【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
532話 そんなことはないっ!!
「ふう。今日もよく働いたな……」
俺は自室のベッドに横たわり、そう呟く。
サリエ、リーゼロッテ、マリアとの治療回りは順調に進んだ。
ラーグの街において、ここ最近の死者数は激減している。
もはや、『不慮の即死級事故』『明確な悪意による殺害』『老衰』以外で死んでいる者はほとんどいないのではなかろうか。
不慮の即死級事故については、そもそもこの世界ではやや発生率が低い。
この世界の住人は、地球の住人よりもひと回り頑丈な傾向があるからな。
一般人でも微細な魔力や闘気は持っており、それが頑丈さの向上に一役買っているようだ。
一方で、明確な悪意による殺害については、被害者側が多少頑丈だろうと無意味だ。
加害者側の殺傷能力も増しているわけだからな。
ラーグの街は比較的平和で大きな事件は起こっていないようだが、西の森の開発が順調に進み人の流入が増えてくると、それもどうなるか分からない。
治安維持隊の設立も検討しないとならんな。
それのトップに据えるのは、だれがいいだろうか。
街の警備兵から引っ張ってくるのもありだが、せっかくなので俺の息のかかった者にしたい。
ヴィルナとヒナは、高い索敵能力を活かして引き続き屋敷の警備を務めてもらうとして……。
戦闘能力だけならキリヤか?
だが、あいつは治安維持というタイプでもないよな。
決して悪い奴ではないのだが、自らが積極的に悪人を懲らしめていくようなタイプには見えない。
トミーや雪月花たち冒険者組も、どちらかと言えば自由に活動するのが性に合っているだろう。
となると……。
ナオンが適任か?
王都の騎士団に所属していたぐらいだ。
規律や治安に対する意識は高いだろう。
彼女に付き従っている部下も5人いるし、お試しの治安維持隊の設立もしやすい。
最後に、老衰についてだが……。
純粋な老化は、治療魔法ではどうにもならんな。
とはいえ、老化に伴う病気への対処という形であれば可能だ。
今までよりも、平均寿命は大幅に伸びていくだろう。
今後、死者数は減少していく可能性が高い。
そこで気になるのが……。
「農業を発展させていかないとな……」
死者数が減ること自体はいいことだが、その分の食料は当然確保しなければならない。
ラーグの街を核としたハイブリッジ騎士爵領は、温暖で食料に困っていない地域だ。
とはいえ、もちろん限界はある。
少し離れた他領では、飢饉により奴隷に身を落としている民もいると聞く。
俺の配下にも、ニルスとハンナという実例がいる。
彼らは、遠方の村にて、口減らしのために奴隷として売られた過去があるのだ。
クリスティも、貧しさによる食い逃げやスリといった軽微な罪の積み重ねで犯罪奴隷となった。
俺の領地には、飢えて苦しむ者を発生させたくない。
飢えた領民を救うのは領主の務めだ。
「農地の拡大と収穫量の増加……。ニムが品種改良してくれた作物を広く普及させるか」
まあ、このあたりは専門的な知識も必要だ。
領主としての俺の仕事は、最初の指示、過程における後押し、そして結果に伴う評価を適切に行うことなどになる。
ニム、ニルス、ハンナ、トリスタ、それに街の行政機関あたりに頑張ってもらうことになるだろう。
「やることが山積しているが、明日以降も頑張るか」
そんな感じで、俺が就寝しようとしているとき……。
コンコン。
誰かがドアをノックする音が聞こえた。
「今開ける」
誰だろう?
