【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
733話 進撃のノノン
薄幸の少女ノノンは、降って湧いた幸運により一瞬で大金を稼いだ。
(このまま勝ち続ければ借金を返せるかも……。でも、そう簡単に勝てるわけがないよね……?)
この時点での彼女は、まだかろうじて正常な判断力を持っていた。
「嬢ちゃん! 次の勝負が始まるぜ?」
「あの、今日はここで……」
「は? 何言ってやがる。嬢ちゃんみたいな天才ギャンブラーがここでやめるなんて、ありえないだろ?」
「えっと……」
「そんなに心配なら、賭け金を少なめにすりゃいいんだよ。それなら、一度や二度負けたところで痛くないだろ?」
「は、はい。じゃあ、それでお願いします」
「よしきた!」
結局はまんまと男の口車に乗せられ、ノノンは再びゲームに参加することになる。
ビギナーズラックはいつまでも続かない?
彼女は最初に得た儲けをあっという間に溶かす?
否。
多少の負けを挟みつつも、その後もノノンは順調に勝っていく。
「えっと。フラッシュです」
「う、嘘だろ……」
「くそぉ……」
「フルハウスです!」
「……参った」
「強すぎるわ……」
ノノンの圧倒的な勝利が続く。
他の参加者たちからすれば悪夢のような展開だ。
しかしなぜか、誰一人として席を立とうとはしない。
そのままノノンの養分となっていく。
彼女は徐々に自信を深めていた。
これは偶然ではなく、自分には本当に才能があるのではないかと。
「これでトドメです! ストレートフラッシュ!!」
「ぎゃああぁっ!!」
「あがががががが!!!!」
「ひいいいぃ~」
最後のひと勝負でも、ノノンが圧勝する。
これで彼女の儲けはかなりのものとなった。
「つ、強すぎるわ~」
「天才ギャンブラーの誕生の日に立ち会ってしまうなんて……」
「くそっ!! 覚えてろ! 次は負けねえからな!!」
敗者たちの捨て台詞を聞きながら、ノノンは多額のチップを受け取る。
「おいおい、マジかよ……」
「まさかここまで強いだなんて……」
「さすがにイカサマだろ……」
「いや、そんな様子は見受けられなかったが……」
「すげえ新人が来たものだ……」
他のゲームに参加していた者たちがざわつき始める。
ノノンの勝利があまりにも圧倒的すぎたのだ。
そのざわめきと称賛の声は、ノノンの耳にも届いていた。
それがまた彼女の自信を増幅させる。
(ひょっとして、わたしって凄いのかな……)
「お客様。当カジノの総支配人がお見えでございます」
「……ッ!」
ノノンが自惚れ始めた頃合いを見計らってか、ディーラーから総支配人の来訪を告げられる。
そして、彼女が振り向いた先には……。
「…………え?」
「ほう。嬢ちゃんが『天才少女』か」
そこに立っていたのは、ドレッドヘアーの男だった。
年齢は40代ほどだろうか。
しかし、その眼光は鋭く、威圧感を放っている。
身に纏っている雰囲気は明らかに一般人のものではなかった。
(ひっ。こ、怖いよぅ……)
ノノンの全身に鳥肌が立ち、背筋が凍り付く。
本能的に察してしまった。
この男がヤバい奴だと。
「へへへ。どうした嬢ちゃん。怖くて声も出ないのか?」
「……ッ!?」
「ああ、自己紹介がまだだったな。俺はここの総支配人、”ギャンブル王”ロッシュだ。よろしくな、嬢ちゃん」
「は、はい……。わたしはノノンと言います。よ、よろしくお願いします」
ノノンの返事を聞いた男は、満足そうに微笑む。
しかし、その笑みからは、やはり危険な匂いを感じてしまう。
(ま、まさかわたしのお金を没収しに来たんじゃ……)
ノノンはそう懸念する。
カジノで大金を得たとはいっても、彼女自身には何の力もない。
そもそもが不法に高額な賭けだ。
強制的に没収された後で騎士団に訴えても取り合ってもらえないだろう。
闇カジノにおける賭け金のやり取りは、お互いの信用で成り立っている。
実力行使に出られたら、ノノンに為す術はない。
「そう警戒するなって。別に嬢ちゃんの金を奪おうなんて思っちゃいないさ」
「……え?」
「嬢ちゃんが強いのは、もう十分にわかった。だから、俺と一勝負してくれないか?」
「ふぇ? ……えええっ!?」
「おいおい。そんなに驚くことじゃないだろ? ここはそういう場所だぜ?」
「えっと……」
ノノンとしては、できればこのまま帰りたかった。
だが、彼女の視線の先で、ロッシュと名乗った男の瞳孔が開いていることに気付いてしまう。
おそらく彼は本気だ。
本気でノノンとの勝負を望んでいる。
ここで断れば、何をされるかわからない。
