【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
559話 トリスタの休日事情
1週間ほどが経過した。
「ふう。今日もよく働いたな」
俺はそうつぶやきながら、ハイブリッジ邸の庭にあるイスに腰を下ろす。
「本日もお勤めお疲れさまです」
そう言って俺にお茶を入れてくれるのは、メイドのレインだ。
俺の世話役であり、加護(小)の有力候補者でもある。
「ありがとう」
俺は礼を言い、一口飲む。
「ん? なんかいつもと違う味だな?」
「はい! セバスさんに教わった方法で入れてみました」
「へぇ~。美味しいじゃないか」
「良かった!」
レインは嬉しそうだ。
よしよし。
この調子で、少しずつ忠義度を稼いでいくぞ。
まどろっこしいことはせず、いきなり夜に寝室に呼び出すのもありか?
しかし、若干のリスクもあるんだよな。
初めてが失敗したりすれば、今までの忠義度が消し飛ぶ可能性がある。
まあ、夜戦術レベル1を持つ俺の絶技ならそんな心配は無用かもしれないが……。
どうしたものだろうか。
俺がそんなことを考えている時だった。
「はあ~。疲れた。今日もよく働いたものだよ」
トリスタが帰宅してきた。
「よう。トリスタ」
「おや? これはハイブリッジ騎士爵ではございませんか。なぜここに?」
彼が慇懃無礼にも取れる態度でそう言う。
「俺が自宅の庭でくつろぐことに何か問題でも?」
「いえ。そういうわけではありませんが……。この時間に戻られているのは少し珍しいと思いまして……」
「それもそうか」
俺は領主としての各種の仕事を行なっている。
特に力を入れているのは、農業改革と西の森周辺の開発だ。
また、治療回りや冒険者活動、愛するパーティメンバーたちとのコミュニケーションも欠かさない。
これでも忙しいのだ。
「まあ、たまにはこういう事もあるさ」
「はぁ~」
「なんだそのため息は?」
「別に何でもありませんよ。僕が馬車馬のように働いている間にも、あなたは優雅に過ごしていると思うとついため息が出てしまっただけですから」
トリスタがそうグチをこぼす。
確かに、彼はよく働いている。
労働時間は1日あたり6~7時間程度だろうが、こなす仕事量やその正確さはなかなかのものだ。
しかしそれにしても、馬車馬のようにとは言い過ぎだと思うが。
労働嫌いの彼にとっては、なかなかツラい日々なのかもしれない。
「まあ、お前も大変だろうが、頑張れよ。給料を上げようか?」
「……いえ、それよりも休日を……」
「休日? トリスタは既に完全週休2日制じゃないか。休みが足りないのか?」
まあ、趣味に打ち込んでいる者であれば週に2日の休みでは不足するのかもしれない。
トリスタの趣味は読書だ。
休日に読むだけでは足りないのか。
「…………」
「何黙ってるんだ?」
「いえ、その、確かに休みは多いと思いますが……」
トリスタがそう言う。
この国、この世界の労働時間は、現代日本よりもひと回り長い。
休日もやや少なめだ。
もちろん、個人差はあるのだが。
ただ、俺の感覚からすると、一般的な村人よりもトリスタは楽をしているはずである。
「それでも不満なのか? 週休3日にするか? その分少しだけ給料は下げさせてもらうが……」
俺はそう提案する。
トリスタは有能だ。
有能な者には、できれば休みを与えたくない。
むしろ、休みを返上した上で1日当たり12時間くらい働いてほしいというのが上に立つ者としての本音だ。
しかし、無理をさせて辞められたり体を壊されたりしたら元も子もない。
週休3日制はトリスタだけを特別扱いすることになるので、他の者たちから不満が出るかもしれないが……。
給料をその分下げれば一応は大丈夫だろう。
「それは、ちょっと困るというか……えっと」
「何が嫌なんだ? はっきり言ってくれ」
「はい。実は……」
トリスタがそう口を開いた瞬間だった。
「トリスタっ! 帰ってきてたのね!」
ヒナがこちらに駆けてきた。
そのままトリスタの胸にダイブする。
「ヒナ!? ぐふっ!」
トリスタは慌てて受け止めようとするが、受け止めきれない。
