【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

816話 猥褻物陳列罪

 レッド仮面が1人でチンピラたちと戦おうとしている。

「え? レッド仮面様? わたしも戦いますけど……」

「……ボクも暴れ足りない……」

「大丈夫だ。お前たちは下がっていろ」

 レッド仮面は自信満々に告げる。
 そして、チンピラたちに向けて突撃していった。

「ひゃっはーっ! 俺はオパンツ戦隊のリーダー、レッド仮面! お前たちを成敗してくれるわぁぁぁっ!」

「くそがあぁっ!」

「お前みたいな変態野郎がリーダーだとぉっ!?」

「ふざけんじゃねぇぞ!」

 チンピラたちも負けじと応戦する。
 だが、実力の差は歴然だ。

「ふんっ!」

「ぐぼぁっ!」

「ぐっはあああぁ!」

 レッド仮面の攻撃を受けて、チンピラたちは吹き飛ばされる。

「ば、馬鹿な……! 俺たちがこうも簡単に……!」

「くっくっく……! お前らは運が悪いんだよ。この俺――いや、我らオパンツ戦隊を相手にしてしまったことがな」

「ち、ちくしょう……。こんな変態野郎に……」

 チンピラたちは地面に倒れた。
 オパンツ戦隊の勝利である。

「ふぅ……。こんなものかな。それにしても、やはり駆けつけて正解だった。大丈夫か? 君」

 レッド仮面が女性に手を差し出す。
 彼女は怯えた様子ながらも、その手を取った。

「は、はい……。あの、助けていただき、ありがとう……ございます……」

 彼女がかろうじてそう声を絞り出す。
 悲鳴を上げなかっただけ立派だろう。
 なぜなら、オパンツ戦隊はチンピラたちとはまた違った方向性で恐怖を感じる集団だからだ。

 レッド仮面、グリーン仮面、ブルー仮面、イエロー仮面、ピンク仮面。
 全員が頭に女性用の下着を被っている。

 グリーンからピンクまでは、まだギリギリセーフだ。
 それぞれ本人も女性だし、一風変わったコスチュームとはいえ身体の露出は少ない。

 だが、レッド仮面は完全にアウトである。
 男が女性用の下着を頭部に被っている上、それ以外に身に着けているものは赤いブーメランパンツだけなのだから。

「やはり人助けをした後は気持ちがいいな。――むっ!?」

 レッド仮面は気付いた。
 この裏通りに、人が駆け付けてくる気配がある。

(騒ぎを聞きつけた一般民衆か? いや、この足取りは――)

 レッド仮面の実力をもってすれば、移動時の音や雰囲気だけでもその者の実力をある程度把握することができる。
 この裏通りには、複数の実力者が向かってきていた。
 治安を乱す不届き者を懲らしめに来たのだ。

「不埒者はどこですか!? このレティシアが来たからには、逃しませんよ!」

「アタシも手伝っちゃうよ~」

 裏通りに姿を現したのは、レティシア中隊長に、『誓約の五騎士』のイリーナだった。

「おお、お前たちか。ちょうどいい、こいつらの捕縛を頼――」

「むっ! あなたが通報にあった変態ですね!!」

「わお。色とりどりの変態5人組だねぇ。大人しくお縄についてもらうよっ!」

 レッド仮面の言葉が聞こえなかったのか、レティシアとイリーナはオパンツ戦隊に襲いかかった。
 当たり前だ。
 倒れているチンピラたちは気になるとはいえ、この場でまず目を引くのは変態5人である。
 最初に彼らを無力化するという判断は間違っていない。

「なにっ!? ま、待て! 俺は――」

「問答無用! 【クロック・ダウン】!」

「【騎士の斬撃】!!」

「ぬおおぉぉぉっ!!」

 イリーナとレティシアが放った技を、レッド仮面はかろうじて避ける。

「ほう! 変態にしてはやるではありませんか」

「在野に放っておくにはもったいないね。猥褻物陳列の罪を減じる代わりに、騎士団で働いてもらおうかな?」

 レティシアとイリーナが感心の声を上げる。
 騎士団でも上位の実力を持つ彼女たちの攻撃を避けるとは、ただの変態とは思えなかったのだ。
 まぁ、中身はタカシなので避けられて当然ではあるのだが……。

「猥褻物陳列罪だと?」

「ええ。そんな卑猥な格好で女性を襲った以上、相応の罰を受けてもらう必要があります!」

「そーそー。このアタシが成敗してあげるから、覚悟するんだね!」

 レティシアとイリーナは戦闘態勢を崩す気配がない。
 当然だ。
 目の前の男は、女性用の下着を頭部に被った上、身体には赤いブーメランパンツを穿いているのみ。
 100人に聞けば100人が『変質者だ!』と答える。
 そんな外見をしているのだから。
 一方のレッド仮面は、焦っていた。

(まずいな……! このままだと、俺が捕まる!!)

 レッド仮面の正体は、もちろんタカシである。
 そんじょそこらの騎士やチンピラぐらいなら、相手にもならない。
 ただ、『誓約の五騎士』イリーナとレティシア中隊長を同時に相手にして無事に済むとも思えなかった。

「みんなっ! この場を脱出するぞ!」

「分かりました!」

「承知! れっど仮面殿の空間魔法を使うでござるか?」

「いや、例の風魔法を使う! 練習中だったが、きっと大丈夫だ! 今日の鍛錬の成果を発揮するぞっ!!」

 レッド仮面がそう叫ぶ。
 この場には、元々風魔法の使い手だった者が3人いる。
 レッド仮面、グリーン仮面、イエロー仮面である。

 今回の鍛錬により、彼らの息はピッタリ合うようになっていた。
 さらには、ブルー仮面とピンク仮面も初級の風魔法を習得する兆しを見せている。
 その連携によって生み出された新たな風魔法こそ――

「行くぞっ! はああぁっ!!」

 レッド仮面の声に合わせて、5人が風魔法の発動準備を整えていく。
 そして――

「「「「「【ジェット・カーペット】!!」」」」」

 レッド仮面の身体を中心に発生した竜巻が、オパンツ戦隊を包み込む。
 彼らは地面から浮かび上がり――

「では、さらばだっ! また会おう! 諸君!! ふははははっ!!!」

 レッド仮面の高笑いと共に、その場から超速で飛び去った。

「あっ! 逃げた!!」

「待ちなさいっ!! って、速いっ!?」

 レティシアとイリーナが後を追う。
 しかし、すでに彼らの姿は視界の遥か彼方へと消え去っていたのだった。

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