【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
844話 屋敷
俺たちハイブリッジ男爵家の一行は、ラーグの街の中に入った。
「はぁ……。とうとう着いてしまったな……」
「地獄の鉱山労働が始まってしまうわ……」
女盗賊のキサラと闇カジノの元案内人トパーズが呟く。
彼女たちを始めとする盗賊たちは、西の森の奥地にある採掘場で働いてもらうつもりだ。
とりあえずはラーグの街の牢屋にでも勾留しておいて、タイミングを見て鉱山に連れていく感じだな。
「ハイブリッジさまぁ……。私をお傍に置いてください……」
そう甘えた声を出すのは、31歳未婚の女性アビーだ。
彼女は特別な技能もないし、生活基盤を整えるために多少の援助は必要だろう。
できれば彼女の要望通り、俺の近く――つまりはハイブリッジ男爵邸の敷地内のどこかに住まわせていのだが……。
「ハイブリッジ男爵家も大所帯になってきたものだ。こうなってくると、今の領主邸も少し手狭に思えてくるな……」
俺の屋敷は、資産家のロダンにもらったものだ。
当時の俺はCランク。
ミティ、アイリス、モニカ、ニムと共に5人パーティで活動を始めた頃だった。
5人ではかなり余裕のある間取りだったのだが……。
その後、ユナが加入して6人に。
ハルク男爵のツテで、セバス、レイン、クルミナがそれぞれ執事とメイドとして仕えるようになった。
これで9人。
さらに、配下としてキリヤやクリスティたち11人を登用した。
屋敷に入り切らなくなってくる。
そこでニムの土魔法により簡易的な別館を建造してもらい、配下の面々はそちらに住んでもらうことになった。
マリア、サリエ、リーゼロッテ、そして間をおいて蓮華、ティーナ、ドラちゃんも加入し、本館に住むようになった。
この頃には本職の大工によって建造された正式な別館ができており、配下の者たちの多くはそちらに移住した。
(そろそろ、また増築しようかなぁ……)
なにせ、元は一資産家が持っていただけの屋敷なのだ。
騎士爵家の屋敷として見ても、やや狭い。
男爵家の屋敷として見れば、明確に狭い。
外聞面でも実用面でも、より大きな屋敷があった方がいい。
俺はそんなことを考えつつ、街の中を進んで屋敷の方面に進んでいく。
そして、目の前に広がったのは――
「……なんだこれ?」
思わずそう漏らしてしまったのは仕方がないと思う。
なぜなら、そこにはバカでかい屋敷があったからだ。
「デカすぎんだろ……」
俺の記憶の中では、ここには2階建ての本館があったはず。
そしてニムの土魔法で建造された別館一号、大工によって建造された別館二号が本館の両隣に建っていたはずだ。
しかし、今目の前にある建物は、それらよりも遥かに大きいように見える。
3階建てであり、奥行きも以前よりある。
「お帰りなさいませ、お館様」
「ご帰還をお待ちしてました」
「お元気そうで何よりです」
執事長のセバス、それに農業改革担当官のニルスとハンナが出迎えてくれた。
「ああ、ただいま。それで、これは一体どうなっているんだ? 新たに屋敷を建設したのか?」
俺としても屋敷を大きくしようとしていたので、ちょうどいいところではある。
だが、あの屋敷には、愛する妻たちとの大切な思い出が詰まっているんだ。
俺の許可なしに取り壊したとなると、文句も一つも言いたくなる。
「それについては僕が説明しようか」
気だるげな様子で現れたのは、文官のトリスタだ。
俺の留守中にハイブリッジ家の管理を任せていたのはセバスだが、ハイブリッジ領の運営を任せていたのはトリスタである。
どちらが上ということもないが、対外的な権限の大きさとしてはトリスタが少し大きい。
「おお、トリスタ。久しぶりだな。元気にしてたか?」
