【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
910話 トリスタからの大切な話
家族水入らずの温泉から数日が経過した。
ちょっとしたハプニングはあったものの、俺たちの夫婦仲やパーティの絆は更に深まっている。
西の森の狩りも順調だ。
雪月花、トミー、アランたちを中心に頑張ってくれている。
フレンダはというと、俺とのアレコレを優先しているため狩りへの参加頻度がやや落ちている。
その間、彼女のパーティメンバー2人――取り巻き1・取り巻き2はどうしているのか?
別にコンビでも活動はできる。
Bランクのフレンダに比べると見劣りするとはいえ、それぞれCランクなので実力はある。
だが、彼女たちはコンビで活動するのではなく、他のパーティに一時加入することを選んだらしい。
「さぁ、トミー! 今日も狩りに行くわよっ!」
「ちょっと待ってくれ。まだ準備中で……」
「行動が遅い! さっさとしなさい!!」
「へいへい……」
取り巻き1はトミー率いる『緑の嵐』へ加入した。
トミーから見て取り巻き1は同格だ。
以前から多少の交流はあったようで、すんなりと連携できているようだ。
どこか尻に敷かれている気がするのは気のせいだろうか。
「はん! トミーは情けねぇ奴だぜ! こりゃ俺がCランクに上がって追いつくのも時間の問題のようだな!!」
「何を調子に乗っているのですか? お前はお前でやることがあるでしょう」
「はぁ? 今日の狩りの準備は万端で――」
「服にほつれがあります。こうした少しの手抜きが、戦闘中に致命的なピンチを招くこともあると言ったでしょうが」
「ちっ……」
取り巻き2はアラン率いる『紅蓮の刃』に加入した。
アランから見て取り巻き2は格上だ。
中堅冒険者としての戦闘技法や心構えなどを伝授されているらしい。
確かに、服のメンテナンスは大切だよな。
ついつい剣や鎧の手入ればかり優先してしまう。
それにしても、こっちはこっちで尻に敷かれている。
まぁ、Dランクのアランよりも彼女の方が格上なので、ある程度は仕方ないことだが。
彼女からいい刺激を受けることができれば、アランのCランク昇格も近そうだ。
「――それで? 話っていうのはなんだ? トリスタ」
「うん。これは極めて重要な事柄なんだけど……」
俺とトリスタは、ハイブリッジ邸の個室で向かい合って座っている。
トリスタが俺に相談があると言ってきたのだ。
これはヤバいかもしれない。
彼は労働嫌いだ。
可能な限り配慮してきたつもりなのだが、彼はとても優秀なのでついつい仕事を振ってしまうのだ。
ラーグの文官として働きつつ、ハイブリッジ邸のアレコレについてセバスの補佐を行い、農業改革においてはニムやニルスの補佐を務め、西の森の開発も監督し、ビリオンズ創設にあたってはクリスティの指示のもと諸々を準備するなど、様々な業務をこなしている。
それだけでも大変だというのに、最近はリンドウ開発についてブギー頭領やアビーに助言もしている。
彼の仕事量はかなりのものだろう。
「週休3日でどうだ?」
「へ?」
「休みをもっと増やそうか?」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 何の話だい?」
「トリスタの仕事量が多すぎるって話じゃないのか? それで仕事を辞めようとか……」
「そんなことしないけど……」
「えっ!?」
「えっ!?」
「……」
「……」
「……違うのか?」
「……うん。ヒナからは『もっと稼げ。お腹の子が可愛くないのか』なんて言われるぐらいだし、過剰に休むつもりはないよ。もちろん、辞める気もない」
「そ、そうなのか」
俺はてっきり、過労で倒れる寸前なのかと思ったのだが……。
違ったのか。
まぁよく考えれば、彼には加護(小)を付与済みだったしな。
その恩恵により身体能力が向上している。
多少のハードワークも可能だ。
俺も、日本にいるときとは比べ物にならないぐらい働いているし。
別に俺の性格が働き者の頑張りやさんになったわけではなくて、チートにより体力がついただけだ。
抜群の体力や各種スキルを持つ俺にとっての適度な仕事量というのは、一般人から見て相当なハードワークである。
トリスタの場合も、似たようなものか。
「じゃあ、一体なんの相談なんだよ」
「実はさ――」
「うん」
「図書館が欲しいんだけど……」
「……」
「……」
「……えっ!?」
俺は耳を疑った。
今、図書館って言った?
