【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
906話 必殺技
フレンダがとあるアニメの記憶を取り戻しかけている。
その記憶を思い出すことで、家族や日常の記憶も戻るかもしれない。
「タカシちゃん、それがどんなものだったか説明をお願いできる?」
「もちろんだ。まずは――」
俺はあらすじを説明する。
フレンダは真剣な表情で聞き入っている。
だが、前の二作品のときほどにはピンと来ていない様子だ。
「うーむ。この作品は続き物としてのストーリーじゃないからなぁ……」
一話ごとに独立している。
そのため、あらすじを聞いてもピンと来ないのかもしれない。
「あのさ。タカシちゃん」
「なんだ?」
「アニメが始まる前って、何か歌が流れてなかったっけ?」
「オープニングか?」
「そうそれ! それを聞いたら、思い出せそうな気がするんだけど~」
「うーん、歌か……」
危険なことを言いやがって……。
歌詞の使用は、特に著作権が厳しいんだ。
管理団体が目を光らせているからな。
ここで歌おうものなら、厄介なことになること間違いなしである。
「ダメなの?」
「そうだな……。歌い出し2文字だけを歌って、後は鼻歌なら……」
俺はそう答える。
歌詞まるごとは絶対にアウトだ。
また、歌を判別できる程度に独自性のあるワンフレーズも怪しい。
だが、2文字なら識別もクソもないだろう。
「わかった! 歌い出しだけならフレンダちゃんも覚えているから、一緒に歌おうよ!」
「ふむ……。いいだろう」
俺は覚悟を決める。
そして、フレンダと一緒に歌い出した。
「ここ……」
「こん……」
あれ?
おかしいな?
同じアニメのオープニングを歌ったはずなのに、歌詞が違っているぞ?
「タカシちゃん、間違えちゃったの?」
「いや、そんなはずは……」
俺は混乱する。
だが、その答えはすぐに分かった。
「放送時期によって、オープニング曲は変わっているんだった。俺とフレンダは世代が違ったようだな」
あれはいつ頃に変わったのだったかな?
よく覚えていない。
だが、俺とフレンダの間ぐらいの世代でちょうど変わったようだ。
ジェネレーションギャップである。
「うぅ……」
俺もオッサンになったものだ。
思わず涙目になってしまう。
「タカシちゃん、大丈夫? この歌が分からないんだったら、無理しなくても……」
「いや、問題ない。俺はそっちも何度か見たことがある」
俺はオッサンになってしまったようだが、老害ではないつもりだ。
新しいものへの理解もそこそこある方だと思っている。
「じゃあ、一緒に歌ってくれる?」
「ああ、もちろんだ」
「ありがとう」
俺はフレンダと共にオープニングテーマを熱唱する。
うん。
こっちの歌もいい曲だ。
「あっ! なんか思い出してきたかも~」
「おお、それは良かった」
どうやら記憶回復の第一歩――いや、第二歩目を踏み出せたらしい。
俺はホッとする。
そして、無理はせずに記憶復元の試みは終わりにした。
「ところで、この話をするだけなら、この『北の練習場』に来る必要はなかったんじゃないか?」
「あは~。記憶とはまた別かも? いや、一緒といえば一緒かな?」
「どういうことだ?」
「タカシちゃん、必殺技の練習がしたいって言っていたよね? フレンダちゃんが付き合ってあげるんだよ~」
「おお、それは心強い」
ミリオンズの面々も、それぞれ強力な技を習得している。
ネーミングセンスも悪くない。
ミティの『メテオドライブ』。
アイリスの『裂空脚』。
モニカの『雷天霹靂』。
ニムの『ダイアモンド・スピア』。
ユナの『フィンガー・ファイアー・アロー』。
マリアの『不滅之炎』。
サリエの『五月雨連棍』。
リーゼロッテの『ジャッジメント・レイン』。
蓮華の『八咫烏』。
なかなかにイカした名前だと思う。
彼女たちのセンスに負けないように、俺もカッチョいい新技を開発していく必要がある。
おぼろげながらもアニメの知識があるフレンダが助力してくれるなら、百人力だ。
「じゃあ、早速見てもらおうかな? 暖めていた必殺技がいくつかあるんだ」
「あは~。それは楽しみだね~」
「ああ、期待していてくれ」
俺はフレンダから少し離れ、息を整える。
そして――
「覇王!」
ポーズを取りながら、俺はそう叫ぶ。
フレンダがビクッとしているが、とりあえず続けよう。
「灼……熱……」
俺は流れるように、ポーズを変える。
「剛竜!! 咆哮!!!」
俺は力強くシャドーボクシングをする。
まだまだ必殺技の途中だ。
このシャドーボクシングで、闘気を練り上げるのである。
「爆裂閃光魔帝斬空タカシ拳っ!!!!!」
決め台詞を言い終えた後、俺は渾身の右ストレートを放つ。
その瞬間、爆発的な衝撃波が発生し、俺を中心に半径5mほどの範囲に暴風が巻き起こる。
轟音が響き渡り、地面にクレーターのような穴が空いた。
「ど、どうだ?」
俺はフレンダの方を振り返る。
すると、彼女は引きつった笑みを浮かべて言った。
「えっと……。な、ないかな?」
「え?」
「技名がちょっと長すぎるっていうか……。その……ね?」
なんだろう。
とても言葉を選んでくれている気がする。
これはダメだったのか?