「まぁね。僕はいつも通りですよ。それより、屋敷について聞きたいことがあるのでは?」
トリスタは相変わらずだな。
最低限の敬語は使ってくれているのだが、ところどころ怪しい。
まぁ、そういうところも承知の上で登用したので今さら指摘する気もないのだが。
「屋敷が変わっているようだな? 俺のいない間にずいぶんと思い切ったことをしてくれたものだ」
ハイブリッジ家の配下には、それぞれ大きな権限を渡している。
俺が全知全能の力を持っていれば自分で全て判断するのだが、もちろんそんなことはない。
人格や能力面で信頼できる者たちに任せておいた方が、上手くいくと考えたのだ。
その中でも最も大きな力を持っているのは、トリスタだろう。
俺がいない間は、執事長セバスや町長と同等かそれ以上の権限を振るうことも可能だったはずだ。
「あれは、一部の人たちが勝手にやったことだよ。もちろん、許可を出したのは僕だけどね。彼らの提案に乗ってみたくなったんだ」
「どういうことだ?」
「まぁ、とりあえず見てもらうのが一番早いかな。まずは、中を案内をしようか」
トリスタに連れられて、屋敷の中を見て回る。
その途中で、俺はあることに気付く。
「――むっ? このあたりの間取りは変わっていないな。いや、そもそもこれは――」
「うん。既設部分にはほとんど手を加えていないよ。増築したというのが正確な表現だね。外壁も塗り直したから、見違えたとは思うけど」
なるほど、増築だったか。
愛する妻たちとの思い出が詰まった屋敷がなくなったわけではないらしい。
「ふむ。これは素晴らしいな……」
俺は増築された屋敷内を眺めつつ、呟く。
新たにハイブリッジ男爵家に登用した者、あるいはこれから登用する者。
彼女たちをこの屋敷内に泊めることは難しいと思っていたが、状況が変わったな。
これなら、みんなに住居を斡旋できそうだ。
俺は満足感を抱きつつ、トリスタに案内されて仲間たちと共に屋敷内を見て回っていくのだった。
「はぁ……。とうとう着いてしまったな……」
「地獄の鉱山労働が始まってしまうわ……」
女盗賊のキサラと闇カジノの元案内人トパーズが呟く。
彼女たちを始めとする盗賊たちは、西の森の奥地にある採掘場で働いてもらうつもりだ。
とりあえずはラーグの街の牢屋にでも勾留しておいて、タイミングを見て鉱山に連れていく感じだな。
「ハイブリッジさまぁ……。私をお傍に置いてください……」
そう甘えた声を出すのは、31歳未婚の女性アビーだ。
彼女は特別な技能もないし、生活基盤を整えるために多少の援助は必要だろう。
できれば彼女の要望通り、俺の近く――つまりはハイブリッジ男爵邸の敷地内のどこかに住まわせていのだが……。
「ハイブリッジ男爵家も大所帯になってきたものだ。こうなってくると、今の領主邸も少し手狭に思えてくるな……」
俺の屋敷は、資産家のロダンにもらったものだ。
当時の俺はCランク。
ミティ、アイリス、モニカ、ニムと共に5人パーティで活動を始めた頃だった。
5人ではかなり余裕のある間取りだったのだが……。
その後、ユナが加入して6人に。
ハルク男爵のツテで、セバス、レイン、クルミナがそれぞれ執事とメイドとして仕えるようになった。
これで9人。
さらに、配下としてキリヤやクリスティたち11人を登用した。
屋敷に入り切らなくなってくる。
そこでニムの土魔法により簡易的な別館を建造してもらい、配下の面々はそちらに住んでもらうことになった。
マリア、サリエ、リーゼロッテ、そして間をおいて蓮華、ティーナ、ドラちゃんも加入し、本館に住むようになった。
この頃には本職の大工によって建造された正式な別館ができており、配下の者たちの多くはそちらに移住した。
(そろそろ、また増築しようかなぁ……)
なにせ、元は一資産家が持っていただけの屋敷なのだ。