この世界の本は貴重品だ。
本を印刷できるほど、印刷技術が発達していない。
よって、基本的に手書きによる写本になる。
あるいは、魔法による転写か。
いずれにせよ、値段も相応に高い。
「……トリスタ。お前、ついに狂ったのか? よりによって、なんで図書館なんか……」
「ひどい言い草だね……。僕の趣味が読書だってことは知ってるでしょ? だからだよ」
「そう言えばそうだったか。ふむ……」
図書館の建造。
メリットは、一般民衆たちに広く知識を広められるということと、トリスタの満足度が上がること。
デメリットは、施設の建設や管理、本の購入に費用が掛かることか。
ラフィーナの村から飛んで訪れたとある街にも、小さめだが図書館はあった。
今後ますます発展していくハイブリッジ男爵領ならば、立派な図書館があってもいいかもしれない。
「建設の候補地はあるのか? ラーグの街の中心部は手狭だが……。小さめの図書館なら何とかなるか?」
「とりあえずはそれでもいいけど……。僕の希望としては、王都にあるような規模の大きなものがいいな」
「そんな場所がどこにある」
ハイブリッジ男爵家の権力や武力を用いれば、不可能ではない。
だが、それをすると色々と面倒臭いことになる。
「ま、いろいろ検討してみるよ。図書館の建造については、賛成の方向性ってことでいいんだね?」
「ああ。好きにするといい」
もともと、トリスタに対しては白紙委任に近い形で諸々を任せている。
彼なら、暴走して変なことをすることもないだろう。
俺は安心して、彼に図書館建造を丸投げするのだった。
ちょっとしたハプニングはあったものの、俺たちの夫婦仲やパーティの絆は更に深まっている。
西の森の狩りも順調だ。
雪月花、トミー、アランたちを中心に頑張ってくれている。
フレンダはというと、俺とのアレコレを優先しているため狩りへの参加頻度がやや落ちている。
その間、彼女のパーティメンバー2人――取り巻き1・取り巻き2はどうしているのか?
別にコンビでも活動はできる。
Bランクのフレンダに比べると見劣りするとはいえ、それぞれCランクなので実力はある。
だが、彼女たちはコンビで活動するのではなく、他のパーティに一時加入することを選んだらしい。
「さぁ、トミー! 今日も狩りに行くわよっ!」
「ちょっと待ってくれ。まだ準備中で……」
「行動が遅い! さっさとしなさい!!」
「へいへい……」
取り巻き1はトミー率いる『緑の嵐』へ加入した。
トミーから見て取り巻き1は同格だ。
以前から多少の交流はあったようで、すんなりと連携できているようだ。
どこか尻に敷かれている気がするのは気のせいだろうか。
「はん! トミーは情けねぇ奴だぜ! こりゃ俺がCランクに上がって追いつくのも時間の問題のようだな!!」
「何を調子に乗っているのですか? お前はお前でやることがあるでしょう」
「はぁ? 今日の狩りの準備は万端で――」
「服にほつれがあります。こうした少しの手抜きが、戦闘中に致命的なピンチを招くこともあると言ったでしょうが」
「ちっ……」
取り巻き2はアラン率いる『紅蓮の刃』に加入した。
アランから見て取り巻き2は格上だ。
中堅冒険者としての戦闘技法や心構えなどを伝授されているらしい。
確かに、服のメンテナンスは大切だよな。
ついつい剣や鎧の手入ればかり優先してしまう。
それにしても、こっちはこっちで尻に敷かれている。
まぁ、Dランクのアランよりも彼女の方が格上なので、ある程度は仕方ないことだが。
彼女からいい刺激を受けることができれば、アランのCランク昇格も近そうだ。
「――それで? 話っていうのはなんだ? トリスタ」
「うん。これは極めて重要な事柄なんだけど……」
俺とトリスタは、ハイブリッジ邸の個室で向かい合って座っている。
