【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
920話 君の魂を救済してあげるです
エレナたちが宴会を楽しんだ日から数日後――
「ここですか。ラーグという街は。なかなか発展しているですね」
白い神官服に身を包んだ幼女――リッカが、目の前の光景を見て呟く。
彼女の視線の先には、立派な街並みが広がっていた。
ここはハイブリッジ男爵領の領都ラーグである。
「僕様ちゃんがここに来た目的の人物は三人。フレンダ=ハートフィールド、アイリス=シルヴェスタ、タカシ=ハイブリッジ……。聖ミリアリア統一教にとって、今回の任務は重要なものになるです。気を引き締めるとするです」
リッカは独り言を続ける。
彼女は出身地は、中央大陸のミネア聖国だ。
そして、聖ミリアリア統一教会において役職にも就いている。
彼女は、とある事情から生まれ故郷の故郷を離れ、ここまでやって来たのだ。
目的を果たすべく、彼女は歩き出す。
路地裏に入ったところで、一人の男が彼女の前に姿を現した。
「リッカ様、お久しゅうございます」
「君は……諜報部隊の人です?」
「はい、覚えていてくださったのですか?」
「当然です。下々の者たちの顔を覚えるのも、世界を平和にするために必要なことです」
「ありがたき幸せに存じます。それでは、例の者どもの情報をお渡しいたします。まずは……」
二人の間に会話が続く。
リッカは男から情報を受け取った。
「ありがとうです。あとは僕様ちゃんに任せるです。君は念のため、ここで待機しているです」
「はっ! 仰せのままに!」
男は命令に従い、路地裏の影に消えた。
「さてと、早速向かうとするかです。簡単なところから片付けていくです」
リッカは再び歩き出した。
そして、西の門から街の外に出る。
そのまま街道に沿って進んでいく。
彼女は馬車を利用していないし、タカシのように空飛ぶ魔法の絨毯を使用しているわけでもない。
徒歩だ。
しかし、疲れた様子は見られない。
むしろ、足取りは軽やかだ。
常人が走る以上の速度で、彼女はグングンと進み続けた。
そして、西の森の中で、目的の人物を発見する。
「君がフレンダ=ハートフィールドです?」
「え? ……誰なの~?」
フレンダが振り返った。
彼女は西の森で狩りをしているところだった。
元は3人パーティを組んでいたが、タカシのお気に入りとなった彼女には用事が入ることも多い。
そのため、元のパーティメンバーはそれぞれ別のパーティに加入している。
今のフレンダは、あくまで隙間時間を使って狩りをする冒険者として活動していた。
お気楽なソロ冒険者である。
「僕様ちゃんが誰かなど、どうでもよろしいです。それより、聞きたいことがあるのです」
「うーん、お姉さんも暇じゃないんだけどな~」
「これは君の命に関わる話です」
「……どういうことかな~?」
フレンダの目つきが変わる。
そこには、微かな殺気が宿っていた。
「フレンダ=ハートフィールド。君は聖ミリアリア統一教の信徒ではないですね?」
「うん。違うよ~」
フレンダが答える。
この新大陸において、聖ミリアリア統一教の認知度はさほどでもない。
武闘神官として各地を回ってきたエドワード司祭やアイリスの活動によって、ラーグの街やゾルフ砦周辺で徐々に広まりつつある、という程度だ。
フレンダが信徒ではないことは、リッカにとっても想定内ではある。
「それでは、家族や友人に信徒はいるです? あるいは、聖ミリアリア統一教の司祭や武闘神官にお世話になったことはあるです?」
「……ないよ」
フレンダ、そしてリッカの雰囲気が変わった。
先ほどまでの緩い空気が消え失せる。
代わりに、ピリついた緊張感が漂ってきた。
「……次の質問です。君は聖魔法を扱えるですね」
「…………」
「沈黙は肯定とみなすです。そして、その実力も非常に高いはずです」
「……一体どこでそれを? 私の奥の手を知っている人は、ほとんどいないはずなのに……」
通常時のフレンダは聖魔法を使えない。