そんな……。
「じゃ、じゃあ次だ!」
「う、うん! 次だね、次! 期待してるよ!!」
空気を切り替えるようにそう言うと、フレンダも気持ちを切り換えてくれたようだ。
「次はもっと凄いぞ!」
「ほんと!?」
「ああ、本当だとも。俺の最強の必殺技候補を見せてやる」
「わぁ~、楽しみだよ~」
俺はフレンダと笑い合う。
今度こそ大丈夫だろう。
「いくぞぉっ! エターナルっ! タカシっ! フィーバー!!!」
俺は叫びながら、空中で大の字のポーズを取る。
これは全身から火の魔力を放出する技だ。
通常、ファイアーボールは手のひらから、ファイアーアローは指先から発射される。
こうして全身から放出すれば、威力も段違いに上がるというわけだ。
我ながらナイスアイディアである。
実際、今回放出された魔力は草原に着弾し、轟音を響かせるほどの威力を見せた。
「どうだ? フレンダ」
俺はドヤ顔で彼女に向き直る。
だが、フレンダの反応がない。
「おーい、フレンダ?」
「…………」
「フ~レ~ン~ダ~」
「あの……えっとね?」
俺が催促すると、ようやく彼女が復活した。
だが、その表情は硬い。
「言いにくいんだけど……それもない、かな?」
「そ、そんなぁ……」
俺のとっておきの必殺技まで却下されるとは。
必殺技道は、なかなかに険しそうだ。
まぁいい。
地道に考えていくさ。
さて。
それはそれとして、次の用事を済ませていかないとな。
その記憶を思い出すことで、家族や日常の記憶も戻るかもしれない。
「タカシちゃん、それがどんなものだったか説明をお願いできる?」
「もちろんだ。まずは――」
俺はあらすじを説明する。
フレンダは真剣な表情で聞き入っている。
だが、前の二作品のときほどにはピンと来ていない様子だ。
「うーむ。この作品は続き物としてのストーリーじゃないからなぁ……」
一話ごとに独立している。
そのため、あらすじを聞いてもピンと来ないのかもしれない。
「あのさ。タカシちゃん」
「なんだ?」
「アニメが始まる前って、何か歌が流れてなかったっけ?」
「オープニングか?」
「そうそれ! それを聞いたら、思い出せそうな気がするんだけど~」
「うーん、歌か……」
危険なことを言いやがって……。
歌詞の使用は、特に著作権が厳しいんだ。
管理団体が目を光らせているからな。
ここで歌おうものなら、厄介なことになること間違いなしである。
「ダメなの?」
「そうだな……。歌い出し2文字だけを歌って、後は鼻歌なら……」
俺はそう答える。
歌詞まるごとは絶対にアウトだ。
また、歌を判別できる程度に独自性のあるワンフレーズも怪しい。
だが、2文字なら識別もクソもないだろう。
「わかった! 歌い出しだけならフレンダちゃんも覚えているから、一緒に歌おうよ!」
「ふむ……。いいだろう」
俺は覚悟を決める。
そして、フレンダと一緒に歌い出した。
「ここ……」
「こん……」
あれ?
おかしいな?
同じアニメのオープニングを歌ったはずなのに、歌詞が違っているぞ?
「タカシちゃん、間違えちゃったの?」
「いや、そんなはずは……」
俺は混乱する。
だが、その答えはすぐに分かった。
「放送時期によって、オープニング曲は変わっているんだった。俺とフレンダは世代が違ったようだな」
あれはいつ頃に変わったのだったかな?
