【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
928話 炎ヲ司ル者
古代遺跡の一室――ホール型の大部屋に足を踏み入れた俺、ミティ、アイリス。
床に描かれた魔法陣は各属性の魔法を極めた者がいれば起動する可能性がある……と考察しているところだ。
「ねぇ、タカシ。ボクは?」
アイリスが言う。
「この魔法陣に関してだけ言えば、アイリスに出番はないかもしれないな」
「えぇー! なんでー!」
アイリスが不満そうな声を上げる。
「この魔法陣は、各属性の魔法を極めていないとダメなんじゃないかと思うんだ」
「ボクの聖魔法はレベル5だよ? 治療魔法だってレベル4だし……」
「いや、この魔法陣で指定されているのは火、水、風、雷、土、光、影の7種類だ。聖魔法も治療魔法も対象ではないようなんだ」
「あ、そっかぁ……」
アイリスがガッカリした様子で言う。
魔法を使える者はやや珍しい。
だが、激レアというわけでもない。
特に火、水、風、雷、土の5属性は、それなりに使い手が多い。
光と影がそれに続く。
魔法の属性で有名なのはこれらの7つだと言っていいだろう。
俺がそんなことを考えているとき――。
魔法陣が光を放ち始めた。
「お?」
俺は興味深げに魔法陣を見つめる。
「どうしました?」
ミティが尋ねる。
「ああ、どうやら、この魔法陣は起動しようとしているようだ」
「「ええっ!?」」
ミティとアイリスが驚く。
そして――
『火魔法ノ位階伍ヲ確認……。風魔法ノ位階肆ヲ確認……。プドロナス、起動セリ……』
魔法陣から声が聞こえた。
「これは……?」
「何の声でしょう?」
「なんか、偉そうじゃない?」
俺たちは首を傾げる。
『我ガ名ハ、プドロナス……。火ノ紋章ニテ、炎ヲ司ル者ナリ。更ナルチカラヲ欲スルナラバ、器ヲ示セ……。サスレバ我ハ、汝ニチカラヲ与エヨウ……』
魔法陣から聞こえる声は、そう告げてきた。
「器を示せ……ってどういう意味でしょうか?」
ミティが首をひねる。
「単純に考えれば、何かと戦うのかな? それとも、魔力や闘気を解放してみるとか?」
アイリスも頭を悩ませる。
「ふむ……。とりあえず、これでどうだろう?」
俺はアイテムルームから『紅剣アヴァロン』を取り出す。
そして剣に魔力を込める。
すると、魔法陣がさらに強く光り出した。
『器ヲ確認シタ……。試練其ノ参ヘト移行ス……。異形ナルモノヨ、コノ部屋ニ現レルガイイ!』
魔法陣が一際大きな声で叫ぶ。
すると、床の魔法陣の内、火の紋章の部分が強く発光し、そこから魔物が現れた。
「「「…………」」」
奴らは無機質で感情のない視線をこちらに向けている。
これは、ダンジョン産の魔物と同じような感じだな。
魔力で生み出された疑似生命体だろう。
「こいつらを倒せば良いのでしょうか?」
「意外に簡単そうだねー」
アイリスがそう漏らす。
確かに、さほど脅威ではない魔物ばかりだ。
ゴブリン、クレイジーラビット、ハウンドウルフ、ポイズンコブラなどなど……。
こいつらはザコである。
やや手強いのはリトルベアだが、それでも今の俺たちの敵ではない。
「ちゃちゃっと片付けちゃうね」
「待ってくれ、アイリス。ミティも」
「どうされましたか? タカシ様」
アイリスとミティが不思議そうな顔を浮かべる。
「あいつは『炎を司る者』だと言っていた。そして、これは試練だと。それならば、火魔法使いである俺が一人で戦うべきじゃないか?」
「……確かに仰る通りかもしれません。わかりました」
「ケガをしたらすぐに言ってね。治療してあげるから」
「おう。よろしく頼む」
二人はあっさり引き下がった。
ここ最近の俺は、無敗に近いからな。
戦闘に関する彼女たちの信頼度も上がっているのだろう。
最後に負けたのは……いつだっけ?
