【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
796話 火起こし
タカシが駆け付けたことにより、雪月花は窮地を脱した。
だが、いくら彼がいても夜の森を大人数で進むことは危険である。
そこで彼らは、森の奥で一夜を過ごすことに決めた。
「よし、じゃあ飯の準備をするぞ」
「そうね。こんなことになるとは思っていなかったけど、最低限の道具は持ってきているわ。任せてちょうだい」
タカシの言葉に、月が答える。
戦闘能力を売りにしている冒険者は、身軽さが大切だ。
そのため、以前の彼女たちは最小限の荷物しか携帯していなかった。
しかし今の彼女たちには、タカシから供与されたアイテムバッグがある。
最高級というほどではないが、一般的に見れば十分な性能を持つマジックアイテムだ。
こうして、本来は夜営を想定していない狩りの際にも、念のため夜営具を入れておくぐらいのスペースはある。
「じゃあ、花ちゃんは薪を拾ってくるね~」
「……ボクは、山菜でも探してくる……」
花と雪がそう言う。
「まぁ待てって。俺のアイテムルームにもいろいろ入っているんだ。もちろん食材もな。それを使おう」
「えっ!?」
「本当~?」
月と花が驚く。
「ああ。ほら、これがそうだ」
タカシは2人に、収納されていたものを見せる。
そこには、野営用の調理器具や食材などが詰め込まれていた。
「……すごい。これ全部男爵さんのなの……?」
雪が尋ねる。
「ああ。こんなこともあろうかと用意していて正解だった」
タカシのアイテムルームは相当な容量がある。
ステータス操作によってMP強化や魔力強化などのスキルを伸ばしているためである。
どんな状況でも臨機応変に対応できるよう、彼は一通りの物資をアイテムルームに収納しておいたのだ。
「ほら、これはモニカが作ってくれた料理だ。こっちはゼラのやつだな。どっちも下ごしらえは済ませてもらっているから、後は火を起こして温めるだけだ。もちろん薪も用意してあるぞ」
ハイブリッジ男爵家の第三夫人モニカ。
”雷脚”の二つ名を持つBランク冒険者であり、高い戦闘能力を持つ。
だが、元々は料理人であり、貴族の奥方となった今でもその料理の腕前は衰えるどころかますます伸びている。
先日も、王都で開かれた料理コンテストで1位を飾ったばかりである。
そして、王都で話題になっている新人料理人ゼラ。
料理コンテストでは準優勝に終わったものの、彼女の作る新感覚の麺料理――ラーメンは多くの者を魅了した。
そんな彼女は料理仲間としてモニカと意気投合し、ハイブリッジ男爵家の面々とも面識を持つようになっている。
タカシは彼女をハイブリッジ男爵家に取り込めないかと狙っているのだが、今のところの成果はボチボチ程度の様子だ。
「へえ……。さすがはハイブリッジ男爵ね。こんなものまで用意しているなんて」
「……なら、次は火を起こすだけだね。ボクに任せて……」
雪がそう言いながら、乾燥した木の棒を持つ。
やや原始的ではあるが、これで摩擦熱を発生させれば火を起こすことができる。
雪月花の中では、こういった仕事は武闘家として高い身体能力を持つ雪の仕事だった。
「おっ、そういう手もあるか。なんだかアウトドアっぽくて楽しいな」
「……え? 楽しい……?」
タカシの言葉に、雪が首を傾げる。
彼がこの世界に来て初めて取得した魔法は、火魔法だ。
そのため、旅の中でも火種に困るということはなかった。
しかし、こういう原始的な方法で火起こしをするというのは、彼にとって初めての経験であった。
「よし、俺もやってみるか!」
「……」
雪月花の3人がポカンとした表情を浮かべる。
彼女たちは、タカシが火魔法を使えることをもちろん知っている。
だが、魔法の行使には当然MPを消費する。