騎士爵家の屋敷として見ても、やや狭い。
男爵家の屋敷として見れば、明確に狭い。
外聞面でも実用面でも、より大きな屋敷があった方がいい。
俺はそんなことを考えつつ、街の中を進んで屋敷の方面に進んでいく。
そして、目の前に広がったのは――
「……なんだこれ?」
思わずそう漏らしてしまったのは仕方がないと思う。
なぜなら、そこにはバカでかい屋敷があったからだ。
「デカすぎんだろ……」
俺の記憶の中では、ここには2階建ての本館があったはず。
そしてニムの土魔法で建造された別館一号、大工によって建造された別館二号が本館の両隣に建っていたはずだ。
しかし、今目の前にある建物は、それらよりも遥かに大きいように見える。
3階建てであり、奥行きも以前よりある。
「お帰りなさいませ、お館様」
「ご帰還をお待ちしてました」
「お元気そうで何よりです」
執事長のセバス、それに農業改革担当官のニルスとハンナが出迎えてくれた。
「ああ、ただいま。それで、これは一体どうなっているんだ? 新たに屋敷を建設したのか?」
俺としても屋敷を大きくしようとしていたので、ちょうどいいところではある。
だが、あの屋敷には、愛する妻たちとの大切な思い出が詰まっているんだ。
俺の許可なしに取り壊したとなると、文句も一つも言いたくなる。
「それについては僕が説明しようか」
気だるげな様子で現れたのは、文官のトリスタだ。
俺の留守中にハイブリッジ家の管理を任せていたのはセバスだが、ハイブリッジ領の運営を任せていたのはトリスタである。
どちらが上ということもないが、対外的な権限の大きさとしてはトリスタが少し大きい。
「おお、トリスタ。久しぶりだな。元気にしてたか?」
「まぁね。僕はいつも通りですよ。それより、屋敷について聞きたいことがあるのでは?」
トリスタは相変わらずだな。
最低限の敬語は使ってくれているのだが、ところどころ怪しい。
まぁ、そういうところも承知の上で登用したので今さら指摘する気もないのだが。
「屋敷が変わっているようだな? 俺のいない間にずいぶんと思い切ったことをしてくれたものだ」
ハイブリッジ家の配下には、それぞれ大きな権限を渡している。
俺が全知全能の力を持っていれば自分で全て判断するのだが、もちろんそんなことはない。
人格や能力面で信頼できる者たちに任せておいた方が、上手くいくと考えたのだ。
その中でも最も大きな力を持っているのは、トリスタだろう。
俺がいない間は、執事長セバスや町長と同等かそれ以上の権限を振るうことも可能だったはずだ。
「あれは、一部の人たちが勝手にやったことだよ。もちろん、許可を出したのは僕だけどね。彼らの提案に乗ってみたくなったんだ」
「どういうことだ?」
「まぁ、とりあえず見てもらうのが一番早いかな。まずは、中を案内をしようか」
トリスタに連れられて、屋敷の中を見て回る。
その途中で、俺はあることに気付く。
「――むっ? このあたりの間取りは変わっていないな。いや、そもそもこれは――」
「うん。既設部分にはほとんど手を加えていないよ。増築したというのが正確な表現だね。外壁も塗り直したから、見違えたとは思うけど」
なるほど、増築だったか。
愛する妻たちとの思い出が詰まった屋敷がなくなったわけではないらしい。
「ふむ。これは素晴らしいな……」
俺は増築された屋敷内を眺めつつ、呟く。
新たにハイブリッジ男爵家に登用した者、あるいはこれから登用する者。
彼女たちをこの屋敷内に泊めることは難しいと思っていたが、状況が変わったな。
これなら、みんなに住居を斡旋できそうだ。
俺は満足感を抱きつつ、トリスタに案内されて仲間たちと共に屋敷内を見て回っていくのだった。
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