【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
877話 串焼き
リンドウの街に戻った俺たちは、適当にぶらついた。
キサラやトパーズの調教――じゃなくて”説得”は無事に終わったのだが、ブギー頭領たちと約束した時間までまだ余裕があるからだ。
「ほら、ファルコンバードの串焼きだ。美味いぞ」
「あ、ありがとよ」
「いただきます」
俺は屋台で買ってきた肉料理を、キサラやトパーズたちに食べさせる。
厳しく接するだけでは人は育たないし、忠義度も上がらない。
彼女たちに罰を与えて反省させた今、こうして多少甘やかすのは悪くない選択肢だろう。
「むぐむぐ……。こりゃうめぇな! 今まで食った鶏肉の中で一番かもしれねぇ!」
「本当ですね! すごくジューシーです!」
キサラとトパーズが喜んでいる。
くすぐり刑で悶絶するキサラは魅力的だったし、お尻ぺんぺんで屈辱に震えるトパーズも蠱惑的だった。
だが、やはりこうして笑顔で喜ぶ彼女たちの姿もまた美しい。
「だろう? 西の森で狩ったばかりのものを調理しているらしいぞ。それに、調理者の腕も良い」
俺が褒めると、店主のおじさんは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「へっ! 兄ちゃん、わかってるじゃねぇか!」
「ああ。とてもいい味つけだ」
「そう言ってもらえるとありがたいね。――ところで、あんたらはこの街に来たばかりかい?」
「そうだな。今日の午前に来たばかりだ」
魔法の絨毯を利用して、俺たちはこの街にやって来た。
到着早々、ヤックルという冒険者兼鉱夫に絡まれた。
彼をリンドウ治安維持隊の隊長に抜擢した後、ブギー頭領たちに出迎えられ、リンドウ会議に出席した。
その場でキサラとトパーズを紹介したのだが、二人とも反抗的な態度を取っていた。
そこで、彼女たちを人目の付かない温泉に案内し、くすぐり刑やお尻ぺんぺんの刑を執行して反省を促した。
魔法の絨毯で西の森の上空を適当に飛び回り、帰ってきたのがつい先ほどとなる。
「いいタイミングで来たじゃねぇか。今日はすげぇ人がこの街に来ているんだぜ?」
「ほう……。それは興味深いな。誰が来ているんだ?」
すごい人、か。
リンドウの街に賓客が訪れるなら、俺の耳にも入っているはずだが……。
突発的な訪問なのかもしれない。
「ちょうど今から、その人のための歓待料理を納めにいくんだ。俺の店の担当は串焼きだけだがよ。良かったら付いてくるか? 遠目になら見られると思うぞ」
「そうだな。ぜひお願いしよう」
そろそろブギー頭領たちとの約束の時間だが……。
少しぐらいの時間はある。
その『すごい人』とやらを一目だけでも見ておいて損はないだろう。
向こうからしても、領主である俺と知り合えるなら悪くないはずだ。
「ふむ。これを運んでいくのか? 手伝ってやろう」
「いや、台車を用意して……おおっ!? 兄ちゃん、なかなかの力持ちじゃねぇか!」
「まぁこれくらいはな」
俺は『ステータス操作』のスキルにより様々なスキルを伸ばしている。
重いものを持つ時に役立っているのは、『腕力強化レベル2』や『肉体強化レベル3』あたりだな。
また、『闘気術レベル4』『MP強化レベル4』『魔力強化レベル5』あたりの存在も大きい。
闘気や魔力を体に常時纏うことにより、身体能力を向上させているからだ。
「それにしても、なかなかの量の串焼きだ。その『すごい人』とやらは、大食漢なんだな」
「高ランク冒険者らしいからな。たくさん食べるのだろうぜ」
「ほう。冒険者か」
上級の冒険者や一流の騎士などは、大食漢が多い。
消費エネルギーが多いからだ。
ミティやアイリスたちも、よく食べる。
「ま、それにしても少し多めだとは思うけどよ。万が一にでも足りなければ一大事だってことで、多めに依頼されたんだ。それだけ特別なお客様だってことだな」
「なるほど……」
そんな話をしているうちに、目的地に到着したようだ。
「着いたぜ。ここだ」
「ここが……。ん?」
俺は串焼きを運んできた屋台の店主と一緒に、その建物を見上げる。
「……」
「どうした、兄ちゃん」
「あ、ああ。なんでもない」
俺は平静を装った。
しかし、心の中では少し動揺していた。
なぜなら、ここはブギー頭領たちと待ち合わせをしている、会議場だったからだ。
「ハッハ! ひとっ風呂浴びてさっぱりしたぜ!」
「タカシ殿との約束時間まで、まだ少しあります。会食の用意を整えておきましょう」
離れたところからそんな声が聞こえてきた。
ブギー頭領とジョー副頭領だ。
他の面々もいる。
温泉から帰ってきたようだ。
「あの方たちが、この串焼きの依頼人さ。すげぇ人を出迎えるために必要なんだと」
「そうなのか?」
俺は串焼き屋の店長に聞き返す。
どうにも腑に落ちないな。
ブギー頭領たちは、俺との会議を控えている。
『すごい人』とやらの相手をしている暇はないはずだが……。
まさか、俺の存在が忘れられているのか?
