【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
864話 リンドウの街
採掘場に到着した俺たちを迎えたのは、群衆たち、その中から出てきた3人の男、そして3人の統括者だった。
「ハッハ! 相変わらず元気そうじゃねえか! タカシの坊主!!」
第一採掘場統括ブギー。
ブギー盗掘団の元頭領だ。
いまだに俺のことを『タカシの坊主』呼ばわりしてくるのだが、特に咎めないことにしている。
公式の場ならともかく、こうした採掘場周辺で厳しくする必要もないだろう。
「元気でいてもらわなくては困りますよ。我らが今後も採掘を続けていくためには、タカシ殿の助力が不可欠ですから」
第二採掘場統括ジョー。
ブギー盗掘団の元副頭領だ。
こちらは普通に丁寧に接してくれる。
カリスマ性や戦闘能力はブギー頭領に一歩劣るものの、採掘技術や知識では引けを取らない。
「明日も知れぬ生活をしていた私を救っていただいた恩義……がんばって返していきます!」
そして、第三採掘場統括ケフィ。
元Eランク冒険者の少女である。
採掘場で働いている者の中では、女性は珍しい。
実力や経験という点ではとても責任者のレベルには達していないのだが、一部の熱狂的なファンの後押しがあったので統括に任命している。
ちなみに俺への忠義度はボチボチといったところだ。
彼女の言葉通り、生活苦を救ったことに対する恩義は感じてくれている。
だが、採掘場を拠点に活動している関係上、どうしても俺と接する時間が少ないからな。
こればかりは仕方ない。
「うむ。みんなも息災のようで何よりだ。今日はこの『リンドウ』の街や採掘場の視察に来た。今後の活動について相談したいこともある。とりあえず、落ち着けるところに移動しようか。――ん?」
俺はふと違和感を覚える。
先ほどまで俺を取り囲んでいた群衆たちが、静まり返っているのだ。
特に、俺に対して一歩前に出ていた3人の男たちは固まって震えている。
「どうした? 何かあったのか?」
「あーあ。これは、やっちまったなぁ……」
「まあ、こうなるのも無理はないでしょうね」
「…………(こくり)」
キサラ、トパーズ、ロロがそんな反応を示す。
なんだなんだ?
俺、また何かやっちゃいました?
「…………あの」
固まっていた男のひとりが、ようやく口を開いた。
かなり恐る恐るといった感じだ。
「どうした?」
「お前は……いえ、あなた様は……その……」
「ん?」
「ハイブリッジ男爵家の方……ですか……?」
……ああ、そういうことか。
そう言えば、まだ彼らに名乗っていなかった。
別に意地悪をしていたわけではない。
ちょうど名乗ろうとした時に、ブギー頭領たちがやって来たから中断したのだ。
「そうだ。俺はハイブリッジ男爵家の当主であり、この街の領主でもある」
俺がそう答えると、周囲の群衆たちは一斉にどよめいた。
目の前にいる男はというと、顔を蒼白にしてガタガタ震えている。
「男爵家の当主……つ、つまりあなた様は……」
「俺はタカシ=ハイブリッジ。ハイブリッジ男爵家の当主だよ」
「ひぃっ!?」
その一言で、男は腰を抜かして尻餅をついた。
「おいおい。そこまで怯えなくてもいいだろう? 別に取って食ったりはしないぞ」
「こ、こここ、これは大変なご無礼を……。申し訳ございません! どうか命だけは!」
「いや、だから……。そんなに恐れられるようなことはしていないだろうが」
「ひいいぃっ! お許しください!」
いかん。
話が進まない。
ここは少し強引にでも話を進めた方が良さそうだ。
「――よし! それじゃあ、まずはお前の名前を教えてもらおうか」
「は、はい! オレはヤックルと言います!」
「ヤックルか。お前を――」
「ひいいぃっ! どうか、どうか死刑だけはご勘弁を!!」
「――この街の治安維持隊の隊長に任命する」
「え?」
「「「えぇっ!!?」」」
ヤックルを含めたその場の全員が、驚きの声を上げた。
「治安維持隊というのは、その名の通り街の平和を守る部隊だ。街の人々からの要望や意見を直接聞き入れ、適切な対応を行う。いわば、この採掘場における平和の守り手みたいなものだな。もちろん、採掘場の運営にも影響が出てくる重要な役割だ。その隊長を任せたい」
俺は説明を続ける。
「ど、どうしてオレなんでしょうか? ハイブリッジ男爵様であれば、他にいくらでも優秀な人材がいると思うのですが……」
「確かに、俺にはもったいないほどの部下たちがたくさんいる。だがそれでも、どんどん発展しているハイブリッジ男爵領の全てをカバーできるほどの人数はいない」
ラーグの街にも治安維持隊はある。
隊長のナオンや新人のナオミを始め、みんな頑張ってくれている。
だが、それなりに遠く離れたこっちの街までは手が回らない。
「し、しかし……。そもそも、オレはあなた様に武器を向けてしまったのに……」
「だからこそ、だよ。この街はまだ開発途中で、治安の維持は後回しにしてしまっていた。空から現れた見慣れない存在である俺に対して、お前は率先して警戒していただろう? 誰かからそんな役割を与えられたり、給金をもらっているわけでもないのに」
「は、はい! しかしそれは、オレが今後もこの街で生きていきたいと思ったからです!」
「それで十分だ。この街の治安維持はお前に任せた。そっちの仲間2人と共に、励んでくれるか?」
「わ、わかりました。ありがとうございます!」
「うむ。これからよろしく頼むぞ。この街――『リンドウ』のさらなる発展は、お前たちに掛かっているからな」
