【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
895話 襲来! ブラックタイガー!!
フレンダへの加護(小)の付与を終え、彼女と話をしているとき。
周囲に魔物の咆哮が響き渡った。
「な、なんだ!? 一体なんの魔物だ!?」
俺は慌てて周囲の様子を窺う。
すると――
「あれを見て!」
フレンダが指差したのは、遠くに見える巨大な岩だった。
大きすぎて、ちょっとした山みたいになっている。
「ん? あの大きな岩がどうかしたのか……って、あれは!」
その巨大岩の頂上付近に、黒い点が見えた。
最初は点のようだったが、徐々に大きくなっていく。
魔物だ。
一匹の魔物がこちらに向かっているのだ。
「ふ、フレンダ姉さん……」
「あれはもしかして……」
「うん、フレンダちゃんも初めて見る魔物だよ」
取り巻きたちの言葉に、フレンダはコクリとうなずいた。
どうやら知識としては知っている魔物のようだが、実際に相対したことはないようだ。
俺はそいつを注意深く見る。
遠目ではあるが、その巨体の大きさがわかる。
どんどん近付いてきており、その姿形がハッキリと見えてきた。
「でかい……!」
それはもう、超でっかいトラみたいな生き物だった。
体長は5メートル以上ある。
腕の長さだけでも1メートルはあるだろう。
全身が真っ黒で、まるで闇の中から現れたかのようである。
「グルルゥウウッ! ガルオオオオッ!!」
吠えるたびにビリビリとした空気振動を感じる。
凄まじい迫力だ。
まだ少し離れているのにもかかわらず、プレッシャーがある。
「なんて奴だ……」
今までに見てきた魔物の中でも、トップクラスに厄介そうだ。
ガロル村のミドルベア、ラスターレイン伯爵領沖合のリトルクラーケン、ソーマ騎士爵領のゴブリンキングあたりよりも強いかもしれない。
ディルム子爵領のキメラ、アヴァロン迷宮のゼータナインやファイアードラゴンに比べると、さすがに少し下か?
だがいずれにせよ、初見の相手なので警戒は必要だ。
まだ離れている今の内に、少しでも情報を集めておこう。
「あいつを知っているのか? フレンダ」
「あは~。あれはブラックタイガーだよ~。災害指定生物第一種だね~」
「災害指定生物か……」
冒険者が日常的に狩っている魔物には、目安となるランクが設定されている。
例えばファイティングドッグはEランクの魔物で、リトルベアはCランクの魔物だ。
その一方で、ランクが設定されていない魔物も存在する。
目撃例や討伐歴が少なく、正確なランク付けができない魔物だ。
そういった魔物は、災害指定生物に認定されて注意喚起がなされる。
一般人に危険が及ぶリスクを考えると、冒険者ギルドとして放置はできないからだ。
目撃例が少ないので俺のように経験の浅い冒険者は必ずしも覚えていないが、ベテラン冒険者になると一通り覚えているものである。
「この森って、ブラックタイガーの目撃例があったの~?」
「いや、少なくとも領主である俺の耳には入っていない」
目撃情報があれば、俺たちミリオンズで早急に討伐していたのに。
まさかこんな形で遭遇するとはな。
災害指定生物三種のホワイトタイガーとは、駆け出し冒険者の頃に戦ったことがある。
リトルベアやクレイジーラビットとの戦いで消耗したホワイトタイガーを、俺やユナを含む”赤き大牙”、リーゼロッテを含む”蒼穹の担い手”、そして”黒色の旋風”が協力して倒したのだ。
あのときは本当にギリギリの勝利だった。
今ならもう少し上手く戦えると思うが……。
あとは、災害指定生物二種のシルバータイガーの話も聞いたことがある。
数年前に、ブギー盗掘団が倒したのだ。
本来は彼らが勝てる相手ではなかったが、盗掘で得ていた大量の魔石を活用してギリギリ勝ったと聞いている。
そして今回。
災害指定生物一種のブラックタイガーが相手だ。
戦闘スタイルや魔物自身の消耗度が異なるので、一概に強さは判断できない。
だが、油断できないことは確かだ。
そんなことを思っていると――
「グルアァッ!」
「うわっ!? なんだ!?」
突然、目の前に大きな火球が現れた。
魔法か!?