「……ん? おお! タカシの坊主じゃねぇか!」
「これはこれは……。お待たせしてしまいましたか?」
二人が俺に気づき、こちらにやってきた。
そして、俺に挨拶をする。
「いや、大丈夫だ。それより、串焼きを運んできてやったぞ」
「ハッハ! なぜタカシの坊主がそんなことをしているんだ?」
「まぁ成り行きでな。で、誰か偉い人が来るのか?」
「……? いえ、そのような予定はありませんが」
「え? じゃあ、どうしてこんなにたくさんの串焼きを?」
俺は疑問に思い、質問する。
「それはもちろん、タカシ殿のためですよ。ハイブリッジ男爵領の領主である貴方様のために、今のリンドウで用意できる精一杯の料理を手配したのです」
「ああ、そういうことだったか。ありがとう」
ジョー副頭領の言葉を聞いて、ようやく納得できた。
つまり、串焼き屋の店長が言っていた『すごい人』というのは、俺のことだったのだ。
俺も貴族としての振る舞いが板についてきたと思っていたのだが、まだまだ庶民感覚が抜けきらないな。
『すごい人』がいると聞いて、自分のことだという発想を持てなかった。
「…………は? ……え? リョウシュ……サマ……?」
「驚かせたようですまなかったな。別に隠していたわけではないのだが……俺が領主、タカシ=ハイブリッジ男爵だ。以後、よろしく頼むぞ」
目を丸くして驚く串焼き屋の店長に、俺は厳かにそう名乗ったのだった。
キサラやトパーズの調教――じゃなくて”説得”は無事に終わったのだが、ブギー頭領たちと約束した時間までまだ余裕があるからだ。
「ほら、ファルコンバードの串焼きだ。美味いぞ」
「あ、ありがとよ」
「いただきます」
俺は屋台で買ってきた肉料理を、キサラやトパーズたちに食べさせる。
厳しく接するだけでは人は育たないし、忠義度も上がらない。
彼女たちに罰を与えて反省させた今、こうして多少甘やかすのは悪くない選択肢だろう。
「むぐむぐ……。こりゃうめぇな! 今まで食った鶏肉の中で一番かもしれねぇ!」
「本当ですね! すごくジューシーです!」
キサラとトパーズが喜んでいる。
くすぐり刑で悶絶するキサラは魅力的だったし、お尻ぺんぺんで屈辱に震えるトパーズも蠱惑的だった。
だが、やはりこうして笑顔で喜ぶ彼女たちの姿もまた美しい。
「だろう? 西の森で狩ったばかりのものを調理しているらしいぞ。それに、調理者の腕も良い」
俺が褒めると、店主のおじさんは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「へっ! 兄ちゃん、わかってるじゃねぇか!」
「ああ。とてもいい味つけだ」
「そう言ってもらえるとありがたいね。――ところで、あんたらはこの街に来たばかりかい?」
「そうだな。今日の午前に来たばかりだ」
魔法の絨毯を利用して、俺たちはこの街にやって来た。
到着早々、ヤックルという冒険者兼鉱夫に絡まれた。
彼をリンドウ治安維持隊の隊長に抜擢した後、ブギー頭領たちに出迎えられ、リンドウ会議に出席した。
その場でキサラとトパーズを紹介したのだが、二人とも反抗的な態度を取っていた。
そこで、彼女たちを人目の付かない温泉に案内し、くすぐり刑やお尻ぺんぺんの刑を執行して反省を促した。
魔法の絨毯で西の森の上空を適当に飛び回り、帰ってきたのがつい先ほどとなる。
「いいタイミングで来たじゃねぇか。今日はすげぇ人がこの街に来ているんだぜ?」
「ほう……。それは興味深いな。誰が来ているんだ?」
すごい人、か。
リンドウの街に賓客が訪れるなら、俺の耳にも入っているはずだが……。
突発的な訪問なのかもしれない。
「ちょうど今から、その人のための歓待料理を納めにいくんだ。俺の店の担当は串焼きだけだがよ。良かったら付いてくるか? 遠目になら見られると思うぞ」
「そうだな。ぜひお願いしよう」
そろそろブギー頭領たちとの約束の時間だが……。
