【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
627話 合同結婚式 新婦控室 ニム
「ついにこの日が来たか……」
俺は鏡の前で自分の姿を確認しながら呟いた。
今日は合同結婚式の日だ。
ニム、ユナ、マリア、サリエ、リーゼロッテ。
俺の第四夫人から第八夫人となる者たちとの大切な式となる。
彼女たちはそれぞれの控室で準備をしているはずだ。
ちなみにミティ、アイリス、モニカとは結婚済みだ。
彼女たちには客として参加してもらう。
出産と合同結婚式のどちらが先になるか微妙なタイミングだったが、合同結婚式が先となった形である。
「ふっ。騎士爵サマ。緊張しているのか?」
「ああ、どうにも慣れなくてな……」
キリヤの言葉にそう同意する。
「まぁ、そうだろうな。今日の主役はあんただからな」
「だが、どちらかと言うと楽しみな気持ちの方が大きいかな」
「ほう? それは意外だな」
「そうか?」
「ああ、騎士爵サマなら『胃が痛い』とか言いそうだと思ったぜ」
「ははっ! そうかもしれないな」
実際、少し胃が痛い。
大人数の前に出るのが苦手なのだ。
今回の相手となる女性たちはみんな魅力的だから、俺はそれに釣り合う男として振る舞う必要がある。
その上、参列客としてそれぞれの親類に加え、ベアトリクス第三王女やソーマ騎士爵など高い身分の者たちが来ている。
緊張しない方がおかしい。
「さて、そろそろ行くとしよう」
「おう、行ってこい。俺は護衛兵として会場の隅から目を光らせておいてやるよ」
キリヤに見送られ、俺は会場に向かったのだった。
**********
「ふ、ふう……。こんな感じですかね……」
控室の一室にて、タカシの第四夫人となるニムがドレスの着付けを行っていた。
「ふふ。似合ってるわよ、ニム」
彼女の母親であるマムがそう言って微笑む。
「あ、ありがとう。ママのドレスもきれいだよ」
「あら、嬉しい事言ってくれちゃって~」
マムはそう言うと、嬉しそうにニムの頭を撫でた。
「……うぅ。でも、やっぱり緊張してきたよ……」
「ふふ。大丈夫よ! 今日のあなたはとても綺麗だもの! 自信を持って!」
マムがそう励ます。
「うん。頑張るね! タカシさんの正式な奥さんとして、これからもっとしっかりしないとだし」
「そうね。彼にはたくさんの恩があるし、その分ちゃんと返していかないとね」
ニムたち一家は、タカシに助けられたことがある。
最初の出会いは、ニムが売っていたリンゴを気前よく買ってくれたことから始まった。
「な、懐かしいな……」
当時のニムは、リンゴを1つ鉄貨3枚……日本円にして30円ぐらいで販売していた。
タカシはリンゴ2つを銅貨1枚にて購入した。
通常であれば鉄貨4枚のお釣りが発生するところ、タカシは『お釣りはいらない』と言って颯爽と立ち去ったのだ。
大したことのない差額ではあるが、当時のニムには非常に好印象として残っていた。
その後も何度かそのようなやり取りがあり、その度にニムが受け取る差額は増加していった。
「おいしそうな香りにつられて店の中を覗いていたら、アップルパイをもらったこともあったな……」
空腹のニムは、ラビット亭で開かれている食事会の様子を覗き見していたのだが、それをタカシに発見されてしまった。
身なりの汚い自分が覗いていたことがバレて怒られるかと思ったら、まったくそんなことはなく、むしろアップルパイをプレゼントされたのだ。
その場で1つ食べさせてもらった上、母と兄への分まで持ち帰らせてもらった。
家族3人で食べたアップルパイは、特別な味がした。
「タカシさんが他の街に行っちゃって、寂しかったな……」
タカシがゾルフ砦やハガ王国に行っている間、ニムはずっと落ち込んでいた。
母や兄は慰めてくれたが、どうしても彼の事が忘れられなかった。
そんなときに出会ったのがモニカだ。
アップルパイの味を懐かしんでついラビット亭を覗いてしまっていたところ、彼女に声を掛けられた。
そして余り物の食材を使って料理を振る舞ってくれたのだ。
「でも、街に入り込んできた魔物に店が壊されちゃって……」
モニカのラビット亭は、不幸な事故により半壊してしまった。
それまでの恩を返すために、ニムは復旧作業を手伝うことにしたのだ。
「タカシさんが帰ってきてくれた時はすごくうれしかったな。ラビット亭の復旧も、みるみるうちに終わって……」
「ふふ。それに、私の病気も治してくれたものね」
ニムの独り言に、マムが反応する。
「うん! あの時、ママの病気が完治しなかったらと思うとゾッとするよ」
