【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
883話 人間さん、こっちだよ
「あー、今日はよく飲んだなぁ……。ヒック」
俺は今、夜風に当たりながら街を歩いている。
ニム、サリエ、花、それに一般労働者たちを交えた打ち上げは大いに盛り上がった。
領主である俺がいては、一般労働者たちは落ち着かないだろう。
金だけ出して俺は早々に退散しようかとも思ったのだが、結局最後まで参加してしまった。
やはり、目下の者を集めて飲む酒は美味い。
向こうは向こうで、タダ酒を楽しんでくれていたように思う。
お互いにウィンウィンの関係だ。
「ふぅ~……」
飲みすぎたのか、少し足元がフラつく。
アルコールは毒の一種と言ってもいい。
治療魔法を使えば、酔いを醒ますことも可能だ。
だが、敢えてそれはしない。
たまにはいいじゃないか。
こういう日があっても。
水を飲んで、普通に体内でアルコールを分解し、排出していくのさ。
サリエやニムには先に帰ってもらっているし、ひとりで気ままな夜の散歩と洒落込もう。
「ヒック……。ウィ~」
俺は酔っ払いながら、公衆トイレに入る。
この国はそれなりに発展しているが、さすがに現代日本ほどの公衆衛生は確立されていない。
そんな中でも、ラーグの街は別だ。
俺が口を出し資金を提供したことで、公衆衛生も整いつつある。
農業改革の成功により飢える者が激減した今、衛生面はこれからの課題の一つなのだ。
「あー……。もったいねェな~……。飲んだ酒が全部出ちまいやがる。お酒の神様、今日もありがとおォ~。ウヒャヒャヒャ……いねェか、そんなの」
用を足しながら、俺はひとりで笑う。
思っていたよりも酔っているな。
いくら自領の領都とはいえ、領主がひとりで夜道を散歩するのはマズイか?
少しだけでも自分に治療魔法を掛けておくべきかもしれない。
俺がそう思ったときだった。
(ふふ……。素敵な人間さん……。おいしそうな魔力をたくさん持ってる人間さん……)
「ん?」
どこかから声が聞こえた。
見回してみるが、公衆トイレ内には誰もいない。
「なんだ? やはり酔ってしまっているな。幻聴まで聞こえてきたようだ」
(幻聴なんかじゃないよ……。人間さん、こっちだよ、こっち)
「!?」
確かに聞こえる。
女性の声が。
初めて聞くようでいて、何度も聞いたことのある声のような気もする。
まるで幼なじみの声のような安心感を抱く一方で、まるで悪魔のように危険な誘惑をしてくるようでもある。
「どこにいる? 姿を見せてくれ!」
(こっちに来て……。こっちだよ、こっち……)
俺は、声に導かれるように歩を進める。
街の西門の方向だ。
「…………」
夜中のこんなところに女性がいるはずがない。
俺の理性がそう叫ぶ。
だが、本能が囁くのだ。
この奥に素敵な女性がいると。
「どこだ、どこにいるんだ?」
(こっちだよ……早く来て……)
西門を出た俺は、まだ見ぬ声の主を求めて歩き続ける。
そして、今日の日中に植えて育てたばかりの聖樹(?)の前までやって来た。
「このあたりにいるんだろう? 姿を見せてくれ!」
俺の言葉に応えるように、目の前の空間が歪む。
そしてそこから、一人の美しい女性が姿を現した。
(こんにちは、とっても美味しそうな魔力を持った人間さん……)
「君は……誰だ?」
(ふふ……。人間さんは、わたしの正体を知っているでしょう?)
