【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
926話 百人力のミティ
「タカシ様! ここは私に任せていただけませんか?」
「ミティ?」
謎の聖気がアダマンタイトの巨石に流れ込んだことで、粉砕機が通じなかった。
諦めて撤収しようかと考え始めたところ、ミティが俺に向かってそう言った。
「何を任せるって? 粉砕機は、見ての通り少し離れたところに撤去済みだ。手伝ってもらう必要はないぞ」
粉砕機を使用する前には、ある程度微妙な位置調整が必要となる。
そのため、起動する前は俺とミティの二人がかりで粉砕機を動かした。
しかし、細かい位置調整を考えずに移動させるだけであれば、俺のアイテムルームで事足りる。
持ち運ぶ際に腕力は不要だ。
「いえ。私に任せていただきたいのは、アダマンタイトの巨石です」
「このアダマンタイトを?」
俺は改めて、目の前に鎮座する巨大な塊を見る。
「はい。私ならば、この巨石を持ち運ぶことが可能かもしれません」
「ほう」
俺は興味深く思う。
ミティはミリオンズ内でも随一と言われる怪力の持ち主だ。
それは間違いない。
「改めて聞くが、体調は大丈夫なのか?」
彼女はつい4か月ほど前に出産したばかりだ。
産後の経過は順調だと聞いているが、身体への負担がないわけではないだろう。
「問題ありません。むしろ、身体を動かす方が気分が良いくらいです。タカシ様がせっかく魔道具を用意されていたので黙っていたのですが、魔道具が不調であれば私の出番かと考えていました」
「…………」
「試すぐらいはいいですよね? 無理はしませんし、万が一体調が悪化したらタカシ様の治療魔法があります」
うーん。
いくらミティでも、この巨石をどうにかできるのかどうか……。
かつて、この巨石を動かそうとチャレンジした者たちがいた。
ブギー頭領とジョー副頭領のコンビでは、ビクともしなかった。
キリヤとアランのコンビで、なんとか1センチ程度動いた。
そして俺は、数センチ程度動かすことに成功した。
これらは今から半年ぐらい前の出来事だな。
ミティが妊娠中だったので、その後は魔道具を開発する方向で対策を進めることになったのだ。
産後の経過が順調な今、ミティにチャレンジしてもらう価値はあるか。
半年前の俺でも数センチ動いたのだから、今のミティであれば通行が可能になる程度まで動かせる可能性は十分にある。
「分かった。そこまで言うならやってみてくれ。ただし、危なくなったらすぐに止めるからな」
「はい!」
俺の了承を得たミティは、アダマンタイトの巨石に両手を当てる。
そして、静かに目を閉じた。
「剛拳流『侵掠すること火の如し』」
ミティが武技を発動する。
すると、彼女の全身に炎のような赤いオーラが纏わりついた。
彼女がゾルフ砦のメルビン師範の元で習得した身体能力を向上させる類の技である。
「ふっ!」
気合とともに、ミティがアダマンタイトの巨石を持ち上げようとする。
心なしか、ほんの少し浮き始めているように見える。
押したり引いたりするのではなくて、持ち上げようとするとは……。
「おお……」
「すごい……」
「はわぁ~……」
「マジかよ……」
「さすがはミティ殿……」
俺とアイリス、ジェイネフェリア、ブギー頭領、ジョー副頭領が感嘆の声を上げる。
圧巻の光景だった。
かつて錚々たる面々が挑戦して阻まれてきた巨石が、小さな少女の手によって持ち上げられようとしているのだから。
「ふんぬぅううううううう!!!」
ミティが渾身の力を込める。
巨石がゆっくりと持ち上がる。
同サイズのそこらの岩であっても、かなり重い。
ましてや、あれは比重の大きいアダマンタイトの巨石である。
相当な重量があるはずだ。
それを腕力だけで持ち上げるとは……。
やはり、ミティは凄まじいパワーを持っている。
「はああああっ!!!」