「ええ、タカシ君には本当に感謝しているわ。あのままだといずれ死んでしまっていただろうし」
マムは難病だった。
ただちに命に影響はないものだったが、数年後の生存確率はさほど高くなかったのは事実である。
「それで、タカシさんに誘われて冒険者になって……。いろいろな場所に行ったな……」
タカシにより加護が付与されたニムは、高い戦闘能力を手に入れた。
ミティの故郷ガロル村、ゾルフ砦の武闘大会、ユナの故郷ウォルフ村などでそれぞれ確かな活躍を見せた。
「それに何より、パパのことがうれしかった。まさかまた会える日が来るなんて……」
「私も信じられなかったわ。記憶を失って生き残っていたなんてね」
ニムの父パームスは、記憶喪失となり、ブギー盗掘団の幹部として活動していた。
タカシやニムの活躍により、ブギー盗掘団は撃破された。
そしてタカシとアイリスの治療魔法により、パームスを始めとする記憶喪失者の記憶は回復。
現在は、それぞれが幸せな生活を送っている。
「最近じゃ、農業の改革も任せてもらえたし……。すごくやりがいのある仕事だった……」
タカシが実行した施策の1つに、農業改革がある。
ニム、トリスタ、ニルス、ハンナあたりが主力となり、農業の改革が推進されたのだ。
「ふふ。いろいろと頑張ったわね、ニム。あなたのおかげで、この領はどんどん良くなっているみたいよ」
「ううん。まだまだ。タカシさんにはまだ恩返しできてない。むしろ、これからが本番だよ」
「そうね。ママも頑張らないと。もちろん、ニムのことも応援しているわ。ママはいつだってニムの味方だからね」
「ありがとう! ママ!」
マムの言葉を聞き、ニムの顔から緊張が消えていく。
そんなとき、控室の扉がノックされる音が聞こえてきた。
「失礼します。準備の方は大丈夫ですか?」
「あ、ハンナさん。大丈夫です。問題ありません」
控室に入って来たのは、メイド服姿の女性であった。
名をハンナ。
ハイブリッジ家のメイドであり、近頃は農業改革の担当官としても務めている。
今日は、ニムたちの結婚式の進行を補助するため、メイド服を着ているようだ。
「そろそろお時間です。皆様、会場にお集まりになっておりますのでご案内いたします」
「は、はい。分かりました」
「さぁ、行きましょ。私は一足先に客席に座っているわね」
そうして、3人は控え室を出て会場へと向かったのだった。
俺は鏡の前で自分の姿を確認しながら呟いた。
今日は合同結婚式の日だ。
ニム、ユナ、マリア、サリエ、リーゼロッテ。
俺の第四夫人から第八夫人となる者たちとの大切な式となる。
彼女たちはそれぞれの控室で準備をしているはずだ。
ちなみにミティ、アイリス、モニカとは結婚済みだ。
彼女たちには客として参加してもらう。
出産と合同結婚式のどちらが先になるか微妙なタイミングだったが、合同結婚式が先となった形である。
「ふっ。騎士爵サマ。緊張しているのか?」
「ああ、どうにも慣れなくてな……」
キリヤの言葉にそう同意する。
「まぁ、そうだろうな。今日の主役はあんただからな」
「だが、どちらかと言うと楽しみな気持ちの方が大きいかな」
「ほう? それは意外だな」
「そうか?」
「ああ、騎士爵サマなら『胃が痛い』とか言いそうだと思ったぜ」
「ははっ! そうかもしれないな」
実際、少し胃が痛い。
大人数の前に出るのが苦手なのだ。
今回の相手となる女性たちはみんな魅力的だから、俺はそれに釣り合う男として振る舞う必要がある。
その上、参列客としてそれぞれの親類に加え、ベアトリクス第三王女やソーマ騎士爵など高い身分の者たちが来ている。
緊張しない方がおかしい。
「さて、そろそろ行くとしよう」
「おう、行ってこい。俺は護衛兵として会場の隅から目を光らせておいてやるよ」
キリヤに見送られ、俺は会場に向かったのだった。
**********
「ふ、ふう……。こんな感じですかね……」
控室の一室にて、タカシの第四夫人となるニムがドレスの着付けを行っていた。
「ふふ。似合ってるわよ、ニム」
彼女の母親であるマムがそう言って微笑む。
「あ、ありがとう。ママのドレスもきれいだよ」
「あら、嬉しい事言ってくれちゃって~」
マムはそう言うと、嬉しそうにニムの頭を撫でた。
「……うぅ。でも、やっぱり緊張してきたよ……」
「ふふ。大丈夫よ! 今日のあなたはとても綺麗だもの! 自信を持って!」
マムがそう励ます。
「うん。頑張るね! タカシさんの正式な奥さんとして、これからもっとしっかりしないとだし」
「そうね。彼にはたくさんの恩があるし、その分ちゃんと返していかないとね」
ニムたち一家は、タカシに助けられたことがある。
