【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

902話 月への加護(小)付与

 チュンチュン。
 小鳥たちのさえずりで目が覚めた。

「おはようございます、旦那様」

 目の前にいたのは、全裸の女性だ。
 彼女は俺が起きるのを確認すると、丁寧に挨拶してきた。

「あ、ああ。おはよ」

 俺は若干寝ぼけながらも、彼女に応じる。
 貴族である俺に対して丁寧に接してくる者はたくさんいる。
 だが、肉体関係を結んでいる女性に限定すれば、意外に少ない。

 丁寧語くらいならまだしも、様付けで呼ぶレベルとなると……。
 ミティ、レイン、ナオミぐらいか?
 だが、今俺の目の前にいる女性は、その3人の誰でもない。

「ええっと……」

「どうしましたか?」

「その丁寧過ぎる口調はどうしたんだ? 月」

 そう。
 俺の前で恭しく頭を下げているのは、昨日俺の女になったばかりの月だったのだ。

「私なりに考えた結果です」

「ほう」

「これで私もめでたく妻となるわけですし、夫を立てる必要があると判断しました」

「……え?」

「え?」

「……」

「……ち、違うんですか!?」

「いや、俺は一言も妻にしてやると言った覚えはないが」

 男として、愛した女の面倒を見る必要はある。
 だがそれはそれとして、正式に妻とする者は慎重に選んでいく必要がある。
 すでに8人もの妻がいるのだ。
 あと数人ぐらいは大丈夫だろうが、15人とか20人になってくるとさすがにマズイ気がする。

「そんなっ! ……じゃ、愛人なんですか? 嘘でしょう? だって、昨日の夜だってあんなに激しく……」

「まぁ、それだけ月が魅力的だったからな。普段ツンツンしているお前が可愛く乱れるのは、最高だった」

「なっ!」

 月の顔がみるみると赤くなっていく。

「と、とにかく、私の初めてを奪っておいて、責任を取らないなんて許されませんよ」

「……確かにそうだな」

「でしょ?」

「よし、分かった。とりあえず、しばらくは愛人として頑張ってくれ。いずれは然るべき対応を考える。……ああ、もちろん、冒険者としても活躍を期待しているからな」

 ふふふ。
 可愛く魅力的で、領地の発展にも貢献してくれる。

「月はなんて便利な女なんだ」

「はぁっ!?」

 月が憤怒の表情を浮かべる。
 やべ。
 軽率な発言だった。
 マズイ……。

「お、女の敵ー!!!」

「ぷげらっ!」

 彼女の拳が俺の顔面を捉えたのであった。

*****

「まったくもう!」

 プンスカ怒りながら、服を着替える月。
 さっきからずっとこの調子だ。

「悪かったって……」

 俺はひたすら謝っている。

「だいたいハイブリッジ男爵は、女性を何だと思ってるのよ?」

「そりゃ、美しく魅力的な宝物で……」

「そういうことを聞いているんじゃない!」

「はい」

「本当に反省してる?」

「もちろん」

「……」

「してます」

「……本当ね? なら、許してあげるわ。将来的には、ちゃんと私を妻に迎えるのよ?」

「善処させていただきます」

「約束だからね!」

「はい」

「うむ。よろしい」

 ようやく、月が機嫌を直す。
 敬語を使う彼女も魅力的だったが、こっちの強気な月も良いな。
 俺は満足だ。
 彼女との一夜は素晴らしいものだったことに加え、彼女が加護(小)の条件を満たしたのだ。


レベル?、神宮寺月
種族:ヒューマン
身分:神宮寺家次女
役割:ハイブリッジ男爵家御用達冒険者
職業:影魔法使い
ランク:C

HP:??
MP:高め
腕力:??
脚力:??
体力:??
器用:低め
魔力:??

残りスキルポイント:???
スキル:
剣術レベル4(3+1)
影魔法レベル4(3+1)
気配察知レベル2
??


 これでめでたく、雪月花の三姉妹全員が加護(小)を付与されたことになる。
 三姉妹で一人だけ仲間外れにならなくて良かった。
 彼女たちの冒険者活動も、ますます順調に進んでいくだろう。

「これからも頑張ろうな」

「ええ」

 俺の言葉に、月が微笑みながら答えた。

「……ところで、一つ聞きたいんだが」

「ん? なにかしら?」

「月って処女だったんだよな?」

「…………」

 無言で俺に近付いてきた月の鉄拳が、俺の頬を捉えて吹き飛ばした。

「痛え……」

「ふんっ! 当然の報いよ! なんてことを聞くのよ!?」

「だって、月ってば、あんなに大きな声を出していたし……」

「あれは、あなたが無理矢理……。やめてっていったのに」

「でも最後は気持ち良さそうにしていたじゃないか」

「き、気持ち良くなんかなかったわ!」

「またまた~」

 顔を真っ赤にして、ぷりぷりと怒る月。
 そんな彼女を眺めつつ、俺はニヤリとした笑みを浮かべる。
 やはり可愛い。
 ツンデレというやつだろうか。
 今までの女性陣にはいなかったタイプである。

「あ、もう一つ聞いてもいいか?」

「……なによ? またくだらないことだったら……」

 月がジト目でこちらを見てくる。

「雪月花の三姉妹って、名前を漢字で書くだろ?」

「ええ」

「なんでなんだ? この国ではほとんど漢字が使われていないはずだが」

「ああ、そのことね。言ってもいいのかしら……」

「もったいぶらないでくれよ。俺とお前の仲じゃないか」

「……まぁいいわ。あなたは信頼できるし。……私たちはヤマト連邦出身だから、名前に漢字が使えるのよ。育ちはこの国だけどね」

「なるほど。そうだったのか」

 まぁ、身分の欄に『神宮寺家』と書いてあるから、それなりの名門の娘だろうなとは思っていたが。
 この国の貴族に、神宮寺家は存在しない。
 やはりヤマト連邦の出身だったか。

「ふーむ……」

「なによ?」

「いや……。近いうちに長期の護衛依頼を出すかもしれない。予定を空けておいてくれないか?」

 ヤマト連邦への潜入作戦は極秘事項だ。
 王家とミリオンズ以外に知る者はほとんどいない。
 ハイブリッジ男爵家の御用達冒険者である月といえども、現状では知らせていなかった。
 だが、ヤマト連邦出身というなら話は別だ。
 育ちはサザリアナ王国らしいので道案内役にはならないだろうが、連れて行ってみてもいいかもしれない。

「分かったわよ。元々、ハイブリッジ男爵家以外からの仕事は控えめにしてるしね。何をさせるつもりか知らないけど、見返りは期待してるわよ? 旦那様」

 月はご機嫌な様子で、そう冗談めかしたのであった。

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