トリスタが俺に相談があると言ってきたのだ。
これはヤバいかもしれない。
彼は労働嫌いだ。
可能な限り配慮してきたつもりなのだが、彼はとても優秀なのでついつい仕事を振ってしまうのだ。
ラーグの文官として働きつつ、ハイブリッジ邸のアレコレについてセバスの補佐を行い、農業改革においてはニムやニルスの補佐を務め、西の森の開発も監督し、ビリオンズ創設にあたってはクリスティの指示のもと諸々を準備するなど、様々な業務をこなしている。
それだけでも大変だというのに、最近はリンドウ開発についてブギー頭領やアビーに助言もしている。
彼の仕事量はかなりのものだろう。
「週休3日でどうだ?」
「へ?」
「休みをもっと増やそうか?」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 何の話だい?」
「トリスタの仕事量が多すぎるって話じゃないのか? それで仕事を辞めようとか……」
「そんなことしないけど……」
「えっ!?」
「えっ!?」
「……」
「……」
「……違うのか?」
「……うん。ヒナからは『もっと稼げ。お腹の子が可愛くないのか』なんて言われるぐらいだし、過剰に休むつもりはないよ。もちろん、辞める気もない」
「そ、そうなのか」
俺はてっきり、過労で倒れる寸前なのかと思ったのだが……。
違ったのか。
まぁよく考えれば、彼には加護(小)を付与済みだったしな。
その恩恵により身体能力が向上している。
多少のハードワークも可能だ。
俺も、日本にいるときとは比べ物にならないぐらい働いているし。
別に俺の性格が働き者の頑張りやさんになったわけではなくて、チートにより体力がついただけだ。
抜群の体力や各種スキルを持つ俺にとっての適度な仕事量というのは、一般人から見て相当なハードワークである。
トリスタの場合も、似たようなものか。
「じゃあ、一体なんの相談なんだよ」
「実はさ――」
「うん」
「図書館が欲しいんだけど……」
「……」
「……」
「……えっ!?」
俺は耳を疑った。
今、図書館って言った?
この世界の本は貴重品だ。
本を印刷できるほど、印刷技術が発達していない。
よって、基本的に手書きによる写本になる。
あるいは、魔法による転写か。
いずれにせよ、値段も相応に高い。
「……トリスタ。お前、ついに狂ったのか? よりによって、なんで図書館なんか……」
「ひどい言い草だね……。僕の趣味が読書だってことは知ってるでしょ? だからだよ」
「そう言えばそうだったか。ふむ……」
図書館の建造。
メリットは、一般民衆たちに広く知識を広められるということと、トリスタの満足度が上がること。
デメリットは、施設の建設や管理、本の購入に費用が掛かることか。
ラフィーナの村から飛んで訪れたとある街にも、小さめだが図書館はあった。
今後ますます発展していくハイブリッジ男爵領ならば、立派な図書館があってもいいかもしれない。
「建設の候補地はあるのか? ラーグの街の中心部は手狭だが……。小さめの図書館なら何とかなるか?」
「とりあえずはそれでもいいけど……。僕の希望としては、王都にあるような規模の大きなものがいいな」
「そんな場所がどこにある」
ハイブリッジ男爵家の権力や武力を用いれば、不可能ではない。
だが、それをすると色々と面倒臭いことになる。
「ま、いろいろ検討してみるよ。図書館の建造については、賛成の方向性ってことでいいんだね?」
「ああ。好きにするといい」
もともと、トリスタに対しては白紙委任に近い形で諸々を任せている。
彼なら、暴走して変なことをすることもないだろう。
俺は安心して、彼に図書館建造を丸投げするのだった。
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