少しぐらいの時間はある。
その『すごい人』とやらを一目だけでも見ておいて損はないだろう。
向こうからしても、領主である俺と知り合えるなら悪くないはずだ。
「ふむ。これを運んでいくのか? 手伝ってやろう」
「いや、台車を用意して……おおっ!? 兄ちゃん、なかなかの力持ちじゃねぇか!」
「まぁこれくらいはな」
俺は『ステータス操作』のスキルにより様々なスキルを伸ばしている。
重いものを持つ時に役立っているのは、『腕力強化レベル2』や『肉体強化レベル3』あたりだな。
また、『闘気術レベル4』『MP強化レベル4』『魔力強化レベル5』あたりの存在も大きい。
闘気や魔力を体に常時纏うことにより、身体能力を向上させているからだ。
「それにしても、なかなかの量の串焼きだ。その『すごい人』とやらは、大食漢なんだな」
「高ランク冒険者らしいからな。たくさん食べるのだろうぜ」
「ほう。冒険者か」
上級の冒険者や一流の騎士などは、大食漢が多い。
消費エネルギーが多いからだ。
ミティやアイリスたちも、よく食べる。
「ま、それにしても少し多めだとは思うけどよ。万が一にでも足りなければ一大事だってことで、多めに依頼されたんだ。それだけ特別なお客様だってことだな」
「なるほど……」
そんな話をしているうちに、目的地に到着したようだ。
「着いたぜ。ここだ」
「ここが……。ん?」
俺は串焼きを運んできた屋台の店主と一緒に、その建物を見上げる。
「……」
「どうした、兄ちゃん」
「あ、ああ。なんでもない」
俺は平静を装った。
しかし、心の中では少し動揺していた。
なぜなら、ここはブギー頭領たちと待ち合わせをしている、会議場だったからだ。
「ハッハ! ひとっ風呂浴びてさっぱりしたぜ!」
「タカシ殿との約束時間まで、まだ少しあります。会食の用意を整えておきましょう」
離れたところからそんな声が聞こえてきた。
ブギー頭領とジョー副頭領だ。
他の面々もいる。
温泉から帰ってきたようだ。
「あの方たちが、この串焼きの依頼人さ。すげぇ人を出迎えるために必要なんだと」
「そうなのか?」
俺は串焼き屋の店長に聞き返す。
どうにも腑に落ちないな。
ブギー頭領たちは、俺との会議を控えている。
『すごい人』とやらの相手をしている暇はないはずだが……。
まさか、俺の存在が忘れられているのか?
「……ん? おお! タカシの坊主じゃねぇか!」
「これはこれは……。お待たせしてしまいましたか?」
二人が俺に気づき、こちらにやってきた。
そして、俺に挨拶をする。
「いや、大丈夫だ。それより、串焼きを運んできてやったぞ」
「ハッハ! なぜタカシの坊主がそんなことをしているんだ?」
「まぁ成り行きでな。で、誰か偉い人が来るのか?」
「……? いえ、そのような予定はありませんが」
「え? じゃあ、どうしてこんなにたくさんの串焼きを?」
俺は疑問に思い、質問する。
「それはもちろん、タカシ殿のためですよ。ハイブリッジ男爵領の領主である貴方様のために、今のリンドウで用意できる精一杯の料理を手配したのです」
「ああ、そういうことだったか。ありがとう」
ジョー副頭領の言葉を聞いて、ようやく納得できた。
つまり、串焼き屋の店長が言っていた『すごい人』というのは、俺のことだったのだ。
俺も貴族としての振る舞いが板についてきたと思っていたのだが、まだまだ庶民感覚が抜けきらないな。
『すごい人』がいると聞いて、自分のことだという発想を持てなかった。
「…………は? ……え? リョウシュ……サマ……?」
「驚かせたようですまなかったな。別に隠していたわけではないのだが……俺が領主、タカシ=ハイブリッジ男爵だ。以後、よろしく頼むぞ」
目を丸くして驚く串焼き屋の店長に、俺は厳かにそう名乗ったのだった。
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