【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

763話 vs少女騎士たち

 俺は少女騎士たちと模擬試合をしている。
 ルシエラを始めとした4人が近接戦を挑んできたが、木剣を没収してやった。
 次は、少し離れたところから放たれた攻撃魔法に対処する必要がある。

「剣を使わないで、それにどう対処されますか!?」

「魔法も使用禁止です! ハイブリッジ男爵から提案されたことですよ!」

「お覚悟!!」

 攻撃魔法の後を追うように、他の少女たちも迫ってくる。
 魔法への対処に手間取れば、彼女たちの追撃を受けてしまうだろう。
 ここは――

「はあぁっ!」

 俺は力を込めてジャンプした。
 小さく回避したり防御したりするのがマズいのであれば、大きく避ければいいのだ。

「なっ!? 身体能力と闘気だけでそれほどの跳躍を!?」

「くっ……。ですが、まだまだ終わりませんよ!」

 俺の着地先を予測し、少女騎士たちが陣形を立て直す。
 とっさの判断にしては悪くない。

(重力魔法のレビテーションを併用すれば、もっと空高くの跳躍も可能だけどな。今回は魔法禁止のルールにしているから、仕方ない)

 レビテーションは狭い範囲にある物にかかる重力を軽減する魔法だ。
 ジャンプする瞬間に自分へかければ、当然跳躍距離が増すことになる。
 今回はそれを使用せず、身体能力と闘気のみによるジャンプだった。
 大した飛距離ではないので、少女騎士たちもとっさに対応できるというわけだ。

「一太刀入れさせてもらいますよ!」

「覚悟してくださいっ!」

 俺の落下地点を予測した少女たちが剣を構える。
 このままだと、一撃を入れられてしまうだろう。
 だが――

「甘いッ!! 【青空歩行-スカイウォーク-】!!!」

 俺は落下途中に、両足を使って虚空を蹴った。
 それにより俺の体は空中で二段目のジャンプを果たす。

「「ええぇっ!?」」

 少女たちは目を丸くしていた。

「そ、そんなバカな……」

「うそでしょ!?」

 俺は少女騎士たちの頭上を飛び越える。
 そして、そのまま地面に降り立った。

「スキあり!」

 バシッ!
 バシバシッ!!
 俺は木の枝で少女騎士たちの手首を叩いた。

「「「キャアアッ!!」」」

 痛みに悲鳴を上げる少女たち。

「はい、終了。勝負あったね」

「ま、参りました」

「まさか、こんな方法でかわされるなんて……」

「信じられません……」

 少女騎士たちは悔しそうにしていたが、素直に負けを認めてくれた。
 俺は木の枝を下ろし、ひと呼吸おく。

「ふぅ……。なかなか悪くない動きだったぞ」

「す、すごい……。これが本物の騎士の戦いなんですね」

「私、感動しました!」

「ハイブリッジ様、カッコいい!」

 少女騎士たちが口々に感想を述べてくれる。
 最初に撃破したルシエラを含む4人、今襲いかかってきた3人。
 これで7人が戦闘不能と言っていいだろう。
 後は攻撃魔法を放ってきた3人組だが――

「ほいっと」

「あっ!」

「ひぅ……」

「わぁっ!?」

 俺は闘気を開放して、3人組の背後に回る。
 そして、肩に手をポンっと置いた。

「君たち、降参してくれるよな?」

「はいぃ……」

「降参しますぅ」

「ごめんなさい~」

 3人ともヘナヘナと座り込んでしまった。

「よしよし、それでよろしい」

 素直に降参してくれた3人の頭をなでてあげる。

「「「ひゃああぁっ!!」」」

「ん? どうしたんだ、みんな」

「あ、あの……そのぉ……」

「ハイブリッジ様に頭を撫でられると……ドキドキしてしまうんです……」

「は、恥ずかしくて死んじゃいますぅ……」

「おー、それは悪いことをしてしまったな」

 俺は3人の頭から手を離したが、彼女たちは顔を赤くして動けない様子だ。
 これでほぼ全員を倒したか。
 残っているのは――

「ナオミちゃんか。どうして他のみんなと力を合わせて挑んでこなかったんだ?」

「ハイブリッジ様に、1対1で今のアタシの全力を見てもらいたかったんです」

 そう言って、ナオミが木剣を構えた。

「いきますっ! はああぁっ!!」

 裂帛の気合いとともに突進してくる。
 スピードもパワーも申し分ない。
 一般人や下級冒険者なら瞬殺されていただろう。

(だが、俺にとっては問題にならない)

 俺は無造作に木の枝を突き出した。
 ドゴォッ!!
 強烈な打撃音と衝撃波が発生する。
 闘気をまとった俺の突きが、ナオミの木剣を吹き飛ばしてしまったのだ。

「う、ウソっ!?」

 驚愕するナオミ。
 闘気のコントロールが甘かったのか、それとも無意識のうちに俺へ手加減したのだろうか。

「そんなものか? ナオミちゃんの全力は」

「なっ……。まだです! 次こそは本気で行きます!」

 再び構えを取るナオミ。
 木剣を失い、今度は武闘で戦う構えだ。
 闘気の密度が上がり、体から立ち昇るオーラはまるで炎のように揺らめいている。

「【飛燕の型】!!」

 叫び声と同時に、ナオミの姿がかき消えた。

(ほう……これは見事な)

 目にも止まらぬ高速移動だ。
 普通の人間では反応できないほどの速さである。

「とりゃりゃりゃりゃっ!!!」

 連続攻撃を繰り出してくるナオミ。
 だが、俺には彼女の動きが全て見えていた。

「むっ!? くっ!」

 一瞬の隙を突いて放たれた蹴りを、俺は腕で受け止める。

「くぅっ……。まだまだっ!!」

 すかさず繰り出される拳。
 だが、それも俺の掌で受け止められてしまう。

「はあぁっ!!」

 最後の一撃は回し蹴りだった。
 だが、それも俺は余裕を持って回避する。

「うそっ!?」

 驚くナオミ。
 俺はそんな彼女へ問いかける。

「どうした? この程度なのか?」

 まぁ、騎士見習いとしては十分すぎるくらいか。
 チートの恩恵も、まだ加護(微)しか得ていないしな。
 少女騎士の中では、ナオミは最も健闘した。
 ここらで終わりにしてあげて、彼女に採用を伝えてあげることにしよう。

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