彼の身体能力は低いからな。
加護(小)の恩恵により多少は向上しているが、それはヒナも同様だ。
彼女のタックルを受け止めるにはかなりの身体能力を要する。
トリスタでは不足だ。
結果、トリスタは床に倒れたまま悶絶している。
「もう! 帰ってきたなら一言声をかけてよね!」
「わ、わかってるさ。さっき帰って来たばかりだから……」
「それで、何の話をしてたのよ?」
ヒナは倒れ伏したトリスタンの上に馬乗りになりながら聞いている。
「い、いや、特に何も話していない」
「ほんと? なんか怪しいんだけど」
「本当に何も無い。それより、重いからどいてくれ」
「重いって何よ! 乙女に向かって失礼しちゃうわ!」
そう言ってヒナは立ち上がる。
「いや、そういう意味じゃなくて……」
「まあいいわ。とりあえず、私たちの部屋に行きましょ」
「あ、ああ」
トリスタは疲れた表情で返事をする。
そして、2人は彼らの部屋がある別館に入っていった。
「やれやれ……。新婚早々、トリスタは尻に敷かれているな」
給料を下げられたら困るというのは、おそらくヒナの圧力だろう。
それに、休日の件も合点がいった。
彼らは、休日の度に二人で出掛けているのだ。
そのせいで、トリスタは十分な休息時間や読書時間を確保できなかったのだろう。
内向的なトリスタと、積極的で外向的なヒナ。
あれはあれで相性は悪くないと思っていたが……。
本当に大丈夫だろうか?
同じく新婚のキリヤとヴィルナの夫妻は、大変仲がいい。
順調な新婚生活を送っている。
少し前にハルク男爵領まで同行してもらった際には、夜に抜け出して一発やっていたぐらいだ。
そういえば、トリスタとヒナもちゃんとやっているのだろうか?
トリスタはかなり草食系の男だし、ひょっとするとまだだったりするのかもしれない。
ヒナのためにも、俺が一肌脱いでやりたいところだが……。
さすがに、他人の下半身事情に口を出すのは下世話過ぎるか。
しばらくは様子見だな。
俺はそんなことを考えつつ、引き続き庭でレインと共にくつろいだのだった。
「ふう。今日もよく働いたな」
俺はそうつぶやきながら、ハイブリッジ邸の庭にあるイスに腰を下ろす。
「本日もお勤めお疲れさまです」
そう言って俺にお茶を入れてくれるのは、メイドのレインだ。
俺の世話役であり、加護(小)の有力候補者でもある。
「ありがとう」
俺は礼を言い、一口飲む。
「ん? なんかいつもと違う味だな?」
「はい! セバスさんに教わった方法で入れてみました」
「へぇ~。美味しいじゃないか」
「良かった!」
レインは嬉しそうだ。
よしよし。
この調子で、少しずつ忠義度を稼いでいくぞ。
まどろっこしいことはせず、いきなり夜に寝室に呼び出すのもありか?
しかし、若干のリスクもあるんだよな。
初めてが失敗したりすれば、今までの忠義度が消し飛ぶ可能性がある。
まあ、夜戦術レベル1を持つ俺の絶技ならそんな心配は無用かもしれないが……。
どうしたものだろうか。
俺がそんなことを考えている時だった。
「はあ~。疲れた。今日もよく働いたものだよ」
トリスタが帰宅してきた。
「よう。トリスタ」
「おや? これはハイブリッジ騎士爵ではございませんか。なぜここに?」
彼が慇懃無礼にも取れる態度でそう言う。
「俺が自宅の庭でくつろぐことに何か問題でも?」
「いえ。そういうわけではありませんが……。この時間に戻られているのは少し珍しいと思いまして……」
「それもそうか」
俺は領主としての各種の仕事を行なっている。
特に力を入れているのは、農業改革と西の森周辺の開発だ。
また、治療回りや冒険者活動、愛するパーティメンバーたちとのコミュニケーションも欠かさない。
これでも忙しいのだ。
「まあ、たまにはこういう事もあるさ」
「はぁ~」
「なんだそのため息は?」
「別に何でもありませんよ。僕が馬車馬のように働いている間にも、あなたは優雅に過ごしていると思うとついため息が出てしまっただけですから」
トリスタがそうグチをこぼす。
確かに、彼はよく働いている。