「わ、わかりました。やりましょう」
「よしきた!」
結局、ノノンは勝負を受けることにしたのであった。
「へへへ。嬢ちゃんは確かに強えが、経験が足りねえ。この”ギャンブル王”ロッシュに勝てると思うなよ?」
「えっと……頑張ります」
他の参加者たちを蹴散らし、自信を深めてきたノノン。
しかしさすがに、総支配人を名乗る男を相手にするのは少々荷が重い。
(わたしと互角ぐらいの人なのかなぁ……)
この時点のノノンは、そんなことを思ってしまうほどには自信過剰で、そう考えられる程度には謙虚だった。
「さあいくぜ! 俺の最初の手札は、いきなりフルハウスだ!!」
「わたしはスリーカードです……」
一本目のゲームが開始される。
ノノンの手役は悪くない。
しかし、彼女の目の前にいる相手は、それ以上の役を持っていた。
「俺の勝ちだな」
「はい……」
結果はロッシュの勝利に終わる。
さすがはギャンブル王。
ノノンの快進撃もここまでかと思われた。
しかし……。
「フォーカードです」
「な、なにぃ!!」
「ストレートフラッシュです!」
「ぐぬぅ! 次だ次!! ”ギャンブル王”ロッシュがこんな小娘に負けてたまるか!!!」
勝負はヒートアップしつつも、概ねノノンの優勢が続いた。
そして10回以上のゲームが終了して……。
「ロイヤルストレートフラッシュです!!!」
とうとう決着がつく。
ノノンの勝利によって。
「ば、馬鹿な~~~!!!!」
ロッシュは盛大に叫び、イスごとひっくり返る。
その姿はまるで子どものような反応だった。
「これでわたしの勝ちですね。チップを現金に替えてもらってもいいですか?」
「ああ、もちろんだ。カジノは信用が第一。勝った奴に金を渡さねえなんて、そんな無粋なことは言わねえよ」
「ありがとうございます」
こうして、ノノンは大量の現金を手に入れた。
さすがに借金を完済できるほどではないが、通常なら彼女が何か月もかけて稼げる金額である。
(まさか総支配人に勝てるなんて……。やっぱり強いんだね。わたしって。これなら、最初からもっと大きな額を賭けておけばよかった。次もたくさん稼いで、お父さんとお母さんに喜んでもらいたいなぁ。えへへ)
ノノンはホクホク顔で自宅へ帰り始める。
その後ろでは、彼女をここまで案内してきた男やロッシュ、それに他の参加者たちが、不気味な笑みを浮かべていたのだった。
(このまま勝ち続ければ借金を返せるかも……。でも、そう簡単に勝てるわけがないよね……?)
この時点での彼女は、まだかろうじて正常な判断力を持っていた。
「嬢ちゃん! 次の勝負が始まるぜ?」
「あの、今日はここで……」
「は? 何言ってやがる。嬢ちゃんみたいな天才ギャンブラーがここでやめるなんて、ありえないだろ?」
「えっと……」
「そんなに心配なら、賭け金を少なめにすりゃいいんだよ。それなら、一度や二度負けたところで痛くないだろ?」
「は、はい。じゃあ、それでお願いします」
「よしきた!」
結局はまんまと男の口車に乗せられ、ノノンは再びゲームに参加することになる。
ビギナーズラックはいつまでも続かない?
彼女は最初に得た儲けをあっという間に溶かす?
否。
多少の負けを挟みつつも、その後もノノンは順調に勝っていく。
「えっと。フラッシュです」
「う、嘘だろ……」
「くそぉ……」
「フルハウスです!」
「……参った」
「強すぎるわ……」
ノノンの圧倒的な勝利が続く。
他の参加者たちからすれば悪夢のような展開だ。
しかしなぜか、誰一人として席を立とうとはしない。
そのままノノンの養分となっていく。
彼女は徐々に自信を深めていた。
これは偶然ではなく、自分には本当に才能があるのではないかと。
「これでトドメです! ストレートフラッシュ!!」
「ぎゃああぁっ!!」
「あがががががが!!!!」
「ひいいいぃ~」
最後のひと勝負でも、ノノンが圧勝する。
これで彼女の儲けはかなりのものとなった。
「つ、強すぎるわ~」
「天才ギャンブラーの誕生の日に立ち会ってしまうなんて……」
「くそっ!! 覚えてろ! 次は負けねえからな!!」
敗者たちの捨て台詞を聞きながら、ノノンは多額のチップを受け取る。
「おいおい、マジかよ……」
「まさかここまで強いだなんて……」
「さすがにイカサマだろ……」
「いや、そんな様子は見受けられなかったが……」
「すげえ新人が来たものだ……」
他のゲームに参加していた者たちがざわつき始める。
ノノンの勝利があまりにも圧倒的すぎたのだ。
そのざわめきと称賛の声は、ノノンの耳にも届いていた。
それがまた彼女の自信を増幅させる。
(ひょっとして、わたしって凄いのかな……)