さらに、ミティが雄たけびをあげる。
その声に応えるかのように、巨石の傾きが増していく。
「もうちょいだ! 頑張れミティ!」
俺は思わず応援する。
「はいぃ!! うおぉりゃああぁぁぁ!!!」
ミティは声を張り上げながら、全力を振り絞った。
そしてついに、巨石が10センチほど浮いた。
「よし! あと少しだ! ミティ! そのままゆっくり横に運んでくれ!!」
「はい! はぁぁぁぁぁぁ!!!」
ミティは渾身の力を発揮し、体を横に向ける。
そして、巨石をゆっくり運び始めた。
「「「「「おおぉぉぉ!!!」」」」」
俺たちは歓喜の声を上げた。
彼女は元々あった位置から1メートルほど離れた場所に巨石を置くことに成功した。
ミティは本当にアダマンタイトの巨石をどうにかしてみせたのだ。
これは快挙である。
誰もが不可能だと思っていたことを成し遂げたのだから。
彼女のおかげで、無事に古代遺跡の入口が開放されたことになるわけだ。
「はぁ……、はぁ……、どうですか? タカシ様」
額に汗を浮かべたミティが、俺の方を見る。
「見事だ、ミティ」
「ありがとうございます」
「ミティは俺の自慢の妻だよ。愛してる」
俺はミティを抱きしめてそう言った。
「私もです」
ミティは笑顔で応える。
こうして俺は、古代遺跡の新たなルート開通に成功したのであった。
*****
無邪気に喜ぶタカシたち。
少し離れた物陰から、その様子を伺っている者がいた。
(ば、バカな……です。いくら”百人力”のミティ=バーヘイルと言っても、あの重量を腕力で動かすなんてあり得ないです)
謎の少女リッカであった。
フレンダを撃破した彼女は、次なる目的であるタカシとアイリスがいるこの場に来ていたのだ。
(くっ……。運命が……世界の調律が乱れるです。タカシ=ハイブリッジが”向こう側”に行くのは何とか阻止しないと……。主よ、どうか見守っていてくださいです)
リッカはタカシたちの様子を確認しつつ、次の行動を考えるのだった。
「ミティ?」
謎の聖気がアダマンタイトの巨石に流れ込んだことで、粉砕機が通じなかった。
諦めて撤収しようかと考え始めたところ、ミティが俺に向かってそう言った。
「何を任せるって? 粉砕機は、見ての通り少し離れたところに撤去済みだ。手伝ってもらう必要はないぞ」
粉砕機を使用する前には、ある程度微妙な位置調整が必要となる。
そのため、起動する前は俺とミティの二人がかりで粉砕機を動かした。
しかし、細かい位置調整を考えずに移動させるだけであれば、俺のアイテムルームで事足りる。
持ち運ぶ際に腕力は不要だ。
「いえ。私に任せていただきたいのは、アダマンタイトの巨石です」
「このアダマンタイトを?」
俺は改めて、目の前に鎮座する巨大な塊を見る。
「はい。私ならば、この巨石を持ち運ぶことが可能かもしれません」
「ほう」
俺は興味深く思う。
ミティはミリオンズ内でも随一と言われる怪力の持ち主だ。
それは間違いない。
「改めて聞くが、体調は大丈夫なのか?」
彼女はつい4か月ほど前に出産したばかりだ。
産後の経過は順調だと聞いているが、身体への負担がないわけではないだろう。
「問題ありません。むしろ、身体を動かす方が気分が良いくらいです。タカシ様がせっかく魔道具を用意されていたので黙っていたのですが、魔道具が不調であれば私の出番かと考えていました」
「…………」
「試すぐらいはいいですよね? 無理はしませんし、万が一体調が悪化したらタカシ様の治療魔法があります」
うーん。
いくらミティでも、この巨石をどうにかできるのかどうか……。
かつて、この巨石を動かそうとチャレンジした者たちがいた。
ブギー頭領とジョー副頭領のコンビでは、ビクともしなかった。
キリヤとアランのコンビで、なんとか1センチ程度動いた。
そして俺は、数センチ程度動かすことに成功した。
これらは今から半年ぐらい前の出来事だな。