最初の出会いは、ニムが売っていたリンゴを気前よく買ってくれたことから始まった。
「な、懐かしいな……」
当時のニムは、リンゴを1つ鉄貨3枚……日本円にして30円ぐらいで販売していた。
タカシはリンゴ2つを銅貨1枚にて購入した。
通常であれば鉄貨4枚のお釣りが発生するところ、タカシは『お釣りはいらない』と言って颯爽と立ち去ったのだ。
大したことのない差額ではあるが、当時のニムには非常に好印象として残っていた。
その後も何度かそのようなやり取りがあり、その度にニムが受け取る差額は増加していった。
「おいしそうな香りにつられて店の中を覗いていたら、アップルパイをもらったこともあったな……」
空腹のニムは、ラビット亭で開かれている食事会の様子を覗き見していたのだが、それをタカシに発見されてしまった。
身なりの汚い自分が覗いていたことがバレて怒られるかと思ったら、まったくそんなことはなく、むしろアップルパイをプレゼントされたのだ。
その場で1つ食べさせてもらった上、母と兄への分まで持ち帰らせてもらった。
家族3人で食べたアップルパイは、特別な味がした。
「タカシさんが他の街に行っちゃって、寂しかったな……」
タカシがゾルフ砦やハガ王国に行っている間、ニムはずっと落ち込んでいた。
母や兄は慰めてくれたが、どうしても彼の事が忘れられなかった。
そんなときに出会ったのがモニカだ。
アップルパイの味を懐かしんでついラビット亭を覗いてしまっていたところ、彼女に声を掛けられた。
そして余り物の食材を使って料理を振る舞ってくれたのだ。
「でも、街に入り込んできた魔物に店が壊されちゃって……」
モニカのラビット亭は、不幸な事故により半壊してしまった。
それまでの恩を返すために、ニムは復旧作業を手伝うことにしたのだ。
「タカシさんが帰ってきてくれた時はすごくうれしかったな。ラビット亭の復旧も、みるみるうちに終わって……」
「ふふ。それに、私の病気も治してくれたものね」
ニムの独り言に、マムが反応する。
「うん! あの時、ママの病気が完治しなかったらと思うとゾッとするよ」
「ええ、タカシ君には本当に感謝しているわ。あのままだといずれ死んでしまっていただろうし」
マムは難病だった。
ただちに命に影響はないものだったが、数年後の生存確率はさほど高くなかったのは事実である。
「それで、タカシさんに誘われて冒険者になって……。いろいろな場所に行ったな……」
タカシにより加護が付与されたニムは、高い戦闘能力を手に入れた。
ミティの故郷ガロル村、ゾルフ砦の武闘大会、ユナの故郷ウォルフ村などでそれぞれ確かな活躍を見せた。
「それに何より、パパのことがうれしかった。まさかまた会える日が来るなんて……」
「私も信じられなかったわ。記憶を失って生き残っていたなんてね」
ニムの父パームスは、記憶喪失となり、ブギー盗掘団の幹部として活動していた。
タカシやニムの活躍により、ブギー盗掘団は撃破された。
そしてタカシとアイリスの治療魔法により、パームスを始めとする記憶喪失者の記憶は回復。
現在は、それぞれが幸せな生活を送っている。
「最近じゃ、農業の改革も任せてもらえたし……。すごくやりがいのある仕事だった……」
タカシが実行した施策の1つに、農業改革がある。
ニム、トリスタ、ニルス、ハンナあたりが主力となり、農業の改革が推進されたのだ。
「ふふ。いろいろと頑張ったわね、ニム。あなたのおかげで、この領はどんどん良くなっているみたいよ」
「ううん。まだまだ。タカシさんにはまだ恩返しできてない。むしろ、これからが本番だよ」
「そうね。ママも頑張らないと。もちろん、ニムのことも応援しているわ。ママはいつだってニムの味方だからね」
「ありがとう! ママ!」
マムの言葉を聞き、ニムの顔から緊張が消えていく。
そんなとき、控室の扉がノックされる音が聞こえてきた。
「失礼します。準備の方は大丈夫ですか?」
「あ、ハンナさん。大丈夫です。問題ありません」
控室に入って来たのは、メイド服姿の女性であった。
名をハンナ。
ハイブリッジ家のメイドであり、近頃は農業改革の担当官としても務めている。
今日は、ニムたちの結婚式の進行を補助するため、メイド服を着ているようだ。
「そろそろお時間です。皆様、会場にお集まりになっておりますのでご案内いたします」
「は、はい。分かりました」
「さぁ、行きましょ。私は一足先に客席に座っているわね」
そうして、3人は控え室を出て会場へと向かったのだった。
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