敵から一定以上のダメージを受けた際に発動できる特殊武技『満月を探して(セイクリッド・フルムーン)』を使用した場合のみ、上級聖魔法に匹敵する浄化の光を放つことができる。
その事実を知る者は少ない。
彼女は自分の奥の手を隠していたからだ。
知っているのは、パーティメンバーの二人ぐらいのはず。
だが、目の前の幼女はその秘密を見破っている。
「情報の出どころなど、どうでもよろしいです。……次が最後の質問です。君が信仰する神の名を教えてくださいです」
「……神様だって? 私はそんなの信じていないよ」
それはフレンダの本心であった。
タカシが疑念を抱いている通り、彼女は日本育ちの地球人である。
初詣には神社に行くし、クリスマスにはケーキを食べる。
だが、それは神様の存在を心の底から信じているからではない。
その点で、この世界における宗教観と彼女の価値観は乖離していた。
「そうですか……。ならば、仕方がないです。……君の魂を救済してあげるです」
リッカは目を細め、レイピアを構える。
フレンダの発言は迂闊なものだった。
ガチの宗教信者の前で、神を信じないと口走ってしまったのだ。
タカシなら、同じようには答えなかっただろう。
彼はこの世界で『ミッション』や『魔法』という存在に触れ、『神様が実在するかどうかは分からない。だが、それに近しい力を持つ超常の存在がいる可能性は高い』と考えていた。
そしてその考えに従って、彼は一つの行動指針を持っていた。
すなわち、『できるだけその超常の存在の意向に沿って行動していこう』というものだ。
当然、神様を信奉する勢力を刺激しないように配慮もしたはずである。
だが、残念ながらフレンダはそこまで考えが至っていなかった。
彼女の記憶喪失が完治していないことの影響も大きいので、彼女が考えたらずというわけでは決してないが……。
それでも、迂闊な返答であったことは事実。
「なに? 私とやる気なの? 君のような子どもが?」
「年齢は関係ないです。不届き者は成敗するのみです」
フレンダが闘気を開放し、リッカが聖気を開放する。
こうして、二人は敵対することになってしまったのだった。
「ここですか。ラーグという街は。なかなか発展しているですね」
白い神官服に身を包んだ幼女――リッカが、目の前の光景を見て呟く。
彼女の視線の先には、立派な街並みが広がっていた。
ここはハイブリッジ男爵領の領都ラーグである。
「僕様ちゃんがここに来た目的の人物は三人。フレンダ=ハートフィールド、アイリス=シルヴェスタ、タカシ=ハイブリッジ……。聖ミリアリア統一教にとって、今回の任務は重要なものになるです。気を引き締めるとするです」
リッカは独り言を続ける。
彼女は出身地は、中央大陸のミネア聖国だ。
そして、聖ミリアリア統一教会において役職にも就いている。
彼女は、とある事情から生まれ故郷の故郷を離れ、ここまでやって来たのだ。
目的を果たすべく、彼女は歩き出す。
路地裏に入ったところで、一人の男が彼女の前に姿を現した。
「リッカ様、お久しゅうございます」
「君は……諜報部隊の人です?」
「はい、覚えていてくださったのですか?」
「当然です。下々の者たちの顔を覚えるのも、世界を平和にするために必要なことです」
「ありがたき幸せに存じます。それでは、例の者どもの情報をお渡しいたします。まずは……」
二人の間に会話が続く。
リッカは男から情報を受け取った。
「ありがとうです。あとは僕様ちゃんに任せるです。君は念のため、ここで待機しているです」
「はっ! 仰せのままに!」
男は命令に従い、路地裏の影に消えた。
「さてと、早速向かうとするかです。簡単なところから片付けていくです」
リッカは再び歩き出した。
そして、西の門から街の外に出る。
そのまま街道に沿って進んでいく。
彼女は馬車を利用していないし、タカシのように空飛ぶ魔法の絨毯を使用しているわけでもない。
徒歩だ。
しかし、疲れた様子は見られない。
むしろ、足取りは軽やかだ。
常人が走る以上の速度で、彼女はグングンと進み続けた。
そして、西の森の中で、目的の人物を発見する。
「君がフレンダ=ハートフィールドです?」