俺は慌てて飛び退く。
「あは~。大丈夫だよ。ただのファイアーボールだから~」
フレンダが笑いながらそう言った。
「え? でも、魔物が魔法を使ったんだぞ? 珍しくないか?」
「そうかな~? ゴブリンメイジとかも魔法を使うよ? 上位の竜種だって使うし……。あとは、シルバータイガーなんかも使うらしいよ~」
「ふむ……」
俺の経験の浅さが浮き彫りになったか。
ステータス操作を活用して自身のスキルを強化し、加護付与を活用して強力な仲間にも恵まれた。
しかし、冒険者歴はまだ2年ちょいなのだ。
それも、貴族となってからは活動をやや縮小しているので、実際の活動歴としてはもう少し短い。
2年――。
それなりに濃い時間を過ごしてきたつもりだったが、まだまだ知らないことも多い。
考えてみれば当然か。
現代日本においても、部活動や仕事を2年続けたからといって、経験豊富とは言い難いもんな。
「グオオォオオッ!」
こちらに向かって飛んでくる無数の火の玉を、俺は剣で斬り払う。
「みんな! 散開して回避しろ! フレンダ! お前はサポートだ! 俺の補助に徹してくれ!!」
俺はそう指示を出す。
この場にいる冒険者は4人。
Bランクにして男爵でもある俺、Bランクのフレンダ、そしてその取り巻きであるCランク相当の二人だ。
ここは俺が主戦力となるべきだろう。
俺はそう判断し、ブラックタイガーを迎撃する準備を整える。
だが――
「あは~。タカシちゃん、一つ提案があるんだけど」
「ん?」
「フレンダちゃんの戦闘技能を知りたがっていたよね~?」
「ああ。だが、今は緊急事態だ。また落ち着いた頃に教えてもらえればいい」
「ううん。こういうのは、やっぱり実戦で見せた方が早いよ」
「しかし……」
「あのブラックタイガーとは、フレンダちゃん一人で戦うね。タカシちゃんは見ててよ」
彼女はニッコリと微笑みながらそう言ったのだった。
周囲に魔物の咆哮が響き渡った。
「な、なんだ!? 一体なんの魔物だ!?」
俺は慌てて周囲の様子を窺う。
すると――
「あれを見て!」
フレンダが指差したのは、遠くに見える巨大な岩だった。
大きすぎて、ちょっとした山みたいになっている。
「ん? あの大きな岩がどうかしたのか……って、あれは!」
その巨大岩の頂上付近に、黒い点が見えた。
最初は点のようだったが、徐々に大きくなっていく。
魔物だ。
一匹の魔物がこちらに向かっているのだ。
「ふ、フレンダ姉さん……」
「あれはもしかして……」
「うん、フレンダちゃんも初めて見る魔物だよ」
取り巻きたちの言葉に、フレンダはコクリとうなずいた。
どうやら知識としては知っている魔物のようだが、実際に相対したことはないようだ。
俺はそいつを注意深く見る。
遠目ではあるが、その巨体の大きさがわかる。
どんどん近付いてきており、その姿形がハッキリと見えてきた。
「でかい……!」
それはもう、超でっかいトラみたいな生き物だった。
体長は5メートル以上ある。
腕の長さだけでも1メートルはあるだろう。
全身が真っ黒で、まるで闇の中から現れたかのようである。
「グルルゥウウッ! ガルオオオオッ!!」
吠えるたびにビリビリとした空気振動を感じる。
凄まじい迫力だ。
まだ少し離れているのにもかかわらず、プレッシャーがある。
「なんて奴だ……」
今までに見てきた魔物の中でも、トップクラスに厄介そうだ。
ガロル村のミドルベア、ラスターレイン伯爵領沖合のリトルクラーケン、ソーマ騎士爵領のゴブリンキングあたりよりも強いかもしれない。
ディルム子爵領のキメラ、アヴァロン迷宮のゼータナインやファイアードラゴンに比べると、さすがに少し下か?
だがいずれにせよ、初見の相手なので警戒は必要だ。
まだ離れている今の内に、少しでも情報を集めておこう。
「あいつを知っているのか? フレンダ」
「あは~。あれはブラックタイガーだよ~。災害指定生物第一種だね~」
「災害指定生物か……」
冒険者が日常的に狩っている魔物には、目安となるランクが設定されている。
例えばファイティングドッグはEランクの魔物で、リトルベアはCランクの魔物だ。
その一方で、ランクが設定されていない魔物も存在する。
目撃例や討伐歴が少なく、正確なランク付けができない魔物だ。
そういった魔物は、災害指定生物に認定されて注意喚起がなされる。
一般人に危険が及ぶリスクを考えると、冒険者ギルドとして放置はできないからだ。
目撃例が少ないので俺のように経験の浅い冒険者は必ずしも覚えていないが、ベテラン冒険者になると一通り覚えているものである。
「この森って、ブラックタイガーの目撃例があったの~?」
「いや、少なくとも領主である俺の耳には入っていない」
目撃情報があれば、俺たちミリオンズで早急に討伐していたのに。
まさかこんな形で遭遇するとはな。
災害指定生物三種のホワイトタイガーとは、駆け出し冒険者の頃に戦ったことがある。
リトルベアやクレイジーラビットとの戦いで消耗したホワイトタイガーを、俺やユナを含む”赤き大牙”、リーゼロッテを含む”蒼穹の担い手”、そして”黒色の旋風”が協力して倒したのだ。
あのときは本当にギリギリの勝利だった。
今ならもう少し上手く戦えると思うが……。
あとは、災害指定生物二種のシルバータイガーの話も聞いたことがある。
数年前に、ブギー盗掘団が倒したのだ。
本来は彼らが勝てる相手ではなかったが、盗掘で得ていた大量の魔石を活用してギリギリ勝ったと聞いている。
そして今回。
災害指定生物一種のブラックタイガーが相手だ。
戦闘スタイルや魔物自身の消耗度が異なるので、一概に強さは判断できない。
だが、油断できないことは確かだ。
そんなことを思っていると――
「グルアァッ!」
「うわっ!? なんだ!?」
突然、目の前に大きな火球が現れた。
魔法か!?
俺は慌てて飛び退く。
「あは~。大丈夫だよ。ただのファイアーボールだから~」
フレンダが笑いながらそう言った。
「え? でも、魔物が魔法を使ったんだぞ? 珍しくないか?」
「そうかな~? ゴブリンメイジとかも魔法を使うよ? 上位の竜種だって使うし……。あとは、シルバータイガーなんかも使うらしいよ~」
「ふむ……」
俺の経験の浅さが浮き彫りになったか。
ステータス操作を活用して自身のスキルを強化し、加護付与を活用して強力な仲間にも恵まれた。
しかし、冒険者歴はまだ2年ちょいなのだ。
それも、貴族となってからは活動をやや縮小しているので、実際の活動歴としてはもう少し短い。
2年――。
それなりに濃い時間を過ごしてきたつもりだったが、まだまだ知らないことも多い。
考えてみれば当然か。
現代日本においても、部活動や仕事を2年続けたからといって、経験豊富とは言い難いもんな。
「グオオォオオッ!」
こちらに向かって飛んでくる無数の火の玉を、俺は剣で斬り払う。
「みんな! 散開して回避しろ! フレンダ! お前はサポートだ! 俺の補助に徹してくれ!!」
俺はそう指示を出す。
この場にいる冒険者は4人。
Bランクにして男爵でもある俺、Bランクのフレンダ、そしてその取り巻きであるCランク相当の二人だ。
ここは俺が主戦力となるべきだろう。
俺はそう判断し、ブラックタイガーを迎撃する準備を整える。
だが――
「あは~。タカシちゃん、一つ提案があるんだけど」
「ん?」
「フレンダちゃんの戦闘技能を知りたがっていたよね~?」
「ああ。だが、今は緊急事態だ。また落ち着いた頃に教えてもらえればいい」
「ううん。こういうのは、やっぱり実戦で見せた方が早いよ」
「しかし……」
「あのブラックタイガーとは、フレンダちゃん一人で戦うね。タカシちゃんは見ててよ」
彼女はニッコリと微笑みながらそう言ったのだった。
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