【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

557話 プレゼント攻勢

 ハルク男爵に、サリエとの結婚の報告を済ませた。
 婚前交渉のことを勘付かれそうになったので、慌てて話を逸らすことにした。
 プレゼント攻勢だ。

「まずはこちらを……。俺の第一夫人であるミティが作成した武具です」

「おお……。素晴らしい出来栄えだな。熟練の鍛冶職人が作ったかのような見事な剣じゃないか!」

 俺の持ってきた武器や防具を見て、ハルク男爵が驚いている。
 まぁ、確かに凄いよな。
 俺も普段からお世話になっている。
 もちろん俺だけではなく、ミリオンズはみんなミティの武具を使っている。
 それだけの性能があるのだ。

「これは凄いな。オリハルコン製の長剣か? こんなに軽くて丈夫とは……」

「はい。オリハルコンで作成しました。それとこちらは、護身用の短刀ですね」

「護身用?」

「ええ。もしよろしければ、ハルク男爵に使っていただければと……」

 オリハルコン製の武器は軽くて頑丈だ。
 そして切れ味もいい。
 要人が護身用として持ち歩くのにうってつけである。

「素晴らしいな。ありがとう。そして、そちらの石はなんだ? 神聖さを感じるが」

「これは聖魔法を付与した魔石です。微弱ながらも聖魔法の恩恵を常時受けることができます」

「ほう。そのようなものがあるんだな」

「ええ。第二夫人のアイリスが作成してくれました」

 彼女の聖魔法はレベル4だ。
 かなりの上級に位置する。
 普段から鍛錬を積んでいるため、練度も高い。

 そんなアイリスの聖魔法の腕前を遺憾なく発揮してもらった作品である。
 とはいえ、効果はハルク男爵に伝えた通りまだ微弱なものだが。

 今の俺は、”白銀の剣士”ソフィアからもらった【光の精霊石】を身に付けている。
 こちらも同じく、闇の瘴気を寄せ付けないようになるという効力がある。
 アイリスの聖魔法が今後レベル5に達すれば、より効力の高い魔石を生成することも可能だろう。

「ふむ。それはありがたい。さっそく身に付けさせてもらうことにしよう」

「はい。どうぞご遠慮無く」

「それで……だ。もう1つ、何だかいい香りがするのだが気のせいだろうか?」

 ハルク男爵がそう言って、あたりを見回す。

「ああ、それですか。実は、俺の第三夫人のモニカがつくってくれた料理があるのです」

「ほう! タカシ君の奥方の手料理か!」

「そうですね。モニカは、武闘家でもあり料理人でもあるんですよ」

「なるほど。確かに、以前ディナーをともにした際、うちの料理長にあれこれ聞いておったな」

「ええ。今回は離れた地に持ち運べるよう、保存性や携帯性を重視した軽食を作ってきてくれました。アイテムバッグに保管していたので劣化も抑えられているはずです」

「うむ。楽しみだな」

「はい。では、早速こちらに運びましょう」

 その後、モニカが作った料理を堪能したハルク男爵は大満足の表情をしていた。
 ミティの武具やアイリスの聖魔法の魔石も喜んでもらえたようだし。
 プレゼント作戦は大成功と言っていいだろう。

「ふう。美味であった」

「喜んでもらえたようで何よりです」

「しかし、改めて見てもハイブリッジ家には期待できそうだな。タカシ君の治療魔法の腕前は知っておったし、戦闘能力が高いことも聞いておった。その上、第一夫人から第三夫人までもが一芸に秀でておるとは……」

「そう言ってもらえると嬉しいですね」

「うむ。サリエは第四夫人……いや、第五夫人になるのか。サリエも負けないように頑張るのだぞ」

 ハルク男爵がそう言う。
 第一夫人ミティ、第二夫人アイリス、第三夫人モニカ。
 そして、第四夫人としてはニムがずいぶん前から内定している。
 ハルク男爵の情報網としては、サリエが第五夫人になると考えてもおかしくはない。

「いえ、それが……」

「ん?」

「大変言いにくいのですが、サリエさんは第七夫人で考えています」

 第五夫人ユナ。
 第六夫人マリア。
 第七夫人サリエ。
 第八夫人リーゼロッテだ。

 序列に関しては各人言いたいこともあるだろうが、ここは俺の一存で決めさせてもらった。
 ミリオンズに加入した順番となる。
 俺としても、やはり行動を長くともにした者の方が親しみが湧くし、このようにシンプルな順番にした方が問題も起きないように思う。

 本来であれば、もっといろいろなことを総合的に考慮する必要があるだろう。
 第一に考えるべきは、身分だろうか。
 他国であるハガ王国の王女であるマリアが第一夫人。
 俺と同じサザリアナ王国に仕える貴族であり伯爵家長女のリーゼロッテが第二夫人。
 同じく男爵次女のサリエが第三夫人。
 身分を重視するならこのような序列となる。

 あるいは、実際に俺が愛情を感じている順番や、加護が付いた順番にするのもなくはないが……。
 俺からの愛で順番を決定するのは、精神的な負担が大きい。
 今のところミリオンズのみんなは仲良くやってくれているが、俺の愛次第で序列が変わるとなるとギスギスし始めてもおかしくない。

 また、加護が付いた順番というのは、要するに相手が俺に一定以上の感情を抱き始めた順番とも言える。
 これで序列を決めるのは、相手から俺への愛の深さに値段をつけているような感覚がある。
 少し嫌だ。

 ミリオンズに加入した順番にする方が、すっきりしていて俺の精神的な負担が少ない。
 下位になってしまっているサリエやリーゼロッテには、申し訳のないところだが……。

「サリエが第七夫人だと?」

「はい。以前からゆかりのあったユナという弓士の女性、それにハガ王国の王女であるマリア姫とも結婚するのです。サリエさんには申し訳ありませんが……」

「ふむ……。ここまで同行していた二人だな? タカシ君がその者たちと深い絆があるのであれば、私からとやかく言えることでもない。しかし、サリエは第七夫人でもよいのか?」

 ハルク男爵がそう問う。
 親としては当然の心配だろう。
 第七夫人ともなると、それだけ待遇や愛、接する時間などが劣るかもしれないと危惧するのは自然なことだ。

「ええ。問題ありません。タカシさんの愛の大きさは、5人や10人程度で収まるようなものではありませんので」

 サリエがそう答える。
 待遇面については、まず心配ない。
 俺は各種チートスキルによって順調に成り上がっているからな。
 第七夫人でも、十分な待遇を受けることができる。

 そして愛の深さだが、俺はもともとかなりの女好きだ。
 その上、少し前には【精力強化】や【夜戦術】のスキルも取得した。
 あっち方面の心配も皆無だと言っていいだろう。

「わかった。では、改めて結婚を認めよう」

「ありがとうございます!」

 俺は深々と頭を下げた。
 こうして、サリエとの結婚の報告を無事に終えることができたのだった。

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