【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
783話 信じて送り出した中隊長が
アビーたちへの取り調べを行った翌日――
俺は再び王都騎士団のレティシア中隊長を訪れていた。
「よう、おはようさん」
「おはようございます。ハイブリッジ男爵」
レティシアが敬礼する。
どうにも、こういう堅苦しい挨拶は慣れないな。
(レティシアともチャンスがあれば友好を深めたいのだがなぁ……)
加護付与スキルは強力だ。
加護さえ得ることができれば、そこらの村娘でも最強クラスの戦力に成長し得る。
だが、それは通常の加護を得た場合であり、しかも長期的に見た場合だ。
例えば加護(小)に留まる場合は、やはり元々の戦闘能力の高さが重要だと言わざるを得ない。
俺に先行して、少し前にヤマト連邦へ旅立ったベアトリクス第三王女やシュタイン=ソーマ騎士爵。
彼らは元々Bランク冒険者という実力者であった。
加護(小)によってさらに強化された今、おそらく順調にヤマト連邦への旅路を進めているだろう。
少し前に加護(小)を付与したナオミはどうか?
頑張り屋さんな騎士見習いであった彼女は、加護の恩恵によりその能力がひと回り向上した。
だが、あくまでひと回りである。
一足飛びに、俺たちミリオンズに肩を並べられるほど強化されたわけではない。
一方で、少し前に通常の加護を付与したレインはどうか?
清掃術、料理術など、メイドとしての能力を伸ばした。
また、剣術や希少な空間魔法も取得した。
そこらのメイドとは一線を画するスーパーメイドとなったと言えるだろう。
だがしかし、なにせ元々は普通の頑張り屋さんなメイドだ。
その戦闘能力はまだまだ発展途上である。
(ベストは、元々強い者に通常の加護を付与することだが……)
そう上手くはいかないのが現実である。
加護を付与するためには忠義度を稼ぐ必要がある。
だが、優れた能力を持ち自立している者から忠義度を稼ぐことはなかなか難しいのだ。
”誓約の五騎士”であるイリーナとはキスまでした仲だが、まだ加護(微)までしか付与できていない。
イリーナの部下であるレティシアであれば、イリーナよりも忠義度を稼ぎやすく、それでいて中隊長としてある程度の能力を持っている。
彼女に加護を付与できればいろいろと捗るのだが、彼女の忠義度はイリーナよりもさらに少し低い。
やはり、百合の間に無理に入ろうとしているのがマイナス印象なのだろうか?
「堅苦しいのはナシにしようぜ、レティシア。ほら、酒でも飲んで……」
「結構ですっ!」
俺はグラスを差し出す。
だが、俺の誘いをレティシアはピシャリと断った。
「ちぇっ……」
レティシアはマジメなタイプだな。
イリーナやシュタインであれば、俺といっしょに酒を飲んでくれたと思うのだが。
「ほら、そんなに肩肘張ってたら疲れちゃうぞ?」
俺はそう言ってレティシアの肩を揉む。
「あひっ!?」
レティシアがビクンッと身体を震わせた。
おっ、意外といい反応だ。
「おー、凝っているなぁ」
「ちょっ、ちょっと……。ハイブリッジ男爵っ。やめてくださ……」
「いいじゃないか。減るもんじゃないし」
「そ、そういう問題では……」
「じゃあどういう問題なんだい?」
俺はニヤリと笑いながら言った。
すると――
「い、いい加減に……」
「ん?」
「いい加減にしてくださいっ!」
レティシアが怒りの形相で俺の手を振り払った。
そして、俺を睨みつける。
「なんだよ……。別にそんな怒ることじゃないだろ?」
うーん。
距離感を間違えたか?
