【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
866話 ノノンのトラウマ
大会議室を出た俺たちは、マリアやリンたちと合流した。
「よう。この街は楽しめたか?」
「うんっ! 前に来たときよりもいろいろ変わってたよ!」
「わ、わたしは初めてでしたが……勉強になりましたぁ」
「…………(こくっ)」
マリア、リン、ロロが楽しげな表情を浮かべる。
初めての街を探検するのは楽しいよなぁ。
リンやロロにも、冒険者の素質はありそうだ。
ただ、対称的にノノンだけは何やら顔を伏せている。
「…………」
「ノノン、どうかしたか?」
「あ、えっと……」
「何かあったのなら、何でも言ってくれ」
「…………」
ノノンは何も答えない。
うーん……。
マリアが同行していたし、変なことに巻き込まれたりはしていないはずだが。
ここは『騎士とお姫様モード』に移行するか?
その方が、本音を話してもらいやすくなる。
問題は、周囲の目があることだ。
俺個人としては気にしないのだが、貴族である俺が平民のノノンを姫扱いしているのを見られるのはあまり良くない。
ここは――
「失礼するぞ。【レビテーション】」
「へ? は、はわわっ!」
俺はノノンをお姫様抱っこして上空に浮かび上がった。
「き、騎士様ぁ。急にどうしたのですか?」
「申し訳ありません、姫様。ですが、他の人に聞かれたくない内容かと思いまして」
上空にまで飛び上がった今、俺たちの会話が周囲に聞かれることはない。
存分に『騎士とお姫様モード』で会話ができる。
「何かあったのでしょう?」
「は、はい。実は――」
ノノンが語り出した内容は、ある程度は予想できたはずの内容だった。
リンドウの街や採掘場を見学して回っていた彼女は、不意にロッシュたち『元・闇蛇団』の面々に遭遇したそうだ。
ただし、別に絡まれたりしたわけではない。
彼らはそこそこ真面目に働いていた。
だが、そんな彼らを遠くから見て、ノノンは彼らにされたことがフラッシュバックしたらしい。
「そうでしたか。それは失礼しました。私の配慮が足りませんでした」
「い、いえ! 騎士様は悪くありません! ただ、私の心の問題ですから!」
「しかし、そうは言いましても……」
難しいところだ。
かつて、ロッシュたち『闇蛇団』の面々は相当なことをノノンにしてきた。
具体的には、ギャンブル初心者の彼女から有り金を巻き上げて、公開ストリップショーを行わせたのだ。
その事実は決して消えないし、決して許せることではない。
幼い少女には、この通りトラウマ級の出来事だったはずだ。
しかし一方で、彼らは殺人や強姦をしたわけではないし、殴る蹴るの暴行をしたり罵詈雑言を浴びせたりしたわけでもない。
微弱とはいえ闇の瘴気の影響を受けており、情状酌量の余地はあった。
ロッシュたちを死刑にすればスッキリするだろうが、それは法的には明らかにやり過ぎだと思われる。
実際、事件後にノノンが彼らに会った際には、事件を克服した雰囲気もあった。
「……」
「……」
無言の時間が流れる。
こういうとき、何を言えばいいのか。
下手な慰めの言葉は逆効果だし、そもそも俺はそういうことが苦手だ。
だから俺は、1つの提案をすることにした。
「では、こうしましょう」
「?」
「奴らに復讐するのです」
「ふ、ふくしゅう……?」
「はい。あの連中は、姫様からお金を奪い、酷い目に遭わせた。つまり、姫様に心の傷を作った加害者です。ならば、今度は姫様が奴らに心の傷を作ってやればいいのです」
「さ、さすがにそれは……。あの人たちも、ちゃんと反省して働いているみたいですし……」
ノノンが答える。
彼女は本当に優しい子だ。
被害を受けたのは自分なのに、加害者をかばうようなことを言うなんて。
「ふむ……。では、下にいるトパーズが相手ならばどうでしょうか?」
「トパーズさん……ですか? 私は彼女に何かをされたわけじゃありませんが……」
「彼女も闇蛇団の元構成員です。姫様に直接何かをしたわけではなくとも、間接的には関わっています。復讐の権利はあるかと」
ノノンの復讐に加えて、さっきの大会議での態度を改めてもらういい機会だ。
一石二鳥の妙案である。
「で、でも……」
「そんなに大げさなことではありません。ちょうど別件で、彼女にはちょっとした罰を与えようと思っていたのです。その実行に姫様の力をお借りしたいだけですよ」
「はぁ……」
「それに、これはあくまで提案です。姫様がどうしても嫌だと仰るなら、別の方法を考えますよ」
「……わかりました。やってみます」
よしよし。
これで方針は決まった。
トパーズに適切な罰を与えれば、ノノンのトラウマを払拭しつつ、トパーズの反抗心も抑えられるだろう。
キサラはノノンに対しては無関係だが、採掘場での労働に反抗心を持っているという点では同罪だ。
俺、ノノン、マリア、リン、ロロ。
5人がかりで、トパーズとキサラに罰を与えてやろう。
「ありがとうございます。姫様」
「い、いえっ! こちらこそ!」
俺はノノンを抱えたままレビテーションの出力を下げ、地上へと降り立った。
そして、地上で待っていたみんなが出迎えてくれる。
「タカシお兄ちゃん、何のお話をしていたの?」
「ああ、ちょっとな……。少し込み入った話だ。みんなで行きたい場所がある。開発中の場所なのだが――」
俺はそう切り出し、みんなで人目の付かない場所に移動することにしたのだった。
「よう。この街は楽しめたか?」
「うんっ! 前に来たときよりもいろいろ変わってたよ!」
「わ、わたしは初めてでしたが……勉強になりましたぁ」
「…………(こくっ)」
マリア、リン、ロロが楽しげな表情を浮かべる。
初めての街を探検するのは楽しいよなぁ。
リンやロロにも、冒険者の素質はありそうだ。
ただ、対称的にノノンだけは何やら顔を伏せている。
「…………」
「ノノン、どうかしたか?」
「あ、えっと……」
「何かあったのなら、何でも言ってくれ」
「…………」
ノノンは何も答えない。
うーん……。
マリアが同行していたし、変なことに巻き込まれたりはしていないはずだが。
ここは『騎士とお姫様モード』に移行するか?
