【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
806話 Cランク冒険者ヤナギの最期
タカシと雪の間に流れる空気が落ち着いた頃。
森の中から、男の悲鳴が聞こえてきた。
「この声は……ヤナギとかいう冒険者か!?」
「……何かあったのかも。どうする……?」
「気になるが……もちろん雪月花の3人の安全が優先だ」
タカシは即答する。
美人三姉妹と、中性的なイケメンとはいえ男であるヤナギとでは、彼の中で優先度がはっきりしていた。
「……ここはボクに任せて、行ってきてもいいよ……?」
「大丈夫なのか? 万が一、魔物の襲撃でも受けたら……」
「……問題ないよ。男爵さんのおかげでボクの体調はバッチリだし。それに花姉ぇと月姉ぇだって、Cランク冒険者なんだよ? 異変があったら、すぐに起きてくる……」
「それもそうだな……」
タカシは納得した。
「では、ここは任せる。頼んだぞ」
「……うん。任されたよ……」
こうして、タカシはヤナギの声がした方へ急行することにしたのだった。
*****
時は少しだけ遡る――。
「くっ! ま、マズいですねぇ……」
中性的なイケメンであるヤナギがそう呟く。
彼の目の前には、大きな熊型の魔物がいる。
リトルベアだ。
中級の魔物であり、本来であればヤナギ率いるCランクパーティの脅威ではない。
だが――
「よ、よりによってこんな時にぃ……」
ギュルルルッ……。
そんな音を立てて、ヤナギのお腹が鳴る。
彼は今まさに、尻を出した状態でしゃがみ、腹から垂れ流しているところなのである。
少し前にタカシが起床したことにより、彼は夜警の持ち場を離れて茂みに駆け込んだ。
そして、盛大に出した。
だが、雪とは異なりタカシの治療魔法は受けていない。
そのため、腹痛だけでなく体調不良も併発したままであり、軟便がなかなか途切れずにいたのだ。
「グガァアッ!!」
「ひいぃっ! く、くそっ!!」
ヤナギは尻を出したまま立ち上がる。
拭いていないので汚れが気になるところではあるが、リトルベアを前にしてそんなことを気にする余裕はない。
「こ、ここが死地ですかぁ……!」
彼は覚悟を決めて、構える。
パーティメンバーが万全の状態で揃っていれば、安定して狩ることのできる相手だ。
パーティメンバー不在でも、そのリーダーであり個人ランクもCであるヤナギが万全の状態であれば、時間稼ぎくらいはできる。
だが、今の彼は状態が悪い。
極度の腹痛に襲われているからだ。
しかも、剣は野営地に置いてきてしまっている。
まさに最悪の状態であった。
「くっ! 叫べば、みなさん来てくれるでしょうかぁ……」
大声を出すのは、一つの有効な選択肢であった。
彼と同じく腹痛に苦しんでいるパーティメンバーたちも、そう遠くないところにいるだろう。
ヤナギの叫び声を聞けば駆け付けてくれるはず。
彼らも万全の状態ではないが、数は力だ。
リトルベア相手に6人掛かりなら、十分に勝機はある。
また、タカシや雪月花が来てくれる可能性もある。
特にタカシは少し前の時点で目が覚めており、ヤナギの代わりに夜警を務めている。
彼の叫び声に反応して急行してくれる可能性は大いにあった。
「ですが……。ああ……」
彼がなぜか逡巡している。
何を迷うことがあるのか?
確かに尻を丸出しにした状態で助けを求めるのは男としてみっともないことではある。
だが、状況が状況だ。
命には代えられないはずなのに。
そうして、迷っていることが仇となった。
「グアアアッ!」
「ぎゃああああぁっ!」
リトルベアの強烈な一撃を受けてしまったのだ。
「くっ! はぁはぁ……」
何とか倒れずに耐えるものの、ヤナギの身体がふらつく。
もはや、限界が近い。
尻を丸出しにしたまま、リトルベアの襲撃により絶命。
それがCランク冒険者ヤナギの最期になる。
――かに思われた、そのとき。
「リーダー! 助けに来ましたぜ!」
「無事ですか!?」
「待っててくだせぇ! 今行きます!」
5人のパーティメンバーが駆け付けてくれた。
これで形勢逆転だ。
――と言いたいところだが。
「ううっ! こ、来ないでくださいぃ……」
なぜかヤナギが救援を拒否する。
リトルベアの一撃で大ダメージを受けた今、そんなことを言っている場合ではないはずなのに。
「なっ!? り、リーダーの尻が……」
「丸出しじゃねぇか……」
「こ、こんなことが……」
パーティメンバーが動揺している。
「み、見ないでくださいぃ……」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるヤナギ。
男とはいえ、リーダーとしてパーティメンバーに尻を見られることは恥ずかしかったのだろうか。
しかし、事態は急を要する。
「と、とにかくリーダーを助けるぞ!」
「お、おうっ!」
「わ、わかった!」
「そうだな! 早くしないとリーダーが危ないし!」
彼らはリーダーであるヤナギを助けるために動き出した。
だが――。
ギュルルルッ!
