リッカはさらに顔を真っ赤にするのだった。

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