【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
919話 実力行使
エレナが暴走している。
ハイブリッジ男爵製の物品を欲しがっているのだ。
「さあ、村人ども! 私の要求を呑むの? それとも拒んで村を滅ぼされたいの!?」
「ど、どうしたら良いんでしょうか……」
「村を救ってくださったことは感謝しておりますが……。しかし、領主様から下賜されたものを簡単に差し出すわけには……」
「そうだよね……」
村人たちが顔を見合わせ、困り果てる。
そこらで手に入れたごく普通のナイフや服であれば、いくらでも譲ったことだろう。
だが、貴族から下賜された品となると話は別だ。
安易に渡せるものではない。
「何よ! お金があればいいのかしら!? それなら、私の貯金で金貨30枚くらい出してあげるわ!」
「き、金貨30枚!? ナイフ一つにですか!?」
「そうよ! これで文句はないでしょう!」
「い、いえ、そういう問題ではなく……」
「じゃあどういう問題があるっていうのよ!」
「それは……」
村人が口ごもる。
問題点は上手く言語化できないが、何かがマズイ気がしているのだ。
貴族から下賜された、性能自体は何の変哲もないナイフや服。
それを他の者に高値で売りつける。
現代の地球で例えるなら、『プロスポーツ選手にサインしてもらった自分の普段着』や『一流漫画家の直筆サイン付きのコミック本』を、ネットオークションで転売するようなものだろうか。
それは本当に許される行為なのかどうか。
村人たちの倫理観が警鐘を鳴らしている。
「くっ……。強情な連中ね……。こうなったら実力行使よ!」
「ええっ!?」
「エレナっち、何をするつもりっすか?」
「決まってるじゃない! こうするのよ! はああぁ……!!」
エレナが魔力を開放する。
これで彼女は臨戦態勢に入った。
「みんな、ここから離れてー!」
「え?」
「早くっす!」
「は、はいっ!」
ルリイとテナが村人たちに指示を出す。
だが、すでに遅かった。
「ちょうだい、ちょうだい、ちょうだい! タカシ様のものをちょうだいー!!」
エレナが地面に背中を向けて倒れ込む。
そして、そのまま手足を激しくバタつかせ始めた。
まさに駄々っ子だった。
「エレナちゃん、落ち着いてー!」
「こ、これはマズイっす! Cランク冒険者としての威厳が!」
「またBランク昇格が遠のいちゃうよー!」
ルリイとテナがエレナの身体を抑えつけようと試みるが、エレナは止まらない。
彼女たちは、エレナが村人たちを殺戮することを懸念していたわけではない。
付き合いの長いパーティメンバーの気質ぐらいは知っている。
エレナが自分の欲求を満たすために暴力を振るうことはまずない。
最初は威圧的に素直な要求をぶつけ、次は恩義などを交渉材料にする。
それでも上手くいかなければ金の力で強引に押し通す。
これが彼女の常套手段なのだ。
「ちょうだい、ちょうだい、ちょうだい!!」
金でも相手が動かないとなれば、エレナが次に取る行動は決まっている。
この通り、駄々っ子のように暴れまわるのだ。
「ちょっとエレナちゃん! お願いだから大人しくしてよー!」
「そうっすよ! これ以上、迷惑をかけちゃダメっす!」
「やだー! タカシ様のものをくれるまで絶対にやめないんだから!!」
「えぇーっ!?」
「そ、そんな無茶苦茶っす!!」
エレナは一向に落ち着く気配がない。
ルリイとテナは困り果てた。
「あの……お二方……」
「村長さん、助けてくださいー」
「困ったっす」
「こちらの杖であれば、その……お譲りしてもよろしいのですが……」
「ええっ!?」
「ほ、ほんとうっすか!? さすが村長さんっす!」
ルリイとテナは驚いた。
