【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

839話 宴会

「では、無事に盗賊を撃破したことを祝して、乾杯!」

「「「かんぱ~い!」」」

 村の広場にて、俺たちは宴を始めた。
 村の復興作業は順調に進んだ。
 元々、大して破壊されていなかったしな。
 後は自力で復興できるだろう。

「ミティ、楽しそうだな?」

「はい! 村で作られた酒がなかなかに美味しいです!!」

「確かにな。悪くない味だ。少し酒精が強いかもしれないが……」

 俺は特別に酒好きというわけではないが、人並みには飲む。
 そして、貴族になったこともあり良い酒を飲む機会も増えた。
 そんな俺でも、この村の酒を飲んで悪いとは思わなかった。

「この村の特産品なのだそうですよ」

「なるほどなぁ」

 俺はそんな会話をしつつ、宴会を楽しんでいく。
 宴会の座席というものはあってないようなもので、皆思い思いに座っている。
 しばらくすると、1人の少女……いや幼女が近づいてきた。

「貴方様、ご満足しておられますか?」

 幼女に似つかわしくない丁寧な言葉遣い。
 村長の孫娘であるラフィーナだ。

「ああ、素晴らしい宴会だよ。ありがとう」

「いえ、貴方様から受け取った恩義に比べれば、この程度のことなど……」

「気にする必要はないさ。俺はただ、自分の好きなようにやっただけだ」

「それでも、この村を救っていただいたのは事実。感謝しています」

 本当に丁寧な子だなぁ。
 俺が関心しているときだった。

「タカシっ! この料理を食べてみてよ!!」

 モニカが乱入してきた。
 結構な量の酒を飲んだらしく、酔っているようだ。
 まぁ、ここの酒は結構酒精がキツイからなぁ……。

「これは……肉料理か? どうしてこれを……」

「いいから食べてみてよ!」

「ふむ……」

 ミリオンズが誇る一流料理人モニカがオススメする肉料理なら、食べてハズレはないだろう。
 俺は、その料理を口に運ぶ。

「うおっ!? なんだこれ、めちゃくちゃうまいじゃないか!」

「でしょでしょ?」

「相変わらず素晴らしい味だ。俺に対する愛情を感じる。それでこそ、俺の愛するモニカだな」

「えへへ~。――と言いたいところだけど、実は違うんだなぁ」

「え?」

 何が違うと言うのだろう?
 俺は首を傾げる。

「その料理は、私じゃなくてゼラちゃんが作ったんだよ」

「ゼラが? 凄いな。ゼラは肉料理も得意なのか」

「うん! ゼラちゃんは何でもできるよ! ねぇ? ゼラちゃん」

「はいなのです。メインは麺料理ですが、当然他の料理も練習しているのです」

 ゼラがそう答える。

「ほぅ。それは素晴らしい。しかし、それにしても――」

「? なんなのです?」

「この料理はとても美味しかった。もう一度言うが、俺への愛が感じられる味だ」

「へ?」

「ふふふ。まさかゼラが俺のことをなぁ。妻の友人だから遠慮していたが、今後はガンガン攻めさせて貰おうかな?」

「はいぃ!? な、何を言っているのです!?」

 俺がゼラの手を握って言い寄ると、彼女は顔を真っ赤にして困惑した。
 こういった方面は疎いらしい。

「恥ずかしがることはないさ。ゼラがいいなら、俺はいつでも構わないぞ?」

 俺は彼女の顎を持ち上げる。

「ちょっ! ぼ、ボクは別に……。それに、さすがに早すぎるのです。こういうのは順序というものが……」

「男女の愛に、早い遅いなんて関係ない。ゼラがいいなら、今夜にでもどうだ? ゼラの全裸を見せてくれ」

 あっ、しまった!
 口説き文句の中に、しょうもないダジャレをぶっ込んでしまった。
 どうやら、相当に酔っ払ってきているようだ。

「ぜ、ぜんらって……な、なにを言って……」

「ははは。冗談だ。ゼラは可愛いなぁ」

 俺は笑いながらそう言った。
 だが、これがまずかった。

「か、かわっ――!?」

「ん?」

「か、かかか、可愛くなんかないのです! もう知らないのです!」

「あ~、行ってしまった……」

 ゼラは怒ってどこかに行ってしまう。
 少しやりすぎたようだ。
 モニカがジト目で見てくる。

「タカシ……さすがに手を出すのが早くない? そりゃ、いつかはそうなるかもって思っていたけど……」

 やはり、男女関係において俺は信用されていないな。
 妻の友人だろうと、見境なく手を出すと思われているようだ。
 まぁ、その通りなのだが。

「すまない……。悪酔いしてしまっているようだ。ゼラをフォローしてもらってもいいか? 俺も明日、謝っておくから……」

「まったく……仕方がないなぁ」

 モニカは呆れながらも、ゼラを追いかけていった。
 そんな俺たちの様子を、ラフィーナは楽しげに見ていた。

「ふふふ。貴方様はモテますね。私も負けていられません」

「いやいや、ラフィーナはまだ子どもだろう?」

「確かにそうですが、いずれ大人になる身です。貴方様に釣り合う女性に成長できるよう、頑張りますので」

「はぁ、ラフィーナは真面目だなぁ」

「そうでもありませんよ? 例えば――」

 ラフィーナが俺の耳元で何やら呟く。
 俺は酔っ払っていたせいもあり、よく聞き取れなかった。

「おう。わかったよ」

 つい、適当に返事をしてしまう。
 いかんな。
 本格的に酔いが回ってきた。
 過度に酔っ払うと、全てが適当になるのだ。

「はい。では、楽しみにしております」

 ラフィーナは去っていった。
 その後はノノンやアビーなどとも会話した気もするが、よく覚えていない。
 俺はフラフラの足取りで、今日の宿泊先の部屋へと向かったのだった。

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