よく覚えていない。
だが、俺とフレンダの間ぐらいの世代でちょうど変わったようだ。
ジェネレーションギャップである。
「うぅ……」
俺もオッサンになったものだ。
思わず涙目になってしまう。
「タカシちゃん、大丈夫? この歌が分からないんだったら、無理しなくても……」
「いや、問題ない。俺はそっちも何度か見たことがある」
俺はオッサンになってしまったようだが、老害ではないつもりだ。
新しいものへの理解もそこそこある方だと思っている。
「じゃあ、一緒に歌ってくれる?」
「ああ、もちろんだ」
「ありがとう」
俺はフレンダと共にオープニングテーマを熱唱する。
うん。
こっちの歌もいい曲だ。
「あっ! なんか思い出してきたかも~」
「おお、それは良かった」
どうやら記憶回復の第一歩――いや、第二歩目を踏み出せたらしい。
俺はホッとする。
そして、無理はせずに記憶復元の試みは終わりにした。
「ところで、この話をするだけなら、この『北の練習場』に来る必要はなかったんじゃないか?」
「あは~。記憶とはまた別かも? いや、一緒といえば一緒かな?」
「どういうことだ?」
「タカシちゃん、必殺技の練習がしたいって言っていたよね? フレンダちゃんが付き合ってあげるんだよ~」
「おお、それは心強い」
ミリオンズの面々も、それぞれ強力な技を習得している。
ネーミングセンスも悪くない。
ミティの『メテオドライブ』。
アイリスの『裂空脚』。
モニカの『雷天霹靂』。
ニムの『ダイアモンド・スピア』。
ユナの『フィンガー・ファイアー・アロー』。
マリアの『不滅之炎』。
サリエの『五月雨連棍』。
リーゼロッテの『ジャッジメント・レイン』。
蓮華の『八咫烏』。
なかなかにイカした名前だと思う。
彼女たちのセンスに負けないように、俺もカッチョいい新技を開発していく必要がある。
おぼろげながらもアニメの知識があるフレンダが助力してくれるなら、百人力だ。
「じゃあ、早速見てもらおうかな? 暖めていた必殺技がいくつかあるんだ」
「あは~。それは楽しみだね~」
「ああ、期待していてくれ」
俺はフレンダから少し離れ、息を整える。
そして――
「覇王!」
ポーズを取りながら、俺はそう叫ぶ。
フレンダがビクッとしているが、とりあえず続けよう。
「灼……熱……」
俺は流れるように、ポーズを変える。
「剛竜!! 咆哮!!!」
俺は力強くシャドーボクシングをする。
まだまだ必殺技の途中だ。
このシャドーボクシングで、闘気を練り上げるのである。
「爆裂閃光魔帝斬空タカシ拳っ!!!!!」
決め台詞を言い終えた後、俺は渾身の右ストレートを放つ。
その瞬間、爆発的な衝撃波が発生し、俺を中心に半径5mほどの範囲に暴風が巻き起こる。
轟音が響き渡り、地面にクレーターのような穴が空いた。
「ど、どうだ?」
俺はフレンダの方を振り返る。
すると、彼女は引きつった笑みを浮かべて言った。
「えっと……。な、ないかな?」
「え?」
「技名がちょっと長すぎるっていうか……。その……ね?」
なんだろう。
とても言葉を選んでくれている気がする。
これはダメだったのか?
そんな……。
「じゃ、じゃあ次だ!」
「う、うん! 次だね、次! 期待してるよ!!」
空気を切り替えるようにそう言うと、フレンダも気持ちを切り換えてくれたようだ。
「次はもっと凄いぞ!」
「ほんと!?」
「ああ、本当だとも。俺の最強の必殺技候補を見せてやる」
「わぁ~、楽しみだよ~」
俺はフレンダと笑い合う。
今度こそ大丈夫だろう。
「いくぞぉっ! エターナルっ! タカシっ! フィーバー!!!」
俺は叫びながら、空中で大の字のポーズを取る。
これは全身から火の魔力を放出する技だ。
通常、ファイアーボールは手のひらから、ファイアーアローは指先から発射される。
こうして全身から放出すれば、威力も段違いに上がるというわけだ。
我ながらナイスアイディアである。
実際、今回放出された魔力は草原に着弾し、轟音を響かせるほどの威力を見せた。
「どうだ? フレンダ」
俺はドヤ顔で彼女に向き直る。
だが、フレンダの反応がない。
「おーい、フレンダ?」
「…………」
「フ~レ~ン~ダ~」
「あの……えっとね?」
俺が催促すると、ようやく彼女が復活した。
だが、その表情は硬い。
「言いにくいんだけど……それもない、かな?」
「そ、そんなぁ……」
俺のとっておきの必殺技まで却下されるとは。
必殺技道は、なかなかに険しそうだ。
まぁいい。
地道に考えていくさ。
さて。
それはそれとして、次の用事を済ませていかないとな。
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