【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

750話 今助けてやる

 ミティの実力行使に乗じて、賭博場を制圧した。

「ちぃっ! せっかく手にしたお宝が……」

「あれだけ仕込みに手間を掛けたのによぉ」

「おいしいところを持ってかれちまうのか……」

 ロッシュや五英傑が、何やら未練がましく呟いている。

「お前たち、この期に及んでまだ何か隠しているのか?」

「……お前には関係のないことだ!」

「そうやって怒鳴っていれば、俺たちが怯むと思っているのか? それが通じるのは、一般人か、せいぜい駆け出し冒険者くらいまでだ。俺がBランク冒険者であることは知っているだろう?」

「ぐっ……」

 男たちが怯む。
 この『闇蛇団』は、騎士団の目をかいくぐって活動していた点が厄介な組織だ。
 しかしその一方で、戦闘能力においては『黒狼団』や『白狼団』には一歩劣る。
 彼らが多少凄んだところで、俺には通じない。

 ……内心では少しだけビビっていることは内緒だ。
 俺の戦闘能力はほぼほぼチートによって得たものだからか、格下相手でも結構怖いのだ。

「……そんなに気になるなら、見てくればいいさ。中にはとびきりの宝がある」

「ほう! それはそれは……。よし、見てみよう。みんな、ここの後処理は頼むぞ」

「ははっ! お任せください! タカシ様」

 ミティが元気よくそう返事をする。

「残党がいるかもしれません。アタシもいっしょに……」

「不要です。タカシ様なら、残党程度に不覚を取ることはありません」

 ナオミが同行を申し出たが、ミティがキッパリと却下する。
 まぁ、こういう閉じられた空間内における戦闘において、俺が負けることはまずない。
 野外における長期の旅路だとか、普段の寝泊まりなどであれば、警備の者は多いに越したことはないが……。
 ここはミティの言う通り、俺ひとりで十分だろう。

「じゃあ、行ってくる」

 俺は賭博場の隅にあった扉を開け、その奥へと進む。
 扉の先はそこそこ長い廊下になっており、左右にはいくつかの扉があった。
 扉のひとつを開けると、そこは倉庫のような部屋だった。
 大きな木箱がいくつも積まれている。

 廊下に戻ってまた別の扉を開けると、そこにはベッドや椅子などの家具が置かれた寝室が広がっていた。
 俺は再び廊下に戻る。

「ふうむ。物置や休憩部屋が用意されているのか。さほどきれいではないし、『闇蛇団』のメンバー用のものか」

 俺は独り言を呟きながら、さらにいくつもの扉を開けていく。
 意外に広々とした間取りには驚いたが、金目のものは少ない。
 男が言っていた『とびきりの宝』とやらを探してみたが、見当たらない。

「本当にここに宝物なんてあるのか? まさか、俺を騙しやがったのか?」

 あんな状況から嘘をつく理由もない気がするが、現に宝は見つからない。
 俺が疑念を持ち始めたときだった。

「うぅ……。ぐすっ」

「……!?」

 泣き声が聞こえた。

「子どもの声か?」

 トパーズが口を滑らせていた、例の奴隷堕ち少女だろうか?
 だとすれば、一刻も早く救助して安心させてやる必要がある。
 だが、もしかしたら『闇蛇団』残党の何かしらの罠とかの可能性もある。
 俺はとりあえず足音を立てないよう注意しながら、ゆっくりと歩く。

(ここか)

 1番奥の部屋。
 他より豪華な装飾が施されたドアを、そっと開けた。
 部屋の中は薄暗く、わずかに漏れる光の中に人影が見える。

「…………」

「ひぐっ! ふぇええん! ……ぐすっ!」

 俺は、一瞬言葉を失った。
 泣いている女の子。
 百歩譲って、それはいい。

 問題は、その子の姿だ。
 薄切れ一枚すら身につけていない。
 真っ裸で、イスの上に拘束されていた。
 しかも、ご丁寧に足がM字に広げられており、大切なところが丸見えとなっている。

「これは……」

 どう見ても、乱暴をされていた最中にしか見えない。
 そう言えば、ロッシュや五英傑たちは『いいところを邪魔された』とか『とびきりの宝』とか言っていたな。
 ひょっとすると、この子を辱めて楽しもうとしていた途中だったのかもしれない。
 そこに俺やミティがカジノ荒らしをしているという連絡があり、この子を放って慌ててカジノの方に顔を出したといったところか。

「おい。大丈夫か? 今助けてやる」

「……ひっ! いやあああっ!!」

「おっと! 落ち着け! 俺は、君を助けに来たんだ」

「や、やだあああぁっ! 騎士様、助けてぇっ!!」

 俺の言葉が届いていないのか、少女は悲鳴を上げて暴れる。
 見たところ、少女に外傷はない。
 顔も肌も、きれいなものだ。
 ロリコン揃いの『闇蛇団』は、少女を無闇に傷つけるのは避けたのだろうか。

 だが、心は別だ。
 全裸でイスに縛り付けられて、恥部を晒しているこの状況は、かなり精神的にキツイものがあるはずだ。

(あのクソ野郎どもが……!)

 俺は内心で怒りを募らせる。
 イエスロリータノータッチの精神にはギリギリ則っていると言えなくもないが……。
 明らかにこれはやり過ぎだよ。
 同じロリコンとして恥ずかしい。
 俺は思わず、魔力と闘気を練り上げる。

「あっ……。ひ、ひいぃっ……!」

 少女が怯えたように、小さく叫ぶ。
 俺が放つ殺気に気づいたようだ。

「あ、すまん。俺は怖くないからな。すぐに解放してやる」

 怒りの余り少女を怖がらせるなんて、本末転倒じゃないか。
 『闇蛇団』の鬼畜変態ロリコンどもには、相応の報いを受けさせてやる。
 だが、それはそれとして今は怒りを鎮め、少女を救わなくては。
 俺は優しい足取りで少女に近づいていくことにしたのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品