【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

891話 チャーム・キッス

 俺はフレンダたちと向かい合っていた。

「やぁ、フレンダ。狩りは順調なようだな」

「……」

 フレンダは無言で俺を見つめていた。
 な、なんか怖いな。
 圧を感じる。

「……今の聞いてた?」

「今の? リトルベアとの戦いは見させてもらったぞ。なかなかの強敵だったが、見事な一撃だった」

「ううん、そのあとの……」

「そのあとって言うと……。ああ、俺にアプローチして稼ぐとか、メロメロにさせてばんばん貢いでもらおうっていう話か?」

「……やっぱり聞いていたんだ。かくなる上は……」

 フレンダが怖い顔をしている。
 一体何を考えているんだろう?

「お前がそれほど金に執着しているとは思わなかったよ。まぁ、人間は誰しも欲望があるものだがな」

 ミリオンズの面々は、比較的金銭欲の薄い者が多い。
 一応は財布を分けており、各自のお小遣いは十分に確保されているのだが……。

 ミティは何かと俺のために使おうとする。
 アイリスは、困窮者の支援に積極的だ。
 ユナは細かいことを気にせずにパーっと使うタイプだ。
 サリエはいざという時のために貯金しているらしい。
 リーゼロッテは、何か美味しそうなものがあれば金に糸目を付けずに購入する。

 ミリオンズで最も金銭欲が強いのは、ニムだろうか。
 彼女は小さい頃から金銭的に苦労してきたため、かなりお金を大事にしている。
 あとは、ミリオンズ以外で言えば雪もそのあたりはキッチリしているタイプだ。

「ほら、とりあえずはこれをやろう」

「ふぇ?」

 俺は、アイテムボックスから指輪を取り出す。
 そして、フレンダの薬指にはめた。

「こ、これ……ダイヤモンドじゃ……。本物……?」

「もちろんだ。男爵家当主の俺が、ニセモノの指輪を渡すわけがないだろう」

 この世界には、オリハルコンやアダマンタイトなどといった地球にはない鉱石が存在している。
 だが、その他の鉱石や宝石類の希少性は地球と似たような感じだ。
 ダイヤモンドはこの世界でも高級品である。
 たった今フレンダの薬指にはめた指輪の相場は、金貨100枚以上だ。
 まぁ、これでもミティやアイリスたちに渡している指輪よりは安価なものだが。

「なっ!? ちょ、ちょっと待って……。こんな高価なものを貰える理由が分からないんだけど……」

 フレンダがうろたえている。
 あの特徴的な間延びした口調がなくなっているな。
 あれはもしかしてキャラを作っているのか?

「リトルベアの討伐で、実力は見せてもらった。前払いみたいなものだと思ってくれればいい。それと、今後もハイブリッジ男爵領で冒険者として頑張ってほしいからな」

「それにしたって、普通はこんな高価なものを渡したりしないよ」

「まぁ、確かにそうだな。ただ、これは俺からの個人的なお願いなのだが……」

「なに?」

「俺の女にならないか?」

「……ふぇ?」

 俺はフレンダを口説くことにした。
 彼女はBランク冒険者。
 ハーレムメンバーに引き入れることができれば、メリットは計り知れない。

「あの……えっと……」

 フレンダの顔が真っ赤になっている。
 少し意外な反応だな。
 彼女ほどの可愛さであれば、言い寄る男はいくらでもいただろうに。
 どうにも、男慣れしていないように見える。

「どうだ? 俺の愛人になる気はあるか?」

「……愛人」

「ああ、そうだ。本当は妻として迎え入れたいのだが、俺にも立場というものがあってな」

「……」

 フレンダの反応が少し微妙なものになる。
 やはり、愛人は嫌なのだろうか。
 俺には、現時点で8人の妻がいる。
 金には困っていないので、増やしてもいいのだが……。

 それは様子を見ながらの話だな。
 エルフの剣士蓮華、昔から仕えてくれているメイドのレイン、労働嫌いの働き者花など、妻ではなく愛人ポジションに留めている者は他にもいるし……。

「愛人は嫌だったか? それならば、しばらくラーグの街にとどまってくれるだけでもいいぞ」

「ううん、フレンダちゃんには奥の手があるから」

「奥の手? それは――」

「【チャーム・キッス】」

「むぐっ!?」

 フレンダのキスにより、俺の思考は停止した。
 とても甘美で濃厚なキスだった。
 永遠にも思える時間が流れた後、フレンダの唇が離れる。

「あは~。これでフレンダちゃんにメロメロになったよね~?」

「ああ、なったぞ。お前のような美少女に惚れられて嬉しく思う」

「そうだよね~。話題のスーパールーキーでも、フレンダちゃんの魅了には抗えないよね~」

 フレンダがドヤ顔を披露する。
 だが、その表情には少しばかりの落胆の色が見え隠れしていた。
 俺が彼女にメロメロになったことの、何が不満だと言うのだろう?

「あは~。じゃあ、狩りは適当に切り上げてたっぷりと報酬をもらおうかな~」

「それはできん。狩りに対する報酬は、あくまで平等だ」

「へ?」

 フレンダが、なにか信じられないものを見たような目をしている。

「金が欲しいなら、俺の小遣いから別途融通してやる。高価な宝石が欲しければ、買ってやろう。それで我慢してくれないか?」

「……う、うん。分かった」

「よし、そうと決まれば――」

 俺はイソイソと服を脱ぎ始める。
 恋仲になったのであれば、やることは一つだ。
 経験豊富そうなフレンダなら、気軽に応じてくれることだろう。
 楽しみだ。

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