俺は満足げに大きくうなずいたのだった。
「ハッハ! 相変わらず元気そうじゃねえか! タカシの坊主!!」
第一採掘場統括ブギー。
ブギー盗掘団の元頭領だ。
いまだに俺のことを『タカシの坊主』呼ばわりしてくるのだが、特に咎めないことにしている。
公式の場ならともかく、こうした採掘場周辺で厳しくする必要もないだろう。
「元気でいてもらわなくては困りますよ。我らが今後も採掘を続けていくためには、タカシ殿の助力が不可欠ですから」
第二採掘場統括ジョー。
ブギー盗掘団の元副頭領だ。
こちらは普通に丁寧に接してくれる。
カリスマ性や戦闘能力はブギー頭領に一歩劣るものの、採掘技術や知識では引けを取らない。
「明日も知れぬ生活をしていた私を救っていただいた恩義……がんばって返していきます!」
そして、第三採掘場統括ケフィ。
元Eランク冒険者の少女である。
採掘場で働いている者の中では、女性は珍しい。
実力や経験という点ではとても責任者のレベルには達していないのだが、一部の熱狂的なファンの後押しがあったので統括に任命している。
ちなみに俺への忠義度はボチボチといったところだ。
彼女の言葉通り、生活苦を救ったことに対する恩義は感じてくれている。
だが、採掘場を拠点に活動している関係上、どうしても俺と接する時間が少ないからな。
こればかりは仕方ない。
「うむ。みんなも息災のようで何よりだ。今日はこの『リンドウ』の街や採掘場の視察に来た。今後の活動について相談したいこともある。とりあえず、落ち着けるところに移動しようか。――ん?」
俺はふと違和感を覚える。
先ほどまで俺を取り囲んでいた群衆たちが、静まり返っているのだ。
特に、俺に対して一歩前に出ていた3人の男たちは固まって震えている。
「どうした? 何かあったのか?」
「あーあ。これは、やっちまったなぁ……」
「まあ、こうなるのも無理はないでしょうね」
「…………(こくり)」
キサラ、トパーズ、ロロがそんな反応を示す。
なんだなんだ?
俺、また何かやっちゃいました?
「…………あの」
固まっていた男のひとりが、ようやく口を開いた。
かなり恐る恐るといった感じだ。
「どうした?」
「お前は……いえ、あなた様は……その……」
「ん?」
「ハイブリッジ男爵家の方……ですか……?」
……ああ、そういうことか。
そう言えば、まだ彼らに名乗っていなかった。
別に意地悪をしていたわけではない。
ちょうど名乗ろうとした時に、ブギー頭領たちがやって来たから中断したのだ。
「そうだ。俺はハイブリッジ男爵家の当主であり、この街の領主でもある」
俺がそう答えると、周囲の群衆たちは一斉にどよめいた。
目の前にいる男はというと、顔を蒼白にしてガタガタ震えている。
「男爵家の当主……つ、つまりあなた様は……」
「俺はタカシ=ハイブリッジ。ハイブリッジ男爵家の当主だよ」
「ひぃっ!?」
その一言で、男は腰を抜かして尻餅をついた。
「おいおい。そこまで怯えなくてもいいだろう? 別に取って食ったりはしないぞ」
「こ、こここ、これは大変なご無礼を……。申し訳ございません! どうか命だけは!」
「いや、だから……。そんなに恐れられるようなことはしていないだろうが」
「ひいいぃっ! お許しください!」
いかん。
話が進まない。
ここは少し強引にでも話を進めた方が良さそうだ。
「――よし! それじゃあ、まずはお前の名前を教えてもらおうか」
「は、はい! オレはヤックルと言います!」
「ヤックルか。お前を――」
「ひいいぃっ! どうか、どうか死刑だけはご勘弁を!!」
「――この街の治安維持隊の隊長に任命する」
「え?」
「「「えぇっ!!?」」」
ヤックルを含めたその場の全員が、驚きの声を上げた。
「治安維持隊というのは、その名の通り街の平和を守る部隊だ。街の人々からの要望や意見を直接聞き入れ、適切な対応を行う。いわば、この採掘場における平和の守り手みたいなものだな。もちろん、採掘場の運営にも影響が出てくる重要な役割だ。その隊長を任せたい」
俺は説明を続ける。
「ど、どうしてオレなんでしょうか? ハイブリッジ男爵様であれば、他にいくらでも優秀な人材がいると思うのですが……」
「確かに、俺にはもったいないほどの部下たちがたくさんいる。だがそれでも、どんどん発展しているハイブリッジ男爵領の全てをカバーできるほどの人数はいない」
ラーグの街にも治安維持隊はある。
隊長のナオンや新人のナオミを始め、みんな頑張ってくれている。
だが、それなりに遠く離れたこっちの街までは手が回らない。
「し、しかし……。そもそも、オレはあなた様に武器を向けてしまったのに……」
「だからこそ、だよ。この街はまだ開発途中で、治安の維持は後回しにしてしまっていた。空から現れた見慣れない存在である俺に対して、お前は率先して警戒していただろう? 誰かからそんな役割を与えられたり、給金をもらっているわけでもないのに」
「は、はい! しかしそれは、オレが今後もこの街で生きていきたいと思ったからです!」
「それで十分だ。この街の治安維持はお前に任せた。そっちの仲間2人と共に、励んでくれるか?」
「わ、わかりました。ありがとうございます!」
「うむ。これからよろしく頼むぞ。この街――『リンドウ』のさらなる発展は、お前たちに掛かっているからな」
俺は満足げに大きくうなずいたのだった。
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