「え? ……誰なの~?」
フレンダが振り返った。
彼女は西の森で狩りをしているところだった。
元は3人パーティを組んでいたが、タカシのお気に入りとなった彼女には用事が入ることも多い。
そのため、元のパーティメンバーはそれぞれ別のパーティに加入している。
今のフレンダは、あくまで隙間時間を使って狩りをする冒険者として活動していた。
お気楽なソロ冒険者である。
「僕様ちゃんが誰かなど、どうでもよろしいです。それより、聞きたいことがあるのです」
「うーん、お姉さんも暇じゃないんだけどな~」
「これは君の命に関わる話です」
「……どういうことかな~?」
フレンダの目つきが変わる。
そこには、微かな殺気が宿っていた。
「フレンダ=ハートフィールド。君は聖ミリアリア統一教の信徒ではないですね?」
「うん。違うよ~」
フレンダが答える。
この新大陸において、聖ミリアリア統一教の認知度はさほどでもない。
武闘神官として各地を回ってきたエドワード司祭やアイリスの活動によって、ラーグの街やゾルフ砦周辺で徐々に広まりつつある、という程度だ。
フレンダが信徒ではないことは、リッカにとっても想定内ではある。
「それでは、家族や友人に信徒はいるです? あるいは、聖ミリアリア統一教の司祭や武闘神官にお世話になったことはあるです?」
「……ないよ」
フレンダ、そしてリッカの雰囲気が変わった。
先ほどまでの緩い空気が消え失せる。
代わりに、ピリついた緊張感が漂ってきた。
「……次の質問です。君は聖魔法を扱えるですね」
「…………」
「沈黙は肯定とみなすです。そして、その実力も非常に高いはずです」
「……一体どこでそれを? 私の奥の手を知っている人は、ほとんどいないはずなのに……」
通常時のフレンダは聖魔法を使えない。
敵から一定以上のダメージを受けた際に発動できる特殊武技『満月を探して(セイクリッド・フルムーン)』を使用した場合のみ、上級聖魔法に匹敵する浄化の光を放つことができる。
その事実を知る者は少ない。
彼女は自分の奥の手を隠していたからだ。
知っているのは、パーティメンバーの二人ぐらいのはず。
だが、目の前の幼女はその秘密を見破っている。
「情報の出どころなど、どうでもよろしいです。……次が最後の質問です。君が信仰する神の名を教えてくださいです」
「……神様だって? 私はそんなの信じていないよ」
それはフレンダの本心であった。
タカシが疑念を抱いている通り、彼女は日本育ちの地球人である。
初詣には神社に行くし、クリスマスにはケーキを食べる。
だが、それは神様の存在を心の底から信じているからではない。
その点で、この世界における宗教観と彼女の価値観は乖離していた。
「そうですか……。ならば、仕方がないです。……君の魂を救済してあげるです」
リッカは目を細め、レイピアを構える。
フレンダの発言は迂闊なものだった。
ガチの宗教信者の前で、神を信じないと口走ってしまったのだ。
タカシなら、同じようには答えなかっただろう。
彼はこの世界で『ミッション』や『魔法』という存在に触れ、『神様が実在するかどうかは分からない。だが、それに近しい力を持つ超常の存在がいる可能性は高い』と考えていた。
そしてその考えに従って、彼は一つの行動指針を持っていた。
すなわち、『できるだけその超常の存在の意向に沿って行動していこう』というものだ。
当然、神様を信奉する勢力を刺激しないように配慮もしたはずである。
だが、残念ながらフレンダはそこまで考えが至っていなかった。
彼女の記憶喪失が完治していないことの影響も大きいので、彼女が考えたらずというわけでは決してないが……。
それでも、迂闊な返答であったことは事実。
「なに? 私とやる気なの? 君のような子どもが?」
「年齢は関係ないです。不届き者は成敗するのみです」
フレンダが闘気を開放し、リッカが聖気を開放する。
こうして、二人は敵対することになってしまったのだった。
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