王都ではネルエラ陛下にも一応は勝てたし……。
さらにその前となると、アヴァロン迷宮でのラスターレイン伯爵家戦かな?
あれは迷宮攻略の疲労とファイアードラゴン戦でのダメージが蓄積した上、相手にとって有利な雨天下での勝負だった。
万全のコンディションとは言い難かったな。
その後にきっちりリベンジできたし、今となってはいい思い出だ。
今の俺なら、誰にも負ける気がしない。
……いや、それはさすがに自信過剰か。
ネルエラ陛下には勝てたが、彼には他に奥の手がありそうな雰囲気だった。
他にも、『誓約の五騎士』を始めとしたサザリアナ王国の主力、あるいはAランク冒険者などが相手なら負けることもあるだろう。
あとは……。
聖ミリアリア統一教も結構な戦力を保持しているという話だ。
エドワード司祭やアイリスを始めとした武闘神官の他、いくつかの戦闘系の役職があるらしい。
まだまだ上を目指すためにも、ここで器を示して新たな力とやらを得ておきたいところである。
「――【影縫い】!」
まずは影魔法で動きを止める。
いい感じに敵が団子状態になったところで、俺は魔法を発動した。
「――【ファイアートルネード】!」
炎の柱が敵を焼き尽くす。
これは、駆け出し冒険者の頃にお世話になった魔法だ。
MPや魔力のステータスが上がった今なら、当時よりも高い威力を発揮することができる。
相手次第だが、まだまだ実戦で使えるレベルの魔法だ。
と、少し気を抜いたそのとき――
「タカシ様っ!」
「ん?」
ビュッ。
鋭い風切り音がした。
何かが俺の腕に直撃し、鈍い痛みをもたらす。
「ぐっ……」
それは野球ボールぐらいの石だったようだ。
発射元を見ると、魔法陣から出てきた新たな魔物たちがいた。
ちっ。
やってくれるじゃないか!
床に描かれた魔法陣は各属性の魔法を極めた者がいれば起動する可能性がある……と考察しているところだ。
「ねぇ、タカシ。ボクは?」
アイリスが言う。
「この魔法陣に関してだけ言えば、アイリスに出番はないかもしれないな」
「えぇー! なんでー!」
アイリスが不満そうな声を上げる。
「この魔法陣は、各属性の魔法を極めていないとダメなんじゃないかと思うんだ」
「ボクの聖魔法はレベル5だよ? 治療魔法だってレベル4だし……」
「いや、この魔法陣で指定されているのは火、水、風、雷、土、光、影の7種類だ。聖魔法も治療魔法も対象ではないようなんだ」
「あ、そっかぁ……」
アイリスがガッカリした様子で言う。
魔法を使える者はやや珍しい。
だが、激レアというわけでもない。
特に火、水、風、雷、土の5属性は、それなりに使い手が多い。
光と影がそれに続く。
魔法の属性で有名なのはこれらの7つだと言っていいだろう。
俺がそんなことを考えているとき――。
魔法陣が光を放ち始めた。
「お?」
俺は興味深げに魔法陣を見つめる。
「どうしました?」
ミティが尋ねる。
「ああ、どうやら、この魔法陣は起動しようとしているようだ」
「「ええっ!?」」
ミティとアイリスが驚く。
そして――
『火魔法ノ位階伍ヲ確認……。風魔法ノ位階肆ヲ確認……。プドロナス、起動セリ……』
魔法陣から声が聞こえた。
「これは……?」
「何の声でしょう?」
「なんか、偉そうじゃない?」
俺たちは首を傾げる。
『我ガ名ハ、プドロナス……。火ノ紋章ニテ、炎ヲ司ル者ナリ。更ナルチカラヲ欲スルナラバ、器ヲ示セ……。サスレバ我ハ、汝ニチカラヲ与エヨウ……』
魔法陣から聞こえる声は、そう告げてきた。
「器を示せ……ってどういう意味でしょうか?」
ミティが首をひねる。
