【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
524話 優勝者ヴィルナの望み
ハイブリッジ杯の表彰式を行っている。
残るはあと二人だけだ。
「キリヤ。準優勝おめでとう」
「ふっ。俺の実力なら当然のこと……と言いてえところだが……」
キリヤが視線を横に向ける。
その先にいるのは、ヴィルナだ。
彼の言いたいことはわかる。
「最後の最後で、攻撃をためらっていたな。木剣による攻撃なら、多少痛くても大怪我などはしなかったはずだ」
「ああ。しかし、あいつの怯えた顔を見るとなぜか体が動かなくなっちまってな……」
「ほう?」
やはり、彼にとってヴィルナは特別な存在だということか。
聞いた話では、彼ら二人は幼なじみ。
それぞれの両親が冒険者として街を長期間離れており、その間の生活費はヴィルナが工面していたという。
キリヤは実質的にヴィルナのヒモみたいな状態だったと聞いている。
「俺の名において、結婚を祝ってやろうか?」
「いや、あいつが許さねえだろう。俺がここで働き始める前にも何度か求婚したが、断られちまったからな」
キリヤからヴィルナに求婚済みだと?
「へえ。それは少し意外だな……」
手が早い。
さすがは元ヒモだといったところか。
そして、その求婚をヴィルナが断ったというのも意外だ。
どちらかと言えば、彼女がキリヤに好意を抱いているような印象を持っていたが。
登用の面接で俺が二人の関係を聞いた時には、顔を真っ赤にしてしどろもどろの回答をしていた。
そもそも、好意を持っていない男の生活の面倒など見ないだろうし。
「俺が定職に就いていないのが気に入らねえとか言っていたな。今なら、いけるかもしれねえが……」
「ふむ。それならやはり……」
「いや、いい。今後もマジメに働いて、金を貯めたら求婚することにするぜ。そのためにも、まずはこの領地を発展させないとな」
「そうだな。頼んだぞ」
「おう」
彼は力強く答えた。
この様子だと、これからも俺の配下として力を振るってくれそうだな。
彼の忠義度は、30台後半にまで上がっている。
もう一歩で加護(小)の条件を満たす。
キリヤの実力は配下の中でも抜きん出ている。
加護(小)を付与済みの蓮華と戦って、激闘の末に勝利を収めるほどの男だ。
それがさらに強くなれば、かなり心強い存在となる。
今はハイブリッジ家の筆頭警備兵という役職だが、ラーグの街全体を守護する責任者に任命しようかな?
俺はそんなことを考えつつ、キリヤに表彰状と景品を渡す。
彼がステージの後方へ下がる。
さて。
「最後はヴィルナだな。優勝おめでとう!」
「はい! ありがとうございます!!」
ヴィルナが元気よく返事をして、俺の前にやって来る。
「「ヴィルナちゃん!」」
「「ヴィルナさーん!」」
観客席からそう声援が飛んでくる。
「ずいぶんと人気者になったものだな」
「はい。そのようですね。嬉しいですが、少し照れくさいです……」
彼女は、ほんのりと頬を染める。
「さあ。望みを言え。優勝者のお前の望みなら、多少のムチャも聞いてやるぞ」
ここまで、それぞれの望みをある程度は叶えてきた。
しかし、いずれもそれほど無理難題ではない望みばかりだった。
優勝者のヴィルナの願いなら、可能な限り応えてやるつもりである。
「会場はヴィルナ選手に大注目です!! はたして、彼女が口にする願いはいったいなんでしょうか!?」
司会のネリーがそう言う。
金、肩書、新しい装備、一戸建ての家など……。
俺が彼女の立場なら、欲しいものは山ほどある。
「私のお願いはただ一つだけです!!」
彼女がそう叫ぶ。
俺、ステージ上の参加者たち、そして観客席の者たち。
みんなの視線が彼女に集中する。
「私とキリヤくんの結婚を認めて、盛大に祝福していただきたいですっ!!!」
ヴィルナがそう叫んだ。
「「「おおぉっ!!!」」」
観客たちがどよめく。
まさかのプロポーズ。
これは予想外だ。
いや、キリヤからヴィルナへは求婚したこともあると言っていたな。
もともと相思相愛だったのだろう。
懸念材料だったキリヤの労働嫌いも、ここ最近はずいぶんとマシになってきている。
それなら結婚しても大丈夫ということか。
「「おめでとー!」」
「「ひゅーひゅー!!」」
みんなから拍手が起こる。
「いいだろう! だが、結婚は双方の合意があってのものだ! キリヤ。ヴィルナと結婚を認めるか?」
俺はそう問う。
念のための確認だ。
「お、おう! もちろんだぜ!!」
キリヤがそう返答する。
彼の方からヴィルナに求婚していたぐらいなのだから、否があるはずもない。
こんな公の場でプロポーズされたのは、さすがに想定していなかっただろうが。
「それでは、キリヤも前に出てこい。……アイリス、また頼めるか!?」
俺は彼女を呼ぶ。
「またかー。おめでたい話が続くねー」
彼女がステージに上がりつつ、そう言う。
確かに、この表彰式においていいニュースが続いている。
トリスタとヒナの結婚に加え、ミティ、アイリス、モニカの懐妊。
さらにこれで、キリヤとヴィルナが結婚することになる。
アイリスが神妙な面持ちで、キリヤとヴィルナの方を見る。
「新郎キリヤ。あなたはここにいるヴィルナを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「誓うぜ」
「新婦ヴィルナ。あなたはここにいるキリヤを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「誓います!」
彼らの誓いの言葉に、アイリスがうなずく。
「それでは、誓いの口づけを……」
アイリスの言葉を受け、二人はゆっくりと顔を近づけていく……。
キリヤはなかなか度胸があるな。
こんな衆人環視の中でも、臆した様子はない。
一方のヴィルナは、顔が真っ赤だ。
「「きゃああぁ!!」」
「いいなあ。ヴィルナさん……」
「こんな場所でみんなに祝ってもらいながらキスするなんて、素敵……」
観客席の女性陣からそんな声が上がる。
そして、二人の口の距離がゼロになる……。
「「わあっ!!」」
「「ヒュー!!」」
歓声と冷やかしの声が響く。
「おめでとう! 新たに夫婦となった二人の幸せを願っているぞ!」
俺はそう宣言する。
「「わあああっ!!」」
「がんばれよーっ!」
「応援してるぜ!」
観客席から再びそんな声が飛ぶ。
「あうう……。恥ずかしすぎて、腰が抜けそうです」
「お前が言い出したことだろうが。ったく。しょうがねえな……」
キリヤがヴィルナをお姫様抱っこして、ステージを降りる。
なかなかお似合いの夫婦になりそうだな。
……おっ!
キリヤとヴィルナの忠義度が上がっている。
二人とも、加護(小)の条件を満たした。
後で付与しておこう。
それにしても、このトーナメントは大成功だな。
いろいろと収穫があった。
一度成果を整理しておこうか。
俺はそんなことを考えながら、その後の閉会式を見届けたのだった。
残るはあと二人だけだ。
「キリヤ。準優勝おめでとう」
「ふっ。俺の実力なら当然のこと……と言いてえところだが……」
キリヤが視線を横に向ける。
その先にいるのは、ヴィルナだ。
彼の言いたいことはわかる。
「最後の最後で、攻撃をためらっていたな。木剣による攻撃なら、多少痛くても大怪我などはしなかったはずだ」
「ああ。しかし、あいつの怯えた顔を見るとなぜか体が動かなくなっちまってな……」
「ほう?」
やはり、彼にとってヴィルナは特別な存在だということか。
聞いた話では、彼ら二人は幼なじみ。
それぞれの両親が冒険者として街を長期間離れており、その間の生活費はヴィルナが工面していたという。
キリヤは実質的にヴィルナのヒモみたいな状態だったと聞いている。
「俺の名において、結婚を祝ってやろうか?」
「いや、あいつが許さねえだろう。俺がここで働き始める前にも何度か求婚したが、断られちまったからな」
キリヤからヴィルナに求婚済みだと?
「へえ。それは少し意外だな……」
手が早い。
さすがは元ヒモだといったところか。
そして、その求婚をヴィルナが断ったというのも意外だ。
どちらかと言えば、彼女がキリヤに好意を抱いているような印象を持っていたが。
登用の面接で俺が二人の関係を聞いた時には、顔を真っ赤にしてしどろもどろの回答をしていた。
そもそも、好意を持っていない男の生活の面倒など見ないだろうし。
「俺が定職に就いていないのが気に入らねえとか言っていたな。今なら、いけるかもしれねえが……」
「ふむ。それならやはり……」
「いや、いい。今後もマジメに働いて、金を貯めたら求婚することにするぜ。そのためにも、まずはこの領地を発展させないとな」
「そうだな。頼んだぞ」
「おう」
彼は力強く答えた。
この様子だと、これからも俺の配下として力を振るってくれそうだな。
彼の忠義度は、30台後半にまで上がっている。
もう一歩で加護(小)の条件を満たす。
キリヤの実力は配下の中でも抜きん出ている。
加護(小)を付与済みの蓮華と戦って、激闘の末に勝利を収めるほどの男だ。
それがさらに強くなれば、かなり心強い存在となる。
今はハイブリッジ家の筆頭警備兵という役職だが、ラーグの街全体を守護する責任者に任命しようかな?
俺はそんなことを考えつつ、キリヤに表彰状と景品を渡す。
彼がステージの後方へ下がる。
さて。
「最後はヴィルナだな。優勝おめでとう!」
「はい! ありがとうございます!!」
ヴィルナが元気よく返事をして、俺の前にやって来る。
「「ヴィルナちゃん!」」
「「ヴィルナさーん!」」
観客席からそう声援が飛んでくる。
「ずいぶんと人気者になったものだな」
「はい。そのようですね。嬉しいですが、少し照れくさいです……」
彼女は、ほんのりと頬を染める。
「さあ。望みを言え。優勝者のお前の望みなら、多少のムチャも聞いてやるぞ」
ここまで、それぞれの望みをある程度は叶えてきた。
しかし、いずれもそれほど無理難題ではない望みばかりだった。
優勝者のヴィルナの願いなら、可能な限り応えてやるつもりである。
「会場はヴィルナ選手に大注目です!! はたして、彼女が口にする願いはいったいなんでしょうか!?」
司会のネリーがそう言う。
金、肩書、新しい装備、一戸建ての家など……。
俺が彼女の立場なら、欲しいものは山ほどある。
「私のお願いはただ一つだけです!!」
彼女がそう叫ぶ。
俺、ステージ上の参加者たち、そして観客席の者たち。
みんなの視線が彼女に集中する。
「私とキリヤくんの結婚を認めて、盛大に祝福していただきたいですっ!!!」
ヴィルナがそう叫んだ。
「「「おおぉっ!!!」」」
観客たちがどよめく。
まさかのプロポーズ。
これは予想外だ。
いや、キリヤからヴィルナへは求婚したこともあると言っていたな。
もともと相思相愛だったのだろう。
懸念材料だったキリヤの労働嫌いも、ここ最近はずいぶんとマシになってきている。
それなら結婚しても大丈夫ということか。
「「おめでとー!」」
「「ひゅーひゅー!!」」
みんなから拍手が起こる。
「いいだろう! だが、結婚は双方の合意があってのものだ! キリヤ。ヴィルナと結婚を認めるか?」
俺はそう問う。
念のための確認だ。
「お、おう! もちろんだぜ!!」
キリヤがそう返答する。
彼の方からヴィルナに求婚していたぐらいなのだから、否があるはずもない。
こんな公の場でプロポーズされたのは、さすがに想定していなかっただろうが。
「それでは、キリヤも前に出てこい。……アイリス、また頼めるか!?」
俺は彼女を呼ぶ。
「またかー。おめでたい話が続くねー」
彼女がステージに上がりつつ、そう言う。
確かに、この表彰式においていいニュースが続いている。
トリスタとヒナの結婚に加え、ミティ、アイリス、モニカの懐妊。
さらにこれで、キリヤとヴィルナが結婚することになる。
アイリスが神妙な面持ちで、キリヤとヴィルナの方を見る。
「新郎キリヤ。あなたはここにいるヴィルナを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「誓うぜ」
「新婦ヴィルナ。あなたはここにいるキリヤを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「誓います!」
彼らの誓いの言葉に、アイリスがうなずく。
「それでは、誓いの口づけを……」
アイリスの言葉を受け、二人はゆっくりと顔を近づけていく……。
キリヤはなかなか度胸があるな。
こんな衆人環視の中でも、臆した様子はない。
一方のヴィルナは、顔が真っ赤だ。
「「きゃああぁ!!」」
「いいなあ。ヴィルナさん……」
「こんな場所でみんなに祝ってもらいながらキスするなんて、素敵……」
観客席の女性陣からそんな声が上がる。
そして、二人の口の距離がゼロになる……。
「「わあっ!!」」
「「ヒュー!!」」
歓声と冷やかしの声が響く。
「おめでとう! 新たに夫婦となった二人の幸せを願っているぞ!」
俺はそう宣言する。
「「わあああっ!!」」
「がんばれよーっ!」
「応援してるぜ!」
観客席から再びそんな声が飛ぶ。
「あうう……。恥ずかしすぎて、腰が抜けそうです」
「お前が言い出したことだろうが。ったく。しょうがねえな……」
キリヤがヴィルナをお姫様抱っこして、ステージを降りる。
なかなかお似合いの夫婦になりそうだな。
……おっ!
キリヤとヴィルナの忠義度が上がっている。
二人とも、加護(小)の条件を満たした。
後で付与しておこう。
それにしても、このトーナメントは大成功だな。
いろいろと収穫があった。
一度成果を整理しておこうか。
俺はそんなことを考えながら、その後の閉会式を見届けたのだった。
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