その方が、本音を話してもらいやすくなる。
問題は、周囲の目があることだ。
俺個人としては気にしないのだが、貴族である俺が平民のノノンを姫扱いしているのを見られるのはあまり良くない。
ここは――
「失礼するぞ。【レビテーション】」
「へ? は、はわわっ!」
俺はノノンをお姫様抱っこして上空に浮かび上がった。
「き、騎士様ぁ。急にどうしたのですか?」
「申し訳ありません、姫様。ですが、他の人に聞かれたくない内容かと思いまして」
上空にまで飛び上がった今、俺たちの会話が周囲に聞かれることはない。
存分に『騎士とお姫様モード』で会話ができる。
「何かあったのでしょう?」
「は、はい。実は――」
ノノンが語り出した内容は、ある程度は予想できたはずの内容だった。
リンドウの街や採掘場を見学して回っていた彼女は、不意にロッシュたち『元・闇蛇団』の面々に遭遇したそうだ。
ただし、別に絡まれたりしたわけではない。
彼らはそこそこ真面目に働いていた。
だが、そんな彼らを遠くから見て、ノノンは彼らにされたことがフラッシュバックしたらしい。
「そうでしたか。それは失礼しました。私の配慮が足りませんでした」
「い、いえ! 騎士様は悪くありません! ただ、私の心の問題ですから!」
「しかし、そうは言いましても……」
難しいところだ。
かつて、ロッシュたち『闇蛇団』の面々は相当なことをノノンにしてきた。
具体的には、ギャンブル初心者の彼女から有り金を巻き上げて、公開ストリップショーを行わせたのだ。
その事実は決して消えないし、決して許せることではない。
幼い少女には、この通りトラウマ級の出来事だったはずだ。
しかし一方で、彼らは殺人や強姦をしたわけではないし、殴る蹴るの暴行をしたり罵詈雑言を浴びせたりしたわけでもない。
微弱とはいえ闇の瘴気の影響を受けており、情状酌量の余地はあった。
ロッシュたちを死刑にすればスッキリするだろうが、それは法的には明らかにやり過ぎだと思われる。
実際、事件後にノノンが彼らに会った際には、事件を克服した雰囲気もあった。
「……」
「……」
無言の時間が流れる。
こういうとき、何を言えばいいのか。
下手な慰めの言葉は逆効果だし、そもそも俺はそういうことが苦手だ。
だから俺は、1つの提案をすることにした。
「では、こうしましょう」
「?」
「奴らに復讐するのです」
「ふ、ふくしゅう……?」
「はい。あの連中は、姫様からお金を奪い、酷い目に遭わせた。つまり、姫様に心の傷を作った加害者です。ならば、今度は姫様が奴らに心の傷を作ってやればいいのです」
「さ、さすがにそれは……。あの人たちも、ちゃんと反省して働いているみたいですし……」
ノノンが答える。
彼女は本当に優しい子だ。
被害を受けたのは自分なのに、加害者をかばうようなことを言うなんて。
「ふむ……。では、下にいるトパーズが相手ならばどうでしょうか?」
「トパーズさん……ですか? 私は彼女に何かをされたわけじゃありませんが……」
「彼女も闇蛇団の元構成員です。姫様に直接何かをしたわけではなくとも、間接的には関わっています。復讐の権利はあるかと」
ノノンの復讐に加えて、さっきの大会議での態度を改めてもらういい機会だ。
一石二鳥の妙案である。
「で、でも……」
「そんなに大げさなことではありません。ちょうど別件で、彼女にはちょっとした罰を与えようと思っていたのです。その実行に姫様の力をお借りしたいだけですよ」
「はぁ……」
「それに、これはあくまで提案です。姫様がどうしても嫌だと仰るなら、別の方法を考えますよ」
「……わかりました。やってみます」
よしよし。
これで方針は決まった。
トパーズに適切な罰を与えれば、ノノンのトラウマを払拭しつつ、トパーズの反抗心も抑えられるだろう。
キサラはノノンに対しては無関係だが、採掘場での労働に反抗心を持っているという点では同罪だ。
俺、ノノン、マリア、リン、ロロ。
5人がかりで、トパーズとキサラに罰を与えてやろう。
「ありがとうございます。姫様」
「い、いえっ! こちらこそ!」
俺はノノンを抱えたままレビテーションの出力を下げ、地上へと降り立った。
そして、地上で待っていたみんなが出迎えてくれる。
「タカシお兄ちゃん、何のお話をしていたの?」
「ああ、ちょっとな……。少し込み入った話だ。みんなで行きたい場所がある。開発中の場所なのだが――」
俺はそう切り出し、みんなで人目の付かない場所に移動することにしたのだった。
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