「いや、俺に君のような知り合いはいないぞ」
俺は記憶を探る。
しかし、彼女の顔に見覚えはなかった。
美人ではあるが、知らない顔である。
(本当にそう? ふふふ……)
彼女が怪しげな笑みを浮かべると、その体が鈍く光り始める。
そして――
「なッ! お前は!?」
(やっと思い出してくれたのね……)
彼女が身に纏っていた光が消え失せると、そこには先ほどまでの女性の姿がなかった。
代わりにいたのは、千だった。
「なぜお前がここに? お前は遠くに旅立ったはずでは……?」
ベアトリクス第三王女やシュタイン=ソーマ騎士爵と共に、ヤマト連邦に向かっているはずである。
こんなところにいるわけがない。
(ふふふ……。君のために、蘇ったのよ。また会いたいと思ってくれたんでしょ? 嬉しいな……)
「――ん? 君? 蘇った?」
俺は千の言葉に違和感を覚える。
千は俺のことを『タカシさん』と読んでいたはずだ。
それに、『蘇った』というのもおかしい。
彼女は遠く離れたヤマト連邦に向かっただけで、死んだりはしていない。
いや、俺が知らないだけで任務を失敗してベアトリクスやシュタインと共に死亡している可能性はあるのか?
しかしそれにしても、口調が変だ。
彼女は『ですわ』という語尾をよく使っていた。
今の彼女は、以前会ったときとはまるで違う。
「お前はいったい……?」
(あれ……? ずいぶんと抵抗力が強い人間さんだね……。ちょっとした違和感を見逃さないなんて……)
千――いや、千の姿をした謎の女性が俺に近づいてくる。
(まぁいいか……。どうせ同じことだし……)
「何を言っているんだ? さっきから様子がおかしいぞ。何があったんだ?」
(なにもないよ。ただ、あなたに会いたかっただけ……。ずっとあなたのことを想ってたの……)
彼女が再び怪しげな笑みを浮かべると同時に、俺の意識が不明瞭になっていく。
「…………」
(ふふ……。わたしの魅了の花粉を受けて、抵抗できる人間さんなんていないよ。発散されない欲望を抱いている人なら特にね……)
千がなにやら呟いている。
注目すべき情報が含まれている気がするが、思考がまとまらない。
もともと酔っていたのもあるし、千に何かされてしまったのもあるかもしれない。
「千……。お前も俺の女にしてやる!」
(ふふふ……。たくさん魔力を絞り取ってあげる……。死なない程度に加減してあげるけど、明日は足腰立たなくなるかもね……)
俺は千の怪しげな声を耳にしながら、意識不明瞭のままズボンを脱ぐ。
そして、腰を動かし始めたのだった。
俺は今、夜風に当たりながら街を歩いている。
ニム、サリエ、花、それに一般労働者たちを交えた打ち上げは大いに盛り上がった。
領主である俺がいては、一般労働者たちは落ち着かないだろう。
金だけ出して俺は早々に退散しようかとも思ったのだが、結局最後まで参加してしまった。
やはり、目下の者を集めて飲む酒は美味い。
向こうは向こうで、タダ酒を楽しんでくれていたように思う。
お互いにウィンウィンの関係だ。
「ふぅ~……」
飲みすぎたのか、少し足元がフラつく。
アルコールは毒の一種と言ってもいい。
治療魔法を使えば、酔いを醒ますことも可能だ。
だが、敢えてそれはしない。
たまにはいいじゃないか。
こういう日があっても。
水を飲んで、普通に体内でアルコールを分解し、排出していくのさ。
サリエやニムには先に帰ってもらっているし、ひとりで気ままな夜の散歩と洒落込もう。
「ヒック……。ウィ~」
俺は酔っ払いながら、公衆トイレに入る。
この国はそれなりに発展しているが、さすがに現代日本ほどの公衆衛生は確立されていない。
そんな中でも、ラーグの街は別だ。
俺が口を出し資金を提供したことで、公衆衛生も整いつつある。
農業改革の成功により飢える者が激減した今、衛生面はこれからの課題の一つなのだ。
「あー……。もったいねェな~……。飲んだ酒が全部出ちまいやがる。お酒の神様、今日もありがとおォ~。ウヒャヒャヒャ……いねェか、そんなの」
用を足しながら、俺はひとりで笑う。
思っていたよりも酔っているな。
いくら自領の領都とはいえ、領主がひとりで夜道を散歩するのはマズイか?