彼女はイリーナと百合の関係だしなぁ。
だが、イリーナからの情報によれば、レティシアは両方イケるタイプであり、俺のことを嫌ってはいないとも言っていた。
彼女の忠義度も、以前と比べて激減しているわけでもない。
なぜ、これほど態度が豹変してしまったのか。
「お、女好きもたいがいにしていただきたいのですっ! 私の貞操はイリーナ様に捧げていますのでっ」
「いいじゃないか。お前の本命はイリーナ。俺は単なる遊び相手でもいいんだぞ」
「うう……。でも、ハイブリッジ男爵に狙われたら絶対に戻ってこれません……」
「うん? 人をまるで悪人や調教師みたいに言うなよ。俺は紳士だぜ」
イリーナがいない間に、レティシアとの関係を進める。
イリーナ視点では一種のNTR展開になってしまう。
もちろん俺はドロドロ展開が好きではないので、そこまで露骨にレティシアとの関係ばかりを深めるつもりはない。
百合に挟まる男として、2人をなるべく並行して攻略していく所存である。
間違っても、イリーナ視点で”信じて送り出した中隊長が女好き男爵の変態調教にドハマリして……云々”というような展開にはしないようにするつもりだ。
「どこがですかっ。その人をそんな風にしておいて……」
レティシアが俺の隣を指差す。
そこには――
「ハイブリッジさまぁ……」
とろけきった表情のアビーが座っており、俺の腕に抱きついていた。
「ふふ。ちょっと待ってな、アビー。今は大切な仕事の話をしているんだ」
俺は決め顔でそう言う。
レティシアへ仕事のできる男アピールをするチャンスだからね。
ここで好感度を上げておかないと。
「はいぃ……。私はいつまでもお待ちしていますぅ……」
アビーは俺にメロメロだ。
幻惑魔法で反省を促しても、イマイチ反省しきっていない様子だった。
俺はそんな彼女のために特別な反省会を開いたのだ。
1対1での熱心な説得が功を奏したのだろう。
ついに彼女は俺に心を開き、反省したのだった。
聞き出した余罪も大したものではなかったし、他の3人とともに実質的に無罪放免でいいだろう。
実家から勘当される哀れな女性は生まれなかった。
やはり俺は仕事ができる。
「……はぁ」
だが、レティシアは呆れたようにため息をつくだけだった。
くっ、この手の作戦は苦手だな。
どうにも上手くいかない。
次の仕事で再びアピールするしかない。
「まぁいいさ。次の仕事に取り掛かろう。確か次は――」
「闇蛇団の構成員たちの罪状ですね。サザリアナ王国法により基本的な方針は定まっておりますが、ハイブリッジ男爵のご意見により左右される余地はあります。摘発時の状況を鑑みて、特に悪質な者、情状酌量の余地がある者、利用価値がある者などを挙げていただければと」
「うむ。任せておけ。今度こそ、レティシアに納得してもらえるような文句なしの結果を出してみせる」
「…………」
俺はなるべくイケメンな感じでそう言ったのだが、レティシアは半目で俺を見るばかりだった。
俺は再び王都騎士団のレティシア中隊長を訪れていた。
「よう、おはようさん」
「おはようございます。ハイブリッジ男爵」
レティシアが敬礼する。
どうにも、こういう堅苦しい挨拶は慣れないな。
(レティシアともチャンスがあれば友好を深めたいのだがなぁ……)
加護付与スキルは強力だ。
加護さえ得ることができれば、そこらの村娘でも最強クラスの戦力に成長し得る。
だが、それは通常の加護を得た場合であり、しかも長期的に見た場合だ。
例えば加護(小)に留まる場合は、やはり元々の戦闘能力の高さが重要だと言わざるを得ない。
俺に先行して、少し前にヤマト連邦へ旅立ったベアトリクス第三王女やシュタイン=ソーマ騎士爵。
彼らは元々Bランク冒険者という実力者であった。
加護(小)によってさらに強化された今、おそらく順調にヤマト連邦への旅路を進めているだろう。
少し前に加護(小)を付与したナオミはどうか?
頑張り屋さんな騎士見習いであった彼女は、加護の恩恵によりその能力がひと回り向上した。
だが、あくまでひと回りである。
一足飛びに、俺たちミリオンズに肩を並べられるほど強化されたわけではない。
一方で、少し前に通常の加護を付与したレインはどうか?
清掃術、料理術など、メイドとしての能力を伸ばした。
また、剣術や希少な空間魔法も取得した。
そこらのメイドとは一線を画するスーパーメイドとなったと言えるだろう。
だがしかし、なにせ元々は普通の頑張り屋さんなメイドだ。
その戦闘能力はまだまだ発展途上である。
(ベストは、元々強い者に通常の加護を付与することだが……)
そう上手くはいかないのが現実である。
加護を付与するためには忠義度を稼ぐ必要がある。
だが、優れた能力を持ち自立している者から忠義度を稼ぐことはなかなか難しいのだ。
”誓約の五騎士”であるイリーナとはキスまでした仲だが、まだ加護(微)までしか付与できていない。
イリーナの部下であるレティシアであれば、イリーナよりも忠義度を稼ぎやすく、それでいて中隊長としてある程度の能力を持っている。
彼女に加護を付与できればいろいろと捗るのだが、彼女の忠義度はイリーナよりもさらに少し低い。
やはり、百合の間に無理に入ろうとしているのがマイナス印象なのだろうか?