「単純に考えれば、何かと戦うのかな? それとも、魔力や闘気を解放してみるとか?」
アイリスも頭を悩ませる。
「ふむ……。とりあえず、これでどうだろう?」
俺はアイテムルームから『紅剣アヴァロン』を取り出す。
そして剣に魔力を込める。
すると、魔法陣がさらに強く光り出した。
『器ヲ確認シタ……。試練其ノ参ヘト移行ス……。異形ナルモノヨ、コノ部屋ニ現レルガイイ!』
魔法陣が一際大きな声で叫ぶ。
すると、床の魔法陣の内、火の紋章の部分が強く発光し、そこから魔物が現れた。
「「「…………」」」
奴らは無機質で感情のない視線をこちらに向けている。
これは、ダンジョン産の魔物と同じような感じだな。
魔力で生み出された疑似生命体だろう。
「こいつらを倒せば良いのでしょうか?」
「意外に簡単そうだねー」
アイリスがそう漏らす。
確かに、さほど脅威ではない魔物ばかりだ。
ゴブリン、クレイジーラビット、ハウンドウルフ、ポイズンコブラなどなど……。
こいつらはザコである。
やや手強いのはリトルベアだが、それでも今の俺たちの敵ではない。
「ちゃちゃっと片付けちゃうね」
「待ってくれ、アイリス。ミティも」
「どうされましたか? タカシ様」
アイリスとミティが不思議そうな顔を浮かべる。
「あいつは『炎を司る者』だと言っていた。そして、これは試練だと。それならば、火魔法使いである俺が一人で戦うべきじゃないか?」
「……確かに仰る通りかもしれません。わかりました」
「ケガをしたらすぐに言ってね。治療してあげるから」
「おう。よろしく頼む」
二人はあっさり引き下がった。
ここ最近の俺は、無敗に近いからな。
戦闘に関する彼女たちの信頼度も上がっているのだろう。
最後に負けたのは……いつだっけ?
王都ではネルエラ陛下にも一応は勝てたし……。
さらにその前となると、アヴァロン迷宮でのラスターレイン伯爵家戦かな?
あれは迷宮攻略の疲労とファイアードラゴン戦でのダメージが蓄積した上、相手にとって有利な雨天下での勝負だった。
万全のコンディションとは言い難かったな。
その後にきっちりリベンジできたし、今となってはいい思い出だ。
今の俺なら、誰にも負ける気がしない。
……いや、それはさすがに自信過剰か。
ネルエラ陛下には勝てたが、彼には他に奥の手がありそうな雰囲気だった。
他にも、『誓約の五騎士』を始めとしたサザリアナ王国の主力、あるいはAランク冒険者などが相手なら負けることもあるだろう。
あとは……。
聖ミリアリア統一教も結構な戦力を保持しているという話だ。
エドワード司祭やアイリスを始めとした武闘神官の他、いくつかの戦闘系の役職があるらしい。
まだまだ上を目指すためにも、ここで器を示して新たな力とやらを得ておきたいところである。
「――【影縫い】!」
まずは影魔法で動きを止める。
いい感じに敵が団子状態になったところで、俺は魔法を発動した。
「――【ファイアートルネード】!」
炎の柱が敵を焼き尽くす。
これは、駆け出し冒険者の頃にお世話になった魔法だ。
MPや魔力のステータスが上がった今なら、当時よりも高い威力を発揮することができる。
相手次第だが、まだまだ実戦で使えるレベルの魔法だ。
と、少し気を抜いたそのとき――
「タカシ様っ!」
「ん?」
ビュッ。
鋭い風切り音がした。
何かが俺の腕に直撃し、鈍い痛みをもたらす。
「ぐっ……」
それは野球ボールぐらいの石だったようだ。
発射元を見ると、魔法陣から出てきた新たな魔物たちがいた。
ちっ。
やってくれるじゃないか!
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