【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
579話 不穏なハイブリッジ家
ニルスとハンナがハイブリッジ家へ道を進んでいく。
その傍らにはニムと花がいる。
「んふふ~。楽しみだな~」
花が嬉しそうな表情で言う。
「何かいいことがあったんですか? 花さん」
ハンナがそう問う。
彼女と花の間に直接の上下関係はない。
しかし、花の方が若干年上であり、かつCランク冒険者として確かな経験と実力を持つため、自ずと丁寧な口調で接するようになっていた。
「え? それはもちろん、ハンナちゃんとニルスくんの……」
「は、花さん! それ以上はいけません!!」
ドゴッ!
ニムが強烈なタックルをかまし、物理的に花の口を封じる。
彼女は体格こそ小さいものの、タカシの加護の恩恵により抜群の身体能力を誇る。
そのタックルを受けては、いかにCランク冒険者の花といえどもひとたまりもない。
「あうっ!? ニムちゃん、痛いよ~」
花が恨みがましそうにそう言う。
「ご、ごめんなさい……。ですが、その件は秘密にするように言ったはずです。タカシさんの意向を無視するつもりですか?」
「あー、そうだったね~。うっかりしていたよ~」
花が舌を出して笑う。
「ええと……。結局、何の話なのでしょうか?」
「私たちに関することみたいですが?」
ニルスとハンナがそう尋ねる。
「そ、それはですね……。ええと……。あっ、もう屋敷に着きましたよ。雑談はここまでにしましょう」
「え? ああ、本当だ。早いな……」
ニルスが周囲を見回す。
気がつけば、ハイブリッジ家の敷地内に入っていた。
会話に夢中で、気づかなかった。
「それでは、私たちはこれで失礼します」
ハンナがそう言って頭を下げる。
「お、お疲れ様でした。……と言いたいところですが」
ニムがグイッとハンナの腕を引っ張る。
「ニム様?」
「実は、少しお願いしたいことがあるのです。……よろしいですか?」
「お願いですか? 何でしょう?」
「と、とりあえず付いてきてください。話はそれからです」
ニムがそう言う。
その言葉に従い、彼女たちは本館へと入っていく。
「んふふ~。また後でね~。ニルスくん」
花が最後にそう言って、ニムとハンナを追っていった。
「また後で? 今日はもう、特に仕事はないはずだけどな……」
ニルスが首を傾げる。
彼はタカシの奴隷だ。
休まず働けと言われれば拒否する選択肢はないのだが、タカシは気まぐれで無茶を言うタイプではない。
「うーん。なんなのだろう? まあ、とりあえずいつ呼ばれてもいいように、準備だけはしておこう」
ニルスはそんなことを呟く。
そして、自分の部屋に向かい始めた、その時。
「ニルス。お待ちなさい」
「ふっ。お前にはお前で、やるべきことがあるようだぞ」
2人の男に背後から声をかけられた。
「これは、セバスさんとキリヤさん」
ニルスがそう言いながら振り返り、挨拶をする。
ハイブリッジ家の執事長、セバス=ドラッケン。
ハイブリッジ家の筆頭警備兵、キリヤ=エイクオルドだ。
タカシ=ハイブリッジ騎士爵本人やミリオンズのメンバーを除けば、ハイブリッジ家の中でもトップクラスの見識や戦闘能力を持ち、大きな権限を与えられている者たちでもある。
特に最近は、何かきっかけがあったのか、メキメキと技能や戦闘能力を上げている様子だ。
一方のニルスは、近頃は農業改革に注力するよう指示されている。
セバスやキリヤと直接の上下関係はない。
だが、たとえ分野は違えども彼らの実力の高さは感じることができる。
ニルスから彼らへの敬意は自然に湧いて出ていた。
「俺に何か用事でしょうか?」
ニルスがそう尋ねる。
「ええ。あなたに頼みたいことがありまして」
「そうだ。お前にしか頼めないことだ。引き受けてくれるか?」
「もちろんです。何でもおっしゃってください」
ニルスが即答する。
すると、セバスが感心したような顔になる。