「堅苦しいのはナシにしようぜ、レティシア。ほら、酒でも飲んで……」
「結構ですっ!」
俺はグラスを差し出す。
だが、俺の誘いをレティシアはピシャリと断った。
「ちぇっ……」
レティシアはマジメなタイプだな。
イリーナやシュタインであれば、俺といっしょに酒を飲んでくれたと思うのだが。
「ほら、そんなに肩肘張ってたら疲れちゃうぞ?」
俺はそう言ってレティシアの肩を揉む。
「あひっ!?」
レティシアがビクンッと身体を震わせた。
おっ、意外といい反応だ。
「おー、凝っているなぁ」
「ちょっ、ちょっと……。ハイブリッジ男爵っ。やめてくださ……」
「いいじゃないか。減るもんじゃないし」
「そ、そういう問題では……」
「じゃあどういう問題なんだい?」
俺はニヤリと笑いながら言った。
すると――
「い、いい加減に……」
「ん?」
「いい加減にしてくださいっ!」
レティシアが怒りの形相で俺の手を振り払った。
そして、俺を睨みつける。
「なんだよ……。別にそんな怒ることじゃないだろ?」
うーん。
距離感を間違えたか?
彼女はイリーナと百合の関係だしなぁ。
だが、イリーナからの情報によれば、レティシアは両方イケるタイプであり、俺のことを嫌ってはいないとも言っていた。
彼女の忠義度も、以前と比べて激減しているわけでもない。
なぜ、これほど態度が豹変してしまったのか。
「お、女好きもたいがいにしていただきたいのですっ! 私の貞操はイリーナ様に捧げていますのでっ」
「いいじゃないか。お前の本命はイリーナ。俺は単なる遊び相手でもいいんだぞ」
「うう……。でも、ハイブリッジ男爵に狙われたら絶対に戻ってこれません……」
「うん? 人をまるで悪人や調教師みたいに言うなよ。俺は紳士だぜ」
イリーナがいない間に、レティシアとの関係を進める。
イリーナ視点では一種のNTR展開になってしまう。
もちろん俺はドロドロ展開が好きではないので、そこまで露骨にレティシアとの関係ばかりを深めるつもりはない。
百合に挟まる男として、2人をなるべく並行して攻略していく所存である。
間違っても、イリーナ視点で”信じて送り出した中隊長が女好き男爵の変態調教にドハマリして……云々”というような展開にはしないようにするつもりだ。
「どこがですかっ。その人をそんな風にしておいて……」
レティシアが俺の隣を指差す。
そこには――
「ハイブリッジさまぁ……」
とろけきった表情のアビーが座っており、俺の腕に抱きついていた。
「ふふ。ちょっと待ってな、アビー。今は大切な仕事の話をしているんだ」
俺は決め顔でそう言う。
レティシアへ仕事のできる男アピールをするチャンスだからね。
ここで好感度を上げておかないと。
「はいぃ……。私はいつまでもお待ちしていますぅ……」
アビーは俺にメロメロだ。
幻惑魔法で反省を促しても、イマイチ反省しきっていない様子だった。
俺はそんな彼女のために特別な反省会を開いたのだ。
1対1での熱心な説得が功を奏したのだろう。
ついに彼女は俺に心を開き、反省したのだった。
聞き出した余罪も大したものではなかったし、他の3人とともに実質的に無罪放免でいいだろう。
実家から勘当される哀れな女性は生まれなかった。
やはり俺は仕事ができる。
「……はぁ」
だが、レティシアは呆れたようにため息をつくだけだった。
くっ、この手の作戦は苦手だな。
どうにも上手くいかない。
次の仕事で再びアピールするしかない。
「まぁいいさ。次の仕事に取り掛かろう。確か次は――」
「闇蛇団の構成員たちの罪状ですね。サザリアナ王国法により基本的な方針は定まっておりますが、ハイブリッジ男爵のご意見により左右される余地はあります。摘発時の状況を鑑みて、特に悪質な者、情状酌量の余地がある者、利用価値がある者などを挙げていただければと」
「うむ。任せておけ。今度こそ、レティシアに納得してもらえるような文句なしの結果を出してみせる」
「…………」
俺はなるべくイケメンな感じでそう言ったのだが、レティシアは半目で俺を見るばかりだった。
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