【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

68話 目立ちたくない

 のっし、のっし。
 私は魔獣を担ぎながら、森を進む。

「ふう。集合場所が見えてきましたね」

「お疲れ様です。イザベラ殿」

「ふぇ~ん。イザベラ様、ありがとうございますぅ!」

 三人で歩いて帰る途中、途中で休憩を挟みつつ、ようやく私達の班は合流地点へとたどり着いた。
 都合のいいことに、他の生徒達はまだ誰も戻ってきていないようだ。
 私は魔獣を地面に下ろす。
 そして、一息ついた。
 結構重かったからね。

「はう……、緊張しました。わたしもう動けないです」

 アリシアさんがその場にへたり込む。

「それも仕方ないわね。山道を歩き薬草を採取するだけでも、普通は大変なことだから。ましてや、魔獣との戦闘までしては、アリシアさんが疲れるのも無理はないわ。オスカー様もお疲れではなくて?」

 私はそう声を掛ける。

「……しかし、イザベラ殿はそれに加えて魔獣まで運ばれたではありませんか。私がそんなことを言うわけにはいきませんよ」

 オスカーは肩をすくめた。

「えっと……。そのことでお二人に相談があるのですが……」

「何でしょうか?」

「イザベラ様のお願いでしたら、何でも聞きますよぉ」

 私は魔獣から少し離れ、オスカーとアリシアさんに向き直る。

「この魔獣は三人で運んできたことに致しましょう。私が担いできたのは内緒にしてほしいのです」

「それは構いませんが……。どうしてですか? このことが広まれば、イザベラ殿の名声はさらに高まると思いますが……」

 オスカーが不思議そうな顔をした。

「あまり目立ちたくないんですよ。淑女たる者、目立つことは避けるべきです」

「目立ちたくない? イザベラ様が目立たないなんて、あり得ません! 太陽が隠れることなんて無理ですよぉ」

 アリシアさんは、首をぶんぶんと横に振った。

「確かにイザベラ殿なら、今更な話ではありますね。幼少からポーション開発で頭角を現し、王立学園には主席合格したのですから。既に十分に目立っています」

 オスカーもアリシアさんに同調する。

「それはそうなのですが……。魔獣を担いでいるところを見られるのは、やはり恥ずかしさの方向性が違うといいますか……」

「なるほど。それもそうですか。では、私たちはこのことについて口外しないと誓いましょう」

「わたしもです!」

 二人は快く承諾してくれた。
 よしよし。
 これで安心だ。
 と、そんなことを話していると、人の話し声が聞こえてきた。

「あら? 他の生徒が戻ってきたみたいですね」

「どうやらそのようです」

「ふぇええ!? きっと騒ぎになりますよぉ」

「お二人共、約束通りにお願いしますね」

 私はそう言って、他の生徒達が集まるのを静かに待つことにしたのだった。

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