「そうですか。いい返事を聞けて良かったです。……では、早速ですが、こちらに来てもらえますか?」
「はい。分かりました」
ニルスがそう答え、2人についていく。
「そう言えば、ハンナも先ほどニム様たちに連れていかれました。お二人は何か知っているんですか?」
歩きつつ、ニルスがそう質問した。
「そうですな……。知っているとも言えるし、知らないとも言えます」
「……といいますと?」
「詮索は不要だ。お前はただ、言われたとおりにすれば良い。なに、お前にとっても悪いことではないぞ」
キリヤがそんなことを言う。
ニルスは内心で首を傾げたが、それ以上は何も言わなかった。
「ところで……。最終確認ですが、ニルスはハンナとはどのような仲で?」
「え?」
セバスからの思わぬ問いに、ニルスは面食らう。
「いえ、あの……。それは、どういう意味です?」
「そのままの意味ですが?」
「…………」
ニルスは返答に困った。
どう答えるべきか。
真実を言うなら、ニルスとハンナは恋仲だ。
幼なじみでもある。
不作の年に口減らしとして奴隷堕ちしたという境遇まで共通している。
いつかは結婚したいと思ってはいるが、奴隷の身でそんなことを考えるのは身の程知らずだ。
執事長セバスと筆頭警備兵キリヤは、奴隷相手だからといって無闇に虐げるようなタイプではないが、果たして正直に言っていいものかどうか……。
しかし、ここで下手に誤魔化せば後々面倒になりかねない。
そう判断し、正直に打ち明けることにした。
「……ハンナとは将来的に結婚できればと思っています」
ニルスがそう言う。
「ほう。やはりそうでしたか」
「ま、バレバレだな」
セバスとキリヤがそう言う。
ニルス本人はできるだけ隠しているつもりだったが、傍目には丸わかりだったのだ。
「それでしたら、お館様のご意向通りに事を進めて問題なさそうですね」
「ふっ。そうだな」
「え? あ、あの……」
話が見えず混乱気味のニルスをよそに、セバスとキリヤが勝手に納得する。
そんな会話をしつつ、彼らは本館のとある部屋に着いたのだった。
その傍らにはニムと花がいる。
「んふふ~。楽しみだな~」
花が嬉しそうな表情で言う。
「何かいいことがあったんですか? 花さん」
ハンナがそう問う。
彼女と花の間に直接の上下関係はない。
しかし、花の方が若干年上であり、かつCランク冒険者として確かな経験と実力を持つため、自ずと丁寧な口調で接するようになっていた。
「え? それはもちろん、ハンナちゃんとニルスくんの……」
「は、花さん! それ以上はいけません!!」
ドゴッ!
ニムが強烈なタックルをかまし、物理的に花の口を封じる。
彼女は体格こそ小さいものの、タカシの加護の恩恵により抜群の身体能力を誇る。
そのタックルを受けては、いかにCランク冒険者の花といえどもひとたまりもない。
「あうっ!? ニムちゃん、痛いよ~」
花が恨みがましそうにそう言う。
「ご、ごめんなさい……。ですが、その件は秘密にするように言ったはずです。タカシさんの意向を無視するつもりですか?」
「あー、そうだったね~。うっかりしていたよ~」
花が舌を出して笑う。
「ええと……。結局、何の話なのでしょうか?」
「私たちに関することみたいですが?」
ニルスとハンナがそう尋ねる。
「そ、それはですね……。ええと……。あっ、もう屋敷に着きましたよ。雑談はここまでにしましょう」
「え? ああ、本当だ。早いな……」
ニルスが周囲を見回す。
気がつけば、ハイブリッジ家の敷地内に入っていた。
会話に夢中で、気づかなかった。
「それでは、私たちはこれで失礼します」
ハンナがそう言って頭を下げる。
「お、お疲れ様でした。……と言いたいところですが」
ニムがグイッとハンナの腕を引っ張る。
「ニム様?」
「実は、少しお願いしたいことがあるのです。……よろしいですか?」
「お願いですか? 何でしょう?」
「と、とりあえず付いてきてください。話はそれからです」
ニムがそう言う。
その言葉に従い、彼女たちは本館へと入っていく。