ミティが妊娠中だったので、その後は魔道具を開発する方向で対策を進めることになったのだ。
産後の経過が順調な今、ミティにチャレンジしてもらう価値はあるか。
半年前の俺でも数センチ動いたのだから、今のミティであれば通行が可能になる程度まで動かせる可能性は十分にある。
「分かった。そこまで言うならやってみてくれ。ただし、危なくなったらすぐに止めるからな」
「はい!」
俺の了承を得たミティは、アダマンタイトの巨石に両手を当てる。
そして、静かに目を閉じた。
「剛拳流『侵掠すること火の如し』」
ミティが武技を発動する。
すると、彼女の全身に炎のような赤いオーラが纏わりついた。
彼女がゾルフ砦のメルビン師範の元で習得した身体能力を向上させる類の技である。
「ふっ!」
気合とともに、ミティがアダマンタイトの巨石を持ち上げようとする。
心なしか、ほんの少し浮き始めているように見える。
押したり引いたりするのではなくて、持ち上げようとするとは……。
「おお……」
「すごい……」
「はわぁ~……」
「マジかよ……」
「さすがはミティ殿……」
俺とアイリス、ジェイネフェリア、ブギー頭領、ジョー副頭領が感嘆の声を上げる。
圧巻の光景だった。
かつて錚々たる面々が挑戦して阻まれてきた巨石が、小さな少女の手によって持ち上げられようとしているのだから。
「ふんぬぅううううううう!!!」
ミティが渾身の力を込める。
巨石がゆっくりと持ち上がる。
同サイズのそこらの岩であっても、かなり重い。
ましてや、あれは比重の大きいアダマンタイトの巨石である。
相当な重量があるはずだ。
それを腕力だけで持ち上げるとは……。
やはり、ミティは凄まじいパワーを持っている。
「はああああっ!!!」
さらに、ミティが雄たけびをあげる。
その声に応えるかのように、巨石の傾きが増していく。
「もうちょいだ! 頑張れミティ!」
俺は思わず応援する。
「はいぃ!! うおぉりゃああぁぁぁ!!!」
ミティは声を張り上げながら、全力を振り絞った。
そしてついに、巨石が10センチほど浮いた。
「よし! あと少しだ! ミティ! そのままゆっくり横に運んでくれ!!」
「はい! はぁぁぁぁぁぁ!!!」
ミティは渾身の力を発揮し、体を横に向ける。
そして、巨石をゆっくり運び始めた。
「「「「「おおぉぉぉ!!!」」」」」
俺たちは歓喜の声を上げた。
彼女は元々あった位置から1メートルほど離れた場所に巨石を置くことに成功した。
ミティは本当にアダマンタイトの巨石をどうにかしてみせたのだ。
これは快挙である。
誰もが不可能だと思っていたことを成し遂げたのだから。
彼女のおかげで、無事に古代遺跡の入口が開放されたことになるわけだ。
「はぁ……、はぁ……、どうですか? タカシ様」
額に汗を浮かべたミティが、俺の方を見る。
「見事だ、ミティ」
「ありがとうございます」
「ミティは俺の自慢の妻だよ。愛してる」
俺はミティを抱きしめてそう言った。
「私もです」
ミティは笑顔で応える。
こうして俺は、古代遺跡の新たなルート開通に成功したのであった。
*****
無邪気に喜ぶタカシたち。
少し離れた物陰から、その様子を伺っている者がいた。
(ば、バカな……です。いくら”百人力”のミティ=バーヘイルと言っても、あの重量を腕力で動かすなんてあり得ないです)
謎の少女リッカであった。
フレンダを撃破した彼女は、次なる目的であるタカシとアイリスがいるこの場に来ていたのだ。
(くっ……。運命が……世界の調律が乱れるです。タカシ=ハイブリッジが”向こう側”に行くのは何とか阻止しないと……。主よ、どうか見守っていてくださいです)
リッカはタカシたちの様子を確認しつつ、次の行動を考えるのだった。
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