まさか、こんな展開になるとは思わなかったからだ。
「これは火魔法使い向けの杖らしいのです。しかし困ったことに、この村に火魔法の適性を持つ者はおりませんで……。他の属性持ちは幾人か覚醒の兆しが見えるのですが……」
「な、なるほどー」
「そういうことっすか」
タカシは、ハイブリッジ男爵領の各村を一度は訪問している。
魔法使いの才能を持つものはやや珍しい。
だが、激レアというわけでもない。
正しく指導すれば、村単位でも数人以上の魔法使いが見つかる可能性が高いと見ている。
そのため、彼は各村を訪問して初級魔法を指導し、覚醒に備えて各属性向けの簡易的な杖を支給していた。
この村には火魔法以外の適性を持った者はいた一方で、火魔法の適性を持った者はいなかったようだ。
「まあ、確かにそれなら……」
「いただいても問題なさそうっすね。……ほら、エレナっちも納得したみたいっす」
「ふぎゃぁあああ!! やったわ! タカシ様のものゲットよー!!」
エレナが狂気乱舞する。
これにて、何とか一件落着となったのであった。
その日の夜――。
エレナたち『三日月の舞』は、村の一角にある家の一室を借りていた。
ルリイとテナは既に寝入っている。
そして、エレナはベッドの上で悶々としていた。
(ああっ……。タカシ様の香りがするわ……。なんて芳しいのかしら……。それに、この枕……。最高すぎるわ)
エレナは、先ほどもらったばかりの杖を抱きしめている。
そして、杖に鼻先を埋めて深呼吸を繰り返していた。
(はあ……。はあ……)
彼女は頬を紅潮させ、息を荒げながら、自分の身体を抱き締める。
そして、ゆっくりと下着の中に手を入れていく。
(ダメっ……。これだけじゃ満足できない……。そうだ、杖を使ってみましょう……。きっと、すごく気持ちいいはずだわ……)
ルリイとテナが隣で眠っていることを忘れてしまったかのように、エレナは自分の世界に入り込んでいくのだった。
ハイブリッジ男爵製の物品を欲しがっているのだ。
「さあ、村人ども! 私の要求を呑むの? それとも拒んで村を滅ぼされたいの!?」
「ど、どうしたら良いんでしょうか……」
「村を救ってくださったことは感謝しておりますが……。しかし、領主様から下賜されたものを簡単に差し出すわけには……」
「そうだよね……」
村人たちが顔を見合わせ、困り果てる。
そこらで手に入れたごく普通のナイフや服であれば、いくらでも譲ったことだろう。
だが、貴族から下賜された品となると話は別だ。
安易に渡せるものではない。
「何よ! お金があればいいのかしら!? それなら、私の貯金で金貨30枚くらい出してあげるわ!」
「き、金貨30枚!? ナイフ一つにですか!?」
「そうよ! これで文句はないでしょう!」
「い、いえ、そういう問題ではなく……」
「じゃあどういう問題があるっていうのよ!」
「それは……」
村人が口ごもる。
問題点は上手く言語化できないが、何かがマズイ気がしているのだ。
貴族から下賜された、性能自体は何の変哲もないナイフや服。
それを他の者に高値で売りつける。
現代の地球で例えるなら、『プロスポーツ選手にサインしてもらった自分の普段着』や『一流漫画家の直筆サイン付きのコミック本』を、ネットオークションで転売するようなものだろうか。
それは本当に許される行為なのかどうか。
村人たちの倫理観が警鐘を鳴らしている。
「くっ……。強情な連中ね……。こうなったら実力行使よ!」
「ええっ!?」
「エレナっち、何をするつもりっすか?」
「決まってるじゃない! こうするのよ! はああぁ……!!」
エレナが魔力を開放する。
これで彼女は臨戦態勢に入った。
「みんな、ここから離れてー!」
「え?」
「早くっす!」
「は、はいっ!」
ルリイとテナが村人たちに指示を出す。