労働時間は1日あたり6~7時間程度だろうが、こなす仕事量やその正確さはなかなかのものだ。
しかしそれにしても、馬車馬のようにとは言い過ぎだと思うが。
労働嫌いの彼にとっては、なかなかツラい日々なのかもしれない。
「まあ、お前も大変だろうが、頑張れよ。給料を上げようか?」
「……いえ、それよりも休日を……」
「休日? トリスタは既に完全週休2日制じゃないか。休みが足りないのか?」
まあ、趣味に打ち込んでいる者であれば週に2日の休みでは不足するのかもしれない。
トリスタの趣味は読書だ。
休日に読むだけでは足りないのか。
「…………」
「何黙ってるんだ?」
「いえ、その、確かに休みは多いと思いますが……」
トリスタがそう言う。
この国、この世界の労働時間は、現代日本よりもひと回り長い。
休日もやや少なめだ。
もちろん、個人差はあるのだが。
ただ、俺の感覚からすると、一般的な村人よりもトリスタは楽をしているはずである。
「それでも不満なのか? 週休3日にするか? その分少しだけ給料は下げさせてもらうが……」
俺はそう提案する。
トリスタは有能だ。
有能な者には、できれば休みを与えたくない。
むしろ、休みを返上した上で1日当たり12時間くらい働いてほしいというのが上に立つ者としての本音だ。
しかし、無理をさせて辞められたり体を壊されたりしたら元も子もない。
週休3日制はトリスタだけを特別扱いすることになるので、他の者たちから不満が出るかもしれないが……。
給料をその分下げれば一応は大丈夫だろう。
「それは、ちょっと困るというか……えっと」
「何が嫌なんだ? はっきり言ってくれ」
「はい。実は……」
トリスタがそう口を開いた瞬間だった。
「トリスタっ! 帰ってきてたのね!」
ヒナがこちらに駆けてきた。
そのままトリスタの胸にダイブする。
「ヒナ!? ぐふっ!」
トリスタは慌てて受け止めようとするが、受け止めきれない。
彼の身体能力は低いからな。
加護(小)の恩恵により多少は向上しているが、それはヒナも同様だ。
彼女のタックルを受け止めるにはかなりの身体能力を要する。
トリスタでは不足だ。
結果、トリスタは床に倒れたまま悶絶している。
「もう! 帰ってきたなら一言声をかけてよね!」
「わ、わかってるさ。さっき帰って来たばかりだから……」
「それで、何の話をしてたのよ?」
ヒナは倒れ伏したトリスタンの上に馬乗りになりながら聞いている。
「い、いや、特に何も話していない」
「ほんと? なんか怪しいんだけど」
「本当に何も無い。それより、重いからどいてくれ」
「重いって何よ! 乙女に向かって失礼しちゃうわ!」
そう言ってヒナは立ち上がる。
「いや、そういう意味じゃなくて……」
「まあいいわ。とりあえず、私たちの部屋に行きましょ」
「あ、ああ」
トリスタは疲れた表情で返事をする。
そして、2人は彼らの部屋がある別館に入っていった。
「やれやれ……。新婚早々、トリスタは尻に敷かれているな」
給料を下げられたら困るというのは、おそらくヒナの圧力だろう。
それに、休日の件も合点がいった。
彼らは、休日の度に二人で出掛けているのだ。
そのせいで、トリスタは十分な休息時間や読書時間を確保できなかったのだろう。
内向的なトリスタと、積極的で外向的なヒナ。
あれはあれで相性は悪くないと思っていたが……。
本当に大丈夫だろうか?
同じく新婚のキリヤとヴィルナの夫妻は、大変仲がいい。
順調な新婚生活を送っている。
少し前にハルク男爵領まで同行してもらった際には、夜に抜け出して一発やっていたぐらいだ。
そういえば、トリスタとヒナもちゃんとやっているのだろうか?
トリスタはかなり草食系の男だし、ひょっとするとまだだったりするのかもしれない。
ヒナのためにも、俺が一肌脱いでやりたいところだが……。
さすがに、他人の下半身事情に口を出すのは下世話過ぎるか。
しばらくは様子見だな。
俺はそんなことを考えつつ、引き続き庭でレインと共にくつろいだのだった。
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