「んふふ~。また後でね~。ニルスくん」
花が最後にそう言って、ニムとハンナを追っていった。
「また後で? 今日はもう、特に仕事はないはずだけどな……」
ニルスが首を傾げる。
彼はタカシの奴隷だ。
休まず働けと言われれば拒否する選択肢はないのだが、タカシは気まぐれで無茶を言うタイプではない。
「うーん。なんなのだろう? まあ、とりあえずいつ呼ばれてもいいように、準備だけはしておこう」
ニルスはそんなことを呟く。
そして、自分の部屋に向かい始めた、その時。
「ニルス。お待ちなさい」
「ふっ。お前にはお前で、やるべきことがあるようだぞ」
2人の男に背後から声をかけられた。
「これは、セバスさんとキリヤさん」
ニルスがそう言いながら振り返り、挨拶をする。
ハイブリッジ家の執事長、セバス=ドラッケン。
ハイブリッジ家の筆頭警備兵、キリヤ=エイクオルドだ。
タカシ=ハイブリッジ騎士爵本人やミリオンズのメンバーを除けば、ハイブリッジ家の中でもトップクラスの見識や戦闘能力を持ち、大きな権限を与えられている者たちでもある。
特に最近は、何かきっかけがあったのか、メキメキと技能や戦闘能力を上げている様子だ。
一方のニルスは、近頃は農業改革に注力するよう指示されている。
セバスやキリヤと直接の上下関係はない。
だが、たとえ分野は違えども彼らの実力の高さは感じることができる。
ニルスから彼らへの敬意は自然に湧いて出ていた。
「俺に何か用事でしょうか?」
ニルスがそう尋ねる。
「ええ。あなたに頼みたいことがありまして」
「そうだ。お前にしか頼めないことだ。引き受けてくれるか?」
「もちろんです。何でもおっしゃってください」
ニルスが即答する。
すると、セバスが感心したような顔になる。
「そうですか。いい返事を聞けて良かったです。……では、早速ですが、こちらに来てもらえますか?」
「はい。分かりました」
ニルスがそう答え、2人についていく。
「そう言えば、ハンナも先ほどニム様たちに連れていかれました。お二人は何か知っているんですか?」
歩きつつ、ニルスがそう質問した。
「そうですな……。知っているとも言えるし、知らないとも言えます」
「……といいますと?」
「詮索は不要だ。お前はただ、言われたとおりにすれば良い。なに、お前にとっても悪いことではないぞ」
キリヤがそんなことを言う。
ニルスは内心で首を傾げたが、それ以上は何も言わなかった。
「ところで……。最終確認ですが、ニルスはハンナとはどのような仲で?」
「え?」
セバスからの思わぬ問いに、ニルスは面食らう。
「いえ、あの……。それは、どういう意味です?」
「そのままの意味ですが?」
「…………」
ニルスは返答に困った。
どう答えるべきか。
真実を言うなら、ニルスとハンナは恋仲だ。
幼なじみでもある。
不作の年に口減らしとして奴隷堕ちしたという境遇まで共通している。
いつかは結婚したいと思ってはいるが、奴隷の身でそんなことを考えるのは身の程知らずだ。
執事長セバスと筆頭警備兵キリヤは、奴隷相手だからといって無闇に虐げるようなタイプではないが、果たして正直に言っていいものかどうか……。
しかし、ここで下手に誤魔化せば後々面倒になりかねない。
そう判断し、正直に打ち明けることにした。
「……ハンナとは将来的に結婚できればと思っています」
ニルスがそう言う。
「ほう。やはりそうでしたか」
「ま、バレバレだな」
セバスとキリヤがそう言う。
ニルス本人はできるだけ隠しているつもりだったが、傍目には丸わかりだったのだ。
「それでしたら、お館様のご意向通りに事を進めて問題なさそうですね」
「ふっ。そうだな」
「え? あ、あの……」
話が見えず混乱気味のニルスをよそに、セバスとキリヤが勝手に納得する。
そんな会話をしつつ、彼らは本館のとある部屋に着いたのだった。
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