「お客様。当カジノの総支配人がお見えでございます」
「……ッ!」
ノノンが自惚れ始めた頃合いを見計らってか、ディーラーから総支配人の来訪を告げられる。
そして、彼女が振り向いた先には……。
「…………え?」
「ほう。嬢ちゃんが『天才少女』か」
そこに立っていたのは、ドレッドヘアーの男だった。
年齢は40代ほどだろうか。
しかし、その眼光は鋭く、威圧感を放っている。
身に纏っている雰囲気は明らかに一般人のものではなかった。
(ひっ。こ、怖いよぅ……)
ノノンの全身に鳥肌が立ち、背筋が凍り付く。
本能的に察してしまった。
この男がヤバい奴だと。
「へへへ。どうした嬢ちゃん。怖くて声も出ないのか?」
「……ッ!?」
「ああ、自己紹介がまだだったな。俺はここの総支配人、”ギャンブル王”ロッシュだ。よろしくな、嬢ちゃん」
「は、はい……。わたしはノノンと言います。よ、よろしくお願いします」
ノノンの返事を聞いた男は、満足そうに微笑む。
しかし、その笑みからは、やはり危険な匂いを感じてしまう。
(ま、まさかわたしのお金を没収しに来たんじゃ……)
ノノンはそう懸念する。
カジノで大金を得たとはいっても、彼女自身には何の力もない。
そもそもが不法に高額な賭けだ。
強制的に没収された後で騎士団に訴えても取り合ってもらえないだろう。
闇カジノにおける賭け金のやり取りは、お互いの信用で成り立っている。
実力行使に出られたら、ノノンに為す術はない。
「そう警戒するなって。別に嬢ちゃんの金を奪おうなんて思っちゃいないさ」
「……え?」
「嬢ちゃんが強いのは、もう十分にわかった。だから、俺と一勝負してくれないか?」
「ふぇ? ……えええっ!?」
「おいおい。そんなに驚くことじゃないだろ? ここはそういう場所だぜ?」
「えっと……」
ノノンとしては、できればこのまま帰りたかった。
だが、彼女の視線の先で、ロッシュと名乗った男の瞳孔が開いていることに気付いてしまう。
おそらく彼は本気だ。
本気でノノンとの勝負を望んでいる。
ここで断れば、何をされるかわからない。
「わ、わかりました。やりましょう」
「よしきた!」
結局、ノノンは勝負を受けることにしたのであった。
「へへへ。嬢ちゃんは確かに強えが、経験が足りねえ。この”ギャンブル王”ロッシュに勝てると思うなよ?」
「えっと……頑張ります」
他の参加者たちを蹴散らし、自信を深めてきたノノン。
しかしさすがに、総支配人を名乗る男を相手にするのは少々荷が重い。
(わたしと互角ぐらいの人なのかなぁ……)
この時点のノノンは、そんなことを思ってしまうほどには自信過剰で、そう考えられる程度には謙虚だった。
「さあいくぜ! 俺の最初の手札は、いきなりフルハウスだ!!」
「わたしはスリーカードです……」
一本目のゲームが開始される。
ノノンの手役は悪くない。
しかし、彼女の目の前にいる相手は、それ以上の役を持っていた。
「俺の勝ちだな」
「はい……」
結果はロッシュの勝利に終わる。
さすがはギャンブル王。
ノノンの快進撃もここまでかと思われた。
しかし……。
「フォーカードです」
「な、なにぃ!!」
「ストレートフラッシュです!」
「ぐぬぅ! 次だ次!! ”ギャンブル王”ロッシュがこんな小娘に負けてたまるか!!!」
勝負はヒートアップしつつも、概ねノノンの優勢が続いた。
そして10回以上のゲームが終了して……。
「ロイヤルストレートフラッシュです!!!」
とうとう決着がつく。
ノノンの勝利によって。
「ば、馬鹿な~~~!!!!」
ロッシュは盛大に叫び、イスごとひっくり返る。
その姿はまるで子どものような反応だった。
「これでわたしの勝ちですね。チップを現金に替えてもらってもいいですか?」
「ああ、もちろんだ。カジノは信用が第一。勝った奴に金を渡さねえなんて、そんな無粋なことは言わねえよ」
「ありがとうございます」
こうして、ノノンは大量の現金を手に入れた。
さすがに借金を完済できるほどではないが、通常なら彼女が何か月もかけて稼げる金額である。
(まさか総支配人に勝てるなんて……。やっぱり強いんだね。わたしって。これなら、最初からもっと大きな額を賭けておけばよかった。次もたくさん稼いで、お父さんとお母さんに喜んでもらいたいなぁ。えへへ)
ノノンはホクホク顔で自宅へ帰り始める。
その後ろでは、彼女をここまで案内してきた男やロッシュ、それに他の参加者たちが、不気味な笑みを浮かべていたのだった。
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