だが、すでに遅かった。
「ちょうだい、ちょうだい、ちょうだい! タカシ様のものをちょうだいー!!」
エレナが地面に背中を向けて倒れ込む。
そして、そのまま手足を激しくバタつかせ始めた。
まさに駄々っ子だった。
「エレナちゃん、落ち着いてー!」
「こ、これはマズイっす! Cランク冒険者としての威厳が!」
「またBランク昇格が遠のいちゃうよー!」
ルリイとテナがエレナの身体を抑えつけようと試みるが、エレナは止まらない。
彼女たちは、エレナが村人たちを殺戮することを懸念していたわけではない。
付き合いの長いパーティメンバーの気質ぐらいは知っている。
エレナが自分の欲求を満たすために暴力を振るうことはまずない。
最初は威圧的に素直な要求をぶつけ、次は恩義などを交渉材料にする。
それでも上手くいかなければ金の力で強引に押し通す。
これが彼女の常套手段なのだ。
「ちょうだい、ちょうだい、ちょうだい!!」
金でも相手が動かないとなれば、エレナが次に取る行動は決まっている。
この通り、駄々っ子のように暴れまわるのだ。
「ちょっとエレナちゃん! お願いだから大人しくしてよー!」
「そうっすよ! これ以上、迷惑をかけちゃダメっす!」
「やだー! タカシ様のものをくれるまで絶対にやめないんだから!!」
「えぇーっ!?」
「そ、そんな無茶苦茶っす!!」
エレナは一向に落ち着く気配がない。
ルリイとテナは困り果てた。
「あの……お二方……」
「村長さん、助けてくださいー」
「困ったっす」
「こちらの杖であれば、その……お譲りしてもよろしいのですが……」
「ええっ!?」
「ほ、ほんとうっすか!? さすが村長さんっす!」
ルリイとテナは驚いた。
まさか、こんな展開になるとは思わなかったからだ。
「これは火魔法使い向けの杖らしいのです。しかし困ったことに、この村に火魔法の適性を持つ者はおりませんで……。他の属性持ちは幾人か覚醒の兆しが見えるのですが……」
「な、なるほどー」
「そういうことっすか」
タカシは、ハイブリッジ男爵領の各村を一度は訪問している。
魔法使いの才能を持つものはやや珍しい。
だが、激レアというわけでもない。
正しく指導すれば、村単位でも数人以上の魔法使いが見つかる可能性が高いと見ている。
そのため、彼は各村を訪問して初級魔法を指導し、覚醒に備えて各属性向けの簡易的な杖を支給していた。
この村には火魔法以外の適性を持った者はいた一方で、火魔法の適性を持った者はいなかったようだ。
「まあ、確かにそれなら……」
「いただいても問題なさそうっすね。……ほら、エレナっちも納得したみたいっす」
「ふぎゃぁあああ!! やったわ! タカシ様のものゲットよー!!」
エレナが狂気乱舞する。
これにて、何とか一件落着となったのであった。
その日の夜――。
エレナたち『三日月の舞』は、村の一角にある家の一室を借りていた。
ルリイとテナは既に寝入っている。
そして、エレナはベッドの上で悶々としていた。
(ああっ……。タカシ様の香りがするわ……。なんて芳しいのかしら……。それに、この枕……。最高すぎるわ)
エレナは、先ほどもらったばかりの杖を抱きしめている。
そして、杖に鼻先を埋めて深呼吸を繰り返していた。
(はあ……。はあ……)
彼女は頬を紅潮させ、息を荒げながら、自分の身体を抱き締める。
そして、ゆっくりと下着の中に手を入れていく。
(ダメっ……。これだけじゃ満足できない……。そうだ、杖を使ってみましょう……。きっと、すごく気持ちいいはずだわ……)
ルリイとテナが隣で眠っていることを忘れてしまったかのように、エレナは自分の世界に入り込んでいくのだった。
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