タカシの手を少しでも煩わせないようにと雪が原始的な方法で火を起こそうとしたのは、彼女なりの気遣いでもあった。
まさか”楽しい”なんていう理由で彼が火起こしに挑戦するとは思ってもみなかったのだ。
「……男爵さん、できるの?」
「ああ、任せろ! こう見えて、俺はキャンプの知識を持っているのさ」
日本にいた頃のタカシは無職だった。
金も友人も少なかったが、時間だけはあった。
動画サイトや電子漫画などでそういった知識は仕入れている。
彼のお気に入りは、山中で偶然居合わせた女子高生4人組とキャンプを通して親密になるハーレムなキャンプ漫画だ。
「……そうなんだ」
いくら火魔法を使えるとは言っても、MPに限りはある。
MP切れを起こした時に備えてそういった知識を蓄えておくのは不自然なことではない。
雪はタカシへの評価を上方修正した。
「いくぞぉっ! そりゃあっ!!」
タカシが乾燥した木の棒を擦り合わせる。
動画や漫画で仕入れた知識だが、彼はそれを実践したことがない。
当然、上手くいかない。
それでも、彼の身体能力により惜しい感じではあるのだが。
「う~ん……」
「……構えの軸がブレてるよ。もっと真っ直ぐに……」
「えっ?」
雪がタカシの手を取って指導する。
雪月花は全員がCランク冒険者であり、しかも美少女だ。
タカシは当然、加護の付与を狙っている。
その中で一歩先んじているのが、花だ。
彼女とは肉体関係を結ぶ一歩前まで進んだ。
その一方で、勝ち気な月や寡黙な雪との交流はさほど進んでいなかった。
思わぬ形での身体的接触に、タカシはついドキドキしてしまう。
「……こうやって握って、真っ直ぐ前に突き出すの……」
「お、おう」
「……あとは、腕だけじゃなくて全身を使って回すように動かすといい……」
「おおっ、できた!」
「……うん。上手……」
「ああ。雪のおかげだ。ありがとう」
雪から褒められて、タカシは照れくさそうに頭を掻く。
こうして、彼らは食事の準備を進めていったのだった。
だが、いくら彼がいても夜の森を大人数で進むことは危険である。
そこで彼らは、森の奥で一夜を過ごすことに決めた。
「よし、じゃあ飯の準備をするぞ」
「そうね。こんなことになるとは思っていなかったけど、最低限の道具は持ってきているわ。任せてちょうだい」
タカシの言葉に、月が答える。
戦闘能力を売りにしている冒険者は、身軽さが大切だ。
そのため、以前の彼女たちは最小限の荷物しか携帯していなかった。
しかし今の彼女たちには、タカシから供与されたアイテムバッグがある。
最高級というほどではないが、一般的に見れば十分な性能を持つマジックアイテムだ。
こうして、本来は夜営を想定していない狩りの際にも、念のため夜営具を入れておくぐらいのスペースはある。
「じゃあ、花ちゃんは薪を拾ってくるね~」
「……ボクは、山菜でも探してくる……」
花と雪がそう言う。
「まぁ待てって。俺のアイテムルームにもいろいろ入っているんだ。もちろん食材もな。それを使おう」
「えっ!?」
「本当~?」
月と花が驚く。
「ああ。ほら、これがそうだ」
タカシは2人に、収納されていたものを見せる。
そこには、野営用の調理器具や食材などが詰め込まれていた。
「……すごい。これ全部男爵さんのなの……?」
雪が尋ねる。
「ああ。こんなこともあろうかと用意していて正解だった」
タカシのアイテムルームは相当な容量がある。
ステータス操作によってMP強化や魔力強化などのスキルを伸ばしているためである。
どんな状況でも臨機応変に対応できるよう、彼は一通りの物資をアイテムルームに収納しておいたのだ。
「ほら、これはモニカが作ってくれた料理だ。こっちはゼラのやつだな。どっちも下ごしらえは済ませてもらっているから、後は火を起こして温めるだけだ。もちろん薪も用意してあるぞ」
ハイブリッジ男爵家の第三夫人モニカ。
