【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

889話 魔物狩りの進捗

 大掃討作戦が始まって、数時間が経過した。
 今回の作戦に参加している冒険者は三十人を超える。
 だが、全員で一箇所にまとまって行動するわけではない。
 まとまればまとまるほど安全度は増すが、代わりに狩りの効率が落ちるからだ。

 とはいえ、完全に自由行動にしたら同士討ちのリスクが高まってしまう。
 それに、そもそも日にちを合わせて狩りを行う意味が薄まってしまう。
 というわけで、各参加者は適度にバラけて狩りをしている感じだ。

 事前に、各パーティの担当区域も決めている。
 EランクやDランク下位のパーティは、森の比較的浅い部分を担当してもらっている。
 少数のゴブリンや単独のハウンドウルフが主なターゲットだ。

 逆に、Dランク上位やCランクの冒険者には、より深い森の中に入ってもらうことになる。
 この作戦の指揮官である俺は、そういった上位陣に同行している。

「斬魔一刀流……火炎斬!!」

「うおおおぉっ! どりゃあ!!」

「影の刃――【シャドウエッジ】!」

「「「ギャアアアァッ!!!」」」

 アラン、トミー、月の攻撃を受け、ゴブリンたちが悲鳴を上げて倒れていく。
 それぞれのパーティメンバーも奮闘している。
 やはり、彼らの実力は安定しているな。

 中でも、アランの成長は目覚ましい。
 彼は、俺の得意剣術である『斬魔一刀流』を使いこなしつつある。
 『火炎斬』はその中でも初歩であり、その後は『獄炎斬』『魔皇炎斬』へと至っていく。
 彼の現時点におけるランクはDだが、今回の作戦が無事に終わればCランクも見えてくるだろう。
 俺が『火炎斬』を練習していたのもDランクの頃で、実戦で習得に成功してからすぐにCランクに昇格した。

 トミーの実力も高い。
 彼は、ラスターレイン伯爵領の一件があった頃からCランクで、今もCランクのままだ。
 一つの限界点に達しているような形だが、加護(小)の条件さえ見たせばその限界を突破することも可能だろう。
 そうなれば、Bランクも見えてくるはずだ。

 月はどうか?
 三姉妹の雪、月、花は、それぞれの個人ランクがCで、パーティランクも同じくCだ。
 雪と花が1か月ほど前に加護(小)の条件を満たしたことにより、その実力は大きく増した。
 彼女たち二人は、近い内にBランクに達してもおかしくない。

 それに比べ、月は一歩劣ってしまっているのが現状だ。
 彼女の努力が不足しているとは言わないが、やはり加護の恩恵の差は大きい。
 月も加護(小)の条件を満たすことができれば、三姉妹仲良くBランクになることもあり得る。
 そうなれば、パーティランクもBが見えてくるだろう。

「素晴らしい。これなら、順調に狩りが進んでいきそうだ」

 俺は、満足げに呟いた。
 今のところ、特に大きな問題は起きていない。
 順調だ。
 この調子で、どんどん狩りを進めてもらおう。

「――む?」

 俺の気配察知スキルに、魔物の反応がある。
 単独で、大きめの反応だ。
 ゴブリンやクレイジーラビットではないな。

「おい、お前たち――」

 俺は注意の声を上げようとする。
 だが、俺の言葉よりも早く彼らは警戒態勢に入っていた。

「我が神よ! 俺たちなら大丈夫です」

「へへっ。伊達に長いこと冒険者をやってきてませんぜ!」

 アランとトミーが自信満々に言う。
 油断しているわけではないか。
 いい意味でリラックスしている様子だ。

「出てくるのを待ち構えて~。いくよ~。【ウッドバインド】~」

「ガアァッ!?」

 茂みから飛び出してきたリトルベアを、花の魔法が捕らえる。

「凍えろ……。【ブリザード】……」

「グゥ……グオォッ……」

 雪の放った氷結系の水魔法。
 その冷気が、リトルベアを包み込む。
 奴の体温を急速に奪っていく。

「へへっ。いいねぇ!」

「温度差でダメージを与えてやるぜ! 【ファイアーボール】!!」

「グアアァッ!?」

 アランの放った最初級の火魔法がリトルベアを襲う。
 本来、リトルベア級の魔物に対してファイアーボールでは威力不足だ。
 しかし、先んじて放っていた雪のブリザードにより体温が低下していたリトルベアに、それは大きな効果を発揮した。

「これでトドメよ! 【シャドウエッジ】!!」

 月の必殺の一撃が、リトルベアの首を切り裂く。

「グルルルル……」

 首から血を流しながら、リトルベアが倒れる。
 戦闘終了だ。
 連携も取れているし、問題なさそうかな。

「さすがは、我がハイブリッジ男爵家が普段から重用しているだけある。見事なものだ」

「勿体なきお言葉でございます! 我が神よ!!」

「タカシの旦那にそう言っていただけると、嬉しいでさぁ!」

「えへへ。ありがとね~」

「……どうも」

「まだまだこんなものじゃないわよ!」

 アラン、トミー、花、雪、月がそんな反応を示す。

「よし、ここはお前たちに任せよう。俺は他の場所を見て回ることにする。無理だけはするなよ? 何かあったらすぐに知らせてくれ」

「承知しました!」

「分かったわ!」

 こうして俺は、彼らと別行動を取ることにした。
 どこを見て回るか……。
 EランクやDランク下位に任せているエリアは、大して重要じゃないよな。
 危険度も低いし、見て回る意味は薄い。

「そうだ、フレンダに任せているエリアに行ってみよう」

 Bランク冒険者である彼女が率いるパーティには、それなりに危険な場所を任せている。
 ま、危険と言ってもせいぜいリトルベアが出るぐらいだけどな。
 西の森の危険度はラーグの街周辺の中では高めだが、王国全体の中ではさほどでもない。
 フレンダが危機に陥ることはそうそうないだろう。

 例外があるとすれば、『魔の領域』から高ランクの魔物が迷い込んできた場合ぐらいだろうな。
 俺もかつて、ホワイトタイガーに遭遇したことがある。
 あのときは大変だった。

「おっと、思い出に浸っている場合じゃないな。ちゃちゃっと見て回って、仕事を終わらせていこう」

 俺はそんなことを呟きつつ、フレンダの担当区域に向かい始めたのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品