少しだけでも自分に治療魔法を掛けておくべきかもしれない。
俺がそう思ったときだった。
(ふふ……。素敵な人間さん……。おいしそうな魔力をたくさん持ってる人間さん……)
「ん?」
どこかから声が聞こえた。
見回してみるが、公衆トイレ内には誰もいない。
「なんだ? やはり酔ってしまっているな。幻聴まで聞こえてきたようだ」
(幻聴なんかじゃないよ……。人間さん、こっちだよ、こっち)
「!?」
確かに聞こえる。
女性の声が。
初めて聞くようでいて、何度も聞いたことのある声のような気もする。
まるで幼なじみの声のような安心感を抱く一方で、まるで悪魔のように危険な誘惑をしてくるようでもある。
「どこにいる? 姿を見せてくれ!」
(こっちに来て……。こっちだよ、こっち……)
俺は、声に導かれるように歩を進める。
街の西門の方向だ。
「…………」
夜中のこんなところに女性がいるはずがない。
俺の理性がそう叫ぶ。
だが、本能が囁くのだ。
この奥に素敵な女性がいると。
「どこだ、どこにいるんだ?」
(こっちだよ……早く来て……)
西門を出た俺は、まだ見ぬ声の主を求めて歩き続ける。
そして、今日の日中に植えて育てたばかりの聖樹(?)の前までやって来た。
「このあたりにいるんだろう? 姿を見せてくれ!」
俺の言葉に応えるように、目の前の空間が歪む。
そしてそこから、一人の美しい女性が姿を現した。
(こんにちは、とっても美味しそうな魔力を持った人間さん……)
「君は……誰だ?」
(ふふ……。人間さんは、わたしの正体を知っているでしょう?)
「いや、俺に君のような知り合いはいないぞ」
俺は記憶を探る。
しかし、彼女の顔に見覚えはなかった。
美人ではあるが、知らない顔である。
(本当にそう? ふふふ……)
彼女が怪しげな笑みを浮かべると、その体が鈍く光り始める。
そして――
「なッ! お前は!?」
(やっと思い出してくれたのね……)
彼女が身に纏っていた光が消え失せると、そこには先ほどまでの女性の姿がなかった。
代わりにいたのは、千だった。
「なぜお前がここに? お前は遠くに旅立ったはずでは……?」
ベアトリクス第三王女やシュタイン=ソーマ騎士爵と共に、ヤマト連邦に向かっているはずである。
こんなところにいるわけがない。
(ふふふ……。君のために、蘇ったのよ。また会いたいと思ってくれたんでしょ? 嬉しいな……)
「――ん? 君? 蘇った?」
俺は千の言葉に違和感を覚える。
千は俺のことを『タカシさん』と読んでいたはずだ。
それに、『蘇った』というのもおかしい。
彼女は遠く離れたヤマト連邦に向かっただけで、死んだりはしていない。
いや、俺が知らないだけで任務を失敗してベアトリクスやシュタインと共に死亡している可能性はあるのか?
しかしそれにしても、口調が変だ。
彼女は『ですわ』という語尾をよく使っていた。
今の彼女は、以前会ったときとはまるで違う。
「お前はいったい……?」
(あれ……? ずいぶんと抵抗力が強い人間さんだね……。ちょっとした違和感を見逃さないなんて……)
千――いや、千の姿をした謎の女性が俺に近づいてくる。
(まぁいいか……。どうせ同じことだし……)
「何を言っているんだ? さっきから様子がおかしいぞ。何があったんだ?」
(なにもないよ。ただ、あなたに会いたかっただけ……。ずっとあなたのことを想ってたの……)
彼女が再び怪しげな笑みを浮かべると同時に、俺の意識が不明瞭になっていく。
「…………」
(ふふ……。わたしの魅了の花粉を受けて、抵抗できる人間さんなんていないよ。発散されない欲望を抱いている人なら特にね……)
千がなにやら呟いている。
注目すべき情報が含まれている気がするが、思考がまとまらない。
もともと酔っていたのもあるし、千に何かされてしまったのもあるかもしれない。
「千……。お前も俺の女にしてやる!」
(ふふふ……。たくさん魔力を絞り取ってあげる……。死なない程度に加減してあげるけど、明日は足腰立たなくなるかもね……)
俺は千の怪しげな声を耳にしながら、意識不明瞭のままズボンを脱ぐ。
そして、腰を動かし始めたのだった。
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