【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

779話 脱げ

 女性被疑者4人の尋問を任された。
 罪状は、違法賭博のみ。
 悪質な者、常習性のある者、反省していない者を見極めて有罪にするだけの簡単なお仕事だ。

「ハイブリッジさま! 聞いてください!」

「男爵様のお力でお救いを!」

「私は無実なんです!!」

「このままじゃ勘当されちゃう……」

 女性たちが口々に叫びながら、俺にすがってくる。
 彼女たちはみな、20代から30代の女性だ。
 悪い気はしないでもないが――

「静まれえぃ!」

 俺は魔力と闘気を乗せ、彼女らを一喝した。
 すると、水を打ったように静かになる。

「お前たちがそこそこの家柄なのは知っている。だが、俺はハイブリッジ男爵家の当主、タカシ=ハイブリッジ男爵だ。そこのところを履き違えるなよ」

「も、申し訳ありません」

「わ、私どもが間違っておりました」

「どうかお許しを!」

「すみませんでした……」

 4人が一斉に頭を下げる。
 身分をひけらかすのは俺の趣味ではない。
 が、尋問という特殊な仕事を円滑にこなすには、これも必要なことだ。

「ふん。わかればいい。さて、俺は無駄話が嫌いだ。早速始めるとしよう。まず、貴様からだ」

 俺は、1番年上に見える女を指名した。

「はい! 私は――」

「アビー=コーニッシュ。31歳未婚。フォルクス騎士爵家の従者の妻の従姉妹の娘。フォルクス騎士爵領における中規模商人の第二夫人になる予定だったが、それを拒否して王都へ家出。しかしその後も仕送りを受け、ぬくぬくと暮らしている。興味本位で違法賭博に手を出した。違法賭博が発覚したため、逮捕」

「……え?」

「どうした? 何か間違っているか?」

「あ、いえ……。その通りでございます……」

 アビーがすんなりと認める。
 俺は、何も女性陣全員を細かく調べていたのではない。
 この女とだけは、立ち入り捜査のときに少し会話した。
 その上、少しばかり威圧してやったところ、なぜか忠義度が上がっていた。
 わずかな情報だけで決めつけるのは早計かもしれないが、彼女は支配されたいタイプだと思われる。
 そのため、ハイブリッジ男爵家の御用達冒険者である雪月花に命じて、情報収集をさせていたのだ。

 アビーは違法賭博自体は認めると。
 そうなると、後は常習性、悪質さ、反省の有無あたりを探っていくことになる。

「よし、次は隣のお前だ。お前は――」

 他の3人については、情報を集めていない。
 レティシアから受け取っておいた書類を眺めつつ、3人からそれぞれ情報を聞き出していく。
 現時点では、尋問というほどでもない。
 最初に魔力と闘気で威圧した点を除けば、ただの世間話のようなものだ。

「さて。とりあえず、簡単な事情聴取は終わった。主張内容が真実であれば、目をつむってやれないほどの罪ではないな」

 違法賭博は罪だ。
 風紀や治安を維持するためには、全面的に認めるわけにはいかない。
 だがそれはそれとして、個別の事情を考慮に入れて柔軟に対応することはできる。

「「「「では――!」」」」

 俺の言葉を受け、取り調べ自体が終わったと勘違いでもしたのだろうか?
 4人が顔に希望の色を浮かべるが、それは違う。

「脱げ」

「……は?」

「聞こえなかったのか? 服を脱いで下着姿になれと言ったんだ」

「そ、そんなことできるわけないじゃないですか!?」

「「そうですそうです!」」

「勘弁してくださいよぉ!」

 口々に不満を叫ぶ女たち。

「黙れっ!」

 俺は再び魔力と闘気を乗せて一喝する。

「「「「ひっ!」」」」

「俺の命令に逆らうつもりか? いいだろう。ならば、国家反逆罪で処刑されてもいいということだな?」

 まぁ、俺にそんな罪状を決める権限はないわけだが。
 しかし、俺が『この女たちは国家転覆を企てていました』とネルエラ陛下に報告すれば、一考ぐらいはされそうな気がする。
 その後、罪が認められれば、この女たちは一族郎党まとめて皆殺しとなる。
 ……虚偽申告がバレたら俺が相当にマズイ立場になるので、そんなことをするわけはないが。

「そ、それは……」

「……わかりました、脱ぎます……」

 4人は観念した様子で、衣服を一枚ずつ脱いでいく。
 全員が20代から30代だけあって、悪くない体をしている。
 情報によれば、これで全員が未婚なのだから、本当に勿体無い話だ。

「ほら、早くしろ」

 俺が急かすと、4人ともが完全に下着姿になった。
 別に、下心だけでこんな格好をさせているわけではない。
 これから尋問を行うにあたり、俺が彼女たちに魔力を流し込みやすくするためだ。

 魔力は、一種の血液のように体を循環している。
 俺の魔力を彼女たちに流せば、当然彼女たちの体の中を俺の魔力が流れることになる。
 それはやがて彼女たちの体に馴染み、最終的には自然に排出される。
 だが、しばらくの間は俺の制御下にもある。

 普通の術者であれば、それで何かができるというものでもない。
 しかしステータス操作により『魔力強化レベル5』『MP強化レベル4』『気配察知レベル2』『視力強化レベル1』などのスキルを得ている俺であれば、流し込んだ魔力を利用して尋問に活かすことができる。

(本当に反省しているのかどうか、そして余罪がないか、ちゃんと見極めさせてもらわないとな)

 気苦労の絶えないレティシア中隊長のためにも、この俺の尋問力で丸く収めてやることにしよう。

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