【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

842話 ラフィーナへの加護(小)付与

 俺はラフィーナと共に、とある中規模の街を初めて訪れた。
 そこの冒険者ギルドに入ったところ、俺の知り合いっぽい女性に話し掛けられた。

(というか、”犬狩り”だって?)

 確かに、俺は一時期そう呼ばれていた。
 冒険者ギルドに登録したばかりの頃だな。
 俺はラーグの街を拠点に、ファイティングドッグばかりを狩っていた。
 しかしその後、ゾルフ砦やハガ王国を訪れた際には、ファイティングドッグ狩りはぼちぼち程度にとどめていた。

 そして、ガロル村の一件が終わった頃には、”紅剣”の二つ名が与えられる。
 それからはすっかり”紅剣”の方が有名になり、”犬狩り”と呼ばれることはなくなった。
 さらに貴族になってからは、騎士爵様や男爵様と呼ばれることも増えた。

 それらの呼び名よりも”犬狩り”が先に来るということは、相当に古い知人だ。
 なおかつ、最初期で知り合った後は再会していない者である。
 つまり――

(だ、誰だ……? 分からん……)

 俺は必死になって頭をフル回転させ続ける。
 すると、彼女の後方からさらに2人の少女が現れた。

「ふふふー。ひょっとしてだけど、忘れられてるんじゃないかな?」

「確かにその可能性が高いっす。”犬狩り”さんとは、一度護衛依頼で共にしただけっすから」

 護衛依頼……?
 ええと、あー、あれだあれ。
 思い出してきた。

「いやいや、もちろん覚えているとも。エレノだろう?」

「エレナよ。ぶっ飛ばすぞコラ」

 凄い目で睨まれた。
 怖い……。
 しかし惜しかったな。
 一文字違いか。

「改めて自己紹介しておこうかしら。私はエレナ。Cランクパーティ“三日月の舞”のリーダーにして、一流の火魔法使いよ!」

「ふふふー。わたしはルリイ。雷魔法使いだよー」

「オレっちはテナっす! 土魔法を使うっす!」

 3人が口々に名乗りを上げた。
 なるほど。
 徐々に思い出してきた。

 ラーグの街からゾルフ砦に向かう際に、共に隊商の護衛依頼を受けたメンバーだ。
 他にはミティ、ギルバートたち”漢の拳”、ラゴラスたち”竜の片翼”がいたっけな。
 懐かしい。
 それにしても、あれから2年以上経つのか。
 月日が流れるのは早いものだ。

 だが、彼女たちは相変わらずCランクにとどまっていると。
 まぁ、チートを持つ俺の成長速度が異常なだけだが。

「俺も改めて自己紹介しておこうか」

 ふふふ。
 ”紅剣”の二つ名を持つBランク冒険者で、しかも男爵位まで授かっている。
 さずかし驚いてくれることだろう。

「俺の名はタカシ=ハイブ――」

「おおい! “三日月の舞”さんよぉ! そろそろ出発するぞ!」

「はーい! 今行くわ!!」

 いいところで邪魔が入った。

「悪いわね。依頼主を待たせるわけにはいかないから、私たちはこれで失礼するわ。タケシも元気でね」

「ふふふー。また今度会ったら、近況を報告し合おうねー」

「オレっちたちはラーグの街に向かうつもりっす! 割の良い仕事があるらしいっすから!」

 エレナ、ルリイ、テナが俺に手を振りながら去っていく。

「……行ってしまった」

 せっかく、ドヤ顔で名乗ろうとしたのに。
 現状の彼女たちの認識では、俺はDランク冒険者のままっぽいな。
 まぁ、ラーグの街に行くと言っていたし、ひょっとしたら再会することもあるかもしれない。
 その時こそ、俺のドヤ顔の出番だ。

「……あの。先ほどの方々はお知り合いですか?」

「ああ、駆け出し冒険者だった頃に少し世話になったんだ」

「へえぇ……」

 ラフィーナが興味深そうにしている。
 俺の過去がそんなに気になるか?

「冒険者ギルドの見学はこれぐらいでいいだろう。次はどうしようか?」

「ええと、少しお腹が空いたので何か食べたいのですが……」

「いいだろう。お金はあるから、好きなだけ食べるといい。この街で最高級のレストランにでも行ってみようか?」

「えっ!? いえ、さすがにそこまでは……」

 遠慮しようとするラフィーナだったが、俺は強引に彼女を連れてレストランに向かった。
 そして、食事をしながら雑談をする。

「なかなか悪くない味だ。ラフィーナの口には合ったか?」

「はい。とても美味しいです!」

「それは良かった」

 彼女は笑顔を浮かべて料理を食べていた。
 その様子は小動物みたいに愛くるしく、つい見惚れてしまうほどだった。

(……おっ! いつの間にか、加護の条件を満たしているじゃないか!)

 俺は心の中でガッツポーズをした。
 ラフィーナが加護(小)の条件を満たしたからである。
 実質的に交流した日数は4日以下。
 これまででぶっちぎりの最短記録だな。


レベル?、ラフィーナ=カーチェ
種族:ヒューマン
身分:村長の孫娘
役割:ーー
職業:ーー
ランク:ーー

HP:???
MP:???
腕力:低め
脚力:???
体力:???
器用:高め
魔力:???

残りスキルポイント:???
スキル:
礼儀術レベル2(1+1)


 まだ幼女なので、ステータスに特筆すべきことはない。
 しかし強いて言えば、スキルが珍しいか。
 幼女にしては礼儀正しいと思っていたが……。
 いずれにせよ、総合的には今後に期待といったところだ。

「……? どうされましたか? 私の顔に何か付いていますか?」

「いや、何でもないよ。可愛いなと思って見ていただけだ」

「なっ!?」

 俺の言葉を聞いたラフィーナは、顔を真っ赤に染める。
 その表情の変化は実に分かりやすいものだった。

「あ、ありがとうございます。……えへへ」

 ラフィーナが嬉しそうに微笑む。
 こうして、彼女とのデート(?)は成功に終わった。
 その後は村に戻り、翌朝にはラーグの街に向けて出発したのだった。

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