”雷脚”の二つ名を持つBランク冒険者であり、高い戦闘能力を持つ。
だが、元々は料理人であり、貴族の奥方となった今でもその料理の腕前は衰えるどころかますます伸びている。
先日も、王都で開かれた料理コンテストで1位を飾ったばかりである。
そして、王都で話題になっている新人料理人ゼラ。
料理コンテストでは準優勝に終わったものの、彼女の作る新感覚の麺料理――ラーメンは多くの者を魅了した。
そんな彼女は料理仲間としてモニカと意気投合し、ハイブリッジ男爵家の面々とも面識を持つようになっている。
タカシは彼女をハイブリッジ男爵家に取り込めないかと狙っているのだが、今のところの成果はボチボチ程度の様子だ。
「へえ……。さすがはハイブリッジ男爵ね。こんなものまで用意しているなんて」
「……なら、次は火を起こすだけだね。ボクに任せて……」
雪がそう言いながら、乾燥した木の棒を持つ。
やや原始的ではあるが、これで摩擦熱を発生させれば火を起こすことができる。
雪月花の中では、こういった仕事は武闘家として高い身体能力を持つ雪の仕事だった。
「おっ、そういう手もあるか。なんだかアウトドアっぽくて楽しいな」
「……え? 楽しい……?」
タカシの言葉に、雪が首を傾げる。
彼がこの世界に来て初めて取得した魔法は、火魔法だ。
そのため、旅の中でも火種に困るということはなかった。
しかし、こういう原始的な方法で火起こしをするというのは、彼にとって初めての経験であった。
「よし、俺もやってみるか!」
「……」
雪月花の3人がポカンとした表情を浮かべる。
彼女たちは、タカシが火魔法を使えることをもちろん知っている。
だが、魔法の行使には当然MPを消費する。
タカシの手を少しでも煩わせないようにと雪が原始的な方法で火を起こそうとしたのは、彼女なりの気遣いでもあった。
まさか”楽しい”なんていう理由で彼が火起こしに挑戦するとは思ってもみなかったのだ。
「……男爵さん、できるの?」
「ああ、任せろ! こう見えて、俺はキャンプの知識を持っているのさ」
日本にいた頃のタカシは無職だった。
金も友人も少なかったが、時間だけはあった。
動画サイトや電子漫画などでそういった知識は仕入れている。
彼のお気に入りは、山中で偶然居合わせた女子高生4人組とキャンプを通して親密になるハーレムなキャンプ漫画だ。
「……そうなんだ」
いくら火魔法を使えるとは言っても、MPに限りはある。
MP切れを起こした時に備えてそういった知識を蓄えておくのは不自然なことではない。
雪はタカシへの評価を上方修正した。
「いくぞぉっ! そりゃあっ!!」
タカシが乾燥した木の棒を擦り合わせる。
動画や漫画で仕入れた知識だが、彼はそれを実践したことがない。
当然、上手くいかない。
それでも、彼の身体能力により惜しい感じではあるのだが。
「う~ん……」
「……構えの軸がブレてるよ。もっと真っ直ぐに……」
「えっ?」
雪がタカシの手を取って指導する。
雪月花は全員がCランク冒険者であり、しかも美少女だ。
タカシは当然、加護の付与を狙っている。
その中で一歩先んじているのが、花だ。
彼女とは肉体関係を結ぶ一歩前まで進んだ。
その一方で、勝ち気な月や寡黙な雪との交流はさほど進んでいなかった。
思わぬ形での身体的接触に、タカシはついドキドキしてしまう。
「……こうやって握って、真っ直ぐ前に突き出すの……」
「お、おう」
「……あとは、腕だけじゃなくて全身を使って回すように動かすといい……」
「おおっ、できた!」
「……うん。上手……」
「ああ。雪のおかげだ。ありがとう」
雪から褒められて、タカシは照れくさそうに頭を掻く。
こうして、彼らは食事の準備を進めていったのだった。
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