「ぐっ!」
「ぬおぉっ!?」
男たちが腹を押さえてうずくまる。
彼らも、ヤナギと同じくタカシの治療魔法を受けていない。
腹痛が治まっていないのだ。
「てやんでぇっ! これぐらいで怯むかよっ!」
「男は黙って垂れ流しだあぁっ!!」
男たちは、尻から汚いものを垂れ流しながらリトルベアに応戦する。
リトルベアがどこかドン引きしているように見えるのは、気のせいだろうか。
こうして、非常に汚い戦いが進んでいったのだった。
森の中から、男の悲鳴が聞こえてきた。
「この声は……ヤナギとかいう冒険者か!?」
「……何かあったのかも。どうする……?」
「気になるが……もちろん雪月花の3人の安全が優先だ」
タカシは即答する。
美人三姉妹と、中性的なイケメンとはいえ男であるヤナギとでは、彼の中で優先度がはっきりしていた。
「……ここはボクに任せて、行ってきてもいいよ……?」
「大丈夫なのか? 万が一、魔物の襲撃でも受けたら……」
「……問題ないよ。男爵さんのおかげでボクの体調はバッチリだし。それに花姉ぇと月姉ぇだって、Cランク冒険者なんだよ? 異変があったら、すぐに起きてくる……」
「それもそうだな……」
タカシは納得した。
「では、ここは任せる。頼んだぞ」
「……うん。任されたよ……」
こうして、タカシはヤナギの声がした方へ急行することにしたのだった。
*****
時は少しだけ遡る――。
「くっ! ま、マズいですねぇ……」
中性的なイケメンであるヤナギがそう呟く。
彼の目の前には、大きな熊型の魔物がいる。
リトルベアだ。
中級の魔物であり、本来であればヤナギ率いるCランクパーティの脅威ではない。
だが――
「よ、よりによってこんな時にぃ……」
ギュルルルッ……。
そんな音を立てて、ヤナギのお腹が鳴る。
彼は今まさに、尻を出した状態でしゃがみ、腹から垂れ流しているところなのである。
少し前にタカシが起床したことにより、彼は夜警の持ち場を離れて茂みに駆け込んだ。
そして、盛大に出した。
だが、雪とは異なりタカシの治療魔法は受けていない。
そのため、腹痛だけでなく体調不良も併発したままであり、軟便がなかなか途切れずにいたのだ。
「グガァアッ!!」
「ひいぃっ! く、くそっ!!」
ヤナギは尻を出したまま立ち上がる。
拭いていないので汚れが気になるところではあるが、リトルベアを前にしてそんなことを気にする余裕はない。
「こ、ここが死地ですかぁ……!」
彼は覚悟を決めて、構える。
パーティメンバーが万全の状態で揃っていれば、安定して狩ることのできる相手だ。
パーティメンバー不在でも、そのリーダーであり個人ランクもCであるヤナギが万全の状態であれば、時間稼ぎくらいはできる。
だが、今の彼は状態が悪い。
極度の腹痛に襲われているからだ。
しかも、剣は野営地に置いてきてしまっている。
まさに最悪の状態であった。
「くっ! 叫べば、みなさん来てくれるでしょうかぁ……」
大声を出すのは、一つの有効な選択肢であった。
彼と同じく腹痛に苦しんでいるパーティメンバーたちも、そう遠くないところにいるだろう。
ヤナギの叫び声を聞けば駆け付けてくれるはず。
彼らも万全の状態ではないが、数は力だ。
リトルベア相手に6人掛かりなら、十分に勝機はある。
また、タカシや雪月花が来てくれる可能性もある。
特にタカシは少し前の時点で目が覚めており、ヤナギの代わりに夜警を務めている。
彼の叫び声に反応して急行してくれる可能性は大いにあった。
「ですが……。ああ……」
彼がなぜか逡巡している。
何を迷うことがあるのか?
確かに尻を丸出しにした状態で助けを求めるのは男としてみっともないことではある。
だが、状況が状況だ。
命には代えられないはずなのに。
そうして、迷っていることが仇となった。
「グアアアッ!」
「ぎゃああああぁっ!」
リトルベアの強烈な一撃を受けてしまったのだ。
「くっ! はぁはぁ……」
何とか倒れずに耐えるものの、ヤナギの身体がふらつく。
もはや、限界が近い。
尻を丸出しにしたまま、リトルベアの襲撃により絶命。
それがCランク冒険者ヤナギの最期になる。
――かに思われた、そのとき。
「リーダー! 助けに来ましたぜ!」
「無事ですか!?」
「待っててくだせぇ! 今行きます!」
5人のパーティメンバーが駆け付けてくれた。
これで形勢逆転だ。
――と言いたいところだが。
「ううっ! こ、来ないでくださいぃ……」
なぜかヤナギが救援を拒否する。
リトルベアの一撃で大ダメージを受けた今、そんなことを言っている場合ではないはずなのに。
「なっ!? り、リーダーの尻が……」
「丸出しじゃねぇか……」
「こ、こんなことが……」
パーティメンバーが動揺している。
「み、見ないでくださいぃ……」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるヤナギ。
男とはいえ、リーダーとしてパーティメンバーに尻を見られることは恥ずかしかったのだろうか。
しかし、事態は急を要する。
「と、とにかくリーダーを助けるぞ!」
「お、おうっ!」
「わ、わかった!」
「そうだな! 早くしないとリーダーが危ないし!」
彼らはリーダーであるヤナギを助けるために動き出した。
だが――。
ギュルルルッ!
「ぐっ!」
「ぬおぉっ!?」
男たちが腹を押さえてうずくまる。
彼らも、ヤナギと同じくタカシの治療魔法を受けていない。
腹痛が治まっていないのだ。
「てやんでぇっ! これぐらいで怯むかよっ!」
「男は黙って垂れ流しだあぁっ!!」
男たちは、尻から汚いものを垂れ流しながらリトルベアに応戦する。
リトルベアがどこかドン引きしているように見えるのは、気のせいだろうか。
こうして、非常に汚い戦いが進んでいったのだった。
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