【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

893話 安定しない忠義度

 俺はフレンダとお楽しみ中だ。
 取り巻き二人の前で、フレンダの体を貪る。

「た、タカシちゃん! もう……」

「ふふ、まだまだ行くぞ」

「お、おかしくなっちゃうよぉ!!」

 俺は体を動かす。
 そして、少しだけペースを落として視界の隅に視線を向ける。

(一応、フレンダの忠義度を確認しておくか……)

 俺は普段から、各人の忠義度を確認している。
 それにより、領主として、ハーレムの主として適切な行動を取ることが可能になる。
 忠義度を確認する能力は、本来はあくまで『加護付与』スキルの副次的な恩恵だ。
 しかし実際のところ、これ単体でもかなりのチートである。

 俺に対して明確な悪意を持っている者は事前に遠ざけることができるし、隔意を持っている者はこちらから打ち解ける方策を考えることができる。
 それなりに友好的な者に対しては、働きに応じて報酬を与えればさらに忠義度を上げていくことができる。

 忠義度30で加護(微)、忠義度40で加護(小)、忠義度50で通常の加護。
 段階を踏んで強化していくことで、俺やハイブリッジ男爵家にとって強力な戦力を得ることに繋がる。
 それは、いずれ訪れる世界滅亡の危機を回避する際にも有用となってくるだろう。

(なっ……忠義度42だと!? かなり早い……というか、もう加護(小)を付与できるじゃねぇか!)

 俺は興奮した。
 フレンダとは初対面ではない。
 1年以上前に、ラスターレイン伯爵領の一件で戦ったことがある。
 しかしそれでも、直接的に関わった時間はまだまだ少ない。
 それなのに忠義度42になっているとは、想定以上の早さだ。

 やはり、社会的身分が男爵になったおかげで、いわゆる後光効果のようなものが発生しているのだろうか?
 いや、もっと直接的に、金払いの良さや戦闘能力の高さが広まっている影響か?
 はたまた、俺の顔が彼女のストライクゾーンど真ん中だったとか?

 俺は決してイケメンではない。
 だが、2年以上の冒険者活動を経て、精悍さのようなものは増してきたように思う。
 上の下くらいの容姿レベルはあると言っても過言ではないだろう。

「ふふふ。フレンダ、俺の格好良さにやられてしまったようだな?」

「ふぇ?」

 俺は思考中でも動きを止めていない。
 フレンダはすっかり快楽に参ってしまっているようだ。
 こっちの要素も忠義度に影響しているかもな。
 精力強化と夜戦術のスキルを取得している俺のテクニックは、かなりのものだ。

(――って、あれ? 忠義度がみるみる内に下がって……忠義度34? 低くはないが、加護(小)は付与できな――おや? また上がり始めた……)

 フレンダの忠義度が安定しない。
 忠義度38あたりを中心として、プラスマイナス4ぐらいの範囲を行ったり来たりしている。
 これは……。

(魅了魔法の影響か? これは検証の余地があるな……)

 加護(小)の付与には、忠義度が40必要だ。
 そして加護(小)を付与した後も順調に忠義度が上がっていけば、通常の加護を付与できる。
 では逆に、加護(小)を付与した後に忠義度が下がったらどうなるのだろうか?

 前例はない。
 加護(小)の付与に成功したからと言って、俺が彼ら彼女らをないがしろにすることはなかったからだ。
 むしろ、通常の加護の付与を狙っていくために厚遇して甘やかす傾向である。

 本人たちとしても、俺という貴族から厚遇され、そして加護の恩恵により知らず知らずの内に身体能力やスキルが上がっているのだ。
 より仕事にも身が入るというものだろう。
 そんな事情により、加護(小)を付与された者からの忠義度が40未満になったことは一度もないのだ。

(魅了魔法の副作用により、フレンダの忠義度は短時間に上下している。40を超えた瞬間に加護を付与して、その後は様子を見守る。そうすれば検証できるが……)

 どうしよう?
 どうすべきなのだろうか?
 加護付与スキルはチートだ。
 その仕様を深く知ることは、俺の今後の無双ライフに大きな好影響をもたらす。
 とはいえ、これは一種の人体実験の要素も持っている。
 加護付与という人智を超えたチートスキルの検証を、無断でフレンダで行なっていいものかどうか……。

(いや、いまさらか?)

 これまでも散々、本人の許可なく加護は付与してきた。
 今回は、魅了魔法の影響下にある者への付与という点では特殊だが、それだけだ。
 それに、これはフレンダにとっても利のある行為だ。
 元よりBランク冒険者の彼女が加護(小)の恩恵を受ければ、そのメリットは計り知れない。

「タカシちゃん……どうしたの?」

 フレンダの声で我に返った。
 俺は彼女に覆いかぶさるような体勢のまま、動きを緩慢にしてしまっていたようだ。

「あぁ、すまない」

 俺は、とりあえず体を離そうとする。
 だが、それをフレンダの足が止めた。
 彼女は両手両足で俺をホールドすると、そのままギュッと抱きついてきた。

「あは~。タカシちゃん、大好きだよ~!」

 フレンダの柔らかい感触を全身に感じる。
 間延びした口調に戻っているということは、落ち着きを取り戻したようだな。
 やはり、あれはキャラを作っているのか?

 女子版の厨二病みたいなやつなのかもしれない。
 この世界にもあったとは……。
 そんな俺の思考は、すぐに中断させられた。

「もうっ! ちゃんとこっちを見てよ~」

「ああ、すまん。再開するぞ!!」

 こうして俺は、フレンダとのお楽しみを再開したのだった。
 加護(小)の付与をどうするか、決断しないとなぁ……。

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