今日はリーゼロッテやユナの日ではない。
ニムとマリアの日でもない。
俺が首を傾げながら扉を開けると……。
「タカシさん……。夜分遅く申し訳ありません。どうしても相談したいことがありまして……」
「ん?」
そこにいたのはサリエだった。
「どうしたんだ? まあ、とりあえず中に入れよ」
「はい。失礼します」
サリエが部屋の中に入ってきた。
ミリオンズ内でも特にちゃんとしている淑女のサリエが、夜中に男の部屋に来るとは……。
らしくないな。
まあ、俺と彼女は当人同士の意思としては婚約している仲なので、大きな問題はないのだが……。
「水でも飲むか? それとも、レインにお茶を入れてもらおうか? 酒もあるが……」
俺は水魔法により、いつでも水を飲める。
メイドのレイン、クルミナ、リン、ロロに依頼すれば、お茶や酒を用意してもらうことが可能だ。
ただし、夜中の対応は当番制となっている。
今日の当番はレインだ。
「いえ、結構です。人にはあまり聞いてほしくない内容なので……」
サリエはそう言って、本題を切り出そうとしている。
「実は……その……」
「うん?」
彼女はもじもじしてなかなか言い出せないようだ。
「大丈夫か? 何かあったのか?」
俺は心配になって、彼女の方へ近寄った。
すると、彼女は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「おい! 本当にどうした!? 熱でもあるんじゃないだろうな?」
俺は彼女のおでこに自分のおでこを当ててみた。
「ひゃうっ!?」
彼女がそんな声を漏らす。
少し熱いか?
念のため治療魔法を……。
俺がそんなことを考えていたときだった。
チュッ……。
突然、俺の唇に柔らかい感触があった。
それは一瞬の事だったが、とても長く感じる時間でもあった。
目の前には、顔を真っ赤にしたサリエがいる。
俺の口元に残るのは、彼女の唇の温もりだけだ。
「えっと……その……、ごめんなさい」
それだけ言うと、彼女はうつむいて黙ってしまった。
俺は呆然としていた。
思考が完全に停止してしまっているようだ。
なんだろう……。
これは夢なのかな……。
だって、あのサリエだぞ?
真面目な堅物キャラのサリエが、こんなことをしてくるなんて……。
「その……はっきりと言葉にしたことはありませんでしたね……。私は、タカシさんをお慕いしております。私と……深い仲になってください」
「…………」
俺は何も答えられなかった。
いきなり過ぎて、頭がついていかないのだ。
彼女とこういうことをするのは、彼女の親であるハルク男爵に結婚の許可をもらってからだと思っていた。
「その……ダメでしょうか? 私では不足ですか? やはり、ミティさんやニムさんのように可愛らしい方がお好みなのでしょうか? それとも、モニカさんやリーゼロッテさんのように豊満な方が? アイリスさんやユナさんのように凛々しい方も魅力的ですし……。私ではタカシさんに釣り合いませんよね……」
サリエが泣きそうな顔になっている。
「そんなことはないっ!!」
俺は思わずそう叫んだ。
「サリエにしかない魅力はたくさんある! 分別があり真面目で、奥ゆかしい。優しさと厳しさを兼ね揃えたところも魅力的だ。先日も、マリアに少し厳しいことを言ってくれていたよな? リンやロロに対してもそうだ。俺は人に厳しくすることが苦手だから、サリエには助けられている」
彼女は、年少勢に厳しい態度を取ることがたまにある。
ミリオンズのメンバーは基本的にダダ甘な者が多いので、サリエのような者は希少だ。
「あ、ありがとうございます……」
「それにもちろん、女性としての魅力も感じているぞ。肌は透き通る様に白いし、髪には艶があるな」
俺はサリエの髪に手を伸ばす。
絹糸の様にサラリとした手触りが心地よい。
「はう……」
彼女は顔を赤くしてうつむいている。
ここで畳み掛けよう。
俺は彼女のあごを掴み、クイッと持ち上げた。
「瞳はまるで宝石をはめ込んだような輝きを放っている。体のスタイルもバランスがいい」
サリエの顔は、いよいよ沸騰しそうなほど赤くなっている。
俺の言葉を聞いて安心したからか、涙が溢れている。
サリエが俺の顔を見つめてくる。
「俺はサリエを愛してるよ」
俺の言葉を聞いたサリエは、目を閉じて再び唇を合わせてきた。
今度はさっきよりも長いキスだった。
俺は自室のベッドに横たわり、そう呟く。
サリエ、リーゼロッテ、マリアとの治療回りは順調に進んだ。
ラーグの街において、ここ最近の死者数は激減している。
もはや、『不慮の即死級事故』『明確な悪意による殺害』『老衰』以外で死んでいる者はほとんどいないのではなかろうか。
不慮の即死級事故については、そもそもこの世界ではやや発生率が低い。
この世界の住人は、地球の住人よりもひと回り頑丈な傾向があるからな。
一般人でも微細な魔力や闘気は持っており、それが頑丈さの向上に一役買っているようだ。
一方で、明確な悪意による殺害については、被害者側が多少頑丈だろうと無意味だ。
加害者側の殺傷能力も増しているわけだからな。
ラーグの街は比較的平和で大きな事件は起こっていないようだが、西の森の開発が順調に進み人の流入が増えてくると、それもどうなるか分からない。
治安維持隊の設立も検討しないとならんな。
それのトップに据えるのは、だれがいいだろうか。
街の警備兵から引っ張ってくるのもありだが、せっかくなので俺の息のかかった者にしたい。
ヴィルナとヒナは、高い索敵能力を活かして引き続き屋敷の警備を務めてもらうとして……。
戦闘能力だけならキリヤか?
だが、あいつは治安維持というタイプでもないよな。
決して悪い奴ではないのだが、自らが積極的に悪人を懲らしめていくようなタイプには見えない。
トミーや雪月花たち冒険者組も、どちらかと言えば自由に活動するのが性に合っているだろう。
となると……。
ナオンが適任か?
王都の騎士団に所属していたぐらいだ。
規律や治安に対する意識は高いだろう。
彼女に付き従っている部下も5人いるし、お試しの治安維持隊の設立もしやすい。
最後に、老衰についてだが……。
純粋な老化は、治療魔法ではどうにもならんな。
とはいえ、老化に伴う病気への対処という形であれば可能だ。
今までよりも、平均寿命は大幅に伸びていくだろう。
今後、死者数は減少していく可能性が高い。
そこで気になるのが……。
「農業を発展させていかないとな……」
死者数が減ること自体はいいことだが、その分の食料は当然確保しなければならない。
ラーグの街を核としたハイブリッジ騎士爵領は、温暖で食料に困っていない地域だ。
とはいえ、もちろん限界はある。
少し離れた他領では、飢饉により奴隷に身を落としている民もいると聞く。
俺の配下にも、ニルスとハンナという実例がいる。
彼らは、遠方の村にて、口減らしのために奴隷として売られた過去があるのだ。
クリスティも、貧しさによる食い逃げやスリといった軽微な罪の積み重ねで犯罪奴隷となった。
俺の領地には、飢えて苦しむ者を発生させたくない。
飢えた領民を救うのは領主の務めだ。
「農地の拡大と収穫量の増加……。ニムが品種改良してくれた作物を広く普及させるか」
まあ、このあたりは専門的な知識も必要だ。
領主としての俺の仕事は、最初の指示、過程における後押し、そして結果に伴う評価を適切に行うことなどになる。
ニム、ニルス、ハンナ、トリスタ、それに街の行政機関あたりに頑張ってもらうことになるだろう。
「やることが山積しているが、明日以降も頑張るか」
そんな感じで、俺が就寝しようとしているとき……。
コンコン。
誰かがドアをノックする音が聞こえた。
「今開ける」
誰だろう?
今日はリーゼロッテやユナの日ではない。
ニムとマリアの日でもない。
俺が首を傾げながら扉を開けると……。
「タカシさん……。夜分遅く申し訳ありません。どうしても相談したいことがありまして……」
「ん?」
そこにいたのはサリエだった。
「どうしたんだ? まあ、とりあえず中に入れよ」
「はい。失礼します」
サリエが部屋の中に入ってきた。
ミリオンズ内でも特にちゃんとしている淑女のサリエが、夜中に男の部屋に来るとは……。
らしくないな。
まあ、俺と彼女は当人同士の意思としては婚約している仲なので、大きな問題はないのだが……。
「水でも飲むか? それとも、レインにお茶を入れてもらおうか? 酒もあるが……」
俺は水魔法により、いつでも水を飲める。
メイドのレイン、クルミナ、リン、ロロに依頼すれば、お茶や酒を用意してもらうことが可能だ。
ただし、夜中の対応は当番制となっている。
今日の当番はレインだ。
「いえ、結構です。人にはあまり聞いてほしくない内容なので……」
サリエはそう言って、本題を切り出そうとしている。
「実は……その……」
「うん?」
彼女はもじもじしてなかなか言い出せないようだ。
「大丈夫か? 何かあったのか?」
俺は心配になって、彼女の方へ近寄った。
すると、彼女は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「おい! 本当にどうした!? 熱でもあるんじゃないだろうな?」
俺は彼女のおでこに自分のおでこを当ててみた。
「ひゃうっ!?」
彼女がそんな声を漏らす。
少し熱いか?
念のため治療魔法を……。
俺がそんなことを考えていたときだった。
チュッ……。
突然、俺の唇に柔らかい感触があった。
それは一瞬の事だったが、とても長く感じる時間でもあった。
目の前には、顔を真っ赤にしたサリエがいる。
俺の口元に残るのは、彼女の唇の温もりだけだ。
「えっと……その……、ごめんなさい」
それだけ言うと、彼女はうつむいて黙ってしまった。
俺は呆然としていた。
思考が完全に停止してしまっているようだ。
なんだろう……。
これは夢なのかな……。
だって、あのサリエだぞ?
真面目な堅物キャラのサリエが、こんなことをしてくるなんて……。
「その……はっきりと言葉にしたことはありませんでしたね……。私は、タカシさんをお慕いしております。私と……深い仲になってください」
「…………」
俺は何も答えられなかった。
いきなり過ぎて、頭がついていかないのだ。
彼女とこういうことをするのは、彼女の親であるハルク男爵に結婚の許可をもらってからだと思っていた。
「その……ダメでしょうか? 私では不足ですか? やはり、ミティさんやニムさんのように可愛らしい方がお好みなのでしょうか? それとも、モニカさんやリーゼロッテさんのように豊満な方が? アイリスさんやユナさんのように凛々しい方も魅力的ですし……。私ではタカシさんに釣り合いませんよね……」
サリエが泣きそうな顔になっている。
「そんなことはないっ!!」
俺は思わずそう叫んだ。
「サリエにしかない魅力はたくさんある! 分別があり真面目で、奥ゆかしい。優しさと厳しさを兼ね揃えたところも魅力的だ。先日も、マリアに少し厳しいことを言ってくれていたよな? リンやロロに対してもそうだ。俺は人に厳しくすることが苦手だから、サリエには助けられている」
彼女は、年少勢に厳しい態度を取ることがたまにある。
ミリオンズのメンバーは基本的にダダ甘な者が多いので、サリエのような者は希少だ。
「あ、ありがとうございます……」
「それにもちろん、女性としての魅力も感じているぞ。肌は透き通る様に白いし、髪には艶があるな」
俺はサリエの髪に手を伸ばす。
絹糸の様にサラリとした手触りが心地よい。
「はう……」
彼女は顔を赤くしてうつむいている。
ここで畳み掛けよう。
俺は彼女のあごを掴み、クイッと持ち上げた。
「瞳はまるで宝石をはめ込んだような輝きを放っている。体のスタイルもバランスがいい」
サリエの顔は、いよいよ沸騰しそうなほど赤くなっている。
俺の言葉を聞いて安心したからか、涙が溢れている。
サリエが俺の顔を見つめてくる。
「俺はサリエを愛してるよ」
俺の言葉を聞いたサリエは、目を閉じて再び唇を合わせてきた